Game Developers Conference 2011レポート

【GDC 2012】GDC初となる“Flash Forward”を開催
基調講演の代わりに実施されたセッション先取りイベント


3月5日~9日開催(現地時間)

会場:San Francisco Moscone Center


 


メインステージの左右に2つの講演台を設置し、交互にライトをオンオフさせることで、視聴者は待ち時間なしに連続してプレゼンを聞くことができた
中央の円形のプロジェクターに、セッションのタイトルと日時が記載される。スピーチやスライドで興味を引けば、予定リストに書き加えるわけだ
個人的にツボだったのが、つぶした空き缶の呑口を吹いて、F1の空気を切り作音を再現したDamian Kastbauer。彼の主題であるレースゲームのサウンドスタディによく合っている
タイトル別の最多勝は、なんといっても「Uncharted 3: Drake's Deception」。前半2日目のセッション/チュートリアルはMicrosoft優勢といった感じだが、後半3日間はSCEA優勢といった印象だ

 GDC3日目の3月7日の朝9時から、GDC初の試みとなるイベント「Flash Forward」が、通常は基調講演会場として使われるGDC Ballroomにおいて開催された。毎年この時間帯は、GDCの楽しみのひとつである基調講演が開催されているが、初報でもお伝えしたとおり、今年は基調講演はなくなったため、その代わりとして企画されたイベントのようだ。特に何らかの発表が行なわれたわけではないが、初回と言うことでイベントの模様を簡単にお伝えしておきたい。

 “Flash Forward”は、映画などで場面が未来に飛ぶことを意味する。米ABC系テレビドラマ「LOST」では、ストーリーテリングの手法としてこのFlash Forwardが積極的に活用され、視聴者に対して、Flash Forwardで大胆なネタバレをしながら、現状と未来の間にあるミッシングリンクをあれこれ想像させるというテレビドラマにおける新しい楽しみ方を提供した。その後、そのものズバリのテレビドラマ「フラッシュフォワード」と続いていくが、ともあれここ数年で市民権を獲得した用語である。

 GDCのFlash Forwardはというと、3日間で優に300以上のセッションが予定されるGDCの後期日程をダイジェストで一気に先取りするという野心的なイベント。事前に明かされた告知分には「セッションスピーカー自らが60秒でセッションのオーバービューを語る」とあり、おそらく会場では編集した動画を見るのだろうと思っていたら、実際に登壇するスピーカー達が、2つある講演台に入れ替わり立ち替わり入って、思い思いの紹介をして去って行くという実にアナログなアプローチで展開していって驚いた。

 しかも、時間は当初の発表よりさらに制限され、1人あたりわずか45秒。これを過ぎるとけたたましいブザーが鳴り、上部のライトが赤く点灯して強制退出が促されるという次第で、スピーカーが真面目に語れば語るほど、ブザーが鳴ると、まるで尻餅をついたようなおかしみのある風景が現出されることになる。GDCとしては珍しい非常にユーモラスなイベントである。さすがに時間が限りがあるためすべてのセッションではなく、事前に選ばれた1コマあたり2~3セッションが日付、時間割順に並べられて次々に進められていった。

 ステージの中央には円形のプロジェクターがあり、スピーチ中はそこにセッションタイトル、セッション日時、会社名、名前などが表示され、左右2枚の特大プロジェクターには任意でスライドや映像を流されていた。45秒の使い方はスピーカーによってそれぞれで、10秒ほどで言いたいことだけいってさっと立ち去る人もいれば、スライドなしで喋りだけ、あるいはトレーラーのみ、受け狙いで嬌声を上げる、2人の掛け合いにする、即興の芸をするなど学芸会のようなノリで、さすがにゲームクリエイターはエンターテイナーが多いと感心した次第である。

 また、45秒刻みで実に様々なスライドを目にすることができたが、それらの実に個性的なことに驚かされた。また、我々が取り上げる事のできるセッションは、GDC全体のごく一部に過ぎないことも改めて実感させてくれた。

 ゲームタイトルとしては、Naughty Dogの「Uncharted 3: Drake's Deception」がもっとも目に付いたタイトルで、次点としてVolitionの「Saints Row: The Third」、EA DICEの「Battlefield 3」あたり。ほかにも「inFAMOUS 2」(Sucker Punch Productions)、「RESISTANCE3」(Insomniac Games)などFPS/TPS系が優勢で、日本からはSCEJの「Gravity Rush(邦題「Gravity Daze」)」が出展していた。視覚的に理解できるのもこのFlash Forwardの良いところだろう。

 個人的には非常に楽しめたFlash Forwardだが、9時スタートという時間の早さもあるのか、会場の入りは5割ほどといった感じで、1,000席を超える基調講演用のBallroomとしては寂しい限りだった。来年はFlash Fowardの存在と内容が認知されてもっと来場者が増えると思われるが、まずは何はともあれ基調講演の復活が急務だろう。その上で基調講演の前座としてFlash Forwardを行なうのがGDCとして理想的な風景ではないかと思う。


【GDC Flash Forward】
実に個性的なスライド達。ユニークなスライドを作ることもクリエイターには求められている時代なのだなと実感した

(2012年 3月 9日)

[Reported by 中村聖司]