Taipei Game Show 2011レポート

ゲーム業界就職説明会「Taiwan Game Job Fair 2011」レポート
台湾大手を含む17社が参加。ゲーム業界に就職を希望する3,000人が集結!


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


 Taipei Game Show2日目に、台北世界貿易中心2階の会議室で台湾の人材バンク1111人力銀行が主催する「Taiwan Game Job Fair 2011」が開催された。ゲーム業界に就職を希望している人材と企業をマッチングさせる合同就職説明会が実施されたのは今回が初めてだ。

 ブースを出展した企業は全部で17社。朝10時のオープン直後からゲーム業界への就職を希望する多くのリクルーターが集まり、持参した履歴書を手に人事担当者と面接していた。イベントは午後3時まで行なわれ、約3,000人が訪れた。本稿では、この求職フェア開催の経緯や会場の様子を紹介する。



■ 9割のサラリーマンが週8時間もゲームをプレイ。成長を続ける台湾ゲーム産業

「Taiwan Game Job Fair 2011」のメインイメージには、各メーカーのキャラクターが勢ぞろい

 2008年の世界経済危機で台湾経済も大きな打撃を受けた。しかし、厳しい経済情勢にも関わらず台湾ゲーム業界は順調な伸びを示している。2006年に87.8億元だった市場規模は、2010年には122.56億元に達した。さらに2011年は155億を超えると予想されている。

 1111人力銀行がサラリーマンを対象に集計したアンケートによると、回答したサラリーマンの実に9割が週に8時間程度をゲームプレイに消費しているという。オンラインゲームだけではなくスタンドアローンのPCゲームや家庭用、ソーシャル、モバイルアプリなど台湾、日本、韓国、中国、西洋の多種多様なゲームが販売されている。ゲームユーザーの約3割が基本無料のゲームを課金をせずに遊んでおり、残り7割は月平均で1,317元をゲーム関連の商品に消費している。

 同じアンケートで、サラリーマンの7割はゲーム業界へ関心を持っており、今後さらに発展する業界だと考えていることもわかった。リクルーターが希望する給与の平均は約37,000台湾ドル(約111,000円)。これは台湾の一般的な希望給与よりも高めの金額だ。Taipei Game Showには専門学校のブースがあり、ゲーム開発を学んでいる学校の紹介などはあったが、直接リクルーターと企業を結び付ける枠組みはなかった。そこで今回初めての試みとして、就職説明会が開催されることになった。


【会場外の様子】
会場はゲームショウの2階。会場直後から多くの人でにぎわった受付でもらったエントリーシートに情報を書き込むゲームショウの会場でも、看板を持ったスタッフが宣伝をしていた




■ 今回用意された求人枠は約300人。中には「武術指導」という職種も

台湾、中国、韓国では武狭ものの人気があるため、武術指導という職種が存在するのが面白い

 10時の開場と同時に、多くの若者が会場を訪れブースに行列を作った。年齢は21歳から35歳程度で、大多数が大学生やゲーム開発を勉強している学生だった。出展企業には、SoftWorld、Chinese Gamer、XPEC、KEYSTONE、InterServ、IGS、FunTown、Welldone Company、Pole Starなど台湾の大手企業が多く参加していた。ゲームショウにブースを出していない企業の姿もあった。

 職種はプログラマー、デザイナー、プロデューサー、コンポーザー、ミキサー、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなど開発に直接かかわる部署だけではなく、翻訳や広報、海外営業、オンラインゲームの運営など非常に広範に渡る。中には、SoftWorldが求める求人の中には「武術指導」といったいかにも台湾らしい職種もあった。また、Facebookのソーシャルゲームが流行している影響で、Flashの制作者を募集している企業が目に付いた。求めている人材のレベルはかなり高く、1~2年以上の経験者を求めている会社が多かった。

 ゲームショウでもたくさんのノベルティが客寄せに用意されているが、この就職説明会でも机の上にノベルティや自社のゲームが置かれ、面接をした後、お土産としてもらえる。すべてを回って会場を出る頃には、持ち切れないほどのゲームを手にしている人もいたのがいかにも台湾らしい。

 参加者は会場入り口で書いたエントリーシート、持参した履歴書などを手にブースの列に並び、順番に面接官と話をしていた。プランナーやデザイナーは作品提出が必要で、束になった企画書や、自分で作った3Dの作品などを持参して面接官に説明していた。日本で行なわれる同様のイベントと違い、ジーンズやTシャツのラフな服装で参加している人が多かった。

 今回は約300名ほどの求人があったが、会社ごとに見れば1つの業種に多くても数人と狭き門だ。企業の求める高い要求をクリアして、ゲーム開発の現場に立つためのハードルは、台湾も日本に負けず劣らず高そうだ。


【会場内の様子】
履歴書を渡して面接を行なう。どこも混み合っていたが、特に大手のSoft Worldや、技術力の高さに定評があるXPECなどが人気だった

(2011年 2月 21日)

[Reported by 石井聡]