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「AVA」日本最強クランを決める決勝大会、大会史に残る死闘・激闘!

薄氷の勝利をもぎ取ったのは“DeToNator”。ヒーローインタビューもお届け!!

8月24日~25日開催

会場:六本木 泉ガーデンギャラリー

 8月24日から25日にかけ、オンラインFPS「Alliance of Valiant Arms(AVA)」の国内最強クランを決める大会、「AVARST2013 Season2 爆破・護衛 決勝トーナメント」が開催された。本大会は、国際大会レギュレーションに準じたルールで開催される公式の大会で、勝者は10月に開催される世界大会への出場権を得られるという、国内最終予選としての性格も持つ。

 大会にエントリーした参加チーム数は総勢900近く。爆破部門に772クラン、護衛部門に85クランが集まり、事前に行なわれたオンライン予選で爆破部門8クラン、護衛部門2クランが選出されている。

 中でも多くのファンが注目したのが、過去数年間で20回以上もの大会優勝経験を誇る強豪クラン“DeToNator”。爆破・護衛部門それぞれに専門チームを抱える大型クランで、国際大会での優勝経験ももつ常勝軍団だ。

 しかし、2013年に入ってさらにユーザー数を伸ばした「AVA」のプレーヤー層は厚く、人気の爆破部門では実力が拮抗しつつある。8月24日に行なわれたダブルエルミネーション形式の最終予選トーナメント最終戦で“DeToNator”は初出場のクラン“Requish”に敗北。こうして、8月25日の爆破部門決勝日には、最終予選の結果に従い1位“Requish”、2位“DeToNator”、3位“Galactic”の3チームが出場し、優勝を争った。

全試合フルラウンドの激闘は “DeToNator”1強時代の終焉か? 勝負を分けたものとは!?

会場の様子

 さて、前段で述べたように、「AVA」の公式大会は2つの種目で開催される。出場数が多いのは「爆破部門」で、5人構成の2チームが攻撃・防衛にわかれ、攻撃側が指定ポイントに爆弾を設置し爆破を成功させるか、防衛側がそれを妨害できるかを競う、チーム戦型FPSの伝統的なルールだ。

 「護衛部門」は本作固有のルールで、攻撃側チームが自軍の戦車を護衛しながらゴールを目指し、防衛側がそれを妨害するというもの。使用可能武器には対戦車ロケットなども含まれ、各プレーヤーは試合中の再出撃も可能。1ラウンド15~20分と長丁場になるなどの点で「爆破」とは全く異なる競技だ。

・護衛部門 決勝

試合に臨む選手たち
戦車の進行度をめぐって激しい戦いが展開
勝負の分かれ目となったらうる選手の“忍者修理”

 8月25日、爆破部門の決勝に先立って行なわれた護衛部門の決勝戦には、“DeToNator”と“Exquake”の2チームが登場した。“Exquake”は打倒“DeToNator”を目指し、春に行なわれた前回大会で優勝した強豪チーム。“DeToNator”は今大会でその雪辱を期す。

 護衛ルールではプレーヤーが倒された際の再出撃が可能なため、比較的狭いマップの中で常に激しい撃ち合いが発生する。その中を自動的に進んでいく護衛対象である戦車は防衛チームの攻撃によって破壊されると止まってしまうため、攻撃側チームはいかに戦車の破壊を避け、破壊されたなら素早く修理できるかが勝利のカギだ。前後半で攻守を交代して戦い、両チームがゴール地点まで戦車を誘導できた場合は、その時間が短いチームの勝利となる。

 2チームとも非常にレベルが高く、プレーヤー同士の撃ち合いは、戦車を護衛・妨害できる有利なポイントを巡り、スポーンポイントからの最適経路も見越した上での壁抜き(壁の向こう側の見えない敵の位置を予想して撃ちぬく)も頻繁に使われる。いずれにしても戦車の破壊・停止はワンチャンスで可能なため、攻撃側としては時間のかかる修理をいかに行なうかが勝負のポイントとなる。通常は、撃ち合いで防衛側の数を減らし、一時的な数的優位を利用して修理に向かうのがセオリーだ。

 試合は完全に拮抗し、防衛側スポーン地点が近いゴール直前での攻防が勝負の分かれ目となった。前半、攻撃側となった“DeToNator”が戦車を修理すると即座に“Exquake”側がこれを破壊する。撃ち合いが展開し、数的な優位を確保した方が一時のリードを手にするように見えた。しかしゴール直前、前線にひとりしか残っていなかった“DeToNator”のらうる選手が、5人の敵に囲まれる位置にいながら地形を利用して発見されず、こっそり修理する“忍者修理”と呼ばれるテクニックを成功。その後数秒戦車を守り、所要時間12分35秒でのゴールとなった。

 対する“Exquake”は後半、この12分35秒以下のタイムで戦車をゴールさせなければならない。終盤までは優勢にゲームを進め、残り3分の時点でゴール地点直前まで進んだ“Exquake”だったが、ここで“DeToNator”の殲滅力に押され気味。ゴール前のプレッシャーに判断を狂わされたのか、戦車は1歩も進まないまま残り時間はわずかとなる。最後の最後、残り8秒地点で修理を完了させるも、戦車はわずか数秒ほどの差でゴールに届かず時間切れ。誤差のレベルといっていいほどの僅かなリードで“DeToNator”が勝利を飾った。

護衛部門優勝は“DeToNator”
敗れた“Exquake”も参加85クラン中の2位の栄誉

・爆破部門 準決勝

爆破部門のルール。トーナメントはダブルエルミネーション方式を採用
試合に入る“DeToNator”の選手たち
どの試合も拮抗し、取得数6-6までもつれ込むことも

 出場772クランの頂点を極める爆破部門の決勝もまたギリギリの接戦となった。試合は、まず前日の最終予選で2位、3位となった“DeToNator”と“Galactic”とのあいだで戦われ、その勝者が最終予選1位の“Requish”と決勝戦を迎える。試合は各マップで6ラウンド毎に攻守交代し、7ラウンド先取したほうがマップ勝利、複数マップを戦って勝利マップ数が多いほうが勝者となる公式ルールだ。

 “DeToNator”と“Galactic”の試合は、3マップ制の2本先取。第1マップ「INDIA」、第2マップ「DIAL SIGHT」ともに、挑戦者“Galactic”はチーム全員がまとめて1つのルートに押し寄せるラッシュ戦法を多用。“Galactic”は第1マップを7-5で勝利したが、攻撃側有利と言われる第2マップでは防衛の上手い“DeToNator”が力を発揮し、1マップずつの勝利を分け合った。

 分かれ目となった第3マップ「ASLAN」では先攻の“DeToNator”が3ラウンド先取するも、“Galactic”が持ちこたえて4-2で攻守交代。攻撃側となった“Galactic”は得意のラッシュ攻撃を頻繁に繰り出し、“DeToNator”の分散した配置を破壊して3ラウンド連取。これに“DeToNator”が対応を変える形で応戦し、12ラウンドを戦って6-6のマッチポイントに到達した。

 勝てば決勝という最終ラウンド、“Galactic”はさらにラッシュ攻撃に掛ける。5人まとめてタイミングを測り、狭い屋内に突入していく。しかし、“DeToNator”側に完全に読まれていた。通常よりひとつ低い位置で防衛線を貼り、中央ルートにスナイパーを配置していた“DeToNator”はラッシュの先頭を潰すことに成功。これで出足が遅くなった“Galactic”に対し、素早く全員が集合した“DeToNator”が逆ラッシュを掛けるかたちで包囲殲滅に成功。

 “Galactic”はフルラウンドを闘いぬいた最後の最後にハイリスク・ハイリターンの賭けに破れ、最後まで冷静さを保った“DeToNator”が作戦勝ちで決勝戦へ進出することとなった。

すんでのところまで相手を追い詰めた“Galactic”の選手たち
ギリギリの勝利を掴んだ“DeToNator”、決勝にむけてホッと一息

・爆破部門 決勝

予選1位のアドバンテージを持って試合に入った“Requish”メンバー
ラウンド単位ではパーフェクトゲームとなることもあるが、次には必ず取り返される展開
ギリギリで爆弾を解除するか、殲滅するか、きわどい戦いが続いた

 決勝では“Requish”と“DeToNator”の2チームが対決。決勝のスペシャルルールしては4マップ先取だが、前日の最終予選で勝利していた“Requish”には2マップ分のアドバンテージが与えられている。つまり、“Requish”はこの試合2マップ先取で勝利。対する“DeToNator”は、4マップを取らなければ勝利できないという苦しい立場だ。

 この試合はほぼフルラウンドが戦われる流れとなった。第1マップは守備側有利といわれる「AIRPLANE」。評判通り防衛側が多くのラウンドを取得する流れで、“DeToNator”は先攻した前半で2ラウンドしか取得できなかったものの、後半ではより硬いまもりを見せ、ラウンドを連取。しかし“Requish”のyoukanman選手、sTy4N選手が時折見せる3人抜き、4人抜きという爆発力の前に、取られるラウンドも多く、追加ラウンドを戦っての7-6で辛くも勝利するという流れとなった。

 第2マップでは“Requish”の得意というマップ「INDIA」。“DeToNator”が技ありの連携でリードすると、“Requish”のyoukanman選手がトータル14キルという活躍でチームを引っ張り、負けラウンド確定の状況を簡単にひっくり返してしまう。“DeToNator”は勝てるはずの状況で勝てない。勝負は拮抗し、最後の最後で2ラウンド連取した“Requish”がこれまたフルラウンドの7-6で勝利した。

 これで“Requish”は、あと1ラウンド勝てば勝利確定だ。対する“DeToNator”はさらに3ラウンドの勝利が必要である。第3マップは“Requish”が苦手とするという「HAMMER BLOW」。勝敗数を分け合った前半に対し、後半は“DeToNator”が手堅い守りを見せ7-5で勝利。続く第4マップ「ASLAN」は一進一退の攻防が続くが、相手をよく研究している“Requish”のファーストキル率が高く、後半3ラウンドを連勝して5-4とリード。これに対し「声出していこうぜ!」とハッパを掛けた“DeToNator”、設置した爆弾が解除されてしまう1秒前に殲滅して勝利するというギリギリの流れも手にし、3ラウンド連続取得をやり返す。これにて流れを掴んだ“DeToNator”が、このマップ7-5で勝利。

 最終マップ「CANNON」。もつれにもつれた勝負も、これを勝ったチームが優勝だ。ほとんどのマップでフルラウンドを戦った両チームはさすがに疲弊しているが、ここで“DeToNator”の動きのキレが目立つようになる。ラッシュと遅攻を織り交ぜる“DeToNator”に対し、“Requish”は同数対決の状況でも味方のサポートが若干遅く撃ち負けるというシーンが目立った。後半攻撃側となった“Requish”は劣勢を挽回しようとラッシュ作戦に掛ける。この状況を見て取ったか、“DeToNator”は的確にスナイパーを配置し、ラッシュの頭を抑えることで効果的な防衛。後半は1ラウンドしか取得を許さず、“DeToNator”が7-4での勝利を果たした。

勝利の瞬間、それまでの緊張が一気に喜びに変わる

・何が勝敗を分けたのか?

 こうして取得マップ数、“Requish”が1、“DeToNator”が4となり、勝敗が確定した。マップ取得数だけを見れば“DeToNator”の圧勝だが、最後は差がついたとはいえ、「負けたら終わり」という状況で踏みとどまって、1ラウンド差を重ねて掴みとった薄氷の上の勝利。実力の伯仲は疑いようもなく、結局は場数の差が生み出した、わずかな違いが勝敗を分けた格好だ。

 その違いとはなんだろうか。観戦した筆者の目には、対戦した両チームが、接戦になるほど動きに迷いが出てくるように見えたことに対し、“DeToNator”は厳しい状況ほど動きや判断にキレが増す傾向があるように思えた。負けたら終わりという状況の中でも、選手たちの顔には笑顔さえ見ることができた。そのメンタル的な余裕が、判断を鈍らせることなく、良いプレイを導いたのではないだろうか?

 強豪クランがひしめく「AVA」。ギリギリの勝利となった“DeToNator”は、10月31日~11月4日にルーマニアのブカレストで開催される国際大会「IeSF 2013 World Championship」に出場することとなる。敗れた“Requish”、“Galactic”の両チームも、“DeToNator”との間にあったわずかな違いを埋めることができれば、国際大会で活躍できるレベルにありそうだ。「AVA」の頂上クランを巡る戦いは、まだまだ続いていきそうである。

爆破部門 準優勝は“Requish”
優勝の“DeToNator”は2カ月後の世界大会に臨む

(佐藤カフジ)