SCE、「メルセデス・ベンツ×グランツーリスモ5」決勝大会を開催
国内初の“メルセデス・ベンツ SLS AMG 最速プレーヤー”が決定!


会場:東京・六本木メルセデス・ベンツ コネクション



 10月15日、六本木のメルセデス・ベンツ コネクションにて、PS3「グランツーリスモ5」とメルセデスベンツがコラボレーションしたドライビングイベントの決勝戦が開催された。

 このイベントは、F1世界選手権で13勝を挙げたデイビッド・クルサード氏が実際に運転するSLS AMGと、「GT5」で同じ車種、コース、レギュレーションでタイムトライアルし競い合うというもの。トライアル結果の国内上位7名のプレーヤーが決勝戦に駒を進め、プロデューサーの山内一典氏も見守る中、熱い決勝戦を戦った。


【六本木メルセデス・ベンツ コネクション】




■ 国内最速のプレーヤーという頂点をかけ、7名のプレーヤーが熱くバトル!

「グランツーリスモ」プロデューサーの山内一典氏が解説を務めた。自身もレーシングドライバーである山内氏だけに、現実のコース事情も交えつつのリアルな解説となっていた
配信イベントの予選を勝ち上がった7名のプレーヤーが国内最速のプレーヤーをかけて熱く戦った
初戦は、「スパフランコルシャン・サーキット」でのタイムトライアル。自分の走りを見つつブレーキングポイントを変えて、15分という限られた時間の中でタイムをぐいぐいと縮めていた
タイムトライアルの結果はこのようになった。初めて走るコースながら、ぐいぐいとタイムを縮め、脅威的なタイムをたたき出した。さすがは決勝進出者といったところ

 メルセデス・ベンツが展開する、カフェ、レストラン、ショールームが一体となった「メルセデス・ベンツ コネクション」にて開催された決勝戦。店内に特設されたステージには、モニター、「ドライビングフォースGT」、レーシングシートの組み合わせが3セット設置され、外から店内を眺めた道行く人も足を止めるような独特の雰囲気を作り上げていた。

 解説にはプロデューサーの山内氏が参加。山内氏は興奮と期待を胸に秘めたような面持ちで、“GT史上はじめて国内の最速プレーヤーを決めるイベント”と冒頭に語った。意外に思えるところがあるが、日本国内だとこうした大会形式のイベントは長いシリーズの中でも初めての試みというわけだ。

 決勝戦に進んだのは配信イベントのタイムトライアル上位7名のプレーヤー。この7人が、方式の異なる2戦を戦った。まずは最初は1人15分間のタイムトライアルでラップタイム上位3名がファイナルへと進めるというもので、走るコースはなんと10月18日よりDLCで配信される新コース「スパフランコルシャン・サーキット」だ。

 F1等で有名なコースとは言え、GT5で走るのは全員が初めて。15分の中だとだいたい4~5周を走れることになるが、その中でブレーキングポイントを見極めラインを固め、タイムを追い込んでいくことになる。車はもちろんSLS AMGだ。山内氏はコースについて、「攻めきれた感の味わえる気持ちいいコース。オー・ルージュとバスストップ・シケインの2カ所がポイント。」という。

 3人、2人、2人という順に予選タイムの7位からタイムトライアルを行なっていったのだが(もちろん、待っているプレーヤーは画面の見えない別の場所で待機するという徹底ぶり)、プレーヤーごとに個性があるタイムの追い込み方に、見ている側もプレーヤーの気持ちが伝わってくる走行となっていた。

 なによりまずライン取りが固まっていくその速さに、目を見張るものがあった。最初の1周はさすがにコースを覚えつつ理想的なラインを想像しつつという、いわゆる手探り状態の走り。だが、2周目になると、コーナーの追い込み方がまとまっていき走りがぐっとシャープになる。さすがは決勝進出者というところで、見る側にもその真剣さと集中度合いが伝わってくるのだ。

 また、人によって個性がでるのも見所だった。抑えた走りから徐々にブレーキングポイントやアクセルワークを慎重に詰めていく人もいれば、早い段階で大胆にコーナーを攻め、コースアウトしつつも次で修正していくという攻めの姿勢をみせる人もいた。

 山内氏はこのタイムトライアルの様子を、「ラリードライビングに近いものがある。」と表現。初めて走るコースであり、大きくミスをすればその周が除外タイムになってしまう恐れもあるなか、それでも攻める勇気が試される15分というわけだ。

 7名の中でも特徴的だったのは「みなみ選手」の走り。7名の中でも最も強く攻めの姿勢を見せ、前半に除外タイムを出しつつも、時間的に最後の周というところで-3秒ペースのタイムを見せる。だが、あと少しで1周というところで最後に大きくコースアウトしてしまった。これにより最終周も除外タイムとなってしまったのだが、会場からは無念の声と終了後には拍手が湧いていた。見る側にもその勇気が伝わってくるものがあったわけで、その攻めが実らなかったことが自分のことのように残念に思えたというわけだ。

 7人が走行を終え、結果はトップがヤム選手、2位がエルダー選手、3位がtorafugu(とらふぐ)選手となった。最後の組でトライアルに挑んだヤム選手が2分28秒023というタイムを出した時には会場も山内氏も驚きで、走り終えた後には大きな拍手が起こった。

 タイムトライアルが終わり山内氏は、「正直なところ15分のセッションを3回って、見る側も飽きちゃうんじゃないかなって思っていたのですが……、本気のドライビングは人を感動させるんですよね。」と興奮を伝えていた。


タイムトライアルは、コースアウトで除外タイムにならないよう慎重に進めるなかで、勇気を出してギリギリの攻めもしていかなければいけないという過酷なトライアルに。ヤム選手が2分28秒023というタイムを出した時には山内氏も思わず拍手

ヤム選手、エルダー選手、torafugu(とらふぐ)選手によるファイナル直前の様子。緊張が見て取れる

 休憩をはさみ、いよいよ3名によるファイナル。ファイナルステージでは、「デイトナ」、「ラグナセカ」、そして「スパフランコルシャン・サーキット」を3人で走行。トップに3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイントが加算されるという方式で、合計ポイントが最も高い人が優勝というわけだ。レース開始前には、ヤム選手、エルダー選手、torafugu(とらふぐ)選手それぞれが「同時に走るので、クリーンな走りで勝負を決したい。」とコメントしていた。

 まずはデイトナ。このコースはオーバルコースであり、ミスがでにくい。スリップストリームがオーバーテイクの鍵になるコースだ。またミスは致命傷になるコースでもある。

 このコースではヤム選手がうまく2人をかわして独走状態に。1周47秒前半をキープし続け、安定したままトップでゴールした。一方、エルダー選手とtorafugu(とらふぐ)選手はデッドヒートを展開。最終ラップのゴール直前で順位が入れ替わるという劇的ぶりで、会場からも声があがっていた。


【ファイナル1st デイトナ】
デイトナではヤム選手が安定した走りで独走するなか、2位争いは最後の最後で順位が入れ替わるという大接戦に

 次に「ラグナセカ」。リバースグリッド方式により、前コースでトップだったヤム選手が最後尾からの順となる。立ち上がりは3人がほぼ団子状態。ただ、ヤム選手は最後尾スタートということもあり、後ろにぴったりとつけて我慢するという姿勢を見せていた。

 その背後に忍び寄るプレッシャーが効いたのか、名物のS字シケイン「コークスクリュー」でエルダー選手がコースアウト。これをヤム選手がかわし、torafugu(とらふぐ)選手も抜いてまたしても首位に。これで焦りも出てしまったのか、torafugu(とらふぐ)選手も終盤に1度コースアウトしてしまう。結果はヤム選手がトップ、2位エルダー選手、3位torafugu(とらふぐ)選手となった。


【ファイナル2nd ラグナセカ】
ラグナセカではヤム選手が後ろにつけるなか、エルダー選手がコークスクリューで痛恨のコースアウト。これをヤム選手がかわしてそのまま1位に。なお、大会終了後にヤム選手に感想を伺ったのだが、ファイナルに進出した3人の実力はほとんど横並びと語っていた。勝敗を分けたのはミスで、ヤム選手は堅実な走りを常に心がけたのが運良く結果に繋がったということだ。ひとつのミスが運命をわけた

 最後は「スパフランコルシャン・サーキット」。3人ともが先ほど初めて走ったコースだけに、このレースは最も混戦に。3台のSLS AMGが常に団子状態で走り、オーバーテイクしたかと思えば次のコーナーでしかえすといったように、めまぐるしく順位が入れ替わっていた。

 そうした中でも3人はコーナーのライン取りには1台ぶんの車線を空けるようにし、オーバーテイクを試みた時に接触してしまったら、そのコーナーではオーバーテイクしないなど、レース前にコメントしたとおりクリーンなレースを見せていた。ファイナルラップはまさに接戦。3台が並ぶような状態でゴールし、トップはtorafugu(とらふぐ)選手、2位エルダー選手、3位はヤム選手となった。


【ファイナル スパフランコルシャン・サーキット】
3代が団子状態で駆け抜け、オーバーテイクの連続。大いに盛り上がった「スパフランコルシャン・サーキット」。そうした中でも、進路をしっかりと空けつつのコーナーリングや、接触を考慮しての走りを見せるなど、クリーンな戦いを見せた

優勝したヤム選手に満面の笑顔で表彰する山内氏。自身も相当に彼らの戦いを楽しんだようだ

 3レースを終え、合計獲得ポイントはヤム選手がトップの7ポイント、torafugu(とらふぐ)選手は6ポイント、エルダー選手は5ポイントという結果に。国内最速のプレーヤーはヤム選手に決定!

 表彰式では、優勝したヤム選手に鈴鹿サーキットにおいて開催されるAMGのドライビングイベント「AMG Driving Fascination」に参加する権利が授与された。実際に鈴鹿サーキットを走れるという、車好きにとって夢のような体験が味わえる権利だ。

 このほか副賞として、SLS AMGに試乗できる権利を2位のtorafugu(とらふぐ)選手に、また全員に、今回大会の決勝に進出したプレーヤーがオンラインで使用しているドライバーキャラクターを再現しレースの記念撮影的なシーンを作って額装したというオリジナルの品が贈呈された。

 大会を終え山内氏は、「日本で初めてのオフィシャル大会でしたが、その走りに感動しました。トップオブトップの走りを目の当たりにできたのは、1人の車好きとして幸せでした。」と総評。イベントを締めくくった。


【表彰式】
優勝したヤム選手には、鈴鹿サーキットを実際に走れるという、夢のような権利だ贈られた。また全員には、オンラインで使用しているドライバーキャラクターを再現しレースの記念撮影シーンを額装した品が贈られた




■ 山内氏にインタビュー! 現実にはありえない規模で争われるグランツーリスモの世界。次は世界大会!?

 大会終了後に、プロデューサーの山内氏に今回の感想などインタビューをさせて頂いた。

―― 国内初のリアルイベントでしたが感想はいかがですか?

山内氏: 優勝したヤム君は初代の「グランツーリスモ」の頃から速かったんですが、その頃って小学生とかだったんですよね。それが順当に「グランツーリスモ」シリーズでキャリアを重ねているわけで。これはもう第1線のレーシングドライバーですよ。それが今なお成長を続けているというのが、嬉しくもあり恐ろしくもありですね。

―― 今日1番印象に残ったのはどういうところでしょうか?

山内氏: みんな上手でそれぞれの攻め方で挑んでいたんですが、結果は残酷なまでに運命が分かれていったでしょう。でもそれこそがモーターレーシングですよね。「グランツーリスモ」でそれを味わえたのが1番印象に残ってますね。

―― 大会自体は2時間ほどというものでしたが、非常に濃い時間でしたね

山内氏: 実際のレースって見ていても意外と得られる情報が少ないんですが、こうやってやってみるとドライバーが何をしているのかも全部分かるし、画面もばんばん切り替えられますから。そこに見えるテクニックっていうのは真に迫ってますよね。それは車の運転を知っている人ほど感じ取れるでしょうし。感動しましたね。

―― 先日「GT5 spec2.0」のアップデートが行なわれましたが、そちらの反応等はいかがですか

山内氏: 「GT5」を発売してからちょうど1年後に「spec2.0」をリリースできました。その間には3.11の震災があったり、それによってスタジオが壊れちゃったりとか、そういう時期があったにも関わらず「spec2.0」をこの秋に出せたのは僕らとしても達成感がありました。リリースした直後には、ありがたい事にものすごい量の反響が世界中のプレーヤーから押し寄せてきて。やる気が出ますね。

―― 「GT5 spec2.0」がリリースされ今日の大会もあったわけですが、もっと大きな、世界を舞台にした大会というのも見てみたいところです

山内氏: 今回、なかなか実現できなかった日本でのリアル大会というのを、言ってみればかなり乱暴に実現させたというのがあったんです。メルセデス・ベンツさんの協力も得てなんとか(笑)。スタッフの手作りですね。でもやってみれば、「ほら、こんなに面白いでしょう? 」というのを見せることができたんじゃないかなと思います。実際にやれば当たり前のことが理解できる形になる。そこには感動が生まれるんです。だから、今後もぜひ続けていきたいですね。

―― 今回は日本の大会となりましたが、世界のプレーヤーと日本のプレーヤーの実力というのは、山内さんから見てどうなのでしょう?

山内氏: 日本のプレーヤーは非常にレベルが高いですよ。今回の「メルセデス・ベンツ ドライビングイベント」というのは全世界で開催した配信イベントで、全体で20万人ぐらいがエントリーしてくれたんです。そこの各国のトップを並べてみると、日本のプレーヤーもコンマ1秒単位のところに入ってますので、相当にレベルが高いのは間違いないです。

 なにしろ、20万人というエントリー数がすごいよね(笑)。リアルではありえない規模。なので、「グランツーリスモ」で選ばれし者っていうのは、半端じゃないです。そういう規模の中からふるいにかけられた結果の頂点ですから。現実ならね、どれだけレーシングドライバーが存在するのかっていう話なわけで。みんながフラットに競っていてとてつもない数がいるという意味で、「グランツーリスモ」を勝ち抜いてきた人のレベルの高さというのは、ものすごいものがありますね。

―― ゲームならではの領域ということですね。今後の展開も楽しみにしております。今日はありがとうございました。


【PDIスタジオツアー】
こちらはメルセデスベンツ・コネクションでの大会の前に、決勝進出者と招待者をポリフィニー・デジタル東京スタジオにご招待してスタジオツアーした時の模様。貴重なスタジオ見学といい、大満足の大会となったようだ

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(2011年 10月 17日)

[Reported by 山村智美]