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NVIDIA、Tegra X1搭載ゲームコンソール「SHIELD」を初披露
初の4K対応Android端末。GRIDベースのクラウドゲームサービスもスタート!
(2015/3/4 13:42)
NVIDIAは現地時間の3月3日、同社初の据え置き型ゲームマシンとなる「SHIELD」を発表した。また本製品のローンチに合わせ、NVIDIAによるSHIELDファミリーの端末向けクラウドゲームサービスがスタートすることも明らかになった。
今回発表された「SHIELD」は、2013年に発売された携帯ゲーム機型の「SHIELD Portable」、14年に発売されたタブレット型の「SHIELD Tablet」に続く、SHIELDファミリーの最新モデル。HDMI端子を通じてテレビ/モニターと接続しての使用が前提となるSTB(Set Top Box)タイプの端末だ。心臓部には1月に発表されたばかりの最新SoC「Tegra X1」を搭載し、北米での価格はSHIELDコントローラーを1つ同梱して199ドルの見込み。
Tegra X1ベースのゲーム&マルチメディア端末。「Crysis 3」もサクサク動く!
プレスカンファレンスに先立ち、クローズドなメディアブリーフィングで明かされたところによれば、今回の「SHIELD」はTegra X1を搭載するAndroidベースの据え置き型端末だ。
CPUは8コアのCortex-A57/A53、GPUにはデスクトップ向け最新GPUと同等のMaxwellアーキテクチャを採用したSMを2基搭載することで、昨年のTegra K1を搭載した「SHIELD Tablet」を超えるパワフルなゲームマシンとなる。
NVIDIAによれば、テレビに繋いで使用することが前提のApple TVやFire TV、ChromecastといったモバイルOSベースの端末間で比べた場合、本製品は8~10倍の処理パフォーマンスを持つという。
特徴のひとつは据え置きマシンとしての拡張性の高さだ。「SHIELD」は背面に3系統のUSB入力端子を備えており、各種ゲームコントローラーをはじめとする様々なデバイスを接続し、使用できる。格闘ゲームをアーケードスティックでプレイしたり、レースゲームをハンドルコントローラーでプレイするといった据え置きゲーム機/PCゲームライクな運用も可能だという。
内部ストレージは標準で16GBとなっているが、背面のMicroSDカードスロットに任意容量のSDカードを追加可能。また、USBメモリーやUSB接続のハードディスクといった外部ストレージの使用もできると言うことで、かなり柔軟な拡張が可能であるようだ。
また、現時点では本製品だけの特徴として、4K/60fpsの動画デコーディングに対応する。HDMIを通じて4Kテレビ/モニターを接続すれば、オンラインの様々な4Kコンテンツを60fpsのなめらかさで視聴可能だ。4Kへの完全対応というのは、PS4/Xbox Oneといった最新の据え置きゲームマシンにも無い強みである。
OSはAndoroidベースであるため、Android向けのゲームやアプリはおおむね実行可能。ただしタッチパネルを持たないため、付属のSHIELDコントローラーや別売のリモコン「SHIELD Remote」を使った間接的な操作スキームになる。メインで使用するのはSHIELDファミリーの端末向けにデザインされた専用のシェル機能「SHIELD Hub」だ。
もちろん、本製品の登場に合わせてTegra X1向けの最適化ゲームタイトルも登場予定だ。現地ではPC版よりもライティング等の表現がグレードアップした「DOOM3 BFG Edition」や、モバイル向けに調整された「Crysis 3」が本製品で動作する様子を見ることができた。
いずれも1080p解像度での動作が基準となっており、映像のクオリティはPS3やXbox 360あたりを軽々と超えている。PS4/Xbox Oneの世代に匹敵するかどうかは難しいところだが、少なくともモバイルSoCで動作しているとは信じられないレベルのグラフィックスがグリグリ動いていたことは間違いない。
NVIDIA GRIDベースのクラウドゲームサービスもスタート。日本国内でも?
「SHIELD」でアクセスできるのはAndroidベースのゲームだけではない。NVIDIAは本製品のローンチに合わせて独自のクラウドゲームサービスをスタートし、本製品を含むSHIELDファミリーの端末に向けて提供予定だ。
サーバーにはかねてよりNVIDIAがBtoBで展開しているクラウドゲームサーバーシステム「NVIDIA GRID」を使用し、動画エンコードと送出の低遅延化を図る。データセンターは北米欧州の数カ所のほか、東京にも用意しているとのことで、日本のユーザーは特に快適に本サービスを利用できそうだ。
提供タイトルはPCゲームをそのままクラウドサーバーで動作するようにしたものが中心で、ローンチ時点では「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」や「ストリートファイター」シリーズなど国内タイトルも含む50~100本のラインナップを用意する。また、ローンチ後は毎週ペースで新タイトルを追加していく体制を整えているとのことだ。
サービスは有料のサブスクリプションとタイトルごとの買い切りの両方が使えるハイブリッドタイプになる模様で、たとえば上述の「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」のような目玉タイトルはSteam版と同等の価格で購入、即座にプレイ開始が可能。また、クラウド版を購入すると同時にSteam Keyが発行され、手持ちのPCでもプレイできるというスキームを実現するべく、現在Valveと調整を進めているようだ。
ゲーム映像は1080p/60fpsで送信され、非常に高画質かつスムーズ。現地のデモでは入力遅延が多少感じられたが、格闘ゲームや音楽ゲームのようにシビアなリアクションを求められるタイトルでなければ十分に実用圏内かなという印象だ。
発表の翌日より始まるGDCの通常セッションでは、NVIDIAによるGRID関連のセッションも多数開催が予定されており、NVIDIAとしてはゲーム開発者に向けて「NVIDIA GRIDという新しいゲームプラットフォーム」をアピールしたい模様だ。
今回発表された据え置き型「SHIELD」のほか、「SHIELD Tablet」や「SHIELD Portable」といった既存のSHIELDファミリー製品でも利用できるクラウドゲーミングサービス。ローンチ予定日や国内での提供予定などについては、新たな情報が入り次第、随時お知らせしていきたい。