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モットーは「明るく楽しく」! 「スーパーマリオ30周年記念ライブ」開催
ビッグバンドで多様なノリノリアレンジを披露。近藤氏、手塚氏、宮本氏も登場!
(2015/9/22 08:39)
「『マリオ』の音楽は、明るく楽しくがモットー」とは、「スーパーマリオブラザーズ」の音楽と効果音を作曲した任天堂の近藤浩治氏の言葉だ。
「スーパーマリオブラザーズ」が発売された1985年9月13日から30年の節目となる2015年は、「スーパーマリオ」誕生30周年記念のイベントがゲーム内外を問わず開催されているが、「スーパーマリオ」シリーズのサウンドに注目したコンサート「スーパーマリオ30周年記念ライブ」が9月20日に大阪、9月21日に東京で開催された。
今回は9月21日開催の東京公演を取材することができたのだが、ここで近藤氏が話したのが、上記の言葉である。
ライブは「スーパーマリオ」シリーズ30年の歴史をビッグバンド編成によるサウンドで紐解くという内容となっていたのだが、もともとジャズの影響が見受けられる「スーパーマリオ」シリーズの音楽とビッグバンドは相性バッチリで、近藤氏のモットーを体現するかのように終始「ご機嫌」なサウンドが鳴り響くライブイベントとなった。
セットリスト
1.地上BGM(スーパーマリオブラザーズ)
2.「スーパーマリオブラザーズ3」メドレー
・地上
・アスレチック
・ワールドクリアファンファーレ
・Map1
・砦のボス
・エンディング
3.ウォーターランドとチコ
・ウォーターランド(スーパーマリオ64)
・チコ(スーパーマリオギャラクシー)
4.「Newスーパーマリオ」メドレー
・地上(Newスーパーマリオブラザーズ)
・アスレチック(Newスーパーマリオブラザーズ Wii)
・タイトル(Newスーパーマリオブラザーズ Wii)
・地上(Newスーパーマリオブラザーズ U)
5.「マリオカート」メドレー
・サーキット(スーパーマリオカート)
・ワルイージピンボール/ワリオスタジアム(マリオカートDS)
・タイトル(マリオカート7)
・サーキット(マリオカート ダブルダッシュ!!)
・レインボーロード(マリオカート64)
・レインボーロード(マリオカートWii)
・MarioKart8(マリオカート8)
6.ドルピックタウン(スーパーマリオサンシャイン)
7.メインテーマ(スーパーマリオ64)
8.ファンファーレ(スーパーマリオメーカー)
9.「スーパーマリオギャラクシー2」メドレー
・かくざいもくざい
・スライダー
・ジャングルグライダー
10.地下BGM(スーパーマリオブラザーズ)
11.パックンフラワーの子守唄(スーパーマリオ64)
12.決闘!歴代クッパ
・飛行船(スーパーマリオブラザーズ3)
・クッパへの道(スーパーマリオ64)
・大王星の決戦(スーパーマリオギャラクシー)
・ハイウェイ・バトル(スーパーマリオ 3Dワールド)
・クッパ戦(ヨッシーアイランド)
13.マリオ3Dランド&3Dワールド
・3Dランドのテーマ(スーパーマリオ 3Dランド)
・SPECIAL8(マリオ絵描き歌)(スーパーマリオ 3Dランド)
・ダブルチェリー峠(スーパーマリオ 3Dワールド)
・ヘビースネーク(スーパーマリオ 3Dワールド)
・スタッフロール(スーパーマリオ 3Dワールド)
14.「スーパーマリオワールド」メドレー
・タイトル
・地上
・エンディング
アンコール
15.アスレチックメドレー(近藤氏ピアノソロ)
・アスレチック(ヨッシーアイランド)
・地上(スーパーマリオUSA)
16.「スーパーマリオギャラクシー」メドレー
・フローターランド
・エッグプラネット
・天文台のロゼッタ
・ウィンドガーデン
コンサートは「スーパーマリオブラザーズ」の地上BGMのビッグバンドアレンジにはじまり、「スーパーマリオブラザーズ3」や「マリオカート」といった各タイトルのメドレーや「スーパーマリオ64」のメインテーマなど1曲に注目する曲目もあった。
アレンジに関しても多岐に渡っており、ビッグバンドアレンジを中心に、激しいエレキギターサウンドでクッパ戦を振り返るハードロック調の「決闘!歴代クッパ」、キレのあるフュージョンにまとめた「マリオカート」メドレー、ボーカルを入れることで壮大さを増したワルツ曲「パックンフラワーの子守唄」など、様々な側面から「スーパーマリオ」のサウンドを見せていくのが興味深かった。
個人的に良かったのは、ファンク風にアレンジした「スーパーマリオブラザーズ」の「地下BGM」。文章で伝えづらいのが心苦しいが、この曲は特徴的なベースライン「ダダダダダダ」とカッティングギターによるコール&レスポンスが中心になっており、そのコール&レスポンスを幾度となく繰り返して流れを作った後、「ダ、ダ、ダーダーダダーダーダ ダダダダダダ」の部分でバンド全体が同じ音をスタッカートで刻むという、原曲に大胆に解釈した曲目となっていた。音源として残らないのが残念なほど、迫力のある1曲だ。
また演奏の合間には近藤浩治氏だけでなく、「マリオ」を生み出した任天堂の手塚卓志氏、そして宮本茂氏も登場。近藤氏からは3音とノイズしか使えなかった当時の「スーパーマリオブラザーズ」の作曲について「パズルのように作っていた」と振り返ったほか、効果音については宮本氏の注文が厳しく、「効果音も1曲作るくらいの苦労」があったという。
「でもエンディングは好き勝手やってるよね」と宮本氏から水を向けられると、「エンディングはエンディングで大変なんですよ。スタッフが多くなると(スタッフロールが長くなって)その分長く作らなくてはならないので……」と近藤氏なりの苦労を訴えていた。
また9月10日発売のWii U「スーパーマリオメーカー」紹介コーナーもあり、来場者から参加者を1名選出し、コンサートのために作られた特別コースをプレイするシーンもあった。
その幸運な1名には宮本氏、手塚氏、近藤氏のサイン入り「スーパーマリオメーカー」がプレゼントされ、またプレイにあわせて近藤氏がピアノでBGMを生演奏するという趣向で、今回選ばれたのは小学2年生だという少年だった。
コースはマリオが描かれていたり東京タワーが描かれていたり、いろいろと仕掛けがあったのだが、少年は猛ダッシュですべてを吹き飛ばしていく爆走プレイを披露、生演奏と解説が追いつかないくらいの腕前で見事1発クリアを決めていた。
サイン入り「スーパーマリオメーカー」は宮本氏からの手渡しとなり、その際に少年は「任天堂で働きます!」とお辞儀。この発言に会場は大湧きで、宮本氏も「将来頼みますよ」と笑顔を見せた。
アンコールでは近藤氏のピアノソロによる「アスレチック」メドレー、そしてバンドによる「スーパーマリオギャラクシー」メドレーが披露され、大盛況のうちに閉幕となった。全体的に満足度は高い内容だったので、30周年以降のコンサート開催も期待してしまう。また閉幕直前、「今後もどんどん『マリオ』の曲を作っていきたい」と近藤氏。“明るく楽しい”「スーパーマリオ」の音楽にこれからも楽しみだ。
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