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【GDC 2014】PS4期待のAAAタイトル「inFAMOUS: Second Son」ビジュアルエフェクトの秘密が早くも公開!
“アーティストのクリエイティビティの爆発”が感じられるアートとエフェクトの融合
(2014/3/23 17:51)
好調が続くPS4フランチャイズにおいて待望のAAAタイトルとなるのがSucker Punch Productionsの「inFAMOUS: Second Son」だ。都会を舞台にした「inFAMOUS」シリーズ最新作であり、PS4エクスクルーシブタイトルとして開発されており、PS4のポテンシャルを活かした圧倒的にリッチなグラフィックス表現が最大のウリだ。
GDC 2014では、3月21日の発売直前のタイミングでビジュアルエフェクトのノウハウを共有するセッション「The Visual Effect of inFAMOUS: Second Son」を実施。PS4自体の追い風とも相まって非常に人気の高いセッションとなった。
GDCといえども、本来はこのタイミングで、発売前タイトルに関する知見の共有が行われることはあまりないのだが、そこはやはり自信があるのか、惜しげもなく披露してくれたのが印象的だった。
日本でもいよいよ5月22日に発売が決定し、「inFAMOUS」ファンにとっては願ったり叶ったりのセッションだ。ただ、この手のビジュアルエフェクトのセッションは、主人公のカッコイイアクションの種明かしが行なわれているため、タネがわかってしまうと興ざめになる可能性がある。一切の種明かしを望まない人はご注意頂きたい。
さて、セッションスピーカーを務めたのは、Sucker Punch ProductionsでSenior Visual Effect Artistを務めるMatt Vainio氏。大前提として「inFAMOUS: Second Son」のビジュアルエフェクトは、ゲームの魅力の源泉である主人公の超能力の表現に、最大限のリソースが割かれている。
まず最初に取り上げたのはスモークパワーだ。主人公デルシンが体を煙状に変化させ、炎をまとわせて攻撃を繰り出したり、一陣の煙のように高速で移動したり、通気口を通って吹き上がるように屋上に飛び出したりできる。基本アクションながら、ほれぼれとするほどクールでセンス溢れるアクション群だ。
Vainio氏は、スモークパワーの基本エフェクトとなるSmoke Volt、Smoke Ambient、Smoke Orbital Waveといった要素をコンセプトイラストで見せながら、コンセプトレベルで多くのプリプロダクションを繰り返しながら、いかに“煙”がパワーとしてリアルで信じられる存在まで高めていったかを語った。
そしてデルシンの基本アクションとなるSmoke Dashの紹介に入った。Smoke Dashは、デルシン自身が煙となり、前方に高速移動するという極めてカッコイイアクションだ。ぱっと見では、デルシンが煙と共に消滅し、残り火のようなエネルギーとそれを包む黒煙と共に前方に移動し、いつのまにかデルシンが現なれている。
このSmoke Dashのデモでは、1/5のスロースピードで、どのような処理になっているのかが披露された。デルシンがアクションを発動し、前傾姿勢になった瞬間にデルシンのテクスチャーをベースに形成されたメッシュに差し替えられ、メッシュが煙りと残り火と共に溶けていた。種が分かるとなるほどという感じだが、その前後に派手なビジュアルエフェクトをデルシンを包み込むため、差し替わったのがわからない。非常にセンス溢れる演出だ。
そしてもうひとつのスモークパワーとなるVent Travel。こちらは言わばSmoke Dashの発展系のアクションで、煙になった状態で建物のエアダクトに突っ込み、煙と共に屋上の煙突から勢いよく飛び出すという、発想からしてユニークすぎるアクションだ。「inFAMOUS: Second Son」ではこのアクションを多用することで建物を上がり、高所からの戦術に役立てて行く。
こちらも格好良さに華を添えているのが煙の存在だ。幾重にもうねっており、黒っぽい煙ばかりではなく、赤っぽいものもあり、「スーパーマリオ」の土管移動が究極的にクールになったアクションと考えるとわかりやすいかもしれない。
そしてデルシンのもうひとつの能力「ネオン」。こちらはいかにもサイオニックパワーといった感じのレーザー/プラズマ状の青いエネルギーを体外に放出させながら様々な攻撃を繰り出していく。こちらはコンセプトからして“アーティストのクリエイティビティの爆発”といった感じで、メレー攻撃のプラズマブレードの軌跡や、ショックウェーブ、浮遊状態のエフェクトなどは、様々なパターンが検討されたことが披露された。
デモは、Neon DrainとNeon Dashを見ることができた。Neon Drainは、トレーラー等でも見ることができる電飾からエネルギーを吸い取り我が物にするというクールな演出のひとつ。電飾からエネルギーの渦がふわっと浮かび上がりデルシンの手に吸い込まれ、体中がエネルギーの渦で満たされる。こちらも電飾そのものをメッシュ化して処理するテクニックが披露された。
Neon Dashは、Smoke DashのNeon版で、自身がエネルギーの渦となって残像を残しながら高速移動していくテクニック。「inFAMOUS: Second Son」の基本中の基本となるアクションだ。単純にデルシンをエネルギー状のメッシュにして残像表示させているだけでなく、束状になったエネルギー表現を載せたり、デルシンのボディにらせん状のエネルギーリボンを重ねていたり、いくつものビジュアルエフェクトを載せてリッチに見えるように演出していることが明かされた。
こういうと身もふたもないが、セッションを通じて再三痛感させられたのはSucker Punchのアーティストのセンスの良さだ。セッションから「inFAMOUS: Second Son」に採用されたビジュアルエフェクトの実装ノウハウを吸収できても、なぜこのアートを、この重ね方で、この組み合わせをすると、こんなにカッコ良くなるのか。これはロジックではなく、純粋にセンスの問題であり、SCE WWSプレジデントの吉田修平氏がメディアインタビューで本作について「1つから2つレベルが上がっている」とコメントしたが、然もありなんという感じで、「inFAMOUS」のアートセンスはちょっとやそっとでは真似できない領域に到達していると感じた。日本での発売時期は5月22日を予定。早く自宅で圧倒的なパワーを楽しみたいところだ。