ネクソン、「テイルズウィーバー」開発/運営チームインタビュー
レベルキャップ開放、高難易度ダンジョン実装。9月には自分だけのフィールドも!
株式会社ネクソンはWindows用MMORPG「テイルズウィーバー」において、7月25日にアップデートを実施する。このアップデートでは、レベルキャップがこれまでの255から、265に引き上げられ、さらに新地域「シオカンヘイム要塞」が実装されるなど、様々な要素が追加される。
アップデートの概要に関しては先日行なわれた「テイルズウィーバー オフライン感謝祭 2012」の記事を参照して欲しい。今回はこのオフラインイベントのために来日した開発スタッフと、日本運営スタッフに今後の「テイルズウィーバー」に関してのインタビューを行なった。
話を聞いたのは、本作の開発元である韓国NEXTORIC開発本部開発2室室長のシム・ギフン氏、同じくテイルズウィーバー開発チーム企画パートパート長のイ・スンボ氏と、開発2室グラフィックチームチーム長ク・チャンヘ氏。そしてネクソン運用本部ゲーム運用チームの嶋村昭彦氏。8周年を迎えた「テイルズウィーバー」にはどのような未来が広がっているのだろうか。
■ 謎の巨人族の脅威。様々なテーマによって作られた「シオカンヘイム要塞」要塞が待ち受ける
韓国NEXTORIC開発本部開発2室室長のシム・ギフン氏 |
テイルズウィーバー開発チーム企画パートパート長のイ・スンボ氏 |
開発2室グラフィックチームチーム長ク・チャンヘ氏 |
ネクソン運用本部ゲーム運用チームの嶋村昭彦氏 |
まず最初に質問したのは、オフラインイベントの感想だ。本作を開発するNEXTORIC開発本部開発2室室長のシム・ギフン氏は、「大変嬉しかった」と語った。シム氏が参加するのは2回目で、ユーザーの熱意に触れられた喜びを語った。韓国に比べ、日本のユーザーは女性が多いと感じたという。また、年齢層の幅にも驚かされた。ちなみに、今回衣装を作ったコンパニオンに関して、シム氏はティチエルがお気に入りだったとのこと。
「テイルズウィーバー」は今年で8周年を迎える。いまや、本作は韓国以上に人気の高いコンテンツとなった。シム氏は「8年というと長いですが、現場としてはアップデートに追われ、長いような短い時間でした。楽しんで頂いて、とても感謝しています」と語った。日本のユーザーを分析すると、本作のキャラクター性と、ストーリーが大きく受けたのではないかと考えている。
一方で、シム氏は、韓国のユーザーはよりハードコアな戦闘中心のゲームが好きなのではないかと思っているという。開発は今後も、日本のユーザーの好みを意識した企画を強化していこうという考えを持っており、今後の新キャラクターの選別や、プレーヤー専用の新フィールド「ルーンマスターシステム」なども、日本ユーザーの好みを活かしていきたいとのことだ。
オフラインイベントでは、7月25日のアップデートの内容として、レベルキャップ開放が大きな要素としてアピールされた。今回のアップデートで、レベルキャップが255から、265になる。このアップデートは前回のアップデート「サンスルリア」で、レベル250の武器が実装され、これまでレベル上げが難しかったレベル240以降のキャラクター向けの地域が実装されたことで、レベル255のキャラクターも増えてきた。そこで、オープンβテスト以来初となるレベルキャップの開放を実施することになった。
しかし一方で、現時点では、レベルキャップに到達できているユーザーは多くないようだ。このためかオフラインイベントでもレベル260向けの武器が発表されたが、ユーザーは喜びよりも、ちょっと困惑が感じられた。「レベル250の武器もまだ手に入らないのにもう260が!?」という声もあるという。開発側では今回の高レベル向け地域の実装で、どういった状況になるかを見てから、武器などを入手しやすくなるような調整も考えているという。
その高レベル地域である「シオカンヘイム要塞」は、これまでなかった“巨人”という存在が明らかになり、プレーヤー達はこの脅威に立ち向かうことになる。巨人達は原作小説には登場しない要素で、いわば“外伝”としてのストーリーが展開する。「テイルズウィーバー」開発チーム企画パート・パート長のイ・スンボ氏は、「巨人達は、実はこれまでこの地に封印されていたのです。なぜ封印されていたのか、そして目ざめたのか、展開するストーリーを楽しみにして下さい」と語った。
現在実装予定の地域は巨人の戦いに備える「前哨基地」と、「フォーレンスター島」。そしてそこで巨人達が戦争の準備を進めている「シオカンヘイム要塞」となる。現在島にはこの要塞だけが実装される予定で、今後島の他の部分が明らかになる、という方向性ではない。シオカンヘイム要塞は7月25日と9月以降のアップデートの2回にわけて実装される。シオカンヘイム要塞は7つの区画にわかれており、1回目の実装では、7つの区画のうち4つが実装され、2回目の実装では残り3区画とボス地域が実装され、さらに「ハード」という難易度が実装される。
要塞の難易度に関しては、ノーマルはソロプレイでも攻略可能なバランスで、ハードはパーティでの連携が必要となる。対象レベルは250以上という、これまでの最高難易度になる。要塞ではクエストによるものと、ドロップによる報酬が得られるが、ハード難易度はノーマル以上にいいものが手に入る。装備アイテム、素材、エンチャントアイテムも登場し、得られる経験値も大きな魅力だ。この報酬を求め、プレーヤー達は要塞へ挑戦していく。
最初に入る4つのコンセプトは、「庭園」、「監獄」、「厨房」、「実験室」だ。それぞれは特性を活かしたオブジェクト、敵、そして多彩なボスが出現する。庭園であれば植物系の敵。監獄には見るから凶悪な敵がいる。バックストーリーが本作の“売り”ということだが、ストーリー・設定に対応し広がるフィールドと敵は、大きな魅力となりそうだ。そして、そこに待ち受けるボスを撃破しながら、前に進んでいくのが最大の楽しみになるとイ氏は語った。
開発2室グラフィックチームチーム長ク・チャンヘ氏の、今回実装されるコンテンツで1番のお気に入りは、今回の巨人との戦いで先頭に立つ国王の妹「ジナパ姫」とのことだ。彼女の表情や、仕草は是非注目して欲しいという。
そして、島に行く前の前哨基地の作りの細かさ、北方地域をイメージし、キャラクターの風や建物、船などはヴァイキングの意匠も取り入れており、特にこだわって作った。ここも注目ポイントだとク氏は語った。「極寒」のイメージで、資料なども多く集めた。ローマ時代を扱ったアクション映画「センチュリオン」では、敵として勇猛な女戦士が登場する。彼女のイメージは、ジナパ姫を作るのに影響を受けたとのことだ。
要塞に向かう「前哨基地」。北方のイメージで作られているという | ||
「シオカンヘイム要塞」では7つのテーマに分かれたダンジョンが待ち受けている。巨大ボスも多数登場する |
■ 強力な3次スキル、自分だけの「ルーンマスターシステム」で、待望のキャラ間のアイテム受け渡しが可能に
3次スキルはゲージを溜めて使う。ゲージの使用量は技によって異なる |
飾り立てることができるルーンマスターシステム。他の人を招くことも |
開発者一押しの「ジナパ姫」 |
新地域と共に、今回の目玉になるのが「3次スキル」である。このスキルはゲージを溜めて発動させるのだが、ゲージはいくつかに区切られている。これはスキルによって必要量が違い、多くのゲージを使う技もある。
3次スキルに関しては、20種類以上用意される。まだ詳細が決まっていないものもあり、この時点で細かい仕様を明かせないものも多いが、「遠くのものを引き寄せる攻撃」、「一定時間ダメージの上限を無視して攻撃を行なう」といったスキルがある。入手方法に関しては、一定の条件を満たせば習得できるが、“隠し要素”を入れるか、検討中だという。
9月に実装される「ルーンマスターシステム」は、プレーヤーそれぞれに専用のフィールドが用意される。その中の特に「共有倉庫」はユーザーが待ち望んでいたものだ。逆に何故今まで実装できなかったかを質問してみたが、これまでは技術的に難しく、キャラクター選択を兼ねるこのシステムを作ることで実現できたという。こちらも実装準備のため仕様を詰めている最中だ。「他のユーザーのフィールドに行ける」、「植物などを育成できる」、「ユーザー間の取引の場」といったことを考えているという。
運営に関しては、オフラインイベントの時、BOTやアカウントハックに対して言及し、きちんと取り組んでいくことを語る姿勢が印象的だった。というのも、これまでのネクソンのイベントではあえて語らないことも多い部分だったからだ。ここに関してネクソン運用本部ゲーム運用チームの嶋村昭彦氏は、「『テイルズウィーバー』では、6月にサーバー統合を行ない、18のサーバーが7になり、監視しやすくなりました。だからこそこれからも定期的に監視するためにきちんと言及しました」と語った。
不正ユーザーは、除外しても即座に新しいアカウントでログインしてくるなど、ネクソンの運用チームでは、個人の不正ツールユーザーではなく、RMT業者によるものと見ている。今後もユーザーからの報告などにも協力いてもらいつつ、監視をより強めていきたいとのことだ。
今回、レベルキャップ開放に関しては、ユーザー間でようやくレベル250武器が実装された状況で、まだ少し早いのかも、というところもあると嶋村氏は語った。しかし、現在コアプレーヤーのキャラクターがレベル240~250くらいの状況で、今回さらに上が提示されたことで、ユーザーのレベル上げの刺激になるのではないかという。
ユーザーに対するイベントに関しても、サーバー統合によって、チーム(パーティ)向けや、より多くのユーザーに向けたものがやりやすくなった。GMが登場するイベントは1年に1回やっているが、今後も定期的にやっていきたいという。全体的にサーバー統合はユーザーの密度を増やし、活性化に繋がった。しかし一方で狩り場の占有などが問題になりつつあり、こちらに関してはクラブ(ギルド)ダンジョンに人気の狩場を追加することで、緩和をはかっていく予定だ。
嶋村氏は、「テイルズウィーバー」のプレーヤーは、キャラクターとストーリーを好み、かわいらしいキャラクターデザインも気に入っている。運営側としては、かわいらしくキャラクターを飾り立てる楽しさを今後も強めていきたいと考えている。かわいらしい新キャラクター・アナイス向けのアイテムも今後も追加していく予定だ。
昨今は、ソーシャルゲームの流行もあり、MMORPGはユーザーが減少してるところがある。改めて、「MMORPGの楽しさとは何か」が問われている。開発側は、ソーシャルの要素もルーンマスターシステムの様に取り込みつつ、MMORPGならではのコンテンツも模索しているという。シム氏は、「MMORPGは長い時間をかけて育て上げるキャラクターへの愛着が、他のゲームにはない要素だと思っています。
『テイルズウィーバー』の魅力は、やはりキャラクターです。原作から、ユーザーに好まれるキャラクターを今後も実装していきたいです。そして、2Dグラフィックスというのも私達の大きな武器です。他とは違うこの特徴を活かし、ユーザーにアピールしていきたいと思います」と語った。
ユーザーへのメッセージとしてシム氏は、「『テイルズウィーバー』をプレイし続けて頂きありがとうございます。古いゲームと言われないように、最新のシステム、コンテンツを積極的に入れていきます。これからもよろしくお願いします」。ク氏は、グラフィックスというのは、古く感じさせるところがあるかもしれませんが、新しいグラフィックスを作るため悩んでいますし、これからも一生懸命取り組んでいきます。これからもこの作品を愛してください」と語った。
イ氏は、「日本のユーザーからの期待はとても強く、時にはプレッシャーと感じることもあります。しかし、だからこそその期待に応えるため、新しい試みもどんどんやって、お見せしていきたいです」。嶋村氏は、「『サンスルリア』から約1年ぶりに高レベル地帯が実装されます。とても歯ごたえのあるものだと思いますので、レベルを上げて挑戦してみてください」と語った。
Specialという項目が追加されるスキルウインドウ。ここに3次スキルが追加されていく。ちなみに3次スキルの詳細やスクリーンショットは、現在も調整中のため、まだ公開できないとのこと | |
ルーンマスターシステムはキャラクター選択画面も兼ねる。念願のキャラ間のアイテムの受け渡しも可能に |
Copyright (C) 2002 NEXON Korea Corporation. All Rights Reserved.
(2012年 7月 18日)