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【GDC 2014】大作好きのコンソールゲーマーはモバイル端末を活用せよ!

Ubisoft、「アサクリ4」でデビューしたコンパニオンアプリの開発を語る

3月17日~3月21日開催(現地時間

会場:San Francisco Moscone Convention Center

 昨年11月に発売されたUbisoftの最新作、「アサシンクリードIV ブラックフラッグ(以下AC4)」。プレイ済みの皆さんは御存知の通り、本作ではスマートフォンやタブレットといったモバイル端末を連携し、より便利に楽しめる機能が搭載されている。

 これが、最近のUbisoftが力を入れているコンパニオンアプリだ。「AC4」での成功を皮切りに、Ubisoftでは今後登場予定のAAAタイトル「ウォッチドッグス」や「THE DIVISION」でもコンパニオンアプリを開発し、さらにゲーム本体との連携を強化していくつもりだという。GDC 2014では、「Meaningful Companion Apps for AAA Console Titles」と題したセッションで、スタッフ自ら「AC4」での成功に至る経緯を披露。加えて将来のコンパニオンアプリ開発への展望が語られている。

【Companion App Trailer | Assassin's Creed 4 Black Flag】

モバイル連携でコアゲーマーをもっと幸せに!「AC4」ポストモーテム

Marie-Eve Vignola氏(左)とAndree-Anne Boisvert氏(右)
「AC4」を皮切りに、Ubisoftの大作でコンパニオンアプリを開発
「AC4」コンパニオンアプリのイメージ

 講演を行なったのは、「AC4」のほかUbisoft作品のコンパニオンアプリ開発を担当するUbisoft Quebecのリードデザイナー、Marie-Eve Vignola氏とアソシエイトプロデューサーのAndree-Anne Boisvert氏。

 「AC4」にコンパニオンアプリの企画を立ち上げた理由は明快だ。お互いにゲームのプレイ時間を奪い合うコンソールマシンとモバイル端末との関係を、互いに補間しあう幸せな関係に導くこと。コンソールゲーマーがモバイルゲームを嫌っているケースが多いことは重々承知の上で、彼らにモバイルゲーミングの利便性をもたらすにはどうすればよいかを考えた結果だという。

 そこで重要な開発テーマとなるのが、“意味のあるコンパニオンアプリ”を作ること。コンソールゲーマーが家でゲームをプレイして終わりになるのではなく、外出中にも補間的な形で遊んだり、友達に進行度を自慢できるようにすることで、また家に帰ったあとにゲームの続きをプレイしたくなるような仕組みづくりだ。

コンソールゲーマーとモバイルゲーマーは遠い存在。でも、モバイルの利点をうまく組み合わせれば、コンソールゲーマーをもっと満足させられるかも
Ubisoft流のユーザー分類。グラフの中央部分が特に“意味のある機能”となる
「AC4」コンパニオンアプリで最も成功した「ケンウェイの交易艦隊」。本編と相互作用するゲーム要素だ
「AC4」におけるコンパニオンアプリ機能の利用率

 そこでコンパニオンアプリは、あらゆるユーザー層のニーズを満たせるような“意味のある”機能で構成されている必要がある。そこで開発チームは想定ユーザー層を4つのグループに分けて分析。完全攻略を目指す“Completionist”、速攻クリアを目指す“The Competitor”、世界観をじっくり学んで楽しむ“Learn More”、とにかく新しい遊びを求める“More Content”派、という分類である。

 「AC4」の場合、それぞれの層に向けた機能がまんべんなく実装された。特に活用の度合いが高かった機能は「インタラクティブワールドマップ」(リアルタイムにクエスト目標や敵の位置が表示されるマップ機能)、「ケンウェイの交易艦隊」(捕獲した船を使って交易シミュレーションができる機能)、「アニムスデータベース」(ゲーム内設定を詳しく閲覧できる機能)の順。この3つで利用率のほとんどを占めており、宝の地図やソーシャルウォール機能、ミッションステータス機能は意外と利用率が低かったという。

 分析としては次のようになる。ワールドマップはメインゲームを進めながらより良いプレイ戦略を立てるために非常に便利であり、本編のプレイ内容とテンポを高め、あらゆる層にリーチできた。ケンウェイの交易艦隊はモバイル端末だけでも遊べるメタゲームとして面白いものだが、それ以上に、本編のプレイと相互に影響を与え合う点で常に意味のある機能となった。ゲーム内設定を事細かに閲覧できるアニムスデータベースも、ゲーム本体で遊べない間にも楽しめるコンテンツとして秀逸だ。

 逆に人気の無かった3つの機能は共通の問題がある。いずれもゲーム本体側でのアクセスで十分に必要が満たせるため、わざわざコンパニオンアプリ側でやる意味が薄かった、ということだ。

 結果としてはユーザーから非常に高い評価を受けたという「AC4」のコンパニオンアプリ。Vignola氏はリリース後の調査で明らかになった上記の問題点を振り返り、よりよいコンパニオンアプリを実現するためには開発体制から改善する必要を語った。

 曰く、後付で開発を始めるのではなく、ゲーム本編と同時に開発をはじめるのが理想だ。また、ゲーム本編のゲームデザイナーと密に連携することで、互いのバリューを高め合っていくような機能設計をしていくこと。Ubisoft Quebecは、タイトル本編を作っているUBI Montrealから見れば外野のチームであるため連携の点で難を抱えていたようだが、「AC4」での成功により環境は変わりつつある。

 最後に“意味のあるコンパニオンアプリ”はAAAゲーム業界が目指すべきひとつの目標であるとして、講演が締めくくられた。「ウォッチドッグス」や「The DIVISION」ではどのようなコンパニオンアプリ、あるいはモバイルゲームシーンとの連携が実現するだろうか。コアゲーマーはモバイル端末を持つべし!

「AC4」コンパニオンアプリは高い評価を受け、ゲーマーのモバイル端末活用を大きく促進させた
将来、AAAタイトルの価値を高めるコンパニオンアプリ活用はさらに進んでいくはずだ
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(佐藤カフジ)