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「クーロンズ・ゲート」の完全版サントラ発売記念イベント開催

ゲームのエンディング実況から、開発陣の制作秘話トークまであまりにも濃い3時間!

6月28日 開催

会場:東京カルチャーカルチャー

【CD「九龍風水傳原聲音樂專輯」】

6月29日 発売

価格:5,400円(税込)

「九龍風水傳原聲音樂專輯」
イベントの司会を務めたクラリスディスクの有田シュン氏(上)と実況生主の湯毛さん

 ゲーム音楽の専門の音楽レーベル「シティコネクション」(クラリスディスク)から発売された、アドベンチャーゲーム「クーロンズ・ゲート」のサウンドトラックCD「九龍風水傳原聲音樂專輯〜クーロンズ・ゲート オリジナルサウンドコレクション(初回限定生産3枚組)」の発売を記念したイベントが6月29日にニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」において開催された。

 「九龍風水傳原聲音樂專輯」は、1997年にソニー・ミュージックエンタテインメントから発売されたプレイステーション用「クーロンズ・ゲート」のオリジナル音源はもとより、体験版にのみ収録された音源、未使用曲などが使用・未使用を問わず可能な限りのトラックを集め、CD3枚組に凝縮したまさに完全版といえる内容となった。

 さらには作曲者・`島邦明氏による「2014年の現在、もし『クーロンズ・ゲート』を作るなら」というコンセプトで書きおろされたボーカル曲も収録されるなど単なるサントラを越えた作品となっている。音楽を手がけたのは`島邦明氏で、価格は5,400円(税込)。

 プレイステーション用ゲーム「クーロンズ・ゲート」は香港にあった九龍城砦にインスパイアされたタイトルで、アジアを中心とした独特の雰囲気を持つ伝奇的な世界観を背景に、時空を越えた物語が展開。複雑に入り組んだ建物の中を自由に移動しながら“鬼律(グイリー)”を払うダンジョンモードと主に物語を進めていくウォークスルー方式のアドベンチャーパートで構成されていた。2013年4月10日まではPSP/PS3用「ゲームアーカイブス」で配信されていたが、現在は配信されていない。

 その独特な世界観のファンは今もなお多く、今回のイベントもチケットが販売開始となるや即完売という人気ぶり。また、17年目のゲームであるにもかかわらず、比較的年齢の若い女性層のファンも多く訪れており、今なお高い人気を伺わせた。

 今回のイベント「実況&トーク&ライブ〜みんなでいっしょにおはじめ式!」は4部構成となっており、ゲームのエンディングをみんなで観るというゲーム実況に始まり、開発陣によるトークショウ、`島氏によるライブまで濃い内容の3時間となった。

 第1部は、ニコ生主の湯毛さん、ふぁんきぃさん、けんじぃさん、シャンバリーレさん、ぬどんさん、This is 腸さん、チームロムカセさんによるリレー実況ファイナル。会場の大きなスクリーンで迫力のエンディングを上映してしまおうというこの企画。プレイを担当したチームロムカセのマーブル先生が操作を誤り痛恨の一撃を受けるも、なんとかゲームオーバーにならず、問題のエンディングも無事上映され、改めて多くの人に衝撃を与えていた。エンディングムービーのラストシーンについては、第2部でディレクターを務めた木村央志氏の口から解説がなされた。

第1部の実況中継には多くの生主が参加し、ツッコミが乱れ飛びワイワイがやがや楽しい中継となった。その証拠にイベント終了までに6,000ものコメントが寄せられたのだとか

エンディングになだれ込む怒濤の展開に、会場は大きな興奮に包まれた

第2部はスタッフによる貴重なトークショウ「得体の知れない作品を作る!」

第2部はスタッフ勢揃いしてのトークショウ
ラストに登場した須藤氏。「続編は皆さん居着くって欲しい」とエールを送った

 第2部はゲームのスタッフ陣によるトークショウだが、そうそうたるメンバーが集合。主役とも言える音楽を担当した`島邦明氏を始め、ディレクター、脚本を手掛けた木村央志氏、キャラクターデザインの井上幸喜氏、JPEGダンジョンデザイナーの武富聖氏、サウンドプログラムを手掛けた鶴岡泰三氏、そして豪華声優陣を代表し小黒(シャオヘイ)を演じた野中希さんが登壇。当時を振り返った。

 木村氏は「企画の発端は?」と聞かれ、いきなり「高価なCGを作成するマシンを購入したので、その使い道を探していた」とぶっちゃけ。汚れやゆがみを表現する場として自然発生的にスタッフから「九龍城砦」をテーマに据えるといったアイディアが出たようだ。しかしそこからがほかのゲームとは違うところで、木村氏は仕様書もすっ飛ばしいきなり脚本を書き始め、井上氏は「上のジャッジは無し。放置プレイ。描いたキャラクターをCGに作り上げていった」とこちらも突っ走っていったという。

 `島氏も「何もできていないし、脚本もよくわからなかったのに、『九龍城砦』の曲を作って欲しいと言われ、できあがったのがオープニングの曲」と、かなりの突っ走り気味。木村氏は「微熱にうなされるように数年間『クーロンズ・ゲート』を作っていた」と振り返る。ゲームシステムに至っては「途中までは『九龍城砦』を歩き回るアドベンチャーで、2/3くらい完成したところで急にバトルを入れることになり、設定ができた」と、今では考えられないような制作進行だったという。

 しかし木村氏は「得体の知れないものを作る」というテーマを掲げて進めていった。「得体が知れない」と言うことは「定義されない」ということ(定義されると得体の知れないものでは無くなる)。だから、グラフィックスや音楽など“器”は論議できても、中心にある得体の知れない部分は人に説明できない。それが1番難しかった」と語った。

 また、「『九龍城砦』は無秩序なもの。我々も無秩序だったが、B級でありながら良いものを作ろうと話していた」と、制作の方向性は木村氏の中では固まっていたようだ。これが、その他にはない作品世界を作り上げ、かつ今もって人を引きつける作品に仕上がった要因と言えるかもしれない。

 独特の街のデザインについては、武富氏の思いつくままどんどん拡張されていったが、その中には生まれ故郷である沖縄の風景や、当時住んでいたという東京の中野にある「中野ブロードウェイ」に隣接する飲み屋街など猥雑さが入り交じった風景が反映されているのだという。街を作り上げていく過程はかなり楽しかったと振り返った。

 一方、`島氏と鶴岡氏は延々と効果音の制作を続けていた記憶が強かったようだ。お2人とも「全体的に自由でお遊びの多い制作現場だった」とコメントした。

 「クーロンズ・ゲート」ではラストでキャラクターの1人が陰界に捕らわれて終了するが、これについて木村氏は「続編を作りたいなという気持ちもあった」とぶっちゃけながらも「『クーロンズ・ゲート』の世界観としては陰と陽の両方がなければならない。物語は突出した“陰”を退けたが、なくなったわけではない。そこで陰はあるんだよと伝えたくて、ラストで敵が再登場して取り込まれて終わる。綺麗に終わらせるつもりは無く、なにかフックを残したかった」と意図を語った。

 続編を待望視する意見もあるが、「今の時代、作るのであればリアルタイムレンダリングで描くことになると思うが、そうなるともう『クーロンズ・ゲート』ではなくなるような気がする」と木村氏は語る。6月26日に日本でも発売された「ウォッチドッグス」のマルチプレイを例に出し「登場するほかのプレーヤーがゲーム内ではNPCとして登場するのが面白い。そういったアイディアはありかもしれないが、(リアルにCGで描くのは)違うと思う」とコメント。武富氏も「最新技術で制作できるかもしれないけど、『クーロンズ・ゲート』と同じノリでできるかはわからない」と続けた。こういった制作陣の想いを聞いていると、「クーロンズ・ゲート」はその当時だからこそできた希有な作品だったのかもしれない。

 イベントのラストには、「クーロンズ・ゲート」を手掛けた須藤プロデューサーがステージに招かれた。須藤氏は「CDを出してくれてありがとう」と語り「続編に興味を持っていただいているようだが、皆さんに作って欲しい」とコメント。ソニーグループには才能発掘の伝統があり、「ゲームやろうぜ!」や「PlayStation CAMP!」といった企画が生まれている。いまのインディーズを大切にする方向性もこれに準ずるものだ。須藤氏の発言はグループ内のこういった企画を踏まえたものであり、新しい才能による違った「クーロンズ・ゲート」こそが求められていることを意味しているというメッセージだと思う。

 `島氏はイベントの締めくくりとして「『クーロンズ・ゲート』は一生一品。アジアンゴシックな音楽を世に出せたことに感謝している。作っていてこんな楽しいことはなかった。そして17年経った今復活できて嬉しい」とコメントし、締めくくった。

□ニコニコ生放送配信ページ
 イベント(1部〜3部)の模様については、7月5日23時59分まで有料ニコニコ生放送にてタイムシフトにて視聴可能となっている。
http://ch.nicovideo.jp/claricedisc/live/lv181999999

音楽を担当した`島邦明氏
ディレクター、脚本を務めた木村央志氏
キャラクターデザインの井上幸喜氏
JPEGダンジョンデザイナーの武富聖氏
サウンドプログラムを手掛けた鶴岡泰三氏。とにかく厳しかった記憶しか無いと楽しそうにコメントしていらした
小黒(シャオヘイ)を演じた野中希さん。オーディションでクーラーが効いていて寒く感じ、声が出ないまま終了してっきり落ちたと思ったという

【第3部ライブ、第4部グッズ抽選会】
ライブではノイジーなアレンジが施された「クーロンズ・ゲート」のテーマを披露。さらにはボーカル曲も披露され会場は盛り上がった
当時のスカジャンや体験版、英語版パンフレットなど貴重なグッズが大放出となった
Amazonで購入

(船津稔)