東京ゲームショウ 2011レポート

スクエニ、「CoD モダン・ウォーフェア3」プレミアムパーティを開催
日本語字幕監修に小説家の福井晴敏氏、吹き替え版の声優陣も発表


9月15日~18日 開催(15日、16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 株式会社スクウェア・エニックスは東京ベイ幕張にて9月17日プレイステーション 3/Xbox 360/PC用FPS「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3(以下、「MW3」)」のプレミアムパーティを開催した。

 このプレミアムパーティでは開発者によるゲームのデモプレイそしてプレゼンテーション、さらに最新トレーラーの上映、豪華ゲストと開発者によるSpec OPSデモプレイが行なわれた。会場には抽選で選ばれたスクウェア・エニックス メンバーズの会員の150名が訪れ、発売に先駆け最新情報に触れた。

 プレミアムパーティでの前半部分のキャンペーン、サバイバルモードの内容については、開発者インタビューにてより掘り下げる形で詳しく話を伺っているので期待して待っていてほしい。



■ ド派手なキャンペーンに、白熱のサバイバルモード。吹き替え版声優も発表

開発元Sledgehammer Games のGeneral ManagerでありCo-founderを務めるGlen A.Schofield氏
デモプレイを担当した米Activisionで本作のディレクターを務めるJames Lodato氏
横転した車から脱出。極限状態からキャンペーンはスタートする

 パーティでは最初にSledgehammer Games のGeneral ManagerでありCo-founderを務めるGlen A.Schofield氏が登壇し、「本作はSledgehammer Games とInfinity Wardが2年をかけて作りました。本作はアフリカ、ヨーロッパ、ヒマラヤなど世界を舞台とした深いストーリーが展開し、協力プレイができるスペックオプス、そしてマルチプレーヤーを搭載する超大作です。今夜はもっとも進化しエキサイティングなゲームプレイをお見せします」と語った。

 キャンペーンモードは米Activisionで本作のディレクターを務めるJames Lodato氏によるデモプレイが行われた。内容はゲーム序盤のもので、プレーヤーはデルタフォースの仲間と共に、戦場と化したニューヨークを進み中央証券取引所を占拠するロシア兵を排除、妨害電波を出している塔を破壊する。

 塔を破壊した後はヘリに乗り、ビルの間を高速で飛び回りながら敵のヘリと空中戦を展開する。ド派手な場面が連続しググッと画面に引き込まれる。突っ込んでこちらを突き飛ばす敵兵や、証券取引所での銃撃戦で紙の束が撃たれると紙が飛び散るところ、上空高く投げあげ空中で爆発させると爆薬が飛び散り広範囲を攻撃するデルタフォースのグレネードなど細かいところをチェックするのも楽しかった。

 次に発表されたのが吹き替え版の声優だ。大塚芳忠さん、石塚運昇さんといったベテラン声優をはじめとしてたくさんの声優が参加する。現在彼らの役名は未公開だが、今回司会を務めるDJの森一丁さんも参加するという。今回はマルチプレーヤーの無線アナウンスも声優が吹き替えているという。

 プレミアムパーティでは特別ゲストとして本作にも登場する岡林史泰さん、大川透さんが登壇した。岡林さんは「MW2」から声優として本シリーズに参加し、実際にプレイしてすっかりはまってしまったという。大川さんはまだ台詞を収録中で、「12時方向に敵!」といった台詞を入れているとのこと。

 声優発表の後、「MW3」での新モードである「サバイバルモード」のデモプレイが行なわれた。2人が協力して敵の波状攻撃をしのぐモードで、敵を倒して得られるポイントで装備をアップグレードしていく。予定では岡林さんが参加する予定だったが、力不足のため、スクウェア・エニックス宣伝部の井上和則氏が参加しディレクターのJames Lodato氏と力を合わせて敵に立ち向かった。井上氏はお互いを巧みにカバーして敵を倒していった。

 マップはパリだったが、2人のプレイを見ている岡林さんは「一回パリに行ったんですが、まさにこんな感じでした」とステージの造りの細かさに感心していた。井上氏とLodato氏はヘリを倒すためスコープ付きのアサルトライフルを用意したり、榴弾を発射する砲台を設置してみたり、様々な武器を用意し敵に対処していた。重装甲の兵士ジャガーノートが現われたとき井上氏はRPGで撃破し、会場から拍手を浴びた。


ニューヨークの街が戦場に。後半はヘリに乗ってのバトルとなる
特別ゲストとして登場した声優の岡林史泰さん、大川透さん。右はスクウェア・エニックス宣伝部の井上和則氏
吹き替え参加声優一覧。役名はまだ公開できないという



■ マルチプレイでは3つの“ストライクパッケージ”が。小説家の感性を活かした日本語字幕とは

本作の字幕監修を担当する小説家の福井晴敏氏
「Remember, no Russian」は気を付けて訳しましたと福井氏が発言すると会場から笑い声が

 続いてSchofield氏はマルチプレイの情報を公開した。マルチプレイでは3種類の“ストライクパッケージ”が用意している。「Call of Duty」シリーズはこちらが倒されることなく敵を連続で倒すことでさまざまな支援を得られる「キルストリーク」というルールがある。“アサルトパッケージ”では従来のキルストリークとおなじルールが適用される。

 2つ目の“サポートストライクパッケージ”は初心者向けでタレットを設置したり、敵の一を知らせる偵察機を飛ばすなどキルストリークは支援要素が強くなるが、敵のキル数が自分が倒されても減らないため発動するのが容易だ。3つ目の“スペシャリストパッケージ”は上級者向けでキル数に応じて様々な能力を得られるが、一度死ぬとリセットされてしまう。

 また、今作では1つの武器を集中して使うことでレベルが上がり、追加のアタッチメントを付けていくことができる。マップは16用意されており、PC専用の対戦マップも用意されるという。本作はマルチプレイの概念を再構築を目標にしているという。

 さらに本作の字幕監修に「亡国のイージス」や「機動戦士ガンダムUC」を手掛ける小説家の福井晴敏氏が担当することが発表された。福井氏へのオファーは「コール オブ デューティ ブラックオプス」の翻訳の時から考えていたのだが連絡がうまくゆかず本作でようやく実現したという。福井氏はPCエンジンの後はゲームから遠ざかっていたが、シリーズの映像を見て「このクオリティならお話としての字幕を付けられるのではないか」と仕事を受けたという。

 福井氏を悩ませたのは「絵がないこと」。何が起きてるか映像がなく、英語のテキストが渡されただけのため「Get down!」と言う台詞が「隠れろ」なのか「伏せろ」なのかわからない。「MW2」では、「Remember, no Russian」という台詞は「覚えておけ、ロシア語は使うな」と訳すべきところを「殺せ、ロシア人だ」と状況に全く合わない翻訳になってしまいユーザーの間で話題になった。「『Remember, no Russian』と言う台詞は今作でも出てくるが、ちゃんと直したので安心して欲しい」と福井氏は語った。「やっぱり、ドラマやお話の筋を追っていけば大体台詞の流れは読めるが、お話作りに関わっていないと難しい。それでおれが呼ばれたんだと思いました」と福井氏は語った。

 もう1つ心がけたのが字幕の量だ。1秒で人間がみれる文字は5文字と言われているが、前作まではそれをオーバーし、しかも文法的に英語のままのものがあった。ゲームをやっていて目で追えないため読みにくい。そこで意訳とまでは言わないが、要約して端的に語る方式にした。これを福井氏は「戸田奈津子方式」と名付けた。福井氏自身、戸田氏を通訳に外国の方と対談したとき、福井氏が20秒語った言葉を戸田氏は5秒で訳し、それでいながらきちんと対談が成立し驚いたという。福井氏は今回の翻訳で常に戸田氏のことを考え簡明な表現を心がけたとのことだ。

 この他にも「RPG!」という台詞があり、軍事関係に詳しい人ならすぐわかるが、多くの人が遊ぶ本作の場合はわかりにくいのではないかと「ロケット砲だ」という台詞にしている。しかし「クリア!」、「ゴーゴーゴー」と言う台詞は「何々良し!」、「前進!」などにすると急に日本軍ぽくなり、悲壮な感じもしてしまうので英語そのままにした。井上氏はテキストを読み直して「さすが小説家だな」と感心したという。

 井上氏は最後に「僕らスクウェア・エニックスはActivision、Sledgehammer Games 、Infinity Wardと最高のものを日本に届けたいと思いますので、応援よろしくお願いします」と会場に語りかけた。

 今回のプレミアムパーティでは「MW3」の各モードや作品の魅力に加え、スクウェア・エニックスがどれだけローカライズに力を入れているかが明らかになった。特に字幕に小説家の福井晴敏氏の起用は注目されるところだ。どのような化学変化が起こるか楽しみだ。


アマゾンでの予約特典や、早期購入特典の存在も発表された。詳細は公式ページで

(C) 2011 Activision Publishing, Inc. Activision, Call of Duty and Modern Warfare are registered trademarks of Activision Publishing, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners. All rights reserved.

(2011年 9月 18日)

[Reported by 勝田哲也]