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さらに完成度を上げた、PS4版「Weapons of Mythology」

コントローラの研究を深め、街のグラフィック変更などカルチャライズも強化

5月取材



 ライオンズフィルムはメディアを台湾に招き、自社がサービスするタイトルの開発会社を訪れるプレスツアーを開催した。MMORPG「Weapons of Mythology」を開発するGamemag Interactiveでは、2月のTaipei Game Show 2015取材時に続き、PS4版の「Weapons of Mythology」を見ることができた。

 前回より3カ月開発が進んだPS4版は、グラフィックスがさらにパワーアップしていた。驚かされたのは街のグラフィックスの変更である。PS4版は日本でのサービスを意識し東洋的な雰囲気をあえて減らし、グラフィックスをPC版以上にブラッシュアップする。そしてこの変更は、今後PC版においても行なっていくという。

UIのカスタマイズに注力、コントローラでプレイしやすい環境を

Gamemag Interactiveのマーケ本部長のCasper Chou氏
ゲームの説明はプロデューサーを務めるSamuel Huang氏が行なった
PS4版と、PC版を比較できる環境でデモプレイが行なわれた
Gamemag Interactiveも取材することができた

 「Weapons of Mythology」のPS4版の紹介はGamemag Interactive本社で行なわれた。Gamemag InteractiveはXPECの開発スタジオで、台北市から南の新北市新店区で、XPECの新社屋と同じフロアにある。今回はXPECとGamemag Interactive社内も見ることができた。

 Gamemag Interactiveのマーケ本部長のCasper Chou氏は、「『Weapons of Mythology』は日本ユーザーを意識し、大きく手を加えていきます。今回はこの注力部分を見てもらいたいと思っています。私達もPS4版に期待しており、ライオンズフィルムの森さんとともに日本市場開拓のために努力していきたいと思っています」と挨拶した。

 ゲームの説明はプロデューサーを務めるSamuel Huang氏が行なった。前回から3カ月開発が進んだPS4版だが、力を入れた点の1つとして、「○×ボタンによる項目決定」があるという。PC版をPS4版に移植した場合、インターフェイスをPCでのマウス使用のままにすると、カーソルをウィンドウに動かしてボタンを押さねばならないゲームも多い。「Weapons of Mythology」のPS4版は、○で決定、×で戻ったり、否決という形で、UIそのものを大きく変更している。

 また、アイテムでの使用や捨てるなど、サブメニューに関してPC版では左クリックだが、PS4版ではサークル状にサブメニューが開く。こちらはさらに改良を考えているという。また、ログインに関してはPSNにひもづける予定で、立ち上げる度にパスワードを入れるといった作業は必要がなくなる。ロードのスピードも前回より上がっており、こちらはさらに工夫していくという。

 「Weapons of Mythology」は「レリック」という武器を状況によって持ち替え、レリックのスキルを活用するのが重要となる。PS4版ではショートカットキーにスキルを登録することですぐにレリックの持ち替え、そしてスキルが使えるようになる。使用できないスキルのショートカットは黒く表示され、間違えて使う心配もない。アイテムなども使用可能で、現在さらに使いやすさを追求している。

 そして、PS4版「Weapons of Mythology」の特徴としてHuang氏が強くアピールしたのが「グラフィックスの変更」だ。今回はPC版と並べてみたのだが、プレーヤー達の拠点となる街が、中国風の瓦屋根の建物から、中世ヨーロッパの城塞都市風に変わっているのだ。これらの見た目は、プレーヤーにとってよりなじみやすく、ファンタジー風の世界観の印象を与えるように変更するという。

 変更はまず、最初のチュートリアルフィールドと、中心となる街を変える。世界観をヨーロッパ風にするだけでなく、オブジェクトが少なく、単調になりがちな街の広場をもっと見やすくし、プレーヤーが集まりやすい見た目に変えていく。建物も増やし、見応えのある見た目にする。街の中心はイベントなども行なわれる場所である。プレーヤーにより親しみやすい場所にすべくデザインを変えるとのことだ。この他、露店でのアイテムの購入の仕方や、アバターアイテムの使い方など、様々な要素もPS4のコントローラで使いやすい形にする。

 この他、視点変更などにも工夫がある。視点変更は右スティックで行なうが、スティックを押し込むと瞬時にキャラクターの後ろからのデフォルトに戻る。さらにターゲットを指定していれば、そちらに向く。また、PS4ではデフォルトでボイスチャットが使えるが、PC版ではないためどのような仕様にするかは検討中だ。キーボードによるチャットはこれから調整していくという。

 日本での「Weapons of Mythology」は、PC版、PS4版は同一のサーバーで遊べる予定だ。街の風景が異なる場合は「あの建物に来て」といったときに齟齬が生じかねないが、PC版のグラフィックスも今後PS4版と同じように変更していくという。

 今回はボス戦も楽しめた。強いキャラクターを使ったため操作は簡単で、駆け引きも必要ないバランスだったが、キャラクター移動、スキルの使用、ターゲットの変更など簡単にできた。現在のバージョンだとちょっとターゲットを選ぶ操作がわかりにくい部分もあったが、今後改良されていくだろう。

 今回改めてPS4版を触ってみて、開発側の並々ならぬ熱意を感じた。PS4コントローラへの対応に対しては、PC版MMORPGをどのようにPS4に落とし込むかを様々なポイントから考え、使いやすいように、直感的に操作しやすいように変えられている。過去、コントローラへの対応というのは、韓国や台湾のタイトルでセールスポイントとしていたものもあったが、大抵は使いにくく、その場しのぎなものが多く、結局キーボードでプレイする、というものが多かった。しかし、「Weapons of Mythology」に関してはかなり本格的に研究し、今後の開発にも活かせるような熱意で取り組んでいるのが伝わった。

 PS4の基本プレイ無料タイトルは増えつつあり、これまでMMORPGをプレイしていなかった人もPS4をきっかけに触れる、という人も少なくないだろう。Gamemag Interactiveの熱意のある取り組みが、どのように受け入れられるかは注目したい。

【街の変化】
左がPS4版。街が西洋風になっているのがわかる

【スクリーンショット】
PS4版のスクリーンショット

XPECと、Gamemag社内。ホワイトボードのイラストは、「ファイナルファンタジー XV」を手がけているスタッフのもので、自慢のものだという

(勝田哲也)