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EA Asia、シドニーにて「EA Asia Showcase」を開催

「シムシティ」“Multi-City Play”のデモを実施、実機デモもアジア初披露

12月11日、12日開催

会場:Luxe Hall

 米Electronic Artsは現地時間の12月11日、オーストラリアシドニーにて、アジアメディアを対象にしたプライベートショウ「EA Asia Showcase」を開催した。アジアパシフィック地域(APAC)を統括するEA Asiaが主催したもので、EA Asiaがシンガポールからシドニーに移ってからは初、シンガポール時代を含めると実に4年ぶりとなる。

 「EA Asia Showcase」では、Maxisの「シムシティ」を筆頭に、「Crysis 3」(Crytek)、「Dead Space 3」(Visceral Games)、「Army of Two The Devil's Cartel」(Visceral Games)、そしてプレイアブル初公開となる「Fuse」(Insomniac Games)の5タイトルを発表。初公開の「Fuse」以外は、いずれも今期内(2013年3月まで)にリリースされるタイトルばかりとなる。本稿では、取り急ぎ、「シムシティ」のプレゼンテーションの模様について紹介していきたい。他のタイトルについても追ってレポートをお届けしたい。

 なお、「シムシティ」の実機デモについては、Gamescom 2012と同じ内容だったため、本稿では細かい違いを紹介する程度に留めている。詳しくはGamescomレポートを参照頂きたい。

【EA Asia Showcase】
左上写真は、挨拶を行なうEA Asia Regional Marketing ManagerのSimon Smith-Wright氏。イベントは、日中はメディア向けのプレゼンテーションや試遊会が行なわれ、夜からはアルコール解禁でブロガーやゲームファン向けに開放。アジアのイベントながら、欧米好みのラフなスタイルで実施された

ついにアジアで秘密のヴェールを脱いだ「シムシティ」

いよいよ完成が近づいてきた「シムシティ」。川には船が行き交い、空には飛行機やヘリも飛んでいる
今回明らかになった“Multi-City Play”で重要な役割を果たす大規模輸送手段。バスだけでも大型バス、路面バスなど複数あり、芸が細かい
表示レイヤーを切り替えることで、リソースの供給具合を可視化することができる。これは水で、隅々まで供給されていることがわかる

 MaxisとEA Asiaは不思議な縁がある。前回、EA Asiaがシンガポールでプライベートショウを実施した際の目玉タイトルがMaxisの「SPORE」だったからだ。「SPORE」は、MaxisでWill Wright氏が手がけた最後の作品で、Wright氏自身がシンガポールに来星し、シンガポールズーでアジアのメディア向けにプレゼンテーションやインタビューを行なった。そして2012年、シドニーで開催された「EA Asia Showcase」の目玉タイトルも「シムシティ」となる。

 担当者によれば深い意味はないということだが、Maxisの「シムシティ」シリーズは、アジアで、とりわけ日本で人気の高かったタイトルで、そのアジアで「シムシティ」の最新ビルドを公開するというのは賢い選択のような気がする。

 さて、「EA Asia Showcase」で行なわれたプレゼンテーションでは、「シムシティ」はトップバッターとして、同作プロデューサーのJason Haber氏が登壇し、最新ビルドのデモンストレーションの模様を収録したビデオを見せながら、作品の魅力を解説してくれた。

 この「シムシティ」は、今年3月のGDC 2012での発表以来、様々な発表、デモに触れてきたため、正直なところ新しい情報はもう出ないと思っていたが、1人で複数の街を管理する“Multi-City Play”の仕様が意外と大がかりで、またその仕様が愉しそうでたまらず、いよいよこのゲームが好きになった次第である。

 「シムシティ」では、マルチプレイ前提の仕様になっていることはかなり初期の段階で明らかになっていたが、どこまでがシングルプレイで、どこからがマルチプレイなのかは曖昧なままだった。「シムシティ」では、無数のプレーヤーと同じ世界を共有し、非同期のマルチプレイワールドが繰り広げられる。あくまで非同期であるため、リアルタイムで共同作業したり、チャットしたりといったことは発生しないが、自分の街と隣町のAさんやBさんの街の間で、影響が相互にもたらされたり、複数のユーザーで協力して大規模な建築物を作ったりできる。

 個々の内容は、ランキングに反映され、どの街がどの分野で優れているのかを「SimCity World」と呼ばれる専用のメニューから見ることができる。オンラインゲームほど密着感がなく、ソロプレイほど寂しくない、適度な距離感の繋がりが「シムシティ」マルチプレイの特徴となる。ここまでは既知の情報だ。

 で、「Multi-City Play」というのは何かというと、1人で複数の都市を管理するシステムとなる。「シムシティ」では1人で複数の都市(リージョン)を同時に育てることができる。このゲームプレイを「シムシティ」では“Multi-City Play”と呼んでいる。今回のプレゼンテーションではこの仕様がまとめて明らかにされた。

 まず、そもそも論としてなぜ分けるのか。これは純粋に、都市を形成する位置によって、地下に眠る資源や、川や山といった基本的な地形が異なるため、場所によってゲームプレイが変わってくるためだ。石炭や石油が多く取れる所は重工業を育てやすいだろうし、水場や平地の多いところは住宅街や商業地に向いている。逆に何もないところはネバダ州の砂漠地帯のように、カジノ地帯を作って、多くの人を呼び集める施策が正解かも知れない。このような理由から、「シムシティ」では1人で複数の都市を開発することを前提としているわけだ。

 次にどう繋ぐか。これはこれまで発表されてきたように道路で繋ぐだけでなく、バス、鉄道、水上フェリー、エアラインなどで、他のリージョンを繋ぐことができる。お互いの街を接続することで、街の人達はより多くの施設にアクセスすることが可能となる。

 Haber氏のデモでは、ごく普通の街のほか、1個の街そのものがあたかもジェットコースターのようなデザインを採用し、見に来た人を楽しませる設計になっていた都市のほか、幸福度も犯罪度も高いカジノシティ、そして噴煙被害が酷い工業都市などを見ることができた。

 特に印象に残ったのはカジノシティ。観光都市として、路線バスを縦横に走らせ、廻遊率を高めて幸福度を上げているほか、カジノの裏の側面として犯罪率が高いことから、ポリスステーションをアップグレードして防犯体制を強化している。

 特におもしろかったのが、夜のバスターミナルだ。カジノ遊びを終えたらしい人々が長い列を作り、ターミナルから次々にバスやタクシーに乗り込み出発する姿を見ることができた。考えて見れば当たり前の話だが、カジノはその街に住む人が遊ぶのではなく、外からやってきた観光客が楽しむものだ。それをゲームでうまく表現しているところに感心させられた。後日「シムシティ」プロデューサーのHaber氏へのインタビューを予定しているので、こちらも後ほどたっぷりお伝えしたい。

【「シムシティ」試遊コーナー】
東京ゲームショウでは出展を見送っていた「シムシティ」の試遊台だが、今回は無事復活し、アジア初公開となった。今回出展されていたビルドは、仕上がったばかりの最新バージョンということで、内容的には9月にドイツケルンで開かれたGamescom 2012とほぼ同等の英語版だったが、より快適なパフォーマンスで動作するようになっており、チュートリアルがキャンセル可能になっていたり、チュートリアルの内容が微妙に変化するなど、完成に向けて細かい仕様も実装されていた。また、これは理由は不明だが、マルチプレイ要素を利用した人口を競う仕様がなくなり、スタンドアロン専用のデモになっていた。大きな点では、クラッシュバグもなくなっていたものの、それでも数回遊べば気づくほどのバグはまだ残っており、ゲームとしての複雑さを伺わせてくれた。右の写真は使っていたPC。GeForce GTX 670 1枚で快適に動作していた

【「シムシティ」プロデューサー・ダイアリー:オーシャン・クィグリー】

(中村聖司)