ニュース
「Ingress」で世界遺産を制覇!ベトナム縦断1,500kmの旅
ロングリンクなるか!? 古都、旧跡を結ぶCFのトライアングル
(2015/5/19 12:00)
米Googleの社内スタートアップNiantic Labsが開発、運営する位置情報ゲーム「Ingress」。アイテム課金を含め、プレイに対して料金を支払う必要が一切がなく、誰でも気軽に始められる。日本では、自治体の町おこしとしての活用やコンビニチェーンとのタイアップで認知が進んだこともあり、ゲームユーザーのみならず一般層へもプレイ人口が拡大している。
筆者は、2013年2月にβプレーヤーとして招待されたものの、チュートリアルもそこそこに長らくプレイしないで放置していた。2015年のゴールデンウィークを利用して、ベトナム南のホーチミンシティから中部の古都フエ、ホイアン、ダナンを巡り、北部ハロン湾とその近隣都市ハイフォンを経てハノイに至るベトナム縦断旅行を計画していたことから、エンライテンドのエージェントとして異国の地で再デビューを果たすことにした。
南北1,650km東西600kmに渡るベトナムの国土は南北に長くS字形で、中部から北部にかけては北に進むほど東に湾曲している。目指すは日本の東京では成しえない長距離リンク。あわよくばホーチミン=ハノイ間の1,500kmリンク、それがダメでもユネスコ世界自然遺産のハロン湾を横断するリンクの橋をかけてみたい!
本稿では、連日35度の灼熱の下、右も左もわからぬ異国の地で繰り広げた、目に見えぬ敵エージェントとの10日間の死闘の模様をお伝えしたい。願わくば、本稿が日本人エージェントの海外遠征の一助にならんことを!
位置情報ゲーム「Ingress」とは?スマホ片手にイージープレイ
本題に入る前に「Ingress」について簡単におさらいしておこう。ゲームルールそのものは非常にシンプルで、プレーヤーはグリーンのエンライテンドとブルーのレジスタンスのうち、いずれかを選択する。どちらの陣営に所属してもプレーヤーのやることに変わりはなく、ゲーム設定上のエネルギー「XM」が噴き出しているポータルに対応する現実世界の場所に赴き、モバイル端末を操作してレゾネーターを配置する。1つのポータルに対して8つのレゾネーターを配置すると、他のポータルに対してリンクを張ることができるようになる。3つのポータル同士をリンクするとコントロールフィールド(以下、CF)と呼ばれる三角形ができあがり、その内側が自陣営のカラーで塗りつぶされる。CFからは、支配下の人口を指し示すマインドユニット(以下、MU)が、陣営ごとに集計される。集計された全世界のMUの総数が、現在の両陣営の優劣というわけだ。
ホーチミシティ到着、そしてただちに通信環境を確保!
日本からの深夜便で最初に降り立ったのはホーチミンシティ。ベトナム最大の経済都市で、かつてはサイゴンと呼ばれていた旧南ベトナムの首都だ。
「Ingress」をプレイするためには、常時ネットワークに接続し、GPSで位置が取得できる状態でなければならない。筆者は、いわゆるSIMフリーのiPhone5sをプレイ端末として用意した。「Ingress」はバッテリーの消耗がなかなか激しい。そこで、さらにモバイルバッテリーを2個準備し、丸1日活動してもバッテリー切れにならないように万全の準備を行なった。不慣れな外国で紙の地図やガイドブックを持ち歩かない場合、モバイル通信が生きていることは文字通り生命線だ。バッテリーが切れてしまうと、「Ingress」どころか、右も左もわからずに途端に路頭に迷ってしまう。
通信キャリアについては、渡航前にある程度調べておいた。ベトナムには、郵政系のmobifone、vinaphoneと、軍関係のviettelの大手キャリアが3社あり、いずれも国営企業だ。そのうちviettelが地方都市でも3G通信に強いという評判であったため、viettelのプリペイドSIMカードをホーチミンのタンソンニャット国際空港で購入することに決めていた。1カ月間3GBまでのデータが利用できるプランと共に、viettelのSIMカードを29万ベトナムドン(日本円で1,640円)で購入した。
ベトナムでの通信は、コストの面からいうと、現地キャリアのSIMカードを購入するのが最も安い。市内では、キャリアショップでなくても、あちこちの商店でSIMカードや課金用のトップアップカードが空港より割安に販売されているのだが、そういった商店では英語が通じないことが多い。よって多少割高でも空港で通信環境を整えるのが無難だ。ただし、人によっては団体ツアー等で単独行動が許されなかったり、旅行期間の問題で無駄な待ち時間が生じることを嫌うケースもあるだろう。
また、空港のブースでは問題なく英語が通じるし片言の日本語も大丈夫な印象だったが、なかなか外国人とのコミュニケーションに勇気がいる人もいるだろう。そういった人には、日本の空港でモバイルWi-Fiルーターを借りていくか、日本のキャリアの海外ローミングプランを活用するのもオススメできる。何事も準備が大切。通信ができないと「Ingress」をプレイすることはできないのだから、自分にあった方法で環境を整えておこう。
ホーチミン市内各ポータルをハック、ハック、ハック!
ホーチミン市内に入ってからは、まずは小手調べと早速街に繰り出した。大都市であるがゆえ、ランドマークを始め、市内のちょっとしたオブジェや看板でさえも、すでにポータルとして登録されている。筆者のホーチミン滞在は約2日半で、最後の半日は移動日となるため実質2日間の滞在だ。あらかじめ日本で4日ほどプレイし、レベルを5まで引き上げておいたものの、エージェントとしてはまだまだのレベルである。そこで両日とも、市内の主要な観光地を徒歩で回りながら、高レベルの敵ポータルにはハック、低レベルのものにはグリフハックを仕掛け、味方ポータルにはグリフハックに加え、レゾネーターのデプロイとアップグレードを繰り返し、APとアイテムの獲得に努めた。もちろん中立ポータルを見つけては、レゾネーターをデプロイすることも忘れない。幸か不幸かホーチミンはブルーのレジスタンス側ポータルが多い。はやる気持ちを抑え、ここはじっと我慢のプレイだ。
そう思ったのもつかの間、アイテムが順調に溜まりだすと我慢がきかなくなる。特に目玉のランドマークともなると、ちょっかいをかけたくなるのが人情というものだ。そこで初日は、歴史的な建造物と比較的新しいショップが混在するドンコイ通りの西北端に位置するサイゴン大教会ノートルダム大聖堂に破壊工作を仕掛けた。教会周辺は、レジスタンスのポータルがひしめき合っている。完全制圧したい気持ちを抑え、作戦目標をあくまでサイゴン大教会の奪還のみに絞った。
アイテムの消費を抑えるため、定石通りポータルの中心でUltra Strikeを発射し、完全にMODを破壊する。シールドMODさえ剥がしてしまえば、各レゾネーター上に移動しないでポータル直上に位置した状態でもXMP Bursterを叩き込めば、比較的容易に全レゾネーターを破壊できる。2種類の武器共に、リング状のアニメーションが中心に集中するタイミングを見計らい+20%のボーナスを狙う。L6のポータルだったが、L5のXMP Brusterを20発も撃たないうちに奪還することに成功した。気を良くした上に、周辺のポータルにもダメージを与えていたため、ここぞとばかりに教会正面のマリア像、教会内のイエス像の敵ポータルも破壊。中立化したポータルにレゾネーターを配し、手中に収めて終了。リチャージ用のポータルキーを手に入れて、即座に離脱した。3つのポータルが、ほぼ一直線に約20m間隔で並んでおり、リンクしても大きなCFとはならなかったため、リンクしなかったが、今思うとAP獲得のためにリンクしたほうが良かった。
2日目に訪れたのは、戦争証跡博物館だ。東西冷戦下にアメリカが支持する南ベトナムと、旧ソ連が支持する北ベトナムとの間で勃発したベトナム戦争の悲惨さを現代に伝えている。敷地内には、ベトナム戦争当時、両軍が使用した兵器や砲弾の実物が展示されており、その多くが「Ingress」のポータルとして登録されていた。
基本的な攻略法はサイゴン大聖堂と同様だが、30m四方ほどの密集したエリアに10個以上のポータルがあるため、近接するポータルのレゾネーターにもかなりのダメージを与えることができ、破壊活動は非常に迅速に行なうことができた。
滞在3日目は時間も限られていたことから、早朝から、グエンフエ通りの中央付近から人民委員会庁舎までの半径500m程度の範囲を3時間ほど、散歩がてらハックとデプロイするにとどめた。この2日間で獲得したアイテムも昨日までのポータル奪還作戦でかなり消費していたが、幸運なことにこの日から獲得AP1.5倍、Ultra Strikeの獲得数2倍のボーナス期間が始まっており、レベルアップに弾みがついた。その結果、ちょうどレベル6になったところでホーチミンでのプレイを終えて次の目的地に気持ち良く出発することができた。