「VIDEO GAMES LIVE in JAPAN ~ゲーム音楽と映像の祭典~」
9月に初来日公演。トミー・タラリコ氏に直撃インタビュー!

2009年9月21日、22日 開催

会場:東京国際フォーラム ホールA

料金:S席7,800円、A席6,800円(3歳以上チケット必要)

 

上写真は2008年「VIDEO GAMES LIVE @ GDC」の模様

 フル・オーケストラと大型スクリーンを中心に、工夫をこらした演出の数々で世界中のゲームファンを熱狂させているコンサートイベント「VIDEO GAMES LIVE」初の日本公演「VIDEO GAMES LIVE in JAPAN ~ゲーム音楽と映像の祭典~」が9月21日、22日に開催されることが決定した。会場は東京国際フォーラム ホールAで、料金はS席が7,800円、A席が6,800円。3歳以上はチケットが必要で、一般発売日は2009年7月19日(日)より開始される。

 「VIDEO GAMES LIVE」は、トミー・タラリコ(Tommy Tallarico)氏とジャック・ウォール(Jack Wall)氏の2人が始めたゲームミュージックのコンサートイベント。弊誌でも、「Game Developers Conference 2008」で開催されたイベント記事でご紹介済み。詳細は前述記事をごらんいただくのが手っ取り早いのだが、あえて簡潔に表現するなら「フル・オーケストラと巨大スクリーンによる映像演出を中心とした“体感型”ライブ」となる。

 「ポン」や「スペースインベーダー」などのレトロゲームから、「Halo」や「Mass Effect」などの最新タイトルまで、多数の楽曲をさまざまな演出で披露。映像と演奏のシンクロはもちろん、巨大スクリーンで観客のひとりがプレイするゲームにあわせてBGMやSEを演奏する体感ステージなど、通常のコンサートやライブイベントでは考えられない趣向が凝らされている。海外での初公演は2005年7月6日のロサンゼルス・ハリウッドボウルで、初回ながら11,000人を動員。以後の人気ぶりは公式サイト(英語)のTour Datesでも一目瞭然で、世界中から公演依頼が舞い込む日々だという。

    ●日本公演概要

    【出演】
    トミー・タラリコ、指揮:ジャック・ウォール、演奏:東京ニューシティ管弦楽団、合唱:洗足学園音楽大学フレーバーコーラス隊 ほか

    【日程】
    2009年9月21日(月・祝)18時開演
           22日(火・祝)14時開演

    【会場】
    東京国際フォーラム ホールA

    【チケット料金】
    S席:7,800円
    A席:6,800円(3歳以上はチケット必要)

    【プレイガイド】
    イープラス ……http://eplus.jp(PC・携帯共通)
    チケットぴあ …… TEL:0570-02-9999(Pコード:615-542)
    ローソンチケット …… 0570-084-003(Lコード:71795)

    【チケット一般発売日】
    2009年7月19日(日)

    【日本公演オフィシャルサイト】
    http://videogameslive.jp/

    【主催者など】
    主催:TBS / 文化放送 / イープラス
    協力:EMIミュージック・ジャパン / ハーモニクス・インターナショナル
    制作・招聘:PROMAX
    運営: DISK GARAGE

 

 1980年代後半ほど頻繁ではないにせよ、日本でもゲームミュージック関連のライブやコンサートは行なわれている。フル・オーケストラとの競演も「ドラゴンクエスト」シリーズのすぎやまこういち氏や「ファイナルファンタジー」シリーズの植松伸夫氏らがファンを楽しませるイベントを開催してくれている。だが、トミー・タラリコ氏らによる「VIDEO GAMES LIVE」は、フル・オーケストラによるコンサート形式を採用しつつも、より幅広い層にゲームファンに遡及するよう“エンターテイメント”を全面に押し立てている点で、特徴や方向性が大きく異なる。

 今回GAME Watchでは、「VIDEO GAMES LIVE」創始者で、かつ出演者でもあるトミー・タラリコ氏のプロモーション来日をキャッチ。限られた時間ではあるが、貴重なお話をきくことができた。ファンはもちろん、ゲームミュージックに興味がある人は、ぜひ目を通していただきたい。


■ トミー・タラリコ氏スペシャルインタビュー

トミー・タラリコ氏:ゲーム音楽作曲家。20年来、「メトロイド・プライム」など300本以上のゲームミュージック制作に携わる。TV番組の司会、プロデュース、講演のほか、ITやオーディオなど多数の企業顧問も務める。VGLでは司会、演奏、プロデュースをすべてこなす

―― 初ライブが、2005年7月6日。4年目にして日本にやっときていただけました。まずは、初の日本公演に対する意気込みをおうかがいできますか?

トミー・タラリコ氏(以下トミー) 実は「VIDEO GAMES LIVE」は2002年に作られたのですが、実際にコンサートという形でお客様に見せるまで準備に3年かかりました。

 私自身、ビデオゲーム・ミュージックの作曲家を20年あまりやっておりますし、ずっと昔からビデオゲームのファンでした。そういった意味でも、日本でこのような作品を皆様にお見せできることは、大変に光栄なことです。世界中の人たちがよく知っていることだと思いますが、日本というのはビデオゲーム・ミュージックのユニバース……宇宙の中心。本当に光栄です。

 ご存知かとは思いますが、日本ではこういったビデオゲーム・ミュージックのコンサートは20年前から多々行なわれています。ですが、日本人以外が、こういったコンサートを作り、プロデュースする。しかも日本で上演するのは、凄く特別なことだと思います。多分ですが、日本人以外でゲームミュージックのコンサートを行なうのは、僕が初めてではないでしょうか。

―― 「VIDEO GAMES LIVE」をこのようなスタイルで企画、開催したいという意図はどのようなところにあるのでしょう?

トミー 「VIDEO GAMES LIVE」という作品が他と比べてユニークなのは、ハードコアなゲームファンだけでなく、幅広い層にアピールしているところです。ゲームをやったことがない人でも楽しめるようなショウにしたいというのがひとつ。ある意味では、任天堂のWiiと同じだと思うんです。任天堂さんは、Wiiでそれまでゲームをやらなかった人も楽しめるようにした。もっと広く多くの人にアピールしたい、ということです。

 ビデオゲームの文化的な意味、芸術性の高さを多くの人に見せたいというのもあり、それをどのように見せるか。今までの伝統的なコンサートの型にはまったものを壊して、新しい形を作ろうと思ったわけです。交響楽団の音を使いながら、それにロックン・ロールコンサートの照明を入れてみたり、ギターやドラムの演奏を入れたり。クラシックとスペクタクルな見せ方をあわせて、新しいショウを作りました。日本のお客様にも、これを見て楽しんでもらえることを期待します。

―― 日本のファンが、最初に驚くのもそこだと思います。ゲームミュージック・コンサートは過去にもありましたが、オーケストラであればクラシック側のスタイルで、それ以外はポップスやロックなどバンド形式の演奏が主流でした。それを、トミーさんは一切の垣根をとっぱらってしまった。とても勇気が必要だったのではないでしょうか。

トミー そうですね。多くの人が、型を破ることに対して「馬鹿なことを!」みたいに思っていて、実際にそういわれたんですけど。やはり、自分のビジョン、これが正しいと思ったことを押し通したわけです。クラシックスタイルのコンサートの魅力も十分理解しているつもりですが、自分は昔からビデオゲームやミュージックの大ファンでしたから、自分がファンとして「こういうショウを見たいなぁ」というものを作り上げただけです。

 私はショウのなかで司会を務めますが、舞台にあがって1番最初に「音楽を聴いたり、舞台を観ていて、いいなぁと思ったら遠慮なく声をあげてください。手を叩いてください」と、お客様にいいます。オーケストラのミュージシャンも、他のミュージシャンと同じで、お客様のエネルギーが、自分たちの演奏をより良くしてくれる。それが大きければ大きいほど、演奏も良くなると思うんです。

 このショウは、交響楽団による感情に訴えるサウンドに、ロックン・ロールのエネルギーとエキサイトメントをあわせて、最先端の技術を楽しくまとめたものだと思います。芸術と技術を楽しく見せる。そういうふうに作られているから、ゲームに親しみがない人でも楽しめるものだと思います。

―― すでに25カ国でコンサートを開催しておられますが、それぞれの国でセットリストや演出を変えることはありますか? たとえば、その国ではあまり知られていないと判断したゲームの曲は外すとか……。

トミー 「VIDEO GAMES LIVE」は4年間、現在に至るまで60個のセグメント(曲)を作りましたが、ひとつの公演で20曲くらいしか演奏できません。ゆえに、今まで同じ内容の公演を繰り返したことはないんです。新しい国にツアーでいくときは、その国のお客様に「どういった曲が好きですか?」といった質問をして、なるべくご要望にお応えしたいと考えています。

 ただ、ひとつ……そういったお客様にも、今まできいたことがない、なじみのないゲームを紹介することも、とても重要だと思うんです。他の国で作られたゲームの質の高さにびっくりすることも多々あります。公式サイトにサインアップ欄に、国名と好きな曲名を書き込む項目があり、それを参考にするようにしていますが、それだけでなく“みなさんが聴いたことがない曲”も、必ず2~3入れるようにしています(※編集部注:あくまでも要望が書き込めるだけで、それが必ず公演に反映されるわけではありません)。

 「VIDEO GAMES LIVE」の日本版ホームページ「VIDEO GAMES LIVE in JAPAN」も立ち上げたところで、これから数カ月かけて少しずつコンテンツを拡充させていく予定です。

―― 「GDC2008」では日本人クリエイターのスペシャルメッセージが上映されましたが、日本公演向けの特別な演出・企画などは考えておられますか?

トミー 色々なサプライズを準備中ですので、ここですべてを明かすわけにはいきませんが……日本は、ゲームミュージックにおいて特別な場所だと思います。ですから、世界中のビデオゲーム・ミュージックファンが見たことがないような企画を考えています。日本、アメリカ、ヨーロッパなど世界中のビデオゲーム・ミュージックの作曲家がひとつになるような、特別なショウを作りたいと思います。

―― 次の用意していた質問、そのネタバレにつながってしまうのかもしれませんが……日本でコラボレートしたいゲームミュージック・クリエイターは……明かせますか?

トミー もちろんいます。名前は……皆さんが思う素晴らしいゲームデザイナー、ゲームミュージックの作曲家を思い浮かべてください。その人たちです。本当は名前をあげたいところなのですが、交渉中の方もいますので、今のところはご勘弁ください。

―― コラボレートされる面々は、先々公式サイトなどで発表されるのでしょうか?

トミー はい。ただ、当日劇場に足を運んでいただいて、そこで初めて明かされるものも残しておこうと思います。

―― それでは最後に、日本公演を待ち焦がれているファンの方々にメッセージをお願いします。

トミー 「VIDEO GAMES LIVE」を日本で公演できることを大変光栄に思っています。ビデオゲーム・ミュージックのメッカである日本でできることは、本当にうれしい。日本のお客様に、世界中の人たち体験したユニークなショウを、早く見ていただきたいと思います。9月に日本に来ることを凄く楽しみにしています。

―― 本日はありがとうございました。9月を楽しみに待っています!



■ CD「VIDEO GAMES LIVE」VOLUME ONE

ジャケット画像(海外盤)

 ゲームミュージック・ファン垂涎のコンサートイベントが、遂に日本初上陸! だが「東京公演だけでは、遠くて行きたくても行けないよ!」という人もおられるだろう。そういった人たちだけをターゲットにしているわけではないが、「VIDEO GAMES LIVE」の国内盤CDがEMIから7月1日にリリースされる。価格は2,500円。

 トミー・タラリコ氏によれば、スタジオ録音8曲、ライブ録音3曲の全11曲を収録。マスタリングは、ビートルズが使用したことで有名なEMIロンドンのレコーディングスタジオ「アビーロード」にて行なわれた。なぜスタジオ録音だけでなく生ライブを収録したかについては「生で演奏しているのが、1番いい曲もある」からだという。ライブ録音が行なわれたのは、ブラジルとメキシコ。同氏によれば、ブラジルのビデオゲーム・ミュージックのファンはとても熱心で、物凄くエネルギーにあふれており、そこで録りたかったと説明。

 CDの1番最後に入っている「Castlevania Rock(LIVE)」は、会場に詰め掛けた7,000人の熱気と歓声が詰め込まれている。この曲ではトミー氏自身がギターを弾いており、交響楽団、ロックバンドとともにエキサイティングな演奏を披露。前述のインタビューにあった「お客様のエネルギーが、自分たちの演奏をより良くしてくれる」という氏の言葉が、怒涛のサウンドとともにヒシヒシと伝わってくる。初来日公演同様、ゲームファンだけでなく、幅広い層に聴いて欲しい作品だ。

 

    ●CDリリース情報

    【タイトル】
    「VIDEO GAMES LIVE」

    【型番(日本盤)】
    TOCP-70794

    【価格】
    2,500円

    【発売日】
    2009年7月1日 EMIより発売

    【収録曲】
    Kingdom Hearts、Warcraft Suite、Myst Medley、Medal of Honor(LIVE)、Civilization IV Medley、Tetris Piano Opus No.1、God of War・Montage(LIVE)、Advent Rising Suite、Tron Montage、Halo Suite、Castlevania Rock(LIVE)

 



(C)2005 MISTICAL STONE ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESEREVED.


(2009年 6月 24日)

[Reported by 豊臣和孝]