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複合カフェ常設型VR体験ゾーン「VR Theater」本日31店舗でスタート

年内1,000店舗を目指す“VRカフェ”は、VRゲーム普及の起爆剤になるか?

4月7日 オープン

1体験:600円

高田馬場BIG BOX自遊空間で行なわれた記者会見の模様
記者会見で登壇した、日本複合カフェ協会理事長、日高大輔氏

 関東各地のネットカフェ31店舗にて、VR体験設備が常設されるサービス「VR Theater」が、本日4月7日ローンチした。実施対象となる店舗では複数のSamsung GearVR視聴環境が整備され、1体験600円で各種のVRコンテンツを体験できるようになる。対応店舗の内訳については「VR Theater」公式ページ上で確認できる。

 第1弾コンテンツとして提供されるのは「進撃の巨人展」で披露されてきた「進撃の巨人 360°体感シアター“哮”」のGearVR版。続く5月には、第2弾コンテンツとなる「攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Driver」の完成版が「VR Theater」にて体験できるようになる予定だ。

 本サービスを運営するのは、ネットカフェ経営やバックエンドソリューションの開発運営の老舗であるインターピアと、VR/360度映像コンテンツの制作・配信を手掛ける老舗のeje。このタッグに加え、GearVRを提供するGalaxyブランドと、全国約2,000店舗の複合カフェ(ネットカフェ)が加盟する日本複合カフェ協会が協力することで「VR Theater」の施策が実現した。国内のVR界隈全体を見回しても、特に大きなインパクトを持つ施策と言える。

モデル店舗となる高田馬場BIG BOX自遊空間には最多20台のGearVRを用意。正式サービスで公開予定の2コンテンツを先行体験できた。なお、展示形態は本番の運営では異なる形になるという

第1弾「進撃の巨人 360°体感シアター“哮”」は本日から各対応店舗にて視聴可能

【第2弾「攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Driver」ティザームービ】

ゲーム特化型ネットカフェ運営の老舗企業が参画。年内1,000店舗への拡大を目指す

インターピア代表取締役社長、楠岡仁志氏
コンテンツ配信を担当するeje代表取締役、三代千晶氏
実店舗を通じ、コンテンツメーカーとユーザーを繋げる施策

 ゲーマーの皆さんならご存知の通り、「VR Theater」に参画するインターピアは、国内のオンラインゲーム普及に大きな貢献を果たしてきた企業だ。特に2000年代初頭にネットゲーム専門カフェとして展開した「Necca(ネッカ)」は、多くのゲーマーにオンラインゲームのプレイ機会やオフ会の場を提供し、ゲーマーコミュニティの形成に決定的な影響を与えた(筆者もヘビーユーザーのひとりだった)。

 「オンラインゲームはネットカフェで遊ぶもの」という常識が形成される以前から、オンラインゲームに特化したサービスを提供してきたインターピアが、今度はVRの世界に乗り出す。ネットカフェがオンラインゲームの普及を後押ししたように、今度は、ネットカフェがVRゲームの普及を促進することになるだろうか。

 ローンチ時点の「VR Theater」サービスは当初GearVRのみの設置ということで、360度のノンインタラクティブ3D映像を視聴することに特化したサービスとなっている。しかし、インターピアの代表取締役社長、楠岡仁志氏に質問をぶつけたところ、今後はOculus RiftやHTC Viveを用いたインタラクティブVRコンテンツへの展開も視野に入っているという。

 そのためのハードルとなるのは、VRならではの店舗オペレーションの難しさ。GearVRのみでの運営となる当初は、体験中のユーザーひとりにつき、店舗スタッフがひとり常駐することになるという。当初の展開店舗数が31店舗となるのも、そのためのスタッフトレーニング等の手間暇があってのことだ。Oculus RiftやHTC ViveといったハイエンドVRシステムでは、さらに込み入ったオペレーションシステムの構築が必要になるかもしれない。

従来のネットカフェ利用形態に即した形で、手軽なVR体験が可能となるシステム

対応各店舗で提供される、店頭サービスの流れ
複合カフェ協会、ソリューション企業、コンテンツ配信企業の連携でVRへのタッチポイントを整備していく

 それでも楠岡氏は、VRサービスの店舗展開について非常に意欲的だ。「(VR市場の黎明期にあっては)各コンテツメーカーが最小限の負担でイグジットできるオフラインポータルが必要。オフラインが先行していくことによって、オフライン、ひいては一般のユーザーに広がっていきます。そのために様々なオペレーションを簡単にするシステムを構築してきました。店舗、コンテンツメーカーとWin-Winのモデルを構築しつつ、可能なら今年中に1,000店舗への展開を目指したい」と、鼻息も荒い。

 昨年末にはGearVR、今春にはOculus Rift、HTC Viveがローンチし、そして10月にはPlayStation VRが市場投入されるVR市場だが、まだまだ十分な市場形成は先の話。コンテンツメーカーにとっては先行投資となる色合いが強く残るなか、“実店舗”というエンドユーザーへのタッチポイントを積極的に提供していくことが「VR Theater」の役割となる。

 この取り組みは今後、VRゲーミングの世界にも大きな影響を与えていくことになるだろうか。注目していきたい。

ejeが担当するVRコンテンツ配信システム。「VR Theater」と、各コンテンツメーカーを繋ぐシステムだ

(佐藤カフジ)