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「ファンタジーアース ゼロ」サービス移管と同時に大規模改修

段位システムやリプレイ機能の実装、キャラクター枠増加などを移管時に実施

9月17日~20日 開催(17、18日 ビジネスデー)

会場:幕張メッセ

入場料:1,200円(税込)

左から、内山スグル氏、リー・ユノ氏、竹添佳博氏

 東京ゲームショウ2015のスクウェア・エニックスブースにて、Windows用オンラインアクションRPG「ファンタジーアース ゼロ(FEZ)」の公開放送番組「裏オベ放送局 in TGS」が開催された。この番組には、プロデューサーのリー・ユノ氏、「T氏」こと竹添佳博氏、「GMウチヤマ」こと内山スグル氏が出演。

 「FEZ」はつい先日、現在サービスを運営しているGMOゲームポットから、スクウェア・エニックスに運営を移管すると発表された。「FEZ」はそもそも、スクウェア・エニックスが2006年に「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」としてサービスを開始したもの。しかし同じ年の年末に、それまでの月額課金から基本無料のアイテム課金制に変えた上で、タイトルも「FEZ」に変更し、当時のゲームポットにサービスが移管されたという経緯がある。

 サービス内容に変化はないものの、11月4日のメンテナンス開始前までにスクウェア・エニックス アカウントへの移管手続きを取らない場合、実質的に既存のアカウントデータが消失してしまう。プレーヤーは忘れずに手続きしていただきたい。

 今回の放送では、移管に関する話題に加えて、移管後のサービスやアップデートに関する話題が語られた。

運営移管は今後の発展のために

11月4日定期メンテナンスまでに移管手続きを行なわないと、キャラクターデータの引き継ぎが行なえなくなるので注意
移管されたアカウントに存在する全キャラクターに「アニバーサリーチケット」を配布

 まず最初にリー氏より、なぜ運営移管に至ったかの経緯が説明された。「10年もの長寿タイトルを今後縮小傾向に持っていくか、次の段階に行くのかを両社(スクウェア・エニックスとGMOゲームポット)で話し合った。ここ1、2年はオフラインイベントや大会もなく、縮小傾向にあった。ただスクウェア・エニックスとしては、ちゃんと発展させてこの先の『FEZ』を見せたい、次の段階に持って行きたい」という。

 古いゲームでも注力して発展を目指すか、それとも現在のユーザーを囲い込んで細々と続けるか。後者もビジネスとしては当然あり得る選択肢だ。そこが両社の考え方の違いとなったようだ。

 その上で、スクウェア・エニックスが再びサービスするということについては、「10年前には弊社にアイテム課金のノウハウ、サーバー、決済システムもなかった。この10年で体制も変わり、オンラインゲーム運営経験者も入ってきた。今なら運営できるのではないか。内山もそうだが、『FEZ』に携わっていた運営や技術者が弊社に揃っている。両社協議の上で弊社に移管することになった」とした。

 移管スケジュールは公式サイトにあるとおり。IDを移管したアカウントには、特典として過去の「ヴィラーノルーレット」で登場した武器または防具と交換できる「アニバーサリーチケット」が、アカウント内の全キャラクターにプレゼントされる。移管手続きの期限となる11月4日時点で存在するキャラクターに振り込まれるので、その日までにキャラクターを作れば特典を受け取れる。1度リサイクルした装備も再度受け取りが可能だ。

 11月4日から18日までは、データが引き継がれないがプレイは可能。内山氏は「データが引き継がれないので、お祭り的にすごいことをやりたい。50対50のドラゴンバトルとか」と語った。普段ありえない設定の戦争も楽しめそうだ。

 そして11月18日からは正式サービス。ゲーム内データでは、オーブが引き継がれない。サービス移管の際の法律的な問題で、有料通貨の引き継ぎができないようだ。放っておくと消失してしまうため、必ず11月4日までの消費していただきたい。内山氏によると「『ゴールドコイン』に変えておけば安牌」だそうだ。

 なお、ハンゲームでサービス中のZayinワールドは、システム的な面などで引き継ぎが難しいことから、11月4日10時でサービス終了となる。継続してプレイしたい方は、GMOゲームポットで運営されている他のワールド(クライアントも別)でキャラクターを作成し、移管時にアニバーサリーチケットを受け取ることをお薦めする。

移管と同時に大幅な改修を実施

ヘアとフェイスは大幅にポリゴン数がアップ

 運営移管はただサービス運営元が変わるだけでなく、「運営開発体制は今以上に強化してやっていきたい」という。そして現時点で決定していることとして、まず運営移管時に大幅なアップデートを行なうことが発表された。

 1つ目はフェイス&ヘアアップデート。既存のキャラクターのフェイスとヘアが改修され、10~20倍のポリゴンを使った繊細なビジュアルになる。さらに開発元のソフトギアでは、フェイスやヘアのタイプも増やしていきたいという話があるそうで、左右の眼の色を変えるような設定もできるように検証しているという。

 グラフィックスが美しくなると「重くなるのでは」と気になるが、既に防具などのグラフィックスでも昔とはポリゴン数を変えているそうで、「どのくらいまでグラフィックスを上げても問題ないのか計算してやっている」のだそうだ。また以前のグラフィックスが好きだという人は、現行バージョンに切り替えも可能。今後もグラフィックスの強化と同時に軽量化を進めつつ、サーバーも同社の別タイトルで培ったノウハウを活かし、より快適で安定したプレイ環境を提供するとしている。

人気? の女性フェイスタイプ7(通称7顔)は今回の資料に入っていないが、リー氏曰く「真の7顔になった」のだそうだ

 次は新たに加わる「段位システム」。戦争を繰り返すことで段位を認定する、レーティングシステムのようなものだ。レベルが最高まで上がったらやることがないといったことにならないように、また1つの国、1つのキャラクターで頑張れるようにという積み上げシステムになっている。

 段位は階級のようなもので、プレイすればするほど上がっていく。最初は上がりやすいが、上の階級に上がるのは難しくなっていく。また戦争に勝たないとほぼ上がらないという。またスコアリニューアルの際、前線と裏方を臨機応変にする人より、ずっと裏方をしている人の方がスコアが高くなるという傾向になってしまったことも鑑み、上位階級では戦わなければ階級が上がらないような仕組みになっている。なお、レベルキャップは現行の40から解放はしないとしている。

 次も新機能となる「戦場リプレイ機能」。ゲーム内のプレイ情報を保存・再生できる機能で、動画撮影のようにPCへの負荷もなく、ファイル容量も1回の戦争で数MB程度に収まる見通しだという。リプレイデータはゲーム内でリプレイでき、好きなシーンでストップしたり、視点を動かして違う方向を見ることもできるという。また他人からリプレイデータを受け取って、自分の環境で再生することもできるようだ。

 チュートリアルとキャラクターメイキングも改修される。チュートリアルの具体的な内容は検討中ながら、「『FEZ』の何が面白いかを5分、10分で伝えられるように改修する。今はMMOベースのものなので、アクションベースのチュートリアルにしたい」としている。

 他にもキャラクター枠が現行の3人から6人に増加、各種UIの改修なども予定されている。

レーティング的な要素の段位システム。1キャラクターでの継続プレイのモチベーションに
戦場のデータを後で再生できるリプレイ機能。動画保存ではないので視点変更も可能
チュートリアルとキャラクターメイキングも改修。アクション性の強いものに
残念ながら移管前には間に合わなかったが、待望のキャラクター枠増加も

移管終了後は戦争勝利にこだわるプレイを目指す

移管後も様々なアップデートや施策を予定

 さらに移管終了後の見通しも語られている。しばらく開催されていない公式バンクェット大会も復活。バンクェット以外の大会も開催したいとしている。内山氏は「どこの国が強いのか、どこの部隊が最強なのかを知りたい」とも語っていた。

 以前から言われている位置ズレ対策も継続する。「今も攻撃が当たらないなどの声があるので、移管後もより力を入れていく」としている。

 戦争で勝利よりも個人プレイを優先する傾向についてもコメント。「それも『FEZ』だが、そういう人がどうすれば戦争勝利にこだわるのかを考える」という。先程あった段位システムも、勝利しなければ上がらないという点では繋がった話といえる。他にも現状ほとんど意味をなさなくなってしまった、経験値、練兵ポイント、部隊ポイントなどの改修も行なうとしている。

 「クロニクルズ」については、これまでも何度か手を加えられてきたが、一旦ゲームから取り去って見直すことになった。「当初に想定したものとは別物になっているので、イベント等のときに入れて別の機会に使いたい」としている。

 運営移管と言うと、サービスを投げ出したような印象があるかもしれない。ただ「FEZ」に関しては元々スクウェア・エニックスのタイトルであり、深く関与し続けてきた。より発展させるための移管であり、事実として大幅な改修も加えてのサービス再開となる。今後の展開にも期待していきたい。

(石田賀津男)