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アンドリュー・ハウス氏らが語る「『プレイステーション 4』が創造する世界」
プレイステーション 4とスマートフォンの連動デモを世界初披露!
(2013/9/19 16:36)
東京ゲームショウの基調講演といえば、その昔は久夛良木氏がプレイステーションの夢を語り、ビル・ゲイツ氏がXboxで実現する新しいゲームを説明し、岩田 聡氏が胸ポケットから出したWiiリモコンに来場者は息を呑んだものだった。プラットフォーマーが毎年のように基調講演を行なっていたが、ハードウェアの寿命が延びるにつれ、なかなか毎年基調講演が行なわれることはなくなってしまった。
今回は、年末から全世界で順次展開される「プレイステーション 4」の発売を控え、ソニー・コンピュータエンタテインメントによる基調講演が実現した。登壇したのはソニー・コンピュータエンタテインメントの代表取締役社長兼グループCEOを務めるアンドリュー・ハウス氏、SVP兼第一事業部事業部長の伊藤雅康氏、そしてSCEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏だ。
PS4でどのようなサービスを提供できるか?
アンドリュー・ハウス氏は、冒頭にPS4を総括する意味で、PS4の立ち位置と役割について語った。これはスマートフォンがコンソール市場を駆逐し、家庭用ゲーム機市場が危機を迎えているのではないかと危惧する人たちに向けてのメッセージと言える。
ハウス氏は家庭用ゲーム機市場について、「GTA V」が発売初週でかなりの販売本数を記録したことなどを挙げて、コアゲーマーが多くニッチな市場との見方を否定。さらには、「ゲーム専用機という言葉は古いと思う。より多機能なマシンとなっている」と語り、色々なコンテンツを優れたUIで楽しめるPS4の優位性をアピール。
さらには、「スマートフォンが新しいゲームユーザーを獲得しゲーム市場の裾野を広げたなかで、我々に求められているのはなにか?」への答えとして、新しいゲームを求めるユーザーを満足させ、ソーシャル昨日などを積極的に補完していく必要性を説いた。こういった考え方が、PS4の開発理念のベースとして存在するという。長年ゲーム業界にいる氏にしてみれば、ゲームをおもちゃではなく映画や音楽と並ぶエンターテイメントのコンテンツに成長させてきたという自負もあるようだ。そうした上で、「誰とも繋がることができる時代ならではの体験を届けたい」と語り、スマートフォンなどによるコネクティビティ、さらにはこれまでにはないつながり方を提示したいという。
そういった中、「SHARE」ボタンを搭載するなどユーザー間でシェアすることはSCEとしては重要視している。シェア機能を通じて家族や友人とつながり、時間を共有して楽しむのが大切としている。
一方、開発者向けの発言としては、制作費の高騰化とモバイル市場の小規模開発の躍進という2極化を迎えている現状について触れ、ゲーム業界は今後、ハリウッドのような大作映画とインディーズ映画に2極化する映画業界と同じようになっていくと予想。そんな中で重要なのは、開発のしやすさで、フレキシブルに対応していきたいとした。
ハウス氏は、PS4の販売目標についても触れ、「今年度だけで全世界で500万台の販売をみこんでいる」と発言した。
また、反響があったというPlayStation Vita TVの魅力についてもコメント。よりカジュアルなユーザーをターゲットしており、GAIKAIの技術を利用したサービスが2014年から導入されるが、PS4、PS3、Vitaに続き、PS Vita TVでも利用できるようにしていきたいという意向を示した。また順次、DUALSHOCK4にも対応する予定だという。
PS4とスマートフォンの連動デモを世界初披露!
ここでスピーカーが伊藤雅康氏にバトンタッチ。歴代ハードの開発を担当してきた伊藤氏は、PS4が目指してきた世界について解説。腰を落ち着けて楽しむより隙間時間で楽しむスマホ化してきた現状の中で、ライフスタイルの変化に伴ったゲームの提供を行なっていくためにはどうすれば良いのか、社内でさんざん議論したのだという。結果的にはプレイステーションシリーズが得意とする、没入感の高い世界観を重要視した。これをどうやって外に持ち出すか? スマホなどと繋げていくか?と言ったことが課題となった。
没入感あふれる世界を構築するリアルなグラフィックを描画できるハイクオリティなマシンを求めやすい価格で提供するという意味合いでも、既存のPCアーキテクチャを使用することを決定。
そして開発者からの要望に応えるべく、メモリを増量し、当初は4GBを搭載することとしたが、開発者側からより没入感の高いグラフィックスを実現するためには足らないとの要望を受け、8GBにアップした。さらにGDDR5を採用したことで176GB/secというバンド幅でメモリを使用することができるようになり、ゲーム開発がより効率的に行なえるようになった。
また、2月のPS4の発表会、E3、Gamescomなどでもアピールされていたが、インディペンデンンスゲームをコミットしていく。伊藤氏は、開発面のみならずビジネス面でも強力にバックアップしていくと発言。制作面の自由、好きなときに発売できる自由、プラットフォームを選択できる自由を保証し、これまでにないアイディアを得ることで、魅力的なゲームが登場してくるとしている。
PS4の具体的な機能のおさらいとして、DUALSHOCK 4、バックグラウンドでのダウンロードを可能にする機能などにふれ、さらにはSHAREで記録した映像を外部ストレージにかきだしたいという要望に対しては、HDMI経由で書き出せる機能を用意する事を明言した。対応時期については今後発表するという。また、顔認識、音声認識でゲームを起動可能といった機能や。ライフスタイルに合わせどうやって使ってもらえるか考えながら作り上げていったと語った。
そして最後にiOSとAndroidを使い、PS4と連携できるデモを世界初公開した。出先でもスマートフォンを介してPlayStation Networkにアクセス可能で、さらにはセカンドスクリーンとしても使用できる。デモは吉田修平氏が行なった。
スマートフォンのアプリを起動し「What's New」をタップすると、他のユーザーがどのようなゲームでどのように楽しんでいるかが時系列で表示され、SHAREでアップされた映像を見ることもできる。、どんなゲームでどんな風に楽しんでいるかを知ることができる。
さらにトピックスの項目から「Conect to PS4」を選択するとPS4と接続し、スマートフォンをセカンドスクリーンとして使用することができた。画面では「プレイルーム」の映像が表示されておりスマートフォン側ではお絵描きソフトが立ち上がっていた。スマートフォン側で絵を描いてピンッと弾くように画面に投げかけると、スマートフォンで描いた絵がPS4の画面に登場した。これには驚いている来場者も多数見かけられた。これは、特別なアプリをインストールすることなく楽しめるという。
また、リモートプレイについてもデモが行なわれた。PS4で「KNACK」をプレイしていると奥さんにテレビが見たいと言われたシチュエーションで、ポーズをかけPS Vita TV側から「PS4リンク」を起動すると通信環境を確認後、「KNACK」でポーズをかけたそのままが表示され、全く違和感なくゲームがプレイできていた。ちなみに吉田氏によれば、カメラや音声以外のPS4のOSはほぼ全て操作できるという。
伊藤氏はラストに「ワクワクできる世界を感じ取っていただければと思う。新しいエンターテイメントの世界をどのように提供できるか構築できるかが我々のチャレンジ」とかたり、「共に新しい世界を皆様と一緒に構築していきたい」と締めくくった。
(C)Sony Computer Entertainment.