ニュース

豪華客船で起きる狂気を描くホラーゲーム「Night Cry」。発売日を発表!

「Kickstarterバージョンを全て破棄して新しく作り直した!」

3月29日 発売予定

価格:
2,480円(税込)
3,980円(サントラ付/税込)
4,980円(サントラ・アートブック付/税込)
5,980円(絵コンテ・サントラ・アートブック付/税込)
左から池田氏、清水監督、河野氏、伊藤氏、小池氏

 世界を震撼させた伝説のホラーゲーム「クロックタワー」の魂を受け継ぐタイトル「Night Cry」の完成披露会が、2016年3月21日に都内の会場で行なわれた。会場には本作のクリエイターである河野一二三氏を始め、同じく共同クリエイターとして加わった、映画「呪怨」の監督である清水崇氏、「サイレントヒル」シリーズなどを手がけたイラストレーターの伊藤暢達氏、プランナーの池田祥也氏、効果音を担当した小池令氏が登場した。

【NightCry PV 0321】
「本作が映画化されたときには是非監督をやってみたい」と語る清水監督

 河野氏は「クロックタワー」シリーズのほか、「鉄騎」や「無限航路」を担当したクリエイター。本作に清水監督が加わっているのは、映画に肉薄したいからだとか。そうしたエピソードも含めて、本作の魅力を語ってくれた。

 清水監督は、本作のプロモーションビデオを2~3分でいいので作成して欲しいと言われたが、実際に作ってみたら13分もの長いバージョンになってしまったと語る。「数日前にイタリアのこぢんまりとした映画祭で流したのだが好評だった。『あれはシザーウォーカーだよね』という人もいて、『クロックタワーだろう』というので、クリエイターが一緒なんだよと答えて盛り上がった。イタリアでも知られているということですね」(清水氏)。

「最初の時から比べるとずいぶんと絵がきれいになった」と伊藤氏

 伊藤氏に話があったのは2013年の暮れくらいだったという。そのときには「クロックタワーのシザーマンというキーキャラクターの子孫にあたるクリーチャーのデザインを僕がやっていいのか」と考えたそうだ。「大きな重圧とともにうれしさがありました。そういう意味では本作に感謝しています」(伊藤氏)。

河野氏が「こんなに才能のあるやつがいるのかとおもった」と高い評価をする池田氏

 池田氏は昨年まで学生だったそうで、26歳ということもあり、このチームの中では1番の若手。「半年くらい前に入れていただいたんですが、クロックタワーは小学生の時から思い入れのあるゲーム。人を楽しませたいという思いだけで半年間しがみついてきました」とのことだが、河野氏は「半年で普通のスタッフの2年分くらいの仕事をしてくれた。こんなに才能のあるやつがいるんだとびっくりした」と語る。

小池氏は、効果音のリストを見て「これはインディーズではない」と思ったそうだ

 小池氏が声をかけられたのは2015年夏頃。かなりゲームもできていて、プレイもできる状態だったので、どんどんと効果音を入れられる状態だったそうだ。「1ユーザーとして楽しみながら音を入れた」と語るが、ホラーの効果音はちょっと特殊だったとか。「ゾンビや化け物を剣で倒すゲームばかりをやってきたので、ばさばさと切る音だったり、やられる音だったり、締め切りぎりぎりまで取り組んだ」(小池氏)。

 「クロックタワー」の名前を本作に使わなかったことについてだが、「クロックタワー」はカプコンとサンソフトに版権があるからだとのこと。「カプコンですでに『クロックタワー3』という新しいシステムのものが出ている。違うベクトルに進化しているので、そこでまた戻っちゃったというのはよろしくない。それに僕が何でインディーズでゲームを作りたかったかというと、クリックタイプのホラーゲームって制作のお金が出ないんです。でもどうしても作りたかった時にインディーズしか方法がないので、お金はクラウドファンディングで集めた。そういう所からも『クロックタワー』とは異なるタイトルで、中心となるゲームを作りたかった。こういうのをやりたいから作るよというのがインディーズ」(河野氏)。なおクオリティアップのため、Kickstarterで募集したときのバージョンはすべて捨て去って、1から作り直したのだそうだ。

 しかし3月29日の発売日にもかかわらず、まだまだブラッシュアップは続いているのだとか。「イベントシーンは労力はかかるんですが、先週大型のやつを3つ追加しました」と語る河野氏。小池氏によると「河野さんから先週金曜日くらいに、口から内臓を出して欲しいというリクエストをファミレスで受けまして……。それを入れてあります」のだとか。今回、発表会前にニコニコ生放送でゲーム実況の配信も行なわれたのだが、そこで登場したワゴンで潰されるシーンは、まだ“ダメバージョン”なのだそうだ。「あれをまだ差し替えようとしています。あきらめということを知らないので。本当に自分が気に入らないから、こんなものを残しておきたくない」(河野氏)。

PC版だけでなく、PlayStation VRでの展開も模索中

「隠し要素は……素直に作るので一杯一杯で。PS4版の話が来たらすごく変えたい」と河野氏
ゲームにはチャートが用意されているが、難易度としてはかなりのものだとか

 なおNight Cryは、PlayStation Vitaでの発売が予定されている。コンシューマーゲームとなると、ご存じのようにCEROを通さなければいけない。そこではバイオレンスシーンが絶対に問題になってくる。これについては「まだ何も考えないで突っ走っているので。プレイステーション 4版も出せればうれしいですけど、そのあたりはこれから経過を見ていくしかない。完全版をみたいならPC版を買っていただくしかないですね」と河野氏。

 奇しくも「クロックタワー」から20周年となった2015年をまたぐ形で登場する本作だが、河野氏はTwitterのリプライで20年経ったことを知ったそうだ。「『クロックタワー』の1、2を作ったあと、『ゴーストヘッド』の時にも『お前やるんだろ?』と会社に言われたんだけどやりません、と答えた経緯があるんです。『クロックタワー3』の時も三上真司さんから『手伝う?』と言われて手伝いませんと答えたこともあって。なぜかというと1、2でやりたいことをやりきったという感じがあったんですね。それがまたチャージされてきて、まだまだちょっとやりたいことがあるな。俺なりのホラー論みたいなのをゲームで表現したいということが出てきて。それで今回、全部ぶつけた物を作ってみようと取りかかった」(河野氏)。

 「僕の意気込みとしては、PS4、あとはPlayStation VR。あと清水監督による映像化、それは全部やっていきたい。PC版の売れ行きもあるかもしれないが、作りたいという思いさえあれば、チャンスはどこかでつかめるだろうと思っている。VRを実現したくって、正直うさんくさい動きもしてますから(笑)。謎の国の王族の方と会うとか、そんな動きをしてますので。意気込みを持ち続けてなんか実現したいとは思っています」(河野氏)。

 また次回作について聞かれた河野氏は、「実は伊藤さんにデザインしていただいた別バージョンのシザーウォーカーがいるんです。あれがどうしても活躍の場を作れなくて、ほんのワンシーンしか出せていない。ほんとはいろいろないアイディアがあって。伊藤さんからは出ない方が本物のシザーウォーカーと言われているという重圧もあるので。ラストのあと、『もしかしたらこの先は』と言うことが想像できるエンディングになっているので、それを見ていただいて想像してもらえればと思います」(河野氏)。

 本作のタイトル名だが、「最後までいろいろプレイしていただくと、なんでそういう名前なのかわかる」と河野氏。池田氏によると「プレーヤー次第で行動は自由なんですが、早く気づく人もいれば、最後の最後にあーなるほどとなる人もいると思います」のだそうだ。「わかりにくくてもいいやというスタンスとしてやっていて、謎や伏線をすごい張ってあるんです。でもわかりやすくは書いていない。それを自分なりに解釈して理解できるかどうかはユーザーさん次第。やった人がいろいろな感想を持って解釈をしてくれればOK。タイトルもその1つ」(河野氏)。

 骨太なホラー作品としてさらなる期待が高まる本作だが、ついに今月末には発売日を迎える。クロックタワーのファンだけではなく、ホラーゲームが好きな人は、是非ともプレイして欲しい1作だ。

本作には、「スパイダーマン」の監督であるサム・ライミ氏からもコメントが寄せられている
発表会前に開催された、ニコニコ生放送でのゲーム実況

【スクリーンショット】

(岩泉茂)