セガ、PS Vita「初音ミク -Project DIVA- f」店頭体験会を開催
「Project DIVA」シリーズ最新2タイトルのスタッフミニインタビューもお届け!


6月23日 開催

会場:ヨドバシカメラマルチメディアAkiba  第2エントランス


会場には14台の試遊台と、集中してプレイできるようにそれぞれヘッドフォンも用意。今回が初めて登場する曲もあり、なかなか高評価を得るのは難しいようだった。自信のない方は、まず難易度EASYでのプレイをおすすめしたい

 6月23日、株式会社セガは8月30日に発売を予定している、PlayStation Vita用リズムアクション「初音ミク -Project DIVA- f」(以下、「Project DIVA f」)の店頭体験会を、東京・秋葉原にあるヨドバシカメラマルチメディアAkibaの第2エントランスにおいて開催した。

 本イベントは、「初音ミク -Project DIVA-」(以下、「Project DIVA」)シリーズ初のPS Vita用のタイトルとなる「Project DIVA f」を、発売に先駆けてひと足先に試遊できるというもの。関係スタッフからの話では、体験会の開始前となる8時ごろから、すでに100人を超えるファンが駆けつけていたとのこと。取材を行なった13時ごろでも、100人を超えるファンが自分の番が来るのを今か今かと待ち受けており、「Project DIVA」シリーズの人気の高さをあらためて感じることができた。

 今回の体験版では、「Weekender Girl」(アーティスト:kz/八王子P)、メランコリック」(アーティスト:Junky)、「ワールドエンド・ダンスホール」(アーティスト:wowaka)、そしてオープニングテーマ曲である「ODDS&ENDS」(アーティスト:ryo)の4曲のうちから1曲を難易度EASY、NORMALのどちらかでプレイ可能となっており、1回あたりのプレイ時間は5分程度。体験プレイ後には、オリジナルA4クリアファイルをもれなくもらうことができた。

 なお、同様の体験会は、まだまだ全国各地で開催される予定になっているので、今回のチャンスを逃してしまった方は、こちらの記事を参考に、近隣で開催される際には参加してみてはいかがだろうか。


こちらは体験プレイ後にもれなくもらえたオリジナルA4クリアファイル会場には、「Project DIVA f」のPVが楽しめるモニタやタペストリーなども用意されており、プレイ待ちの参加者たちの目を楽しませていた



■ 「Project DIVA f」「Project DIVA Arcade」
  開発プロデューサーへのミニインタビュー

「Project DIVA f」の開発プロデューサーである株式会社セガの林 誠司氏(写真右)と「初音ミク -Project DIVA- Arcade」の開発プロデューサーである大崎 誠氏(写真左)
両氏は体験プレイ後の来場者にクリアファイルを渡したり、声をかけてきたファンたちと会話するなどして交流を楽しんでいた

 会場には「Project DIVA f」の開発プロデューサーである株式会社セガの林 誠司氏と、この日に稼働開始から2周年を迎えた「初音ミク Project DIVA Arcade」(以下、「Project DIVA Arcade」)の開発プロデューサーである大崎 誠氏も訪れていた。両氏には、報道陣向けに囲み取材を行なう機会があり、さまざまなお話を伺うことができたので、続けて紹介していこう。

――現在も100人以上の方がプレイ待ちをするという盛況ですが、この状況を見ての率直な感想をお願いします

林誠司氏(以下、林氏): 本当にたくさん集まってくれて、嬉しいなぁというところなんです。やっぱり開発も佳境にさしかかっていますが、スタッフにとっても、実際にお客さまにプレイしてもらってその反応が伝わってくると、非常に励みになりますので、こういう機会は本当にありがたいと思いますし、梅雨の合間の晴天にわざわざ来ていただいて本当にありがたいと思っています。


――これまで「Project DIVA」シリーズをPSPで3作品リリースしていて、今回初めてPS Vita用ということで、PS Vitaだからこそ表現できた新しいシステム等が追加されていると思いますが、その中でもここに注目してもらいたいという部分はどこですか?

林氏: 今までPSPで作ってきましたが、今回PS Vitaという新しい高性能なハードウェアになったことで、グラフィックスの部分は1番力を入れて作っています。今までできなかったというか、ハードウェア的にやっぱり制限があったところを、いろいろなキャラクターを光らせるとかの光の表現であったり、スモークを焚いたりだとかのエフェクトだったりと、いろいろな技術が使えるようになり、今まで以上の劇的な表現ができるようになったので、そこはやはり注目していただきたいですね。

――新しい操作も加わっていますよね?

林氏: そうですね。ゲームのところでいうとリズムゲームとしての基本というのは、今までのシリーズで培ってきたモノというのは残しながら、新しいハードということでスクラッチという操作を加えさせていただきました。これは、画面を星形のアイコンに合わせてタイミングよくこすることで、コンボをつなげていくことができるもので、今までのゲームですとボタンを歌に合わせて押していくというような遊び方だったのですが、前奏・間奏みたいな楽器が中心になってくるところで、割りと多めに使わせてもらっていて、スクラッチすることで、楽器を演奏しているような雰囲気といいますか、音に合わせて指を動かすという雰囲気を楽しんでもらおうということで、新しい要素として入れています。


――最初のころ「NEXT HASUNE MIKU Project DIVA(仮)」というタイトルだったのが、「Project DIVA f」という正式タイトルになりました。音楽記号のフォルテかな? とか未来=futureの「f」かな?とかいろいろ考えているのですが、この「f」にはどのような意味や思いなどが込められているのでしょうか?

林氏: 最初、仮称でNEXTと言わせていただいたのですが、正式タイトルを決めるときにいろいろな議論がありまして、いろいろなアイデアがありましたが、まず、長くしたくないなと。パチっと新しいシリーズであることを示すような短い言葉にしようといろいろ議論していって、言葉を出していったんですね。

 そうするとですね、「f」から始まる言葉って結構いろいろ、今おっしゃられたフォルテであったりだとかfutureだとか、あとはフォルテもそうなんですけれど音楽記号としてfホールという、バイオリンとかの表面に、共鳴させるような空いている穴などもあり、そういったデザイン的なところも含めて、総合的に「f」に決めました。


――エディットモードやDIVAルームなどには新たな機能は追加されるのでしょうか?

林氏: そうですね。まだちょっとタイミング等があると思うのですけれども、今回もエディットですとかDIVAルームという、今までやれていたことというのは、基本的にやれるようにしようとしています。PS Vitaというところで言いますと、タッチ操作のところが入ってきて、インターフェイスとして使いやすくなっているところがあると思います。あとは、これからいろいろと発表させていただきますのでご期待ください。


――制作期間はどれくらいでしょうか?

林氏: 正確な期間というのはちょっとあれなんですけれども、PS Vitaが発表されて、こういう新しいハードが出るからやろうか、というところから始まっていますから、構想期間というところから含めますと、結構長めですね。その期間に「Project DIVA extend」を作っていたりするので、間に空いていたりもするんですけれども。大体何年ぐらいかな……よく覚えていない(笑)。

――開発自体は「Project DIVA extend」よりも前から始まっていたのですか?

林氏: 開発の“着手”という点では「Project DIVA extend」よりも少し前になります。ハードの基礎研究的な期間とかもありましたので、それと並行して「Project DIVA extend」を作りながらという感じですね。


――ネックストラップやピンバッジなどを身につけていらっしゃいますが、グッズ展開はあるのでしょうか?

林氏: いろいろ「Project DIVA f」がらみといいますか、「Project DIVA」シリーズというくくりであったり、「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」というくくりで……、業務用などもありますしね。いわゆる景品的なものもありますので、いろいろな多面的な展開があると思います。


――曲やモジュールのボリューム感という面ではどれくらいになりますか?

林氏: 楽曲は今までのシリーズに比べても遜色のないくらい……具体的に言うと30曲以上リズムゲームとしては遊べます。モジュールは80体くらい作っていまして、基本型のミクたちの姿を含めてなんですけれども、それを含めて今回1からモデリングから見直しをかけて新しく作っていますので、そういう意味では新規作成といえると思います。


――将来的にPS3でも発売されると思うのですが、トランスファリング的なデータ連動の要素はあったりするのでしょうか?

林氏: ある程度のことは必要なんだろうなと思っているのですが、まだちょっとPS Vita版に全力投球中なので、完全燃焼してからいろいろ準備します。


――今までの「Project DIVA」シリーズでは前作とのデータ連動的なものがありましたが、今回の「Project DIVA f」でも期待してよろしいでしょうか?

林氏: そうですね……。ハードが新しくなるというところもあるので、そういったところも含めてできることは何かな? ということを今考えています。


――それでは最後に、8月30日の発売に向けて、こういった今日もいろいろとお集まりいただいている方々も含めて、期待しているユーザーの方へのメッセージをお願いします

林氏: 開発のほうは、一生懸命最後のムチを入れているところなんですけれども、ユーザーの皆さんの応援のおかげで、いろいろと作らせてもらう機会をもらえていると思っているので、そういった意味でも今後ともよろしくお願いします。僕らとしても全身全霊を持って、いい商品・面白いゲームをお届けするようにがんばりますので、これからもよろしくお願いします。

――ありがとうございました




――「Project DIVA Arcade」では、7月5日から新しいバージョンであるversion B(以下、ver.B)が稼働予定だと思うのですが、どういった要素が追加されていますか?

「初音ミク -Project DIVA- Arcade version B」の筐体

大崎 誠氏(以下、大崎氏): 大きいのが2つあって、まずライバルモードがあります。友達と競うというか「俺もうちょっとでパーフェクト手前まで来た!」、「あ、じゃあちょっとがんばるか」とか、ある程度同じレベルの人を探してくれて、そういう人たちと目標を見つけてがんばれる、というモードなんですね。今までは自分でクリアを増やしていく、パーフェクトを目指していく、とかの“がんばる”だったのを、人ともできるというのを入れてみたかった。

 あとはミクさんっぽいゲームということでは、今まで何のためについているの? と言われていた“PV視聴モード”というのがありますね。ゲームセンターのゲームなのに(笑)。100円入れて見る、という若干紳士的なプレイがあったんですが(笑)、今回スクリーンショットを撮れるようになっています。横とか縦とかで8枚撮って、そのうち1枚を選んで送ると、携帯やスマートフォンからダウンロードできて、壁紙にしたりできるという。

 PSPとかPS3ならできるんですけれども、ご存じの通りアーケードにしか入っていない曲とかモジュールもあるので、そういう需要が意外とあって……。この2つが2大追加要素で、ゲームプレイのほうはもちろんなんですが、ミクさんを愛でるというか愛するモードというのを、やっぱり「Project DIVA」だし、ないとだめだろうということで追加しました。

 あとは細かいところでいうと、評価システムを「Project DIVA extend」と同じにしました。GREATを出した後の次が、すごい辛かったので……CLEARとGREATとPERFECTしかなかったのを、EXCELLENTを入れてみたり。あとはランダム楽曲やランダムモジュール選択の機能が欲しいというご要望にお応えしたり。

 あとは稼動開始から2年経って、筐体がちょっとずいぶんボロボロになってきたので、夏ということもあって白い筐体にイメージチェンジしたりしています。あと内部的にはいろいろと仕込まれていてその準備とか……。ちょっと駆け足になりましたが、そういったバージョンアップが7月5日に行なわれます。


――今、ロケテストをされてますよね?

大崎氏: そうですね。今、クラブセガ秋葉原新館で、筐体だけはまだ青いままなのですが、ロケテストをやっています。

――平日でも結構ユーザーさんがついているようですね?

大崎氏: 評価システムが変わっていますので、今のうちにがんばっておくと得するかもみたいなのがあるかもしれないけれど……。あとは写真を撮りたい人ですかね。やはり秋葉原は紳士の方が多いのかな?(笑) 紳士の方が多いみたいなので……。

 引き続きアーケードのほうは、秋ぐらいから雰囲気が変わった感じになるのかな……?と勝手に考えています。広報担当にも言ってないんですけどね(笑)。

――7月5日のver.Bを皮切りにいろいろと変わってくるのですか?

大崎氏: そうですね。いろいろと要望をいただいていて、ランダムとかも最初から入っておくべきだったと思いますが、ユーザーの皆さんの声が多かったので、「じゃあ、やろうか」と。

 やっぱりPVを見てモジュールを合わせるというのが、間違いなく「Project DIVA」シリーズの楽しみの1つだと思うので、それを楽しめる方向に持っていくというのは正しいしニーズも大きかったんだなって思っています。

 やっぱりユーザーさんの意見は大事だと思うので、公式ホームページなり公式twitterにリプライしていただければ、目を通していますので、どうぞよろしくお願いします。


――本日、ちょうど稼働開始から2周年だと思うのですが、2周年を迎えての率直な気持ちをお願いします。

大崎氏: いやぁ……、もうそんなに経っちゃったのか。最初、「アーケード? 大丈夫?」ってさんざん荒れたんですよ、皆さん知っていると思うんですけれど。「またセガは斜め上に行きやがった」って(笑)。

 ロケテストのときに「大丈夫かな?」って、見に行ったら朝すごく人が並んでくれた時に「ああ、よかった。首の皮1枚つながった」って思ってそこから支持してくれた人たちに対して、アーケードなりの楽しみを提供していかなきゃ、ということで、DIVA.NETとか、ゲームプレイのほうもロケテストを通じて「こういうほうがいい」というのがあって……。最初のロケテストからリリースされたときにずいぶん変わっているんですね。やっぱりあれは、ユーザーのアンケートとかも結構とってやったので、やっぱりここまで来られたのはユーザーの皆さんの意見を頂戴して……。

 あとは、さんざんいろいろな事につきあっていただいた絵師の人や、楽曲Pの人とか、動画師の人とか、PVエディターの人とか……。その方たちがいなかったらできなかったので。最初のタイトルが「CGMアーケードゲーム」ということで、「言っているだけじゃないの?」みたいな感じだったけれども、意外とちゃんとCGMしていたなって思いますね。

 なので、アーケードのほうは相変わらず楽曲募集とかやっていきたいと思っていますし、林さんから話あったかどうかわからないですけれど、エディットモードもかなりスゴイですよ、今回。「うわぁ……、何かえらい変わったな、スゴイな」って。

 そういうのを作って、モノを作ってもらうというは、ミクさんの文化だと思うので、アーケードのほうはそういう感じでサポートしていきたいなと思っています。本当、ファンの皆さんのおかげでここまで来られたので。普通、アーケードゲームだと稼動開始から2年経ったら下がりますよ、やっぱり、アーケードだと出た瞬間が1番のピークなので。ここまである程度並んでやってくれるというのは、非常にありがたいお話で本当に感謝しています。


――現在「Project DIVA extend」の楽曲が追加されていますが、ゆくゆくは「Project DIVA f」の楽曲も追加されますか?

大崎氏: 「Project DIVA f」の曲というか、ここ1、2年で人気の曲ってあるじゃないですか。それはアーケードのいいところとして、当然取り込んでいきたいと思っています。ただ、いくつかは(システム的に)「Project DIVA Arcade」よりも優れているんですよ、「Project DIVA f」のほうが。だから1回システムのほうが追従しなくてはいけないので、そこをがんばらないとなと思っています。リアルタイムで光源が変わるとか、あと表情も実は全然違っていて、「Project DIVA f」のほうが実は結構細かいことをやっているので。

 「Project DIVA f」のほうが「表情がいい」と言われているじゃないですか。そういったところを追従して再現できるようになってからじゃないと、移植というかポーティングできないなというので、今がんばっている最中……なんですが開発のメインどころも「Project DIVA f」をやっていて、そのあとPS3もあるし、「Project DIVA ドリーミーシアター extend」もあるし。……お腹痛くなってきた(笑)。

 それと、ミクさんの曲はすごく広いですけれど、入ってないジャンルの曲もあると思うんですよ。そこをアーケードのほうでは狙っていきたいなと。「Project DIVA Arcade」は楽曲更新を月に1回ぐらい更新している中で、お洒落な曲とかもいろいろ入れていて、ver.BのアドバタイズにLemmさんというクリアな曲を書く人を起用したわけです。僕はああいう曲も好きで、やっぱりそういうのも入れていきたいなという意志でもあるので、「Project DIVA f」の曲はもちろん取り込んでいきますけれども、ほかの曲もご期待いただければと思います。

――ありがとうございました


【スクリーンショット】

(C)SEGA / (C)Crypton Future Media, Inc. www.crypton.net
記載の商品名および社名は各社の登録商標です。
『初音ミク』は歌うソフトウェアです。

(2012年 6月 24日)

[Reported by 菅原哲二]