ゲームオン、「ALLODS ONLINE」先行体験レポート
重厚なファンタジーに、宇宙船のSF要素をプラス。独特の世界観のロシア産MMORPG


9月3日 収録


 株式会社ゲームオンは、ファンタジーMMORPG「ALLODS ONLINE(アロッズ オンライン)」のクローズドβテストを2010年10月より開始する予定だ。現在はこちらの記事で29日18時までクローズドβテスターを募集している。

 本作は、ロシアのMAIL.RUが開発した作品だ。欧米開発のゲームならではの重厚なファンタジー観の中に、「ロシア」を感じさせる本作の世界は独得の魅力がある。さらに宇宙のような空間「アストラル」を進む船「アストラルシップ」は、濃いSF要素を感じさせる。

 ゲーム性は「エバークエスト」から受け継がれる、各職業が協力して敵と戦っていくパーティープレイ重視のスタイルだ。硬派なMMORPGプレーヤーに強い魅力を感じさせる作品となっている。今回はゲームオン社内で本作を体験できたので、レポートしていきたい。



■ 厳ついオークや、メカゾンビ、3人1組の毛むくじゃら種族……独得のプレーヤーキャラクターで楽しめる「ALLODS ONLINE」

マスコット的かわいらしさのギバーリング。3人で1つのキャラクターだ。外見はそれぞれで設定できる
死から復活した際に肉体を機械によっておぎなったというアリソン。スタイルは良いが、不気味だ

 「ALLODS ONLINE」の世界では、人々は「リーグ」と「エンパイア」の2つの勢力に分かれて戦っている。種族エルフやオークの他、ぬいぐるみのようなギバーリング、1度死んで復活した際に、その腐敗した肉体を機械によっておぎなったという、ロボットのような、ゾンビのようなアリソンといった種族もいる。

 プレーヤーキャラクターは、まず勢力を選んでから種族を選ぶのだが、勢力によって選べる種族が違い、リーグはエルフやギバーリングが所属しており、エンパイアはオークやアリソンといった種族が選べる。また、「パラディン」や「ヒーラー」、「サモナー」といった職業も、種族によっては制限される。プレーヤーキャラクターとして、種族、職業、外見などはこだわって選んでいきたい。

 種族や職業の描写でも「ALLODS ONLINE」ならではの独得の雰囲気が楽しい。エルフは整った顔立ちをしているが目が光っていて、ちょっと怖い。オークは特に男性は肩幅が広く巨人のようだ。アリソンはスレンダーな体つきだが無表情な顔と、機械でできた関節が不気味だ。ギバーリングは最もユニークで、このキャラクターだけ常に3人で行動している。3人それぞれの性別や外見を設定可能で、人気を集めそうな種族だ。

 職業では、シャーマンが面白い。モンスターを使役する職業だが、オークのサモナーが連れ歩くのは、ヨーロッパの民話に出てくる巨大なキノコを持った「意地悪な小人妖精」のような外見をしている。グラフィックスや世界観は欧米作品独得の“違和感”と“重厚さ”がある。さらに「ロシア産」ということで、妙にけばけばしかったり、何となく洗練されていない部分を見つけると「ロシアっぽいなあ」と感じてしまう。世界全体のセンスは本作の大きな魅力だ。

 「ALLODS ONLINE」の基本的なプレイは、フィールドで敵が待ちかまえており、プレーヤーは街などでNPCからクエストを受けてフィールドの敵と戦い、クエストをこなしていく。韓国や台湾のMMORPGはソロを強めていく傾向があるが、本作はパーティープレイを重視しているという。パーティーは6人で組め、4パーティーによるレイドパーティーシステムも搭載している。フィールドにはレイドボスが存在し、ボスを倒すクエストもある。積極的に声をかけ、パーティーを組んで冒険する、というプレイが楽しめるということだ。

 今回は、チュートリアルと、レイドボス戦、そしてインスタントダンジョンのミッションを体験できた。レイドボス戦はレベル10対象のボスを、レベル20のキャラクター数人で倒すという形で体験した。パラディンが盾役を務め、ヒーラーがパラディンを支え、メイジが強力な魔法を使う。エフェクトはかなり派手で見応えがある。特にメイジの魔法、「ファイアーウォール」は揺らめく炎の表現が美しかった。


エルフ、オーク、人間。他のファンタジーRPGとはひと味違うアレンジだ
職業によっても大きく外見は変化する。また種族によってなれる職業が変わってくる
ギバーリングでプレイ。飛び跳ねる姿もかわいらしい。右はマップ画面。リーグ側のスタート付近のマップだ
レイドボスの巨大蜘蛛と戦う。魔法の表現が美しく、派手だ



■ 最初からいきなり宇宙戦争!? ファンタジーとSFの混じり合うユニークな世界観とシナリオ

最初の部屋を出たらいきなり宇宙戦争のまっただ中に! エンパイア側のチュートリアルはいきなりSF色全開だ
レベルアップの瞬間。派手すぎな感じは、ロシア的センスを感じる
悪役の飾り立ても、ちょっと野暮ったさも感じるロシア風の装飾だ

 チュートリアルは、リーグとエンパイアで全く別なものになるという。今回体験できたのは、エンパイア側だ。プレイを始めると、いきなり工場のような場所、しかも炎の剣を持った敵がいきなり襲いかかってくる! プレーヤーには保護の魔法がかかっており、強そうな敵をたやすく撃退できるが、味方に大きな被害が出てしまう。

 仲間と共に部屋の外を出てみると、目の前にいきなり宇宙空間が広がる。ここは、アストラルという宇宙のような空間を渡る飛空艇「アストラルシップ」の中だったのだ。船の横腹には砲台が取り付けられており、敵船に光弾を撃つこともできた。この場面は「スターウォーズ」の様で乗組員の制服もSF寄りだ。対するプレーヤーキャラクターはファンタジーそのままのローブで、「違和感」が面白い。

 アストラルシップの操舵室はスターウォーズの船「ミレニアム・ファルコン」のようで、ここでクエストを受けると「リアクター(原子炉・反応炉)」の奪還が命じられる。行ってみると、魔法使いがバリアーを張り、中では怪物が船のリアクターを攻撃している。ここでは敵のバリアーを中和してから、リアクターを攻撃することとなる。

 敵は撃退したが、さらなる危険が船を襲う。外に出たプレーヤーの前に現われるのはアストラルに潜む怪物「アストラルデーモン」だ。プレーヤーは船に取り付けられているポータルから敵船に飛び乗る。間一髪、乗っていた船はアストラルデーモンによって壊されてしまう。次ぎにデーモンが目標を定めたのがプレーヤーの乗るリーグの船。リーグのキャプテンとアストラルデーモンが激しく戦う中、プレーヤーは漁夫の利を狙って介入する……。

 この後、プレーヤーはエンパイアの首都に戻り、クエストをこなしつつ成長していく。いきなりSF色の強いチュートリアルで驚かされた。このアストラルシップは、プレーヤーレベルを上げていくと、そのうち個人で購入し所有できるようになるという。仲間と一緒に乗り込み、島と島を渡り冒険したり、ギルドハウスとして使ったり、という感じになるのではないかという。

 プレーヤー達はある程度のレベルになると、よりよい装備やさらなる冒険を求めて、このアストラルシップで広大な空間「アストラル」へ出発していくという。操船は1人でも可能だが、敵勢力と出会って戦ったり、アストラルデーモンと出くわしたりするため、実際には数人の協力が必要になるのではないだろうか。「ALLODS ONLINE」の上級者向けの遊び方となるだろう。

 最後に体験できたのが、バンパイアのいる「ダークブラック砦」のインスタンスダンジョンだ。入るといきなり、怪しいエルフの踊り子の立体映像が出迎える。悪趣味な貴族の館、という演出だと思うが、SFチックで面白い。

 ダークブラック砦は床や壁にも装飾が施された、暗いながらも高級さを感じさせる、いかにもバンパイアが住みそうな場所だ。光の玉に包まれるエレベーターなどもあり、「ALLODS ONLINE」独得の世界観が随所に感じられる。主を守るシールドも、首だけの立体映像が制御装置になっていたり、面白い。

 城の敵を倒し城の主のバンパイアと対面する。ふんだんについた飾りが、ロシアの貴族っぽい雰囲気だ。パラディンが盾となり、筆者はメイジとして強力な魔法を次々と撃ち込む。途中、ヒーラーが敵の目を引き付けてしまったりとピンチになったが、何とか倒すことができた。今回はかなりレベル差のある形での挑戦だったが、適性レベルならかなり歯ごたえのある戦いだと感じた。

 アストラルシップやパーティープレイでは、ボイスチャットができるとかなり便利そうだ。ロシアではオリジナルのボイスチャットシステムを使っているそうで、日本ではどうしていくのか、今後の発表を待ちたいところだ。

 「ALLODS ONLINE」はパーティーでの役割がはっきりした、「エバークエスト」タイプの本格的なパーティープレイが楽しめるところに好感を持った。また、欧米的な異質さを感じる世界観、ファンタジー要素、そして大胆に取り入れられたSF要素にも魅力を感じた。この重厚でユニークなゲームが、日本のゲームファンにどう響いていくか、注目したい。


スタートした瞬間、リーグ側との全面対決の戦場に。部屋から出るといきなり宇宙船が見えるという、世界観に圧倒されてしまう
アストラルシップの操縦席は、いかにも宇宙船のブリッジという感じだ。リアクターは魔法使いが結界を張り、召喚獣で攻撃している。ファンタジーとSFの融合が楽しい
登場するアストラルデーモン。成長し、彼等と正面から戦う日は来るのだろうか? 他のMMORPGと全く違った魅力を見せつけるチュートリアルである
こちらはインスタンスダンジョンによるミッション。バンパイアと対決すべく奥へと進んでいく
バンパイアを倒すためには結界を解除しなくてはいけない。解除装置が巨大な頭の立体映像、というのも面白い

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