コーエーテクモ、PS3/Xbox 360「DEAD OR ALIVE 5」

発売間近! 早矢仕プロデューサーにインタビュー!
「DOA5」は“ユーザーの皆様と一緒に作ってきた”感じ


開催期間:9月20日~9月23日 開催(20日、21日はビジネスデー)

11月22日 発売予定

会場:幕張メッセ1~8ホール



 株式会社コーエーテクモゲームスは、プレイステーション 3/Xbox 360用格闘エンターテインメント「DEAD OR ALIVE 5」を9月27日に発売する。価格は通常版が各8,190円、コレクターズエディションが各11,340円。CEROレーティングはD(17歳以上対象)。

 ここでは、東京ゲームショウ2012のコーエーテクモブースにて収録したTeam Ninjaの早矢仕洋介氏のインタビュー記事をお届けする。発売間近となった「DEAD OR ALIVE 5」以外にも、先日発表されたばかりの他タイトルについても若干お話をうかがうことができた。気になる人は、ぜひご一読いただきたい。


■ 「DOA5」は“ユーザーの皆様と一緒に作ってきた”感じ

早矢仕洋介氏

―― 今週(9月27日)、ついに発売日を迎えます。早矢仕さんご自身の心情はいかがでしょうか?

早矢仕洋介氏(以下:早矢仕氏):7年ぶりにナンバリングタイトルを出すということで、当初は待ってもらえているのかわからなかったんですけど、情報を出していくなかで盛り上がってきて「これだけ待っていてもらえていたんだな」と思いました。嬉しい反面、発売された際にみなさんのご期待に応えられるものになっているかどうか、我々も緊張して発売日を待っているところです。

―― ナンバリングとして出す不安感のほうが大きかったのでしょうか?

早矢仕氏:おおむね凄くいい意見をいただいたので、1番最初に情報を出したときは、凄く嬉しかったです。

―― 発売前にユーザー体験会を開催されましたが、その際にきこえてきた意見で何か印象的だったことなどはありましたか?

早矢仕氏:色々なところで“ユーザーのみなさんと一緒に作ってきた”感じがしています。コンシューマタイトルって、基本的にお客様にお買い上げいただくまで直接的なコミュニケーションがあまりないんですけど、今回は体験会をやらせていただいたり、体験版をつけさせていただいたり。こういうTGSもそうですけど。海外ではゲーム大会も開いていただけたり。

 色々作りながらそういったことをさせていただくと、ファンの皆さんに修正点を気づいていただけたりなど、お客様と一杯コミュニケーションがとれたな、という実感はあります。キャラクターを順次公開という形でやらせていただきましたけど、あれも実際には開発が作って形になり次第、お見せしていたところがあったんです。そういった意味でも、できあがったものを見ていただいて、ご意見をいただいて、みたいな形をずっとやってきたなぁというふうに思います。

―― 「DEAD OR ALIVE」も歴史があるシリーズですから、ユーザーさんとつむぎ上げてきたもの……信頼関係も相当な厚みがあるのではないでしょうか。

早矢仕氏:本当に細かいところまで思い入れを持っておられる方々が一杯いらっしゃって。そこまで愛していただいているシリーズなんだな、というのを実感しましたね。

―― 体験会やTGS会場でプレイされているユーザーさんの姿を見て、なにか感じられたことはありますか? 「このキャラクターが1番使われているなぁ」とか。

早矢仕氏:コレクターズエディションに入っているプレミアムセクシーコスチュームや初回特典でバニーちゃんコスチュームがあるんですけど、結構みなさんそれを選ばれていて……。

―― 体験会やTGS会場は、衆目のあるなかでプレイするわけですが……私は正直、ちょっと気恥ずかしさを感じてしまいます。

早矢仕氏:最初、開発側でも「入れるのはいいけど、コレお客さんが並んでいるときに(このコスチュームを)選んでいただけるのか?」っていうのを心配していたんですけど、結構皆様迷いなく選んでおられました。それは我々の想定外でした(笑)。皆様、色々な経験をもたれているというか「DEAD OR ALIVE」とともに歩んでくださった方々なんだなぁと。

 とはいえ、男性キャラクターや「バーチャファイター」のキャラクターを選ばれる方々も結構多くて「あぁ、バーチャプレーヤーの皆さんにも触っていただけているんだな」と思いました。

―― 実は私、TGS初日は別ブース張り付き取材で「DEAD OR ALIVE5」試遊台の状況を見ることができなかったんですが(本インタビューはTGSの2日目に収録)、バーチャプレーヤーの姿が見られたというのは嬉しい話ですね。

早矢仕氏:ちゃんとしゃがみパンチから当ててくるアキラ使いが結構いました。

―― そういうプレーヤー層の交流があるのは、凄くいいことですよね。以前にもおうかがいしましたが、こういうコラボレーションは実際やるとなれば「不安がない」というわけにはいきませんよね。

早矢仕氏:変な言い方ですけど、いまゲーム業界でコラボレーションが盛んに行なわれていますが、単純なコラボレーションって、正直にいうともうお客様に満足していただけないと思うんですよ。お客様の期待のもっと上をいかなければならない。

 我々がコラボレーションするときにまず決めたのは「バーチャファイター」シリーズの操作感を再現する。違和感なく、なぜか「DEAD OR ALIVE5」が遊べるというところに持っていこうと決めていました。

―― 今我々の目前にある試遊台で、コメントにあわせたかのような対戦カード(アキラ vs パイ)が実現していますね。

早矢仕氏:プレイしているタイトルが間違ってるんじゃないか? っていう(笑)。コラボレーションが一杯あるなか、もう一歩先。「DEAD OR ALIVE」、「バーチャファイター」、どちらのファンのみなさんにも喜んでもらえるコラボレーションが実現できたんじゃないかと思っています。

 ここまで発売前に盛り上げていただけるとは、正直思っていなかったです。ぜひこれを続けていきたいなと思います。実はまだ、スタートラインに立っていないんです。発売からゲームが始まるんだ、と思うんですよね。これからもユーザーの皆様と長いお付き合いをしていただけるように……せっかく再始動したものですから、もっともっと大きく広げていきたいなと思います。

―― それは、色々期待しちゃっていいんでしょうか?

早矢仕氏:色々期待していただいてもいいと思います(意味深な微笑み)。

―― たとえば、ですけど。オンラインで大会を開くとか、そういうのはいかがでしょう?

早矢仕氏:そうですね。まずは我々Team NINJAスタッフがオンラインに入らせていただいて、みなさんと対戦する機会を作りたいなと思っています。

―― 新堀さん(本作のディレクター)に百人組み手でもやってもらいましょうか。

早矢仕氏:(笑)。せっかくなので、ゲーマータグなりプレーヤーIDを公開させていただいて「ここに入ってきて!」というのを、どこかでできればいいなと思っています。オンラインに関しては、今回必要なものは全部入れさせていただきましたけど、もっともっと壮大な夢がありますから。そこは今後、もし可能ならアップデートも検討していきたいと思います。

―― オンライン対戦に関しては「DEAD OR ALIVE4」の時点で既に相当な完成度を提示しておられました。「DEAD OR ALIVE5」は、機能面なども含めると他の追随を許さないレベルまできていると思います。

早矢仕氏:いわゆる格闘ゲームに必要なものは「4」の時点で入っていたと思うんです。そこからオンラインのトレーディングができたりというのはありますけど、今後は機能を増やすと同時に、外にも広げていきたいなというアプローチがまずひとつあります。今回のFacebook対応は必要最低限になっちゃいましたけど、もうちょっと色々なもの……外とつなげて、ユーザーのみなさんが使いやすいコミュニティを実現したいなと思います。

―― ソーシャル的な方向性は、既存サービスと一緒にやっていくイメージになるのでしょうか? それとも独自路線?

早矢仕氏:他社さんは、どちらかというと独自のコミュニティを立ち上げていらっしゃいますけど、我々は今みなさんが使っているものを、より快適に使えるような“外に広げたコミュニティ”を考えていて。Facebookもそのひとつですから、そこから先、もうちょっと広げていきたいなと思います。あと、みなさんがわざわざ特殊なもの(アプリなど)を立ち上げなくてもいいようにしたいですね。

―― 以前あった“フィギュア”も、可愛いらしくて好きでした。

早矢仕氏:ひとつあったのは、格闘ゲームを遊んでいる最中のコミュニケーションって、テキストやボイスチャットがあれば基本的に事足りるじゃないですか。格闘ゲームを遊んでいないときに、何かコミュニケーションを取るツールが欲しいな、というのがまずあったんです。今回Facebookにさせていただいたのは、今この会場でもスマートフォンなどでご覧になったりするじゃないですか。そういう感じで、ゲームを遊んでいないときも“ちょっとできるようなもの”です。

―― こういうものを考えるとき、どうしてもオン……ゲームを遊んでいるときのことに意識が寄ってしまいがちですよね。

早矢仕氏:そうですね。でも実は、遊んでいるときってしっかり遊びたいじゃないですか。でもプレイしていないときは、ちょっとしゃべりたいとか。そういうのができればなぁって思っていますね。

―― そのあたりの具体的な施策は、まだ秘密ですか?

早矢仕氏:まだ発売前ですから(笑)。まずゲームディスクのなかに、色々な仕掛けが入っていますから。それを遊びこんでいただいて、そこから先は色々やっていきたいなと思います。まだ実際に手をつけているところ、いないところがあるので、我々も読みきれないところがありますから、でき次第お届けしたいなと思います。

―― 「DEAD OR ALIVE」は海外でも高い評価を受けていますから、そちらとのつながりや広がりも期待できますね。

早矢仕氏:そうですね。そういうのもどんどんやっていきたいな、と思っていて。海外の格闘ゲーム大会からも結構お誘いを受けていて、出展を決めている大会もかなりあります。

―― 「DEAD OR ALIVE5」から話がそれますが、Wii U用「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」は出展されていませんよね?

早矢仕氏:バイオレンス表現の都合上、出展できなくなってしまいました。ブースの構造、事前審査などもありましたので……。「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」に関しては別の見せ方といいますか。任天堂さんと要相談ですが、(ユーザーの方々に)触っていただきたいなと思っています。「DEAD OR ALIVE 5」でも経験させていただきましたが、ファンの皆様に触っていただくことで“一緒に作っていきたい”と思います。

―― 直近で体験会などを開催される予定はありますか?

早矢仕氏:今プランニング中で、TGSが終わったら考えようかな、という話をしています。

―― 先日「YAIBA NINJA GAIDEN Z」が発表されましたが、稲船さんと直接お話をされる機会は?

早矢仕氏:一緒に作ってますからね。常に一緒にいます。

―― 結構な頻度でお会いになっているんでしょうか? わりと気軽に電話したりする仲とか?

早矢仕氏:はい、そんな感じです。

―― 稲船さんは物事をストレートに表現されることが多い方ですから、正直ちょっと意外な感もありました。

早矢仕氏:あれは誤解が多いですよ。なんでしょうね……自分たちが今どういう立場にいるのかを認識しないと、ぼくら(日本のゲーム開発者)も変われない。今までと同じ作り方はダメだよ、それじゃ死んじゃうでしょ? っていうことじゃないでしょうか。そこだけ切り取られると、意味が変わってしまう。

―― それについては、我々メディア側の人間は本当に気をつけなければならないと思います。悪意ある人たちの手にかかると、どうしようもない面もあるのですが……。それはさておき、稲船さんと一緒にお仕事をされて、何か感じられたことはありますか?

早矢仕氏:ゲーム開発に関していうと“ゲームの柱”というか。こういうゲームにするんだ! というところに関しては確固としたものを持たれていますね。あとは、その柱にみんなで肉をつけていくというか。だから、スタッフみんながモチベーションを高く保ちつつゲームが作れるやり方だな、と思いました。

 Team NINJAも色々なラインが動いていますが、ちょうど同じような作り方がベストだと感じていたところです。「DEAD OR ALIVE 5」で“格闘エンターテインメント”といっていますが、これは私が開発スタッフに説明するときに使っているワードなんです。このゲームは“格闘エンターテインメント”にしよう。だから何が必要かっていうのは、全部私やディレクターが指示するのではなく、開発スタッフみんなで考えて形にしていく。

 そういう作り方を、最近どのプロジェクトでもするようになりました。同じような考え方、哲学で物が作れているなって思います。どのタイトルもしっかりと芯が通ったものになっていると思うので、これからどんどん大きく育ててみなさんにお届けしたいな、と思っています。

―― そろそろお時間がきてしまいました。最後に「DEAD OR ALIVE 5」の発売日を指折り数えて待っているファンの方々にメッセージをお願いします。

早矢仕氏:「DEAD OR ALIVE 5」、ここまでお待たせして本当に申し訳ありませんでした。非常にいいゲームに仕上がりましたので、ぜひ発売日に手にとっていただいて、みなさんオンラインで一緒に戦いましょう! もし「こんなふうにして欲しい」というご意見がありましたら、ぜひお寄せください。これからもみなさんと一緒に育てていきたいなと思います。

―― 本日はお忙しいところを、本当にありがとうございました。私も発売日を心から楽しみにしております。


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Akira, Sarah characters (C)SEGA.
Virtua Fighter is either a registered trademark or trademark of SEGA Corporation.

(2012年 9月 23日)

[Reported by 豊臣孝和]