YNK JAPAN、オンラインFPS「STING」の一般向け体験会を開催
Sourceエンジン採用の新型オンラインFPS、CBTは6月25日より開始

6月23日開催

会場:総合学園ヒューマンアカデミー東京校


この夏正式サービス予定のオンラインFPS「STING」

 オンラインゲームサービスを展開する株式会社YNK JAPANは、6月23日、新作オンラインFPS「CODE NAME STING(以下『STING』)」のクローズドβテスト先行体験イベントを開催した。会場となったのは東京・高田馬場にある専門学校、総合学園ヒューマンアカデミー東京校。教室の1室を借りきり、およそ2時間をかけて「STING」の紹介および体験プレイが行なわれた。

 「STING」は韓国のYNK GAMESが開発するオンラインFPSで、ゲームエンジンとして米Valve SoftwareのSourceエンジンを使用しているのが特徴だ。日本国内ではYNK JAPANから今夏のサービス開始が予定されており、7月24日には「スタートパッケージ」の販売も予定されている。

 今回の体験会は、本作を一般の人々が楽しめる初めての機会となり、筆者も実際にプレイしてゲームの特徴を確認することができた。本稿ではイベントの様子を含め、「STING」がどのようなオンラインFPSに仕上がりつつあるのかをお伝えしたい。



■ Sourceエンジン採用の“正統派”を名乗るFPS「STING」
 CBTは6月25日開始! 大会チャンピオンをプロゲーマーとして遇する年間プログラムも発表

タイトルの紹介を行なった「STING」マネージャーの前田相伯氏
プロデューサーを務める康詩温氏。プロゲーマーとして活動した経歴も持つ
スケジュール。オンライン、オフラインの大会を積極開催していく。チャンピオンチームにはプロゲーマー的な支援も

 会場が専門学校の1室に置かれたこともあり、今回のイベントに訪れた参加者は専門学校生や一般ゲーマー、メディア関係者などを含め20人あまり。小規模なイベントではあったが、そのぶんゲームの紹介や体験プレイは落ち着いた雰囲気の中、じっくりと行なわれた。

 タイトルの紹介を行なった、YNK JAPANで本作の制作マネージャーを務める前田相伯(そうはく)氏は、「STING」の特徴として、ValveのSourceエンジンに基づくゲームであることを語った。Souceエンジンは、「Halfe-Life 2」はもちろん、元祖チーム戦FPSと呼ばれる「Counter-Strike: Source」、ほか多数のゲームに使われている実績のあるゲームエンジンであり、内部に「HAVOC」物理エンジンを搭載していることも大きな特徴だ。

 そのため「STING」では、物理処理に基づくゲーム展開も楽しめるように設計されているとのことで、この点で他のFPSタイトルと差をつけたいという考えのようだ。また本作は“正統派”のFPSとして、頭、手などの部位ダメージを導入し、射撃命中時の挙動に様々な変化を加えるという。

 「STING」がモチーフとする世界は、現代あるいは近未来の北朝鮮。核兵器の再開発に乗り出した北朝鮮の動きめぐり、プレーヤーは関係各国の特殊部隊員となって様々なシチュエーションでチーム戦を闘うことになる。奇をてらうことなく、正統派の舞台装置を用意した本作では、プレーヤーの期待通り、現実に存在する様々な銃器、兵装が登場する。

 本作は上記のように非常にオーソドックスなFPSタイトルに仕上がっているが、国内でサービスを展開するYNK JAPANでは、コミュニティを盛り上げるための様々な施策を予定しているようだ。

 前田氏に続いてタイトルスケジュールを紹介した本作プロデューサーの康 詩温(こう しおん)氏は、夏に予定されている正式サービス開始後には、数々のオンライン大会、オフライン大会を予定しており、さらに、他のタイトルでは見られないようなユニークな施策も用意していることを明らかにした。

 それは、大会で年間チャンピオンとなったクラン(チーム)をYNK JAPANが公的に支援し、一種のプロゲーマーとして様々なイベント、キャンペーンに登場してもらうというものだ。もちろん、チャンピオンチームの公的な活動には適当な額のギャラが支払われることにもなるだろう。チャンピオンチームの活動詳細については今回は触れられなかったものの、ゲーマーとしての登竜門を登ろうとする気鋭のプレーヤーにとっては魅力的なプログラムに成り得そうだ。

 今後のスケジュールとしては、6月25日開始のクローズドβテストを皮切りに、7月中にもオープンβテストを開始、夏中には正式サービスと「スタートパッケージ」の店頭販売が予定されている。続く8月下旬にはオンラインおよびオフラインでの全国大会を実施。年間チャンピオンが決まる9月以降には国際大会も予定されているようだ。


新進気鋭のロックグループ「MISSPRAY」をゲーム内BGMに、FPSナレーター・声優として活動する翁長奨氏をゲーム内ナレーションに起用するなど、若手のアーティストを積極起用。また、銃器モデルの監修には株式会社ウェスタンアームズ、防具やスーツの監修には輸入軍装ショップのファントムを充てるなど、説得力のある世界を提示するために様々な試みをしているようだ



■ プレイ感覚は「よりスポーティなCounter-Strike」
 プロデューサーの康氏、またの名を“HAC”氏が圧倒的な強さでプレイ

対戦プレイにいそしむ参加者の様子
圧倒的な強さを見せ付けていた“HAC”こと康氏。元プロゲーマーというからその実力は折り紙つきだ
対戦の場となったマップ「訓練場」は小さくシンプルなマップで、常に激しい撃ちあいが発生。スコア差が顕著に現われた

 前田氏および康氏によるタイトル紹介が行なわれた後、早速体験プレイが行なわれた。形式としては、会場に集まった専門学校生、一般プレーヤー、メディア関係者からなるゲストチームと、YNK JAPANのスタッフからなるホストチームが「チームデスマッチ」モードで対決するというもの。シンプルなルールであるため、今回は本作の基本的なプレイフィールを確認することになった。

 対戦の場となったのはチームデスマッチモード用に用意された「訓練場」というシンプルなマップ。入り組んだ障害物によって隔てられた小さなマップで、両チームがひたすら撃破数を競うというものだ。

 まず行なわれた1回戦目では、専門学校生チームとホストチームによる戦いが繰り広げられた。専門学校生チームはプレイの動きを見る限り“FPS上級者”といって差し支えないプレーヤー揃いで、開始数分で本作における射撃、グレネードの投擲など基本的な立ち回りをマスター。しかし、YNK JAPANチームは遥かに上手を行っており、5分間のマッチタイムで20以上のチームスコア差をつけられ、敗北。

 それもそのはず、YNK JAPANチームのスコアリーダーとなっていたプロデューサーの康氏は、以前はプロゲーマーとして「Counter-Strike」のクラン“AXG”を率いて国際大会も戦った猛者だったのだ。ゲームネームは“HAC”。この名に覚えのあるFPSゲーマーの方も多いだろう。マッチの進行中、この名による撃破ログが次々に表示され、5分間で30以上のスコアをマークしていた。

 2回戦目では筆者も参加した。操作感覚およびプレイフィールは「Counter-Strike」系で、移動をうまくストップして射撃することで、マウス操作が正確なら確実なヘッドショットが狙える。また、手に命中しても致命傷となる場面を見ることができた。これは本作独自の要素といえる。

 ただ、「Counter-Strike」に比べ、本作におけるアサルトライフル系の挙動は、連射時におけるリコイル(反動)が若干控えめであり、マウスで適切なリコイル修正を行なえば、フルオート射撃でもそこそこ命中弾が出る。どの試合でもスコアリーダーとなっていた康氏はこれを利用して積極的にフルオート射撃を行なっており、まじめにバースト射撃をするプレーヤーを火力の面で大きく上回っていた模様だ。

 こういった特徴から言うと、本作のプレイフィールは「Counter-Strike」よりも若干スポーティで、ダイナミックに撃ちまくるようなプレイでもそこそこの成績を狙えるゲームだと感じられた。FPS初心者が順応しやすい内容になっていると言えるかもしれない。


左から、待機画面、プレイ画面、結果画面。“HAC”ことプロデューサー康氏の圧倒的なスコアで、筆者の属したゲストチームは敗北。ただ事前に「25ポイントのハンデ」を申し合わせておいたので、一応はゲストチームの勝ち扱いだったようだ。ポイントでは負けており、いつか本作で康氏にリベンジしてみたい



■ オンラインFPSとしてきわめてオーソドックスな出来に仕上がる
 他タイトルとの明確な「違い」を明示できるかどうかが鍵

ゲーム内ショップ画面。キャラクターの各部位ごとに、多数の武器・補助装備が用意されている
個人倉庫画面。武器の付け替え、特殊スキルの装備などができる。構成としては実にオーソドックスなオンラインFPSだ

 ゲーム内のアクション以外の部分に目を向けると、「STING」にはオンラインFPSとして持つべき標準的な機能が一通り実装されている。ゲーム内マネーあるいはリアルマネーで買い物ができるゲーム内ショップや、自キャラの装備を管理・変更できる個人倉庫などだ。

 体験したゲームルールが最もシンプルな「チームデスマッチ」であったこともあり、今回は本作における真の特徴に気づくことができなかったかもしれない。とはいえ、「スペシャルフォース」、「サドンアタック」などを始め、多数のオンラインFPSタイトルが既に密集している日本市場にあって、確固たる地位を築くためには他タイトルとの明確な「違い」を提示する必要があるだろう。

 前田氏および康氏に話を聞いた限りでは、現時点では「HAVOC」物理エンジンによるマップ上のギミックや、ゲーム内マップの各所に用意された「ゲーム内広告」がその「違い」にあたるようだ。しかし、どちらもタイトルの価値に大きなバリューをもたらしうるとは想像しがたい。プレーヤーの心を一気にわしづかみにする何かが欲しいと感じられた。

 クローズドβも始まっていない現時点で本作の価値を云々するのは早計というものだし、これから何があるかわからず、まだ公然にされていないような、決定的なフィーチャーが用意しているのかもしれない。たとえば、Sourceエンジンを使用することで、「Counter-Strike」と同様の高度なBOT(AIプレーヤー)が使え、それによってこれまでとは違った遊び方ができるのではないか、といった期待もできる。

 いずれにしても、本作「STING」が今後日本のオンラインFPS市場でどのように存在感を発揮していくのか、6月25日から始まるクローズドβをはじめ、夏中に予定されている正式サービスへの展開に注目していきたい。本作に関心のある方は、クローズドβに備えてお早めに、「CODE NAME STING」のクローズドβテスト応募ページをチェックしておこう。







(2009年 6月 23日)

[Reported by 佐藤カフジ]