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SCET、60近くの最新タイトルを台湾ユーザーにアピール

4K TVによるサイマルビューなど、PS3、PS Vitaの底力を見せつける出展

1月31日~2月4日

会場:南港展覧館

 今年のTaipei Game ShowではMicrosoftの出展はなく、SCET(Taiwan)が唯一のコンシューマーメーカーの出展となった。今回は大手メーカーの出展も少なく、これまで以上にSCETの存在感が大きかった。

 今回の出展では「PS3、PS Vitaの能力をアピールする」という部分を強調していると感じた。9月に発売したばかりの4K対応液晶テレビ「BRAVIA」を使い、「GRAN TURISMO 2013 Edition」を画面分割無しで1画面に2人分の画面を映し出したり、PS3とPS Vitaの連動機能を活かしたゲームの体験コーナーを作ったり、ヘッドマウントディスプレイでゲームをプレイできるなどハードウェアの特性を活かした出展を行なっていた。

 これまで同様PS3、PS Vitaの最新タイトルを多数出展し、特に「God of War」は専用の体験コーナーで体験版をプレイできた。レポートではSCETブースでのさまざまなポイントを紹介していきたい。SCETとしての発表は、前日レポートでまとめているので、詳しくはそちらを参照いただきたい。

SCE Asiaプレジデント織田博之氏とSCET総経理江口達雄氏、そして多彩なキャラクターによるオープニングセレモニー

最新テレビやヘッドマウントディスプレイで広がっていくゲーム体験

1画面で2人のプレーヤーが楽しめる機能「サイマルビュー」をアピール
ヘッドマウントディスプレイで、これまでにない没入感を体験
「クロスプレイ」の楽しさを実感

 今年のSCETブースで来場者にもっとも大きなインパクトを与えていたのが84インチの4K/2K解像度のBRAVIA「KD-84X9000」を使った「GRAN TURISMO 2013 Edition」の試遊コーナーだ。Taipei Game Showではおなじみとなったコクピット型の筐体で「GT5」を体験できるのだが、今回は2つのコクピット型筐体に1つの画面しかないのだ。

 これはテレビ側ではなくPS3の「サイマルビュー」という機能を使ったもので、画面には2人のプレーヤーの画面が同時に出力されるが、それぞれがかけた特殊なメガネによってフィルタが掛けられプレーヤーは自分の画面しか見えないようになる。外から見ると2重写しの画面を見ながら2人が1つのテレビを見ているように見えるのだが、それぞれは全く別な画面を見ているのである。

 PS3の「サイマルビュー」は、対応している3Dテレビなら楽しむことができるが、日本で2012年11月に発売されたばかりの「KD-84X9000」を使うことで新しいテレビへのインパクトは強く、ソニーの“技術力”をアピールする効果的な出展だと感じた。

 また、通常のモニターではなく、ソニーの3Dヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」での試遊台も多数出展されていた。体験できたタイトルは、「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」や、「ヒットマン」、「龍が如く5 夢、叶えし者」といったPS3タイトルだ。「HMZ-T1」は顔を動かしても画面から目が離れないのが面白い。目の前に展開する画面は大迫力で、通常のゲームプレイ以上の没入感があった。

 この「HMZ-T1」による出展タイトルは「+18」という、18歳未満の人がプレイできないものだった。「+18」のタイトルは通常はクローズドブースで出展を行なわなくてはならないのだが、ヘッドマウントディスプレイは他の人からプレイ画面が見えないため通常のコーナーと同じ場所で出展できるのだ。ユニークなプレイスタイルのアピールも兼ねた効果的な出展と言える。

 ただ、かなり軽量化されているが、「HMZ-T1」の重量を常に感じてプレイしていると、自然に顔が下がってしまう。目の前に画面があるのに、PS Vitaなどのモバイル機器でのゲームをプレイしているかのような姿勢になってしまい、意識して顔を前に向けてプレイするようにした。ヘッドマウントディスプレイでのプレイはコントローラーも視界に入らないという点もゲームとの一体感を高めてくれる。この感覚は新鮮で、出展にぴったりだと感じた。

 この他、ハードウェアの特性を強調した出展が、「クロスプレイ」だ。「ストリートファイター X 鉄拳」や「WHEN VIKING ATTACK」、「プレイステーション オールスター・バトルロイヤル」などPS3とPS Vitaで対戦や協力プレイをできるもので、会場では1人はPS3のコントローラを握ってモニターを見ながら、もう1人はPS Vitaの画面をのぞき込んでプレイできる。PS Vitaをコントローラ代わりにモニターを見てのプレイも可能だ。

 クロスプレイ対応タイトルは独特のプレイ風景に会場での注目が高かった。今回のSCETブースではハードウェアのユニークな特性により広がるゲーム体験と、ここからの発展を期待させた。

2重写しになっている画面を、3Dメガネで選別することで1画面2人プレイを実現
ヘッドマウントディスプレイ、PS3とPS Vitaでの対戦、PS Moveなどハードウェアがモスポテンシャルを強くアピールしていた

「God of War: Ascension」をプレイアブル出展、多彩なタイトル出展でラインナップの厚みを強調

作品の雰囲気を活かしたクローズドブース
PS Vita「ソウルサクリファイス」では4人プレイが楽しめた
台湾デベロッパーによる作品を展示
特にPS Vitaはラインナップの充実を強調した出展を行なっていた

 ゲームタイトルに視点を向けると、特に力を入れた出展を行なっていたのが「God of War: Ascension」だ。本作はシリーズ初となるマルチプレイを実装しているが、体験コーナーでは東京ゲームショウ同様、序盤のシングルプレイを体験できた。クレイトスが振るう武器は、鎖のついた刃の「ブレイド オブ カオス」。襲い来る怪物や敵兵士を相手にこれまで同様、激しい戦いを繰り広げていく。

 今作ではこれまで以上にキャラクターが大きく、クレイトスの表情や、敵キャラクターとの肉体のぶつかり合いが描写されていると感じた。敵キャラクターへのとどめ攻撃、タイミング良くボタンを押すとシーンが展開するQTEなどこれまでのシステムを受け継いでいるところも確認できた。爽快感の高いアクションがたっぷり楽しめると感じた。

 今作の大きな特徴が「ライフサイクル」というシステム。クレイトスが特定の場所に立つと地形に大きな変化が起きる。今回の場合は足場がガラガラと崩れた。ここでR1ボタンを長押しすると「ライフサイクル」が発動し、足場がカメラの逆再生のように元に戻る。この戻る間で時間を止め、崩壊しつつある足場をよじ登るということができた。

 他の場所では崩れてしまった足場をライフサイクルで復活させて登るということもあった。足場が木や岩に分解しバラバラになるところなどは迫力があり、プレーヤーの操作で崩壊と再生を繰り返す要素は独特の面白さがある。このシステムが他のステージでどう使われるか楽しみだ。

 その他にも、多数の注目タイトルが出展されていた。PS3で人気を集めていたのが「ワンピース 海賊無双2」、「真・三國無双 7」、「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム3」、中文版の「真・三國無双6 Empires」、「みんなのゴルフ6」などで、PS Move対応の「BooK of Spells」や「スポーツチャンピオンズ2」などもふくめ30タイトル近くが出展されていた。

 PS Vitaでは「ヴァルハラナイツ3」、「AKB1/149 恋愛総選挙」や「アサシンクリードIII レディ リバティ」、「初音ミク -Project DIVA- F」、「ダンボール戦機W」など30タイトルを超える出展を行なっていた。PS3と比較して開放感のあるスペースにすることでゲームのラインナップの多さを強調しているという印象を受けた。

 「ソウルサクリファイス」では4人でのパーティプレイが楽しめた。「ソウルサクリファイス」は台湾でも日本語版が3月7日に発売され、同日に特別なPS Vitaとのセットも発売される。中文版も2013年内に発売予定ということで、特に注目度の高いタイトルである。

 この他、台湾デベロッパーが制作するタイトルを紹介するコーナーも用意されていた。「Invincible Knight」、「CHAOS CODE」、「Music+」などすでに発売済の、弊誌で紹介したタイトルが多かった。注目作はXPECの「Do Not Fall」。東京ゲームショウでも見ることができたがPS3版は操作性が向上しており、キャラクターデザインがかわいらしい。プレーヤーは乗ると崩れる迷路を進んでゴールを目指していく。かわいらしいキャラクターデザインとはうらはらにかなりハードなアクションゲームで、ゲーマー受けしそうなタイトルだ。

 もう1つ台湾や欧米では配信中で、日本でも近日配信予定のRed Hara Studiosの「Page Chronica」は横スクロールのアクションゲームで、画面内にあるアルファベットを組み合わせ英単語を作り、そのスペルの長さによってエネルギーが溜まり、攻撃ができるというゲーム。長い単語を作れるほどゲーム画有利になるという教育要素のある作品だった。

シングルプレイが体験できた「God of War: Ascension」。画面が緑色に変わるのが時間を巻き戻しできる「ライフサイクル」だ
最新タイトルをプレイアブルで出展。PSNでのダウンロード販売など販売形式や、遊び方といったポイントも含めた形で出展
PS Vitaはローンチ時のタイトルなども出展しタイトルの多彩さをアピール
とても盛況な販売コーナー。期間中毎日100個限定の特別セットを販売している
XPEC開発の硬派なアクション「Do Not Fall」
Red Hara Studiosの「Page Chronica」は教育的要素もある横スクロールアクション

(勝田哲也)