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PS4版「オーバーウォッチ」最速体験会レポート

ゲームの詳細をローカライズスタッフが解説

4月24日開催

 スクウェア・エニックスは、5月24日発売予定のFPS「オーバーウォッチ」のPS4版体験会「PlayStation 4 Presents PS4『オーバーウォッチ』最速体験会 CLUB EXTREME EDGES FAN Meeting」を、4月24日に開催した。

 「最速」と銘打たれたこの体験会は、抽選で選ばれた一般のゲームファンに対象の内容で、同日に3回に分けて行なわれた。本稿では2回目の模様をお届けする。なおゲームの感触に関しては「オーバーウォッチ」先行体験プレイレポートを参照して欲しい。

 今回のイベントでは、“「EXTREME EDGES」レーベルの作品をプレイできるクラブ”という設定のもと、会場には試遊台が用意されるとともに、「オーバーウォッチ」関連のグッズやイラストなどが展示され、来場者は待ち時間などにこれらの展示を見たり、記念撮影をしたりして楽しめる内容となっていた。

【会場の雰囲気】
現在までに作られている本作のプロモーション用グッズやイラストなどが会場に展示されていた
展示されたイラスト群。コミカライズもあり、こちらはセリフも日本語化されていた

ただ撃ち合うだけじゃない、エキサイティングな対戦ルール

 体験会は本作のローカライズスタッフの赤石沢賢氏と西尾勇輝氏による、ゲーム解説から始まった。

ローカライズプロデューサーの赤石沢賢氏(左)と、同ディレクターの西尾勇輝氏

 赤石沢氏は本作を「ヒーローたちによる、ロールプレイとチームプレイがカギとなる、チーム対戦型のアクションシューティング」と紹介。開発は「Diablo」、「World of Warcraft」などでも知られるBlizzard Entertainmentが行なっている。

 両氏は昨年6月のE3のときに、両氏らが他のスタッフとともにBlizzardのスタジオにおもむいてゲームプレイさせてもらったことが本作とスクウェア・エニックスが出会うきっかけとなったそうだ。

 本作においてカギであるチームプレイについて、赤石沢氏は「RPGなどと同様、ヒーローごとの役割が重要になる」と解説。本作に登場するヒーローには、攻撃が得意な「オフェンス」、防衛が得意な「ディフェンス」、盾役となって最前線を切り開く「タンク」、支援が得意な「サポート」の4つのロール(役割)があり、対戦中はそれぞれがロールを意識することで、チームワークにつながっていくような作りになっている。

【「オーバーウォッチ」、多彩なキャラクターで戦え!】
6人対6人のヒーロー達が激突する
世界を舞台に戦っていく

 ゲームの対戦ルールは全てがオブジェクティブルールで、対戦ごとに必ず何らかの目標があり、FPSによくあるタイプのチームデスマッチのような敵を倒すだけのルールが存在しないのも特徴のひとつとなっている。そんな対戦ルールには3つの種類があり、開発陣はそれらについても解説していった。

 まず「エスコート」は、ステージ中の決まったルートを移動する「ペイロード」と呼ばれる車両を巡る攻防が展開する。攻撃側チームはそれをゴールまで運び、防御側チームはそれを阻止するのが目的となっている。このとき、攻撃側は誰か1人でもペイロードの近くにいれば進ませることができるが、防御側は敵をせん滅して全員が張り付かないと押し戻すことはできないというルールで、両者がいかにペイロード周りを確保するかが重要となってくる。

 続いて「アサルト」は、指定された地点を奪い合う攻防で、攻撃側はそれを取りにいき、防御側は制限時間内にそれを守るというもの。目標地点は複数あり、攻撃側は順番にそれを取っていく形となる。最初は目標が攻撃側拠点に近いところにあるため攻撃側が有利となるが、次の地点は防衛側拠点に近い場所に出現するため、攻撃側は攻めるほど、目標を取るのが難しくなっていくというバランスになっている。

 なお「エスコート」と「アサルト」のハイブリッドルールなども用意されていて、「目標地点を取ったあとにペイロードを進ませる」といった展開での戦いもあるとのことだ。
 そして最後に「コントロール」では、攻防に分かれる概念がなく、互いのチームが1つのエリアを巡って3本ラウンド2本先取のルールが展開する内容となっている。

 なおゲーム中に登場するマップは、それぞれの対戦ルールに完全に紐付けられている。ある意味ルールごとの専用マップといっても過言ではなく、ルールにマッチした設計なので、より戦略性の高い戦いがくり広げられるというわけである。そのあたりはブリザードもかなりこだわって作っているようで、既にマップにおいてもかなりの調整が入っているとのこと。ユーザーからのフィードバックも積極的に取り入れていて、5月のオープンベータテストなどでもそれを反映していくとのことだった。

個性豊かなヒーロー、カジュアルに楽しめる新時代FPS

 プレーヤーキャラクターとなるヒーローたちは、海外ゲームにありがちなコテコテのデザインではなく、「日本人にも馴染みやすいキャラデザだと思います」と赤石沢氏はアピール。ここではその1人「トレーサー」を例に挙げて、彼女の能力を見ながら、そのロールなどについても説明していった。

 トレーサーは本作の主人公的な扱いの女性キャラクターで、ロールは攻撃役のオフェンス。メイン武器は両腕に持つ「パルスピストル」で、パワーはさほど高くはない、射程も短めだが連射が可能で、彼女の間合いで戦えばかなり有効な武器となっている。

 アビリティは「ブリンク」と「リコール」を持っていて、前者は瞬間移動を行なうもので、後者は自身の時間を巻き戻し、位置や体力、武器の残弾などを少し前の状態まで戻すというものだ。どちらも移動が関わるアビリティなので、両者をうまく絡めて相手を攪乱する戦い方を得意としている。

【トレーサー】
ローカライズスタッフ一押しのトレーサー
まだまだ遊び足りない、という雰囲気だった
プレーヤーの戦いを見ながらの、キャラクターの能力解説
オープンβテストの日程が発表された

 そしてヒーロー全員が1つずつ持っている超必殺技的な存在であるアルティメット・アビリティは「パルス・ボム」だ。これはあらゆる場所にくっつけられる強力な爆弾で、ブリンクで一気に敵に近づいてパルス・ボムをくっつけて、リコールで巻き戻してそこから離脱するといったコンビネーションが成立することも紹介した。

 メインイベントとなる体験会では、来場者を2つのグループにわけそれぞれ約40分ずつのプレイ時間が設けられた。プレイ内容は前述の対戦ルールにもとづく6vs6のチーム戦で、キャラクターも全員を仕様可能となっていた。赤石沢氏と西尾氏は会場に設けられたリビングラウンジで、来場者のプレイを実況。全員のプレイ後には来場者の中から立候補で募集した赤石沢チームと西尾氏チームによるエキシビションマッチなども行なわれた。

 今回、ユーザー向けのプレイ時間は40分用意されていた。しかし、来場者の顔を見ると「物足りない」という表情を浮かべている人が多いように感じた。「オーバーウォッチ」は個性的なヒーローが多く、簡単にはポテンシャルを活かしきれない。「もっと戦いたい、遊びたい」という雰囲気を強く感じた。

 そんな中で、ユーザーに人気だったのが、「D.VA」。ピンクのパワードスーツに乗ったかわいらしい女の子で、パワードスーツのパワフルな戦い方を得意とする。パワードスーツを自爆させる大技もあり、お気に入りのキャラクターとして語るユーザーもいた。

 筆者は「オーバーウォッチ」先行体験にも参加していたが、ユーザー達が遊んでいる姿を見て改めて、「オーバーウォッチ」はFPSの“枠”を広げてくれる作品だと感じた。単純に撃った、撃たれたという駆け引きや、有利な位置取りのためのマップ攻略といったシビアなFPSでなく、キャラクターの個性を活かし、カジュアルに楽しめる作品だという印象を持った。ルールは全く違うが「スプラトゥーン」と同じような、従来のFPSのイメージを変える作品になるのではないだろうか。

 イベントの最後には、本作のオープンベータテストについても告知された。このPS4版のオープンベータテストは、5月3から9日に開催の予定で、事前登録やPlayStation Plusへの加入も必要がないため、より気軽に参加が可能となっている。赤石沢氏も「ぜひ友達を誘って、ボイスチャットなどを使って遊んでみてほしい」とメッセージを贈った。

(稲元徹也)