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和田洋一氏率いるクラウドゲーミング企業シンラ・テクノロジーが設立!

クラウド技術で超マッシヴな新ゲームを実現。2015年初旬βテスト開始

9月18日〜21日 開催(一般公開日 20日〜21日)

会場:幕張メッセ1〜9ホール

入場料:
前売り 1,000円
当日 1,200円
小学生以下無料
新会社ロゴ

 TGS 2014会期2日目の9月19日、スクウェア・エニックス・ホールディングスは、クラウドゲーム事業のベンチャー企業シンラ・テクノロジー(SHINRA TECHNOLOGIES)の設立を発表した。

 シンラ・テクノロジーはスクウェア・エニックス・ホールディングスが100%出資する新会社で、現在スクウェア・エニックスの取締役会長職にある和田洋一氏がプレジデントに就任。ニューヨークに本社を置き、東京、モントリオールを拠点に新タイプのクラウドゲーム技術の開発およびプラットフォーム展開を行なう。

 ホテルニューオータニ幕張にて行なわれた設立発表会では和田洋一氏をはじめ、各部門を代表する主要スタッフが登壇し、シンラ・テクノロジーが展開する新種のクラウドゲーム事業についての紹介が行なわれた。

クラウドのパワーで従来プラットフォームでは不可能な新ゲームを実現へ

シンラ・テクノロジー プレジデント 和田洋一氏

 発表会の冒頭では、シンラ・テクノロジーを率いる和田洋一氏が挨拶した。ゲームファンの推察通り、会社名の由来は「ファイナルファンタジー7」の“神羅カンパニー”。同作では主人公“クラウド”がレジスタンスとして神羅カンパニーの支配に対抗していくが、その主人公名と“クラウド”ゲームを引っ掛けたダジャレ、というのが和田氏による会社命名の由来だという。

 ゲームの神羅は支配者だが、私達のシンラはレジスタンスの立場でスタートしたいという和田氏。設立の目的は、新技術の活用によってゲームビジネスの変化にいちはやく対応し、ゲーム産業に新しい生態系を確立することだとした。

 シンラ・テクノロジーでは、独自の特許技術に基づく新しいタイプのクラウドサーバーをプラットフォームとして、各ゲームデベロッパーに提供する。このシステムは仕組みとしてはストリーミングゲームサービスに分類されるもので、サーバーでゲームグラフィックスをレンダリングし、ユーザーの端末にはストリーミングを通じてゲーム映像を表示するという方式が基本だ。

 ここまではSCEによるPlayStation Nowや、米国のOnLive、AmazonのAppStreamといったクラウドゲームサービスと同等で、既存ゲームのクラウド版を様々なユーザー端末に提供することができる。だが、この部分はシンラ・テクノロジーが提供するプラットフォーム機能の一面でしかない。

 シンラ・テクノロジーのクラウドサーバーが目指す最大の特徴は、クラウドサーバーでしか実行できないような、超マッシヴなゲームを提供することだ。

【Shinra Technologies, Inc.: The Next Evolution of Gaming】
シンラ・テクノロジー シニア・バイス・プレジデント ジェイコブ・ナボク氏

 シンラ・テクノロジーのシニア・バイス・プレジデントに就任したジェイコブ・ナボク氏によれば、シンラ・テクノロジーではモントリオールに技術開発のオフィスを構え、CPU・GPU統合された処理能力を持つクラウドサーバー技術を開発。サーバーは多数の高性能コンピューターから構成されるが、全体としてひとつのスーパーコンピューターとも言えるマシン環境となる。膨大なメモリ、膨大な演算能力を持ち、AIや物理、その他のサブシステムに専用のマシンを配置し、分散処理できるような環境だ。

 シンラ・テクノロジーのシステムでは、このスーパーコンピューターを前提としたゲームを開発し、実行することができる。そうすることで、従来のゲームマシンでは実現不可能だった超巨大でダイナミックな世界を構築でき、そこにあらゆる端末のユーザーが同時に参加したり、極端にいえば、たったひとりのユーザーにクラウドサーバーの全能力を用いたゲームを提供することもできる。従来型のゲームのように、端末の能力に由来する限界がない。

 つまり、シンラ・テクノロジーは、「クラウド化された既存ゲーム」と、「クラウドサーバー専用の超巨大ゲーム」の2系統を展開する、全く新しいゲームプラットフォームとなる。和田氏はスピーチの最後に、シンラでは全く新しい体験の提供と、ゲーム産業の新しい生態系の確立を目指していきたいと語り、ゲームデベロッパー各社の賛同を求めた。

2015年初旬に国内でβテストを開始。既存ゲームのほかオリジナルタイトルも

βテストについて紹介したマーケティング・ディレクターのクスチーナ・デロサ氏

 いわば“スーパーコンピューターゲーミング”の実現を目指すシンラ・テクノロジーのサービスだが、さっそく、2015年初旬に日本でβテストを開催するという。

 βテストではスクウェア・エニックスの既製タイトルである「ファイナルファンタジーVII」、「Deus Ex: Human Revolution」、「Hitman Absolution」、「Tomb Raider」といったラインナップのクラウド版が提供されるほか、スクウェア・エニックス技術推進部が開発した次世代技術デモ「Agni's Phylosophy」がリアルタイムで操作できるバージョンを提供するという。

 さらに、ネットワークエンジンライブラリ「VCE」の開発や、入れ子式にサブシステムを追加することで素粒子から宇宙スケールへ無限粒度の拡張ができる仮想世界システム「ワールドシンセサイザー」の提唱等で知られるクリエイター、中嶋謙互氏によるインディーズタイトル、「スペーススウィーパー」といったシンラ・テクノロジーのクラウド技術を前提としたオリジナルタイトルの提供も行なわれる。

 βテストで提供されるタイトルはあくまでβ向けのラインナップであり、正式サービスで提供されるタイトルは別途発表するとのこと。βテストの参加枠は日本国内では1,000名になるとのことで、まずは限定的な規模から技術検証をスタートする見込みだ。

 最後に、和田氏は記者の質問に答え、新会社設立の理由を「ゲームデベロッパーではなくプラットフォーマーとして、パートナー企業をコーディネイトする会社とするため」、このタイミングでの設立の理由を「クラウドゲームが本格化するのは2016年くらいになるのではないかという読み」にあるとした。

 説明では、シンラ・テクノロジーでは広くゲーム業界全体にパートナーとなるゲームデベロッパーを求める意向。専用のSDK等の詳細や、インディーズ開発者にも門戸が開かれるかなど詳しい点については本発表会の枠内では説明されなかったものの、プラットフォーマーとして中立な立場でゲームを提供するサービスになることは間違いなさそうだ。

 なお、シンラ・テクノロジーではAmazonのAppStreamで実装されているような、UI要素や自キャラなど一部の要素をクライアントサイドで描画する、いわゆるハイブリッドなシステム(関連記事:http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20140319_640477.html)の提供は現状では考えていないという。ストリーミングゲームにまつわる遅延の問題をどう解決するつもりなのかは気になるところだ。サービスや技術面について、今後の追加取材を通じてより詳しい情報をお届けしていきたい。

(佐藤カフジ)