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WIN「黒い砂漠」、プレオープンテスト参加レポート

特徴的なシステムは理解するほど奥深い! 「貿易」で大金持ちも目指してみた

2015年上半期 オープンサービス開始予定

プレイ料金:無料

ビジネスモデル:アイテム課金制

 ゲームオンは、4月1日から10日までWindows用MMORPG「黒い砂漠」のプレオープンテストを開催した。

 「黒い砂漠」はノンターゲティングのアクション性の高い戦闘と、奥深い生活コンテンツが特徴のMMORPG。今回実施されたプレオープンテストはクローズドβテストに相当するもので、事前の抽選に当選した30,000名の参加者によって行なわれた。

 プレオープンテストは今後のサービスへのデータの引継ぎはなく、開放されているエリアやレベルキャップに制限があったが、ゲーム内は多くのプレーヤーで賑わっていた。筆者も短い時間だがプレオープンテストに参加することができたのでインプレッションをお届けしたい。

理解するほど深まっていく「黒い砂漠」の世界

リアルさにこだわった世界が、シームレスに広がっている
生活コンテンツは1つ1つが奥深く、やりこみ要素も多い

 「黒い砂漠」には様々なシステムとコンテンツが用意されているのだが、正直に書くと、最初に本作に触れた時は「変わったシステムを持ったゲーム」という印象を受けた。筆者としてはそれが複雑にも感じたのだが、システムについての理解が深まるにつれ、その複雑さが魅力に変わっていった。

 例えばアクション性の高い戦闘。ノンターゲティングというだけでなく、キーボード操作とマウスクリックの組み合わせで様々なスキルを出し、コンボを繋げることができる。アクションゲームとして爽快感があるのだが、開発元のPearl Abyssは「C9(Continent of theNinth)」を開発したスタッフも在籍しているそうで、その流れを感じることができる。

 そして生活コンテンツとなると、とにかくできることの幅が広い。釣り、貿易、アイテム採集、錬金、料理、制作……などなど様々な遊び方がある。例えば釣り1つとっても地域によって釣れる魚が異なったり、釣りを続けているとレベルが上がって海上の釣りが可能になったりと常に変化し続ける。他の生活コンテンツについても同様で、プレイするほど幅が広がっていく。

 筆者は様々なオンラインゲームをプレイしてきたが、戦闘と生活コンテンツをここまで作り込んでいるオンラインゲームには出会ったことはなく、気がつけば本作の世界にどっぷりと浸かってしまった。そのすべてを体験できたわけではないのだが、以下では順を追って説明していきたい。

キャラメイクはドラッグ操作で骨格から調整

キャラクターメイクもかなり細かい部分までこだわれる。性別を自由に選べないのが残念だ

 まずは「黒い砂漠」の世界に降り立つ前に、キャラクタークリエイトに触れておきたい。

 プレオープンテストでは「ウォーリア」、「レンジャー」、「ソーサレス」、「ジャイアント」という4つのクラスを選択できた。ちなみに本作にはタンクやヒーラーといった役割分担はなく、全員がほぼアタッカーである。

 本作のキャラクターメイクは開発者の情熱的なこだわりを感じる。特に顔の調整はパーツが30カ所ほどにもわかれており、パーツそれぞれをドラッグ操作によって骨格レベルから調整できる。細かな部分で言うと髪の毛のウェーブのかかり具合や、虹彩までカスタマイズできる。

 数値の上げ下げでなく直感的に顔の作りを変化させられるので、プレーヤーによってはキャラクターメイクだけでも軽く1日は遊べるボリュームだ。もちろんテンプレートのキャラクターも用意されているので、好みのキャラクターを選択してサクッと世界に降り立つこともできる。

 唯一残念なのが、クラスごとに性別が固定されていることだ。細かなキャラクターメイクを実現するためなのかもしれないが、ここは気になるプレーヤーもいることと思う。ただし韓国では多くのクラスや性別が用意されている。日本での正式発表はないが、今後に期待したい。

 さて本作の操作方法だが、移動は基本的にWASDキーで行ない、マウスの左クリックや右クリック、キーボードのE、Fキーなどを使って戦う。

 各種スキルは一般的なMMORPGのようにショートカットに登録して、そのキー押下で出すこともできるが、マウスのクリック操作とW、A、S、Dキーの組み合わせで多彩なスキルを発動できる。こうすると指の移動を最小限に留められるようになっていて、プレイしやすい。本作はノータゲティングの戦闘なので動きが激しいが、その分操作のしがいがある作りだ。

【スクリーンショット】
キーボードとマウスクリックの組み合わせで発動するスキルと、ノンターゲティングシステムのおかげでアクション性の高い戦闘が楽しめる、

シームレスで没入感の高い世界設計。リアルタイムに時間が流れる

画面内におさまり切れていないが、プレオープンテストで入れるエリアはもう少し広い。ちなみにマップ画面では地下水の量なども見られた

 次にフィールドについて。本作の世界は、シームレスに広がっている。ゲーム起動時に少し長めのローディングが入るが、世界に降り立つと以降はローディングが発生しないようになっている。MMORPGはエリアを跨ぐとローディングが挟まる仕様のものが主流だが、それが省かれているためゲームへの没入感はかなり高い印象だ。

 さらにリアルタイムでゲーム内時間は過ぎており、太陽もあわせて動く。日中帯は明るいが、夕方になれば世界は夕焼けに染まり、夜になるとすっかり暗くなる。また天候の概念もあり、時折雨が降ることもある。

 これは単なる演出というだけでなく、時間の概念や天候はゲーム内の要素にも影響している。夜は敵が強くなるし、夜しか取引ができない商人がいる。また雨が降ると「加工」の1つ「干す」という作業ができなくなるという具合だ。

 序盤は多くのMMORPGと同じようにクエストを進めてゲームへの理解を深めていく、というシステムになっている。

 今回のプレオープンテストで開放されていたのは「バレノス自治領」「セレンディア自治領」という2エリアで、テストとは言え昨今のMMORPGと比較するとかなり狭めに制限されていた。マップの端から端まで歩いて移動すると2時間弱といったところだろうか。この範囲でもプレイは十分に楽しむことができた。

【スクリーンショット】
グラフィックスも美しく、ぼんやりと風景を眺めるのも楽しい

生活コンテンツに没頭。貿易をメインに大金持ちを目指す!

貿易とにお役立ちの馬車。クエストを進めていけば入手できる

 自由度の高さがウリの本作では、生活コンテンツ1つをとっても非常に奥深い。本稿だけではとても紹介しきれないので、ここでは筆者がどんなプレイを選択したかを中心としてお伝えしたい。

 今回筆者が目指したのは、プレイの中心を「貿易」にして大金持ちになる……という貿易商プレイだ。

 「黒い砂漠」の貿易システムは、まず「貿易」で利益を上げるために、アイテムを仕入れる街や村からアイテムを売却する街や村まで貿易ルートを繋ぐ必要がある。

 貿易ルートを繋ぐには街や村、そしてそれらを繋ぐ要所に「貢献度」というポイントを投資し「拠点」を解放する必要がある。入手できるポイントには限りがあるが、「拠点」をキャンセルすることでポイントが返ってくる。拠点の発見と管理から、貿易商の夜明けは始まる。

 貿易ルートさえ繋がれば後は簡単だ。町ごとの「特産品」を仕入れて、別の町に売りに行けばガッポリ儲かる……はずだったのだが、元手が少なかったのと、荷物1つあたりの利益がそれほど高くなかったため、あまり大きくは儲からなかった。

【スクリーンショット】
相場情報をチェックし、安く仕入れ高く売れそうな町に売りに行く。もちろん相場は変動するので要注意だ
陸上貿易でお役立ちの馬車。特産品を運んでいると通りすがりのNPC盗賊に襲われることもある

 このままでは大金持ちになることはできない、どうすれば良いかと考えた時に「『特産品』を自作すればいい」ということに気がついた。

 自作できる「特産品」のリストを眺めていると、「魚」を箱詰めにすれば良いというものがあり、筆者は「これだ!」と思った。

 というのも、本作では草刈りなどの採集やNPCと会話など、様々な活動に「行動力」というポイントを使うため行動に限りがあるのだが、採集の中でも例外的に「釣り」は行動力を使わずに釣ることができる。つまり時間さえかければ大量の魚を入手することも可能というわけだ。

 目標を魚の採取に合わせ、早速作業にとりかかる。まず、魚を箱詰めに加工するには、「ブラックストーンの粉末」というアイテムが必要となる。

 調べると、このアイテムは町にある空き家を「精製所」として借りて、「労働者」を働かせることで作成できることがわかった。作成に必要な素材はマップに点在する岩石を採掘することで入手できる「粗石」なので、問題なく入手できる。

 さらに作業は「労働者」に任せておけば自分の行動力は消費しないので、自分の行動力は全て「粗石」集めに使える。あとは魚をがっつり釣ればがっぽり儲けられる……はずだったのだが、問題はそこではなかった。

【スクリーンショット】
空き家をレンタルし、「労働者」を働かせてアイテムを精製する。貢献度さえあれば複数の空き家をレンタルすることも可能だ

 実際に釣りを始めてみると、箱詰めできるほどの魚が釣れないのだ。引っかかるのはわかめや網など大した売値にならないものばかり。

 なぜなのか……と、ふとマップを開くと、釣り人が多すぎて漁場資源が減少していることがわかった。本作では、釣り人が1カ所に殺到し過ぎると資源が枯渇していくシステムが組み込まれている。みんな考えることは同じで、釣り人が大量発生していたというオチ。

 というわけで筆者の大金持ちになる夢は簡単に崩れ去ったのだが、唯一救われたのが「粗石」集め中に「宝石付き石ころ」というアイテムを入手できたことだ。

 この時、ある程度プレイした筆者の所持金は7,000シルバーほどで、このアイテムの売値は9,600シルバーだったので懐は大きく暖まることとなった。行動すれば、こうした拾いものもあるものだ。

【スクリーンショット】
グラフの青い棒が漁場資源の量を表している。海で釣るのは諦めて川に釣りに来てみたのだが、こちらも資源が枯渇していた
採集でもレアなアイテムが入手できるようだ

奥深さゆえ、ゲーム導入部分がポイント。運営側のサポートに期待

 というわけで本作の魅力の一部を伝えてきたが、気になる点もある。それは冒頭にも述べたとおり、ゲームの内容が奥深すぎるがゆえに、導入部分でいかにスムーズにゲームに入れるかがポイントだということ。筆者はオンラインゲーム歴10年を越え、かなりのMMORPGを渡り歩いてきた自負があるが、情報の多さに混乱してしまった。その先には実に楽しい世界が待っていたのだが、ここをすんなり乗り越えられるかどうかでゲームの印象はだいぶ変わるだろう。

 例えばクエストで言うと、最近のMMORPGでは最初から順番にクエストをやっていけば、ゲーム内のシステムを理解しつつ、順々に次のエリアに行けるというようにレールが引いてあることが多い。しかし本作の場合は適当にクエストを受けていると町と町の間を何度も往復することになり、メインのクエストが何だったかわからなくなってしまう。

 それほど多くのコンテンツが用意されているということなのだが、一方で筆者が「貿易」や「生産」といった生活コンテンツを楽しみたかったのに、システムを解説してくれるクエストになかなか出会えないという問題もあった。

 この点は、実はプレーヤーと一緒にいていつでも呼び出せる「闇の精霊」に「ガイド」という名称のボタンがあり、そこから生活コンテンツを楽しむためにどこに行けば良いかを教えてくれた。プレイしていると気付きづらいポイントなので、生活コンテンツをプレイする際の参考にしていただきたい。

 こうした問題点は運営側も意識しているようで、公式サイトで序盤の進め方のムービーが公開されていた。将来的に公式サイトなどで初心者向けのガイドなどを充実させていけば、その点はカバーできるだろう。

【スクリーンショット】
ステータス画面、クエストの受注リストのウィンドウだけでもかなり情報量だ

 かなりのボリュームになってしまったが、この記事で紹介した遊び方は筆者の体験のほんの一部にすぎない。他にも全体チャットを見るとイカダを作ったり、「宝の地図」の攻略に注力しているプレーヤーもいた。それぞれが自由に行動し、それらの行動が他のプレーヤーに影響を与えていくのはMMORPGならではの楽しみだ。

 「黒い砂漠」は2015年の上半期にオープンサービスを予定している。プレオープンテストに参加できなかった読者も、この記事を読んで初めて本作を知った読者も、この「黒い砂漠」の世界に飛び込んでほしいと思う。

(八橋亜機)