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AC「DISSIDIA FINAL FANTASY」最後まで逆転可能な熱い駆け引き

発表会「Closed Coference 2015」で明らかになったこととは?

4月10日 開催

【「DISSIDIA FINAL FANTASY」】

2015年秋 稼働予定

豪華な出演メンバーだが、発表会自体はゲームに関する解説に終始するドストレートな内容となった
会場のエントランスには登場キャラクターの垂れ幕が飾られていた

 スクウェア・エニックスは4月10日、アーケード用オンライン・パーティ対戦型アクションゲーム「DISSIDIA FINAL FANTASY(ディシディア ファイナルファンタジー)」の発表会「DISSIDIA FINAL FANTASY Closed Coference 2015」を開催し、ゲームシステムなど詳細を発表した。

 「DISSIDIA FINAL FANTASY」は、2月に開催された「JAEPO2015」で発表され、公開されたティザームービーも注目を集めたが、ゲームの詳細については一切発表されずにいた。今回開催された発表会では最新の映像が公開されると共に、実はコーエーテクモゲームスのTeam NINJAと共同開発されていた事実など、様々な情報が公開となった。

 発表会冒頭、同社代表取締役社長の松田洋祐氏が「20周年記念タイトルとして発表されたPSP版。今回30周年を迎えアーケード用として開発を進めている」と切り出し、同社の間一朗プロデューサーが登壇。ここでいきなりコーエーテクモゲームスのTeam NINJAと共同で制作が進められている事実が公開された。

 コーエーテクモホールディングスの襟川洋一代表取締役社長とTeam NINJAの早矢仕洋介プロデューサーが登壇し、襟川氏は「切れの良いアクションを作り上げている」と自身たっぷりに語ると共に、現在の状況として「精一杯仕上げにかかっている」と説明。一方、早矢仕氏は「Team NINJAは2000年まではアーケードゲームを開発するチームだったが、13年間リリースしていなかった久しぶりに(DEAD OR ALIVE 5 Ultimate Arcade)リリースして、我々としても、アーケードへの挑戦となる。スマホ全盛の時代にアーケードでしか遊べない、特別なゲームを作っている」と熱い気持ちで取り組んでいるとコメントした。

 さらにここで呼び込まれたのが、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアの盛田 厚プレジデント。実は「DISSIDIA FINAL FANTASY」はプレイステーション 4のカスタマイズ基板を使用して制作が進められている。盛田氏は「『DISSIDIA FINAL FANTASY』シリーズは(PSPでリリースされたこともあり)SCEと共にある。元々プレイステーションはアーケードの持つワクワクした感じを再現するところからスタートした。目指す体験はそこにある。『DISSIDIA FINAL FANTASY』シリーズはPSにとっても大切な作品」と語り、PS4のコアシステムを提供し、機能面をカスタマイズしながら開発が進められているのだという。

 間一朗プロデューサーは「主戦場はアーケード。少なくとも1年間はコンシューマーには移植しないつもり」と語ったが、盛田氏は「アーケードとコンシューマーの架け橋となるタイトルだと思う」と期待感を示した。

【「DISSIDIA FINAL FANTASY」ティザートレーラー】

松田洋祐代表取締役社長が冒頭に挨拶
開発を担当するコーエーテクモホールディングスの襟川洋一代表取締役社長(左)と、早矢仕洋介プロデューサー(右)
中央がソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアの盛田厚プレジデント。PS4のコアを使用していると言うことで移植への期待感を語った
ゲストの手でついに筐体が公開された

筐体はオリジナル。2つのレバーとボタンはPSのコントローラーを意識

2つのレバーの上にはボタンが配されている。○△□×が配されているが、「これは仮のもの(間プロデューサー)とのこと」

 発表会開始直後は布がかけられていた筐体だったが、松田社長とゲストの手によりついに公開された。白を基調としたデザインについて間プロデューサーは「『DISSIDIA FINAL FANTASY』は女性ユーザーが多かった。なので、初めてアーケード施設に来るユーザーも多くなると思う。なので、『とっつきやすくしてくれ』と注文を付けた」とコメント。

 もう1つの特徴はその中央に設置されたクリスタル。これも「ファイナルファンタジー」らしさということになる。「どうやって目立つのか?」、「ファイナルファンタジーらしさとは?」という自らへの問いかけの中で残っていったキーワードがやはり「クリスタル」。そしてこのクリスタルは単なる飾りではなく、外せない要素としてゲームの重要なときに必要となる。

 早矢仕氏は、制作当初はアーケード基板で制作を開始していたと振り返った。そんな中でPS4基板に切り替えたわけだが、その理由として「『ファイナルファンタジー』というIPは圧倒的に美しいグラフィックスであるべき。コーエーテクモゲームスでこれまで作ってきたPS4タイトルのノウハウも注ぎ込み、1番きれいなグラフィックスで1番面白いゲームを作ろうと思った」とコメント。

 さらに、「DISSIDIA FINAL FANTASY」は60フレームで描画されるが、「60フレームで描画され、アーケードタイトルなのでレスポンスも大切にしている。そう言ったときにPS4(のパワー)が必要だった」と技術的にもベストチョイスだったことを明かしている。会場ではアーケード基板で開発されたグラフィックスとPS4コアを使用した基板でのグラフィックスが比較用として上映されたが、全く遜色ないものとなっていた。

オリジナル筐体デザインを採用。白を基調に「ファイナルファンタジー」のキーカラーを「青」を用いたデザインとなっている

アクションゲームながら操作は簡単。駆け引きを大切にしたシステム

筐体への想いやゲームの概要を説明した間一朗プロデューサー
鯨岡武生ディレクターがゲームの細かいシステムを説明した

 「DISSIDIA FINAL FANTASY」は、「ファイナルファンタジー」シリーズの歴代キャラクターが登場して闘う3D対戦型アクションだ。地上だけでなく空間を使ったバトルが繰り広げられるそのアクション性とキャラクターのカスタマイズ性が人気を集めていた。

 アーケード「DISSIDIA FINAL FANTASY」で重要な要素となるのは「ブレイブシステム」だ。ゲームはHPをゼロにした方が勝ちとなるが、もうひとつ重要な「ブレイブ」という数値が用意されている。ブレイブ攻撃では相手のHPを削ることはできないが、相手からブレイブを奪うことができる。増えたブレイブでHP攻撃を行なうと、自分のブレイブが敵へのダメージとなる。当然攻撃するとブレイブが「ゼロ」になってしまうので、またブレイブを貯めなければならない。ブレイブ攻撃で敵からブレイブを奪い、HP攻撃で敵にダメージを与え、最終的にHPをゼロにするのがゲームとしての流れになる。

 このとき重要なのが、「ブレイブブレイク」。相手のブレイブをゼロにすると大きなボーナスをもらうことができる。相手のHPを削ることのできないブレイブ攻撃をやるメリットは……と考えがちだが、前述のようにHP攻撃時にブレイブを使用すると攻撃終了時にブレイブが一時的にゼロになってしまう。この瞬間を敵に狙われると「ブレイブブレイク」が成立して敵に大量のブレイブを与えてしまうことになる。つまり敵にHPを削ると自分に隙が発生してしまうシステムで、いかにこのリスクを小さくするかが駆け引きとなる。

 では、ブレイブを貯め込んでいれば良いかというと、ブレイブがたくさんあるとところに数値補正がかかり、より大量にブレイブを奪われることになるという。つまり攻撃は最大の防御なわけだが、安易に攻撃を繰り出し反撃を食らうと一気にブレイブを奪われて敵が有利になる……。こう言ったいくつかのシステムの組み合わせにより、駆け引きが重要視され、最後の最後に1発逆転も狙うことができるようになっている。

 こういった駆け引きを大切にしていることから操作方法はあえて単純になっており、基本操作はキャラクター共通となっている。またコンボも連打で発生。アクション的なスキルは低く設定されているようだ。ただしキャラクター毎のスキルは特別なものも用意されているので、キャラクターは乗り換えやすくなっている。

PSP版の「DISSIDIA FINAL FANTASY」のゲームの特徴。ベースはここからスタート

読み合い、駆け引きという点では重要なポイントとなるシステム「ブレイブシステム」
読み合い、駆け引きに重きを置いているため、操作性は簡単になっている

 この他にも、キャラクターにはEXスキルが用意されている。これは“味方への支援”や“敵の弱体化”等を引き起こす攻撃で、効果的に使用することでバトルをコントロールすることができる。また、仲間と連係攻撃を繰り出すことで、打ち上げてからの吹き飛ばしなど、復帰の隙を与えない攻撃も可能。もちろんそういった状況は簡単には生まれないので、前述のEXスキルなどでうまく牽制して仲間とほかの敵に連係攻撃を行なう……といった戦術が生まれることになる。

 ちなみに「DISSIDIA FINAL FANTASY」のディスプレイはタッチディスプレイを使用しており、表示キャラクターにタッチすると、そのキャラクターの声で「俺が倒す」など、ボイスチャットのような役割をして話してくれる。

パーティを有利にしたり、敵の弱体などを引き起こす「EXスキル」が用意されている

 そしてもうひとつ「ファイナルファンタジー」で重要なポイントとなるのが「召喚獣」の存在だ。公開されたムービーでもイフリートが猛威を振るっていた。バトルの重要な場面で圧倒的な力で活躍してくれる召喚獣だが、召喚獣にはそれぞれ能力が設定されており、ゲーム開始時に参加メンバーでどの召喚獣を呼べるようにするか投票で決定する。召還できる召喚獣は1パーティで1体のみ。召還の方法は前述にもあった筐体中央にあるクリスタルボタンだ。みんなで召還するときは一緒にこのクリスタルを同時に押し込むことで召還の詠唱がスタートする。気分が盛り上がる瞬間だ。

 ゲームを開始すると召還ゲージが貯まっていき、いっぱいになれば召喚可能となる。ただし、1人で召還しようとするとそれなりに時間がかかる。これが2人で召還すると時間が短縮され、3人で召還すれば、一瞬で呼ぶことができるという。これもまた戦略で、1人が召還し、ほかのメンバーは召還中のメンバーをって闘うという手もあれば、3人で呼ぶという選択もある。どうするかはメンバー同士で話し合って決めておくと良いだろう。

召喚獣は大きな要素の1つ。公開されたムービーでも猛威を振るっていた
1人では時間がかかるが、3人で召還すれば瞬間的に呼び出せる

召還ゲージが貯まったら、筐体中央のクリスタルを押すことで召還詠唱を開始

敵にとっては大きな脅威になるだろう。恐ろしい存在だ

 この他の要素としてはゲームの世界観として「神々の戦い」の紹介が行なわれた。今回はプレーヤー自身が神に仕えて戦いを繰り広げる。つまりすべての戦いが世界の覇権をかけたバトルとして影響を及ぼすことになる。神々の元で覇権争いを繰り広げることになるが、一定期間ごとに優秀だった神々の方についているユーザーにアイテムをプレゼントするといった事も考えているという。また、このシステムを採用した背景としてはコミュニティの育成もあるという。神への貴族とそこに所属する中でのスタープレーヤーの存在、そのメンバーへの応援など、熱い戦いの場を作っていきたいと言うことだ。

プレーヤーが主役となる世界観。このためスタープレーヤーが生まれ、そこへのあこがれや応援がゲームを熱く盛り上げていく

 最後に、ゲームはリリースされたら終わりではない。どんどんアップデートが繰り返して、システム面のブラッシュアップなどを図っていくという。ゲームを紹介したディレクターの鯨岡氏は「登場キャラクターは50人に絞ったが、まだまだ登場させたい」と語っていた。どれくらいのスパンでどれくらいのアップデートが行なわれるかは「コーエーテクモゲームスさんが頑張ってくれれば……(鯨岡氏)」という事で、ファンは開発陣にエールを送って欲しい。

稼働開始後もアップデートが行なわれていく。どのように成長していくのか楽しみなところだが、まずは稼働開始、いや、ロケテストを待ちたいところ

(船津稔)