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【特別企画】ゲームハード戦争に“PCゲーム機”勢力が参戦!!
クラウドゲーミング端末の本命になるか? 「Project SHIELD」
(2013/1/18 00:00)
クラウドゲーミング端末の本命になるか? 「Project SHIELD」
今回話題としている“PCゲーム機”の中でも「Project SHIELD」(関連記事)は特に異彩を放っている。ハードウェア的には5インチタブレットにゲームコントローラーをくっつけたようなポータブルゲーム機で、Tegra4搭載でOSはAndroid。だからこれはカテゴリとしてはAndroid端末になるのだが、独自のストリーミングゲーミングシステムをプラスしているところに大きな特徴がある。
このストリーミングシステムを利用することで、Androidベースの端末でありながら、PCゲームもプレイすることができる。PCゲームを遊ぶ際には、「Project SHIELD」はワイヤレスの映像レシーバー兼コントローラーとなる。GeForce GTX 600シリーズを搭載したPCとワイヤレス接続し、コントローラーの入力をPC側に伝え、そしてPC側でレンダリングした映像をストリーミングで表示するという仕組みだ。OnLiveやGaikaiの自宅版であり、Wii UとWii Uゲームパッドの関係にも似ている。
また「Project SHIELD」からHDMIやワイヤレスディスプレイインターフェイスを通じて対応モニターやテレビに映像を出力することも可能なので、PCで動いているゲームを「Project SHIELD」を介してリビングのテレビでプレイする、ということもできる。
考えるまでもなく、どちらの使用形態もおそろしくニッチだ。「Project SHIELD」でPCゲームを遊ぶには前提としてハイスペックPCと、ゲーミンググレードのモニターを所有しているはずなので、PCゲームを普通に遊べる環境があるのに、なぜわざわざWiFiを介して小さい画面で遊ぶ必要があるのかよくわからない人が大半だろう。普通のAndroid端末として使おうにも、見るからに分離できそうにないコントローラーが邪魔だ。だから、これはNVIDIAが想定する“本命”の使い方ではない。
事情通の皆さんなら御存知の通り、NVIDIAは「NVIDIA GRID」として、同社GPU技術のクラウドサービス化を進めている。そこでOnLiveやGaikaiのようなNVIDIA独自のクラウドゲーミングサービスが始動すれば、「Project SHIELD」の存在感は大きく変わってくる。
家のPCでゲームをレンダリングするかサーバー上でレンダリングするか、回線がLANかインターネットかという違いはあるが、やることは同じ。「Project SHIELD」で映像を受け取り、ゲームをプレイする。ラグの問題はあるが、リアクションがそれほど重要ではないRPGやストラテジーゲームは問題なくプレイできるだろう。
そのような使用形態を想定すれば、NVIDIAは「Project SHIELD」をエンドユーザーに売りつつ、一方で各ゲームメーカー・パブリッシャーにクラウドゲーミングサーバーのソリューションを提供するというのは大いにありうる話だ。なによりNVIDIAはGPUを売りたいのだ。「NVIDIA GRID」の顧客が増えれば戦略目標は達成できる。
将来的にそのようになれば、「Project SHIELD」はペイ・パー・プレイ制なり月額課金制なりのカタチでハイエンドゲームをごく手軽に遊ぶための有望な端末になりうる。それまでは、GooglePlayやTegraZoneのハイエンドなAndroidゲームをプレイするための、ややニッチなゲームガジェットとしての立ち位置を守ることになるだろう。