G-Star 2009現地レポート

NEXON新作タイトルインタビュー その2
ボリュームたっぷりのクエストと、丸い大地の操作感が楽しいMMORPG「EVER PLANET」
友達との“遊び場”となるゲーム性重視のSNS「NEXON STAR」

11月26日~29日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人4,000ウォン(前売り2,000ウォン) 学生2,000ウォン(前売り1,000ウォン)

 

 NEXON新作タイトルインタビュー その2では冒険MMORPG「EVER PLANET」とゲーム性の強いソーシャルネットワークサービス「NEXON STAR」の2つを取り上げたい。共に「星」をテーマにした作品だが、目指すところコンセプトは全く違うゲームである。

 「EVER PLANET」は丸く表現された大地をかわいいキャラクターが走り回る楽しいMMORPGである。開発会社NCLIPSEのCEOであるPark Sehee氏と、プロダクトマネージャーのLee Sennghak氏にインタビューを行なった。ゲームの詳細、要素と共に「なぜキャラクターデザインが『メイプルストーリー』そっくりなのか」も気になるところである。

 「NEXON STAR」は専用ブログと連動し、自分の星を育てながら仲間と共にコンテンツを楽しむというユニークなサービスだ。「NEXON STAR」という名前から、NEXONキャラクターは登場するのか、3D空間での生活とソーシャルサービスはどうつながるのか、NEXONの子会社nexonnovaの開発チームを総括する開発マネージャーのPark ji young氏と、企画部マネージャーのYoo Hyung sik氏に質問をぶつけてみた。



■ 地平線の向こうから現れる大地。丸い世界を旅していく「EVER PLANET」

かつては「メイプルストーリー」のメインプログラマーも務めた、NCLIPSE CEOのPark Sehee氏。「EVER PLANET」でも企画やプログラムにも参加しているという
プロダクトマネージャーのLee Sennghak氏
「EVER PLANET」のイメージイラスト、モンスターや乗り物など、様々な要素が見える。ストーリーも注目したい

 「EVER PLANET」では開発会社NCLIPSEのCEOであるPark Sehee氏と、プロダクトマネージャーのLee Sennghak氏にインタビューを行なった。Park氏もLee氏も企画に参加したり、自身でプログラムもするなど、40人のスタッフが一丸となって開発を進めているという。「EVER PLANET」はNCLIPSEの最初のタイトルとなる。今年の12月後半にオープンβテストを予定している。

 NCLIPSEのスタッフは様々なタイトルの開発経験のあるスタッフが集まっている。プログラムチームは「カートライダー」を開発し、Lee氏は「ハンゲーム」で様々なタイトルに関わった。Park氏は「メイプルストーリー」のメインプログラマーを務め、さらに「FIFA ONLINE」のプログラムも担当したという。

 「EVER PLANET」は“丸い大地”を冒険するMMORPGだ。プレーヤーは戦士、アーチャー、魔法使い、盗賊から職業を選び、クエストを受け、敵と戦いながら強くなっていく。ストーリーとしては「惑星を侵略しようとする悪い宇宙人と戦う」というのがコンセプトとなっている。かわいらしいキャラクターと軽快なアクション、なによりも球形の大地を冒険していくという感触が楽しい作品だ。

 球形の大地が冒険の舞台だが、実際のフィールドは歩き続けると元のところに戻る「球」にはなっていない。見た目の球形よりもずっと大きなフィールドが用意されており、球形の大地はあくまで独特のプレイ感覚を生み出すための演出である。フィールドは広大だがマップには“端”が設定されているという。

 「EVER PLANET」には現在5つの星が用意されている。キャラクターのレベルが上がるとより強い敵と戦える他の星に移動していく。星には様々なコンセプトがあり、「森の惑星」、「砂漠の惑星」などテーマごとに個性豊かな景色を見せてくれる。惑星は今後も増える予定で、それぞれテーマのはっきりした星になる予定だ。

 「開発当初は完全な球形の大地にするというアイデアもあったんですが、試してみるとプレーヤーが実際、マップ上で自分がどこの場所に立っているのかわからなくなってしまいがちでした。球形をあくまで表現として、平面のマップを用意することで実際の自分の位置が把握できるようになりました」とPark氏は語る。

 続けてLee氏は「平面のゲームと比べ、球形の表現は移動するだけでも面白い感覚が味わえます。地平線の向こうから建物やモンスターが徐々に見えてくる感じや、画面の下から現われてくる感じ。特に上下の表現が面白いです」とコメントした。

 独特のフィールド表現の面白さと共に、画面を見て気になるのは「メイプルストーリー」を思わせるキャラクターデザインだ。頭身の低いかわいらしいキャラクターという体型だけでなく、太めの眉毛や特に攻撃時の引き締まった顔などは「メイプルストーリー」のキャラクターデザインに似ていると感じる。

 Park氏は「意識して似せた、というわけではありません。私達は『EVER PLANET』をカジュアルに楽しめるMMORPGとしてデザインしました。小さな子供に親しみやすいいキャラクターデザインを求めた結果であります。もちろんプレイ感覚は『メイプルストーリー』とは全く違います。触ってもらえれば、すぐわかってもらえると思います」と語った。

 「EVER PLANET」の大きなセールスポイントは「クエスト」だという。クエスト中心のゲーム展開で、たっぷりのボリュームがサービス開始時から用意されている。クエストの流れ、ストーリーには特に注力しており、童話やおとぎ話のようなテイストを取り入れている。魅力的なNPCも多数登場するとのこと。

 惑星にはいくつかのダンジョン・インスタントダンジョンがあり、特に次の星に行くための関門となるダンジョンはボリュームのあるインスタントダンジョンとなっている。その大きなダンジョンの奥には迫力のある巨大ボスが登場するという。もちろんこの他にも1つの星には4~5の小さめのダンジョンが用意されていて、多彩な冒険が待ち受けている。インスタントダンジョンの場合は難易度設定が可能で、ソロプレイでクリア可能のものから、少数のパーティー、さらには最大人数の5人パーティーで戦うものが用意されている。

 「低年齢層のユーザーを意識しているので、PvP要素を入れるよりも、PvE要素を注力して作っています。みんなで楽しく冒険をしよう、というのがコンセプトです。ダンジョンの奥の巨大ボスは、最初の星ではあまり強くありませんが、後半の星のボスはプレーヤー達の協力や、連携など戦略を考えなくては倒せないような歯ごたえのあるボスが登場します」とLee氏は語った。

・ 自分だけの星「マイプラネット」。取れたての野菜を料理して冒険に出発

 キャラクターが10レベルになるとクエストを通じて「マイプラネット」を持つことができる。マイプラネットは宇宙空間に浮かぶ小さな星で、こちらは完全に球形のフィールドになっている。現在は自分の星には住むことができる家と、友達と手紙のやりとりができるポスト、そして惑星上に作物を育てる畑を置くことができる。今後は様々な要素を追加していく予定だ。

 畑では様々な作物を育てることができる。作物はNPCの商人から種を買い育てる。水や肥料も買い作物を育てていく。野菜や果物など食べ物を育てて、料理を作ることができたり、材料となる植物を育ててアイテムを作ることが可能だ。畑を作るのはあくまで冒険のための助けるためだ。畑では現在一種類の作物を育てることが可能だが、複数の畑を星に置くことができる。もちろん、他プレーヤーと育てる作物を変えるなどの「分業」も楽しい。

 今後のアイデアとしては、池を作って魚を育てたり、火山を置くことで金属の採掘や精製ができるようになったり、家の中の家具、さらには花壇などの飾り立てる要素も充実したいとのことだ。マイプラネットでは生産する楽しさを膨らませていく方向だ。

 「マイプラネットは生産だけでなく、何よりもコミュニティーの機転になる方向性を目指していきたいと思います。自分だけの空間をどう飾り立て、多くの人に見てもらう。親しい友人を招待することもできます」とLee氏は語る。現在は特定のユーザーを招待するのみで、自由に他のプレーヤーの星を訪問するという要素はないとのこと。

 Park氏は最後にユーザーへのメッセージとして、「韓国では今年の冬休みにオープンβテストが始まる予定です。予定では来年の末か再来年の頭には海外の皆さんにも『EVER PLANET』をお見せできると思っています。日本のユーザーさんにもお見せできることを楽しみにしています。皆さんからのフィードバックをもらって、もっともっと面白いゲームにしていきたいと思いますので、よろしくお願いします」と語った。

 Lee氏は「韓国と日本のユーザーはゲームプレイの感覚や価値観で違った面もあります。そういった様々な国での意見をいただくことで、ゲームはより豊かになると思っています。私達もできる限り早く皆さんとお会いしたいです」と語った。


丸い大地を冒険する「EVER PLANET」。キャラクターの軽快なアクション、独特の3D空間が面白い



■ ゲーム性を重視し、友達と楽しく遊べるソーシャルネットワークサービス「NEXON STAR」

nexonnova開発マネージャーのPark ji young氏
企画部マネージャーのYoo Hyung sik氏
Yoo Hyung sik氏のブログ。星の状態がWEBブラウザでも見える

 「NEXON STAR」を開発したのはNEXONの子会社nexonnova。今回はnexonnovaは今年の5月に設立された会社で、全社を挙げて「NEXON STAR」を開発しているという。今回インタビューを行なったのは、開発チームを総括する開発マネージャーのPark ji young氏と、企画部マネージャーのYoo Hyung sik氏だ。

 専用のクライアントによって、3Dグラフィックスで描かれた世界で友達と一緒に様々な遊びやコミュニケーションが楽しめる。さらに、クライアントを起動しなくても、専用のブログやメッセンジャーでのコミュニケーションも可能だ。ブログではFlashベースのミニゲームもたくさん用意されており、ユーザー同士が様々な方法で楽しむことが可能になっている。韓国では12月に2次テストを行なう。このテストは誰でも参加できるが、正式サービスへつながるオープンβテストではないとのこと。オープンβテストはこのテストのあと日にちを改めて実施されるとのこと。

 「NEXON STAR」という名前を冠してはいるが、現在は他のNEXONのタイトルとの連動よりも、独立したコンテンツとしての楽しく遊べるコミュニケーションツールを目指して開発が進められている。NEXONとしてのコミュニケーションサービスと言うよりも、「NEXON STAR」という独立したコンテンツを目指していると言うことだ。

 「企画当初はNEXONの様々なタイトルの要素を持ち寄ったサービスというものを考えていましたが、まず基礎となる『NEXON STAR』として楽しめる要素、コンテンツを作っていこうという方向にしました。まずは基本的な要素を充実してから、『メイプルストーリーの星』というように他のゲームの要素を活かしたギミックを入れていきたいと思います」とYoo氏は語った。

 「NEXON STAR」はクライアントを起動しているよりも、WEBブラウザでのブログのつながりがコミュニケーションの中心となる。ブログは「NEXON STAR」のデータベースと連動しており、ブラウザ上にも自分の星が表示されている。「NEXON STAR」利用者は友達リストでつながっているが、友人の友人、といったリストをたどったり、検索したりして自由に知らない人のページも閲覧できる。その人の星に興味を持ったら、クライアントを起動して訪れる、ということも可能だという。

 3Dのアバターでバーチャル世界を共有し、コミュニケーションを楽しむというと、「セカンドライフ」や「PlayStation Home」といった作品を連想するが、「NEXON STAR」はブログやメッセンジャーを通じてつながり、コンテンツを楽しむときにクライアントを起動させる、というのがプレイスタイルだという。ゲーム部分はあくまで「NEXON STAR」のコミュニケーションツールの1つであり、3Dのバーチャル世界での仮想の生活を楽しむわけではない。仲間と待ち合わせ一緒に遊ぶ「遊び場」なのだ。

 プレーヤーが増えていくと「宇宙空間」に星が増えていく。星はプレーヤーのアクションに応じてどんどん機能を拡張し大きくなっていく。プレーヤー達のつながりだけでなく、プレーヤーのいる「ご近所の宇宙」で大きな星が注目されたり、友達リストからたどりながら全く知らない人の星を見つけたり、「星」を起点とした独特のつながりが生まれていく。

 ブログは「NEXON STAR」のイメージを再現したデザイン重視のものになっていて楽しい。背景は用意されたものだけでも100種類、プレーヤーのデザインした背景も使うことができる。ブログには「星通信」という機能もあり、友人がなにをしたかの情報も共有できる。また「NEXON STAR」内でカメラボタンを押すと記念撮影ができ、自動的に自分のブログにアップされる。現在、クライアントでのサービスに先行してブログサービスが行なわれており、たくさんのユーザーが登録してブログを開設しているという。


・ 友達と連れだって海に畑へ……ゲームを通じて自分の星を育てていく楽しさ

 「NEXON STAR」の最も楽しい要素としてプッシュしていくのは“自分の星を飾り立てる”という要素だ。ミニゲームに挑戦するなど様々な活動をすることで自分の星そのものが大きくなっていく。星は飾り立てるだけでなく、資源がとれるようになったり、ゲームが遊べるようになるなど、他プレーヤーとのコミュニケーションの場としての機能持たせることも可能になる。自分だけの星がつながることで他の人とも楽しめる場所になるのが、「NEXON STAR」の面白さだ。

 「NEXON STAR」の星は、球体を半分に切ったような形になっていて、断面になる丸い平面に建物を建てて星を充実していく。星は様々なところをカスタマイズでき、平面部分だけでなく、下の部分はアイスクリームのコーンのような形にできたり、自分の好きな星を求めることができる。

 今回、試遊台で大きくプッシュされていたのは自分の星から行くことができる様々な星だ。試遊台では畑や実のなる木が立った「農業惑星」、釣りができる「海の惑星」があり、農作業や釣りを楽しむことができた。この他にも、「カジノ惑星」や「占い惑星」、みんなが集まれる「公園」の5つの惑星が用意されている。

 これらの惑星は50人ほどが同時に接続できるMMOフィールドになっており、他のプレーヤーと連れだって海に船を浮かべて釣りを楽しんだり、畑に行って収穫ができる。今回試遊台で特に感心させられたのが農業惑星の楽しさだ。このフィールドはひとつの丸い星ではなく、半球状の大地が端で接続されている感じで、道を進んでいくとまるで山間から豊かな畑が現れたような雰囲気でフィールドが広がっていく。のどかな農園風景の演出は開発者が特にこだわったところだという。

 公園惑星は他プレーヤーと集まって楽しくコミュニケーションができるだけでなく、MMORPGの露天システムのようにお店を出すことが可能だ。また「鉱山」のあるところでは採掘が楽しめる。カジノ惑星ではスロットマシンやルーレットなど様々な遊びが用意されている。農作業をして作物を作ったり、カジノでお金を稼いだり、様々なコンテンツにアクセスすることでポイントを稼ぎ、そのポイントで自分の星を拡張していくのだ。

 家具を置いたり、飾り立てたり、自分の星を様々なアイテムでお気に入りの空間にしていく楽しさもあるが、1つの遊び方として「資源の採掘場所」という方向もある。星の拡張の方向性の1つとして畑を自分の星に作ったり、火山を作ったりもできる。MMOフィールドに行かなくても資源の回収が可能になるだけでなく、他の人がそこで収穫や採掘ができる。他の人が自分の惑星で作業をすると星の持ち主のプレーヤーにポイントが入る仕組みだ。

 ゲームの要素がコミュニケーションのきっかけになるのも「NEXON STAR」の特徴だ。資源に特化した星を作れば、農業惑星には行かずプレーヤーの星だけを訪れて収穫する人も出てくるかもしれない。「一度もあったことがないけれど、いつもお世話になっている星の人」というような、独特のコミュニケーションも生まれそうだ。

 「これからの方向性としても、まずは『NEXON STAR』としての独自の要素を作り込んでいきたいと思います。もっと友人と楽しく遊べる空間、一緒に遊べるゲーム、より多彩なアバター……ソーシャルネットワークサービスでありながら、よりゲームとして楽しめるゲーム内容にフォーカスしたコンテンツとして作り込んでいきたいと思います」とPark氏は語った。まずは5つの惑星内容をコンセプトに合わせてより内容を充実させていく予定だという。

 実際話を聞いてみると、数人の友達とチャットを楽しみ、クライアントを起動してゲームを楽しむ、ミニゲームを楽しめるMMORPGのようなイメージである。Park氏は「ゲーム部分では、少人数で楽しむコンテンツを充実させる、という方向でゲームの楽しさをフォーカスさせていこうと思っています。多人数の人々と世界を共有しながら、気の合う仲間と少人数で楽しめるコンテンツを充実させています」と語った。

 最後に日本のユーザーへのメッセージとしてPark氏は「『NEXON STAR』はゲームとして楽しいコミュニケーションサービスを行なっていきます。コンテンツを充実していきますので楽しみにしてください」と語った。


「NEXON STAR」は仲間と楽しめるツールとしてコンテンツを充実させていく方向性だ という

(2009年 11月 29日)

[Reported by 勝田哲也 ]