「エヌ・シー・ジャパンが行く! 2009年ユーザー感謝祭」 「リネージュ II」編
「セカンドスローン フレヤ」やサーバー間戦争など2010年のアップデートを発表


12月26日 開催

会場:THE GRAND HALL

参加費:無料


会場に設けられたロビーには人だかりができていた

 エヌ・シー・ジャパン株式会社は12月26日と27日の2日間、同社が運営するWindows用MMORPG「リネージュ II」のオフラインイベント「エヌ・シー・ジャパンが行く! 2009年ユーザー感謝祭」を東京・品川のTHE GRAND HALLにて開催した。参加費は無料。

 「エヌ・シー・ジャパンが行く! 2009年ユーザー感謝祭」は、同社が運営するMMORPG3タイトル、「リネージュ」、「リネージュ II」、「The Tower of AION」の各タイトルごとに開かれるオフラインイベント。12月26日には「リネージュ」の部と「リネージュ II」の部が開催され、翌日27日には「The Tower of AION」の部が開かれた。

 本稿では、「リネージュ II」の部で実施されたイベント内容についてお伝えする。イベントは2部構成で、第1部では、同社スタッフが今年のゲーム内容振り返りつつ、来年のアップデート内容を発表するトークイベントが開かれた。続く第2部では、攻城戦を利用した来場者参加型の大規模なゲーム大会が実施された。

 イベント当日は、開場20分程前に会場内に設けられたロビー内に約260名の来場者が集まっていた。来場者はその後も増え続け、約400名を収容できるイベント会場は満員となっていた。




■ サブクラス分離サービスとブライダルサービスを正式実装

プロデューサーの長瀬健裕氏
開発コーディネーターのシン・ミンス氏

 イベントの初めに「リネージュ II」のプロデューサーの長瀬健裕氏が登壇し、「2009年は『セカンドスローン アルティメット 天空の覇者』や『セカンドスローン Plus 祝福されし力」といったアップデートを実施し、お客様の要望を実現できるように歩んできました。まだ達成できていないこともあるので、2010年はお客様のためにさらに頑張りたいと思います」と挨拶した。

 続いて開発コーディネーターのシン・ミンス氏が加わり、トークイベントが開始された。シン氏はまず、2009年に実装できなかったものとして、メインクラスとサブクラスの入れ替えサービスを挙げ、「開発チームでは、世界観に合わせてキャラクターのグラフィックスを開発していたので、世界観が変わってしまうサブクラスとメインクラスの入れ替えサービスは導入したくありませんでした。そこで新たに開発したのが、サブクラスの分離サービスです」と語り、内容を説明した。

 サブクラスの分離サービスは、メインクラスとサブクラスが入れ替わるものではなく、例えばエルフからオークが、またはオークからドワーフが産まれるようなサービスだという。それ以外の内容は明かされなかったので詳細は不明だが、韓国版で実装されているメインクラスとサブクラスの入れ替えサービスとは異なり、「リネージュ II」の世界観を保てるように考慮されたという日本オリジナルのサービスになるそうだ。実装は2010年内を予定。

 逆に2009年に実現できたブライダルサービスについて長瀬氏は、「12月12日に実施したブライダルサービスは、約200名の応募がありました。ただ公式サイトにキャラクター名が掲載されることについて嫌がるお客様もいたのかもしれません。そこで今後はお友達を呼びやすいように、小さな結婚式を数多く開催できるようにします」とブライダルサービスの今後の方針を述べた。

 それに続けてシン氏は、「今までブライダルサービスはスタッフの手作業でやっていましたが、正式にシステムとして組み込むことが決定しました。そこで今後は結婚式の衣装や、花束、ファンファーレを開発していきたいと思います。結婚式場も作れたらいいなと思っています」と述べた。


日本オリジナルとして導入される「サブクラス分離サービス」今後は小さな結婚式を数多く開催していくという「ブライダルサービス」



■ アップデート「セカンドスローン フレヤ」によりレイドボス戦がインスタンス化

「セカンドスローン フレヤ」のタイトルロゴ

 続いて2010年に実施予定のアップデート「セカンドスローン フレヤ」が発表された。「セカンドスローン フレヤ」は、今後実装予定のアップデート「サードスローン」の構想が大きすぎて現状のシステムでは実装が難しいことから、「サードスローン」の基盤を構築する目的も兼ねたアップデートとなっている。

 「セカンドスローン フレヤ」のアップデート内容は大きく分けて「狩り場」、「アイテム」、「クラスバランス」、「UI・システム」の4種類。1つ目の「狩り場」に関しては、既存の狩り場であるアイスクイーンに、アップデートのタイトルにもなっているボス級のモンスター「フレヤ」が登場するという。またグレシア大陸に関しては、新ダンジョン「消滅の種」が追加されるほか、グレシア領地における報償の向上を目的とした調整も実施される。

 その他、既存の狩り場に関しては全体的な仕様の変更や調整を加えるとして、レイドボス戦のインスタンス化が発表された。これにより多くのユーザーがレイドボスと戦えるようにしていきたいのだという。また既存の狩り場をイベント化し、狩りの最中に発生するイベントにより、変化に富んだ狩りを楽しんでもらえるようにするという。ほかにも、ボス戦には細かい不具合などを修正するためのシステム改善も実施される。


狩り場「アイスクイーン」にボス級のモンスター「フレヤ」が登場するグレシア大陸には新たなダンジョン「消滅の種」が追加2009年から継続的に行なわれている狩り場の仕様変更も実施


 2つ目の「アイテム」については、新たな武器と防具をそれぞれ3種類ずつ追加するとしており、その装備のグラフィックスが公開された。詳細は明らかにされなかったが、「リネージュ II」の開発チームは、強い武器ほど凝ったグラフィックスにしているそうで、シン氏は「お客様には画像を見てどのようなアイテムなのか想像してもらいたいと思います」と語った。


新たな武器と防具がそれぞれ3種類ずつ追加される。今回はグラフィックスのみ公開された


 3つ目の「クラスバランス」では、特別な召還獣のみ経験値が5%減少するようになり、召還獣のペナルティがほぼなくなることが発表された。また防具の属性が1種類しかないことで、戦いやすいモンスターがいる狩り場に固定されてしまうことについては、防具の属性を複数付与可能にして、様々な狩り場で戦えるようにするとしている。その他、タンカーの役割の向上目的とした仕様の変更、PVPのバランス調整を目的としてエヴァスセイントを中心にクラス別にCP(Combat Will Point)が調節される。

 そして4つ目の「UI、システム」については、キャラクター間の交流として、ペアダンスやハイタッチ、握手など、双方向で可能なソーシャルアクションが追加される。アクションの流れとしては、まず相手のキャラクターに双方向のソーシャルアクションを申請し、その後相手が受諾すると2人が一緒にペアダンスやハイタッチなどを行なうそうだ。

 またシステムに関する利便性の向上として、パーティー時にアイテムをルートした際、誤ってルートするのを予防するシステムが追加されるほか、現在26種類の進行クエストをさらに増やしていくことが発表された。その他、重要なメッセージを大きく表示したり、クエスト進行時に表示されるエクスキュラメーションマークの変更も実施されるという。


クラスバランスの調整では、ユーザーの負担が軽くなる改善が実施される2009年よりもさらなる利便性の向上を目指すという



■ サーバー間戦争など今後の企画を発表

2010年のアップデートビジョンとして打ち出された「Dimension WAR」

 続いて「セカンドスローン フレヤ」以外に計画している2010年に実装予定のアップデート内容が発表された。今後は「Dimension WAR」というテーマのもと、サーバー間戦争を企画しているという。例えば、あるサーバーのユーザーが別のサーバーに宣戦布告をすると、数日が経過した後に、宣戦布告したサーバーに侵入して戦争可能になるという。他にも、攻城戦は「破壊と守護」をテーマに、城を破壊できたり、ゴーレムに乗れるようにもなるという。

 またサーバー間戦争をさらに拡張し、サーバー間のプレーヤーがリーグ戦やトーナメントで競いあう「ワールド オリンピアード」の企画も進行中だという。


サーバー間戦争を実装して、各サーバーで攻城戦やオリンピアードを可能にするという


 新たな狩り場に関しては、追加や調整される狩り場が合計で20カ所以上ということが発表され、狩り場のラフ画像が公開された。また10カ所以上の場所でボスモンスターとの戦闘が可能になることも発表された。


新たに追加される狩り場の一部がラフ画像で公開された


 またクラスに関しては、「Awakening(覚醒)」をテーマとして、クラスごとの特性を出すため、構想中の新スキルが発表された。今のところ各クラスに20種類以上のスキルと、5種類以上のスペシャルスキルを企画しているという。

 会場では一部のスキルとして、敵を捕らえる「キャプチャー」、タンカーがさらに味方を守りやすくなる「スペシャルタンキング」、異なった種類の武器が装備できる「デュアルウェポン」、魔法を2発連続で唱えられる「ダブルキャスト」、召還獣を2体召還できる「多重召還」、パーティーでのバッファーの役目をより重要にする「ブラッドラスト バフ」、分身して攻撃できる「分身攻撃」、強力な矢を放つ「ズームショット」が紹介された。


「キャプチャー」「スペシャルタンキング」
「デュアルウェポン」「ダブルキャスト」「多重召還」
「ブラッドラスト バフ」「分身攻撃」「ズームショット」


 続いて長瀬氏は今後の開発方針に関して、「新たな要素を導入し、様々なお客様に末永く『リネージュ II』を楽しんでもらいたいと思っています。しかし、別のゲームにしたいのではなく、『リネージュ II』らしさを心がけたアップデートを目指しています」と述べた。

 またシン氏は今後の「リネージュ II」にかける意気込みとして、「過去に『リネージュ II』を楽しんでいた方にも再度楽しんでもらいたいですし、全く遊んだことのない方でも楽しめる作品を目指していきたいと思います」と熱意を語った。




■ 攻城戦アトラクション「ウザンカ様 今年最後のご乱心」

 イベントの第2部では、来場者参加型の攻城戦アトラクション「ウザンカ様 今年最後のご乱心」が開催された。これは、オークの「ウザンカ様」と、アデンの5人のキャラクターで結成されたアデン戦隊「アデンジャー」の合計6キャラクターが悪の黒幕に操られ、アデン城を占拠しているという設定のもと、来場者で構成された3つのチームそれぞれがアデン城の奪還を目指すというもの。


会場にはステージを囲むように合計48台のPCが用意されていたアトラクションのタイトルにもなっているオークの「ウザンカ様」
「ドワレッド」「ヒューマブルー」「カマホワイト」
「パープルエルフ」「オーグリーン」アトラクション開始前には攻城戦のためのオープニングムービーが流された


 アトラクションには会場で登録した48名が参加し、「アデン軍」、「グレシア軍」、「エルモア軍」の3チームにそれぞれ16名ずつ分かれて行なわれた。

 アトラクションのルールは、60分の制限時間が終了した時点でアデン城の城主になっていたチームが勝利となる。最初は3チームが共闘状態でアデン城を占拠する敵を倒し、その後刻印が完了した時点で共闘状態が解除され、3チームによる三つ巴戦が開始される。

 来場者が操作するキャラクターはイベント用に用意されているもので、レベル39で「ブリガンダイン」などを装備している。クラスの選択は自由だが、高レベルのキャラクターではないので習得可能なスキルが限られており、参加者はどのクラスを選ぼうか悩んでいたようだ。

 アトラクションが開始すると、3チームが一斉に城門を目指して進軍していった。しかし、道中には「アデンジャー」の5人が待ち構えており、攻撃をしかけてきた。序盤の敵なのであっさり倒せるのかと思っていたが、まだバフがかかっていないプレーヤーはバタバタと倒れていっていた。しかし一旦戦力を整えたプレーヤー達の敵ではないようで、「アデンジャー」は5分もかからずに倒されていた。

 続いて城門を破壊すると、中庭にモンスター「バーラー」が待ち構えていた。しかし戦闘を始めたのは10名程で、多くのプレーヤーは「バーラー」を無視して刻印部屋へと突入していた。小規模の戦闘になったものの、こちらも5分程度で討伐していた。


城の前に立ちふさがる「アデンジャー」の5名しかしプレーヤーの攻撃であっけなくたおされてしまう中にはモンスター「バーラー」がたちふさがり、進軍の邪魔をする


 その後、刻印部屋の前にはアトラクションのタイトルにもなっている「ウザンカ」が登場したが、それほど強い攻撃もなく、見せ場もないまま討伐されていた。ちょこちょこと動く「ウザンカ」の動作が、まるでプレーヤーから逃げ回るようで滑稽に映り、真剣なアトラクションの中にあって会場の笑いを誘っていた。

 プレーヤーは着々と刻印部屋の扉を攻撃し続け、楽勝という感じで刻印部屋へと侵入した。しかしそこには強力な範囲攻撃をもったモンスター「ビーストロード ベヒモス」が待ち構えており、次々とプレーヤーが倒されていった。死闘が繰り広げられている中、各チームの血盟主が刻印の場所まで移動して刻印しようとするも、途中で「ビーストロード ベヒモス」の攻撃を受けて倒されてしまっていた。

 死闘は20分程繰り広げられ、ようやく「ビーストロード ベヒモス」の討伐に成功した。その後いち早く「エルモア軍」が刻印に成功し、「アデン軍」と「グレシア軍」が攻撃、「エルモア軍」が防衛という戦いが始まった。「アデン軍」は刻印部屋の2階を占拠してじわじわと攻め寄る中、「グレシア軍」が刻印部屋に入り、交感を開始した。しかし「エルモア」軍のプレーヤーが単独で突入し、交感を阻止した。刻印部屋にはその後「アデン軍」も参戦して混戦状態になったが、「エルモア軍」は団結して防衛に成功した。

 それから一旦膠着状態になっている間に「アデン軍」は城の外でMPを回復し、制限時間が残り20分で一斉に突入する作戦にでた。しかし刻印部屋で「グレシア軍」と「エルモア軍」双方との戦闘が始まり、交感は難しい状況になってしまった。時々「グレシア軍」が交感を始めるものの、途中で血盟主が倒されていた。結局、最後まで交感は成功せず、最初に刻印に成功した「エルモア軍」が勝利した。

 イベントの最後には、勝利した「エルモア軍」の16名の参加者によってくじ引きが行なわれ、その内1名に「イカルス」シリーズの武器のうちどれか1つがもらえる権利がプレゼントされた。


刻印部屋の前には「ウザンカ」が登場したが、「アデンジャー」と同じくあっけなく討伐されていた悪の黒幕は「ビーストロード ヘビモス」。強力な範囲攻撃で次々とプレーヤーが倒されていた「アデン軍」は2階を占拠して上から他のチームを攻撃していた
態勢を整えて再度突入の機会を伺う「アデン軍」激闘が続く刻印部屋の中には全く関係のないNPCのサンタクロースも出現刻印後30分間近く3チームによる駆け引きが続けられた
ネットカフェで販売されている「リネージュ II」のカードセットのプレゼントも実施来場者全員がグッズを賭けてじゃんけん勝負した「じゃんけんポモナ」会場には「リネージュ II」の物販コーナーも設置されていた


(2009年 12月 28日)

[Reported by 日高文典]