シンガポールにてe-Sportsイベント「Intel Extreme Masters Season7 Singapore」が開催
世界中から「LoL」、「SC II」のスター選手が集結! 主催者のインタビューも掲載
シンガポールにてIntel主催のe-Sportsイベント「Intel Extreme Masters Singapore(以下IEM)」が11月22日から11月25日まで開催されている。
このイベントはe-Sports Super League(以下ESL)という団体が開催している大会の1つで、CPUメーカーのIntelがメインスポンサーとして協賛しているイベントだ。他にも高性能メモリの開発元PATRIOT MEMORYや、ゲーミングディスプレイメーカーのBenQ、ゲームのオンライン配信テレビ局twitch.tvがスポンサーとして協賛している。
IEMは2006年から開催されており、今回はSeason 7となる。Season 7の競技タイトルは、「League of Legends」、「Starcraft II」の2つだ。過去シーズンでは「Counter Strike 1.6」などのFPSも競技種目に採用されていたが、今回はRTS系の2タイトルのみとなっている。
22日〜23日は予選の意味合いが強く、24日に「League of Legends」の決勝戦、25日に「Starcraft II」の決勝戦が行なわれる。試合の模様もtwitch.tvが全世界にストリーミング配信している。
会場はチャンギ国際空港のすぐ近くにあるコンベンションセンター「Singapore EXPO」で、同時期に開催されている「SITEX 2012」というIT関連の即売会の一部として実施されている。e-Sportsファンだけでなく「SITEX 2012」に来場している買い物客にも観戦して欲しいというのが狙いだ。また試遊ブースも併設されており、試合を見るだけではなく実際にゲームをプレイして欲しいという狙いもあるという。
このレポートでは大会が行なわれていたIEMブースの模様と、イベントのオーガナイザーであるGeorge Woo氏のインタビューをお届けする。なお、試合のレポートや詳細については別稿でお届けする予定だ。
【会場の「Singapore EXPO」と「SITEX 2012」の様子】 | ||
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人でごった返しており、かなり活気のあるイベントだ |
■ 立ち見客が出るほどの大盛況。試遊ブースも盛り上がったIEMブースレポート
FIシミュレーターを使った大会も行なわれている。好成績を残すとIntelのCPUがもらえるという事で挑戦者が途切れることはなかった |
グッズやCPUがもらえるじゃんけん大会などのイベントもあわせて開催されていた |
ESLを運営しているのはTurtle Entertainmentというドイツの会社だ。今回のイベントではサウンド部門や、配信部門など裏方のスタッフを含めると60名近くのスタッフがシンガポールに派遣されているという。
ハイレベルな競技大会の為、モニターやPCはスポンサーから最高ランクのマシンが提供されており、少しでも不具合が発生するとすぐに交換できるような体制が組まれている。用意されているハードウェアは全て合わせるとおおよそ2,000ドル(約16万円程度)になるという。マウス、キーボード、ヘッドセットなどは自分で使い慣れた物を持ち込むが、ヘッドセットに関しては、実況解説の音が聞こえないように防音ヘッドフォンを使うので、チーム戦の「League of Legends」ではヘッドセットを首にかけマイクのみを使い、個人戦の「Starcraft II」では自前のヘッドセットを使わない選手も見られた。
IEMのブースは大きく「トーナメントエリア」、「バックステージ」、「試遊ブース」の3つのエリアに分かれている。
「トーナメントエリア」はIEMブースのメインエリアで、ステージ上に巨大なモニターと10台のPCが設置されている。ここではトーナメントのメイン試合が行なわれており、観客は巨大モニターで実況解説付きの試合の模様を見ることができる。またトーナメントエリアで試合が行なわれていない時は、後述するバックステージで行なわれている試合や、実況解説によるトークが映しだされている。試合のインターバルにはじゃんけん大会などのイベントが行なわれ観客が退屈しないように工夫されていた。このエリアには150席程度の観客席が用意されていたが、試合が進むに連れて多くの観客が訪れ、ブースに収まりきれない立ち見客も居たほどだ。
「バックステージ」は関係者以外立ち入り禁止のエリアで、20台程度のPCが用意されており、選手のウォーミングアップや、一部の試合が行なわれている。また実況解説を行なうスタジオもここに設置されている。
「試遊ブース」ではIntelのゲーミングPCや、ゲーミングノートPCが用意されており、競技タイトルである「League of Legends」や「Starcraft II」はもちろん、「CoD:MW3」などのFPSタイトル、「All Zombies Must Die!」などのカジュアルなゲームが試遊できた。試合の合間などにゲームをプレイする観客や、「SITEX」に来た買い物客がゲームを試遊しているシーンをが見られた。
会場にいるといくつかの点で日本との違いを感じたが、もっとも印象的だったのは「観客」だ。好プレーが出れば観客席から大きな歓声と拍手が起こるし、メッセージを書いた紙を掲げて選手に声援を送る観客も見られた。また選手がブースから出てくると、多くの観客が集まり記念撮影やサインを求める。観客のe-Sportsに対する姿勢はリアルスポーツとまったく変わらない。
特に今回「Starcraft II」の種目で参戦している、Grubby選手という選手の人気は圧倒的だった。トーナメントエリアで「League of Legends」の決勝戦が行なわれているにも関わらず、並行してバックステージで行なわれていた彼の「Starcraft II」試合を見る観客が多く、彼の準決勝進出が決まった瞬間など、ブース中に響き渡るような大きな歓声と大拍手が起きた。
弊誌ではGrubby選手へのインタビューも行なったので、その内容については別稿でお伝えする予定だ。
■ ISMオーナーのGeorge Woo氏インタビュー。e-Sports市場として見た日本とは
Intel IEM Marketing ManagerのGeorge Woo氏 |
その後IEMのオーガナイザーを務める、Intel IEM Marketing ManagerであるGeorge Woo氏のインタビューを行なうことができたのでお届けしよう。
―― まず簡単な自己紹介をお願いします。
George Woo氏: はじめまして、George Wooです。コロラドにあるIntelの本社でコーポレートマーケティングの仕事をしています。その一環で2006年にIEMを立ち上げました。
―― 2006年のIEMの立ち上げから競技タイトルが何度か変更になっています。競技タイトルはどの様に決めているのですか?
George Woo氏: まずESLの方から「こういうタイトルを競技タイトルとして採用したい」という提案があります。私はその提案を受け、コミュニティの大きさや、世界的に人気があるかなどを調査し総合的に判断しています。例えばアメリカでは大人気だがアジアではそれほどでもないといったタイトルがあれば、それは採用しません。
―― 今回のIEMの競技タイトルは「League of Legends」、「Starcraft II」とRTS系のタイトルのみで、「Counter Strike」シリーズの様なFPSタイトルが採用されていませんよね。それもコミュニティの規模の問題ですか?
George Woo氏: IntelとしてもFPSタイトルを競技タイトルとして採用したいと思っています。実はシリーズ最新作の「Counter-Strike: Global Offensive」の採用を検討していましたが、今回は採用されていません。
―― ということは今後FPSタイトルが採用される可能性もあるんですね?
George Woo氏: 個人的にはFPSタイトルも採用したいと思っています。
―― RTS/FPS以外のジャンルは採用しないのですか?
George Woo氏: こちらもあくまで個人的な考えですが、e-Sportsという市場を広げるためには、格闘ゲームの様に画面を見れば勝ち負けが一目でわかって、観客が一緒に盛り上がれるようなタイトルが望ましいと考えています。
―― 話は代わりますが、今回は初の開催地としてシンガポールを選択されていますが、どういった点からこの国を選んだのでしょうか?
George Woo氏: まず東南アジアは4年ぶりなので、この地域で開催したいと思っていました。その中でもシンガポールはオンラインゲームにとって重要な市場だと考えています。
―― シンガポール会場を見て盛り上がりなど手応えを感じられますか?
George Woo氏: そうですね、手応えを感じています。週末にかけて強豪プレーヤー同士の試合が行なわれるようになると更に盛り上がるでしょうね。
―― IEMの開催地という視点で見ると、日本はどう思われますか?
George Woo氏: 日本にはスター性のあるプロゲーマーがおらず、ゲーム市場もコンソール主体でPCゲームがそれほど盛り上がっていないので、ビジネス的な視点で見ると難しいというのが正直なところです。e-Sportsの市場としてみると日本は小さすぎます。
―― 日本のスター的なプロゲーマーに「ウメハラ」という選手がいるのですがご存知ですか?
George Woo氏: ごめんなさい、ちょっとわからないです。この大会に参加してる選手なら知っているかもしれません。
―― 最後に日本でプロゲーマーになりたいと考えている人にメッセージを頂けますか?
George Woo氏: まずは練習して実力をつけてください。そしてコミュニティで有名になって、プロゲーマーのチームに所属するのが1番の近道でしょう。
―― ありがとうございました。
日本でも多くのオンラインゲームの大会が行なわれており、e-Sportsが普及する下地はできていると考えていたが、世界的な視点で見ると日本はまだまだという事だろうか。個人的には日本でもe-Sportsが盛り上がって欲しいが、そう容易くはないというのが現状のようだ。
(2012年 11月 25日)