スクエニ、「FFXIV: 新生エオルゼア」合同インタビューレポート

「リミットブレイク」の詳細やグラフィックス、チュートリアルなど新生の新要素を解説


8月15日収録



 Gamescom初日に、初となる実機デモを行なった「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」。その模様についてはこちらのレポートでお伝えしたとおりだが、イベント終了後、日本メディアを対象にした合同インタビューが実施されたので、本稿ではその模様をお伝えしたい。

 合同インタビューでは、機材に不具合が出たときのために収録したという予備の“実機映像”を見せながら、「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏が解説を加えるという形で進められ、インタビュー後半ではQ&Aが行なわれた。



■ 実機デモの内容を改めて吉田プロデューサーが解説。グラフィックスは「まだ納得がいってない」

種族装備姿の各種族が描かれたインタビュールーム
「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏

 インタビュー前半では吉田氏は、森フィールドの中でジャンプを交えた小刻みな動きを挟みながら、あたりのモンスターとのバトルを繰り返すシーンを見せつつ、「FFXIV: 新生エオルゼア」のグラフィックスの基本仕様について改めて解説を加えていった。

 それによれば、今回のデモは、グラフィックスオプションはすべて「High」の最高設定で、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。Core i7搭載のハイスペックPCを使用しているということだが、現行「FFXIV」の推奨スペックであれば快適に動作し、あらためてPCを買い換える必要はないという。

 その後、E3の際と同様に、アシスタントのCore i5搭載のノートPCでも正常動作するところを見せてくれた。解像度は1,366×768ドットで、こちらのグラフィックスオプションはすべて「Low」の設定ということで、遠景の処理や影の表現が荒くなりザラつきが感じられたが、指摘されないとわからないほどリダクションの処理がうまい。1,366×768ドット以下の解像度であれば十分綺麗に見える印象だ。

 しかしながら、ユーザーが気になっているのは、自分の旧世代のPCでも動くのかどうか? というところだと思われるが、吉田氏によれば、シャドウをオフにしたりなど、グラフィックスオプションを切ることで、オンボードでもプレイ可能という。今秋に開始が予定されているαテストに先駆けて、必要となるPCスペックを改めて公開する予定としており、これに合わせて新たなベンチマークも公開するという。

 さて、森の訓練所のシーンでは、フィールドのほとんどを作り替え、訓練所らしく訓練しているNPCがいたりなど、設定に沿ってキャラクターが動いているところを見せてくれた。会場でのデモと若干展開が異なっていたのは、NPCとの会話でクエストウィンドウが表示されたことだ。イベントアイコンが頭上に表示されているNPCをクリックすると、クエストの概要と報酬を記したダイアログが表示され、何をすれば何を貰えるのか非常にわかりやすい。

 続いて建物の付近でNPCがなにやら作業を行なっているシーンに移行し、近づくとBGMが鳴りだした。今回、「FFXIV: 新生エオルゼア」では、状況に応じてBGMがフェードイン、フェードアウトするという。拠点に近づいたり、バトルが始まるとBGMが鳴り出し、終わると止む。吉田氏は、こうした演出により、街に近づくとホッとするような冒険者の感情を呼び覚ましたいという。

 UIについては、各ダイアログが表示されている状態で、リニアにサイズを切り替えることもできるし、専用のレイアウトモードを表示させてカスタマイズすることもできるという。これにより部分的な改良も、フルカスタマイズも好みに応じて可能ということだ。

 気になるグラフィックスについては、ファーシェーダーと水の表現、ダンジョン/屋内のライティングの実装を残すのみで、すでにPS3の最適化に力を注ぎ始めているという。吉田氏は、「地面やキャラクターに落ちている木の陰は、スタンドアロンのゲームと比べても遜色ないですし、MMORPGとしては最高峰ではないかと思います」と自信たっぷりにコメントする一方で、屋内のライティングについては、「リミットブレイクの動画のシーンも、実はまだ納得がいっていない」とこだわりを見せた。完成したグラフィックスは近日中に公開できるという。


【「FFXIV: 新生エオルゼア」新UI】
クエストウィンドウUIレイアウトモード

【「FFXIV: 新生エオルゼア」スクリーンショット】
美しい「FFXIV: 新生エオルゼア」のスクリーンショット。室内やダンジョンの表現についてはまだ納得がいっておらず、あえて出していないという



■ 新バトルシステム「リミットブレイク」を解説、バトル&ファインプレイでゲージを貯めるシステムを採用

黒魔導士のリミットブレイク「メテオ」
ミコッテナイトは回転斬りのような技を繰り出していた

 続いて見せてくれたのが、その「リミットブレイク」の動画。イベントで見せたものと同じ内容だったが、改めてリミットブレイクのシステムについて解説してくれた。

 リミットブレイクは、「FFXIV」の初期に実装され不評だったバトルレジメンに替わる新たなパーティーバトルシステムで、パーティー全員の力で限界を突破して、最大攻撃を繰り出すというもの。動画の終盤で描かれていたのは、黒魔導士のリミットブレイク「メテオ」で、別の職業のキャラクターが使えばまったく別のリミットブレイクが発動されるという。どのタイミングで誰がどう使うか、パーティーで戦略を考えながらボスモンスターとバトルしていくことになるようだ。

 リミットブレイクはレベルが3段階あり、1段階たまったらすぐ使うか、3段階目まで貯めてから使うかはパーティーの自由で、メンバー共通のリミットブレイクゲージを使用することになる。このゲージは、通常のバトルで徐々に貯まっていくだけでなく、「ファインプレイ」という要素を準備しているという。ナイスヒールやナイスブロックなど、システム側で定める規定のアクションを決めるとファインプレイとなり、よりゲージが貯まるという。常にファインプレイを目指さないとリミットブレイクが出せないというシステムにするつもりはないということだが、メンバーに工夫しがいをもたらす「FFXI」の連携にも通じるユニークなシステムだ。

 メテオ以外のリミットブレイクの内容については、各ジョブ1つというわけではなく、戦士とナイトは共通といった具合にジョブ共通のリミットブレイクもあり、使用したジョブによって効果が若干異なるような形をイメージしているという。いずれにしてもゲームバランスが破壊しないように慎重に準備を進めているようだ。

 リミットブレイクの効果は、ゲージのレベルと装備に依存するという。ただし、装備の依存度は軽微にとどまる見込みで、「おまえみたいな装備の奴が撃つな!」となってしまわないように注意しているということだ。またリミットブレイクのレベル1はかなり低レベルから使用可能になるということで、ゲーム序盤はレベル1のリミットブレイクを試しながら、ジョブレベルを上げることで、高レベルのリミットブレイクが開放されていくことになるようだ。



■ Q&Aセッションでは序盤のゲーム展開や初心者サポート機能などの情報が明らかに

吉田氏は、元MMOプレーヤーということで、ユーザーの視点に立ったコンテンツの拡充が強みと言える

 ここからは、インタビュー後半に行なわれた質疑応答の模様をまとめておきたい。

Q: 「FFXIV: 新生エオルゼア」のバトルがようやく公開されたが、新しいバトルシステムの基本コンセプトを教えてほしい。

吉田氏: テンポ良く、スピーディーに、気持ちよく終わる、ですね。TPは最初から貯まっているので、のっけからウェポンスキルやアビリティを使いまくって、それらのリキャストを待って次に行くようなイメージ。だいたい1モンスターあたり、ウェポンスキル5発ぐらいで倒せるようになっているので、バトル時間は15秒から20秒ぐらい。パーティーだったらこの時間はもっと短くなります。

 EXPの取得はモンスター狩りではなく、コンテンツをクリアしたらどんと入るという仕組みにしているので、バトルが短くても問題ないです。基本はコンテンツをクリアしたらリワードとしてEXPが入る形で、クエストの途中でモンスター狩りをしても全然美味しくありません。その代わり、クエストをクリアするとドカンと稼げます。これはすべてのコンテンツがそうです。ソロでひたすらモンスター狩りをしてレベルを上げるということはなくなります。だからバトルをスピーディーにしているのです。気持ちよくないと長期プレイに耐えられないですからね。

Q: 竜騎士のドラゴンダイブで9999ダメージが出ているが、「FFXIV: 新生エオルゼア」ではこういうカンストダメージが連発するようなゲームになるのか?

吉田氏: SSを撮っている場所がグリダニアを出てすぐのところで、レベル1のモンスターばかりで、彼らをレベル50の竜騎士で攻撃しているのでそういうダメージが出ているだけです(笑)。

Q: 紅葉があるなど環境に変化が見られるが、ゲーム世界の環境について教えて欲しい。

吉田氏: E3からずっとグリダニアの周辺を見て貰っていますが、ここをαテストの舞台にしようと思っています。隣のゾーンにゾーンチェンジするとバリッと風景が変わって、また新しいフィールドの冒険がはじまっていたという感じを作るために、かなりダイナミックに変えています。ストーリーがというよりは、わくわくしてもらうため。エリアを作りつつ、どういうストーリーを盛り込むかを考えています。グリダニアはこんなに美しいところばかりではないです(笑)


デモの最後に見ることができたダンジョン。これは新ダンジョンだという

Q: デモのダンジョンは既存のものか、それとも新規か?

吉田氏: 新規のダンジョンです。

Q: チョコボのジャンプはインパクトがあったが、それでしかいけない場所などはあったりするのか?

吉田氏: ジャンプをしなければ登れない場所は作っていません。アクションゲームではないので、パーティープレイで段差登りが下手な人がもうやりたくないと思ってしまうのはNGだと思っています。どこでも跳んだりはねたりできるように作っているので走り回るだけでも結構楽しいんじゃないかと思っています。楽しみのひとつとしてジャンプが用意されていて、今回もGamescomで実機デモを行なう範囲外を暴走してジャンプしまくっていたら、開発にコリジョンにはまるから止めろと怒られました(笑)。高さ的に骨折しそうな高さぐらいまでは、飛べてしまっていいよといってます。


吉田氏お気に入りの竜騎士

Q: E3の時から思っていたことだが、スクリーンショットやデモに毎回竜騎士が出るが、これは何がこだわりがあるのか? また、「FFXIV: 新生エオルゼア」ではジョブはいくつ用意するか?

吉田氏: 竜騎士にこだわっているのは単純に「FF」らしいから。カインの印象が強いので非常に人気があって、ジャンプなど見栄えがする技が揃っている。僕が竜騎士好きということもあって竜騎士を使っています。ジョブに関しては、スタート時点で既存のジョブは全部います。さらなるジョブやクラスについては日本に戻り次第お話しできるのではないかと思ってます。少なくともβの前には何らかの話が出せると思います。βテストでは既存のジョブで行こうと思ってます。


左上装備ダイアログの下部に表示されているのがギアセット。デモではわかりやすいようにドラッグ&ドロップで装備を行なったが、実際にはギアセットに組み込んでおけば、一発で装備を切り替えられる

Q: 装備のギアセットはいくつあるか?

吉田氏: 「ギアセット1」とあることからもわかるように、2、3、4と増やしていけます。導線設計上はクエストにしていて、デフォルトは1つで、アーマリーを覚えたタイミングで2つ目を覚えられて、2つのクラスで使い分けてみてくださいということです。以降はクエストやコンテンツをクリアする度に増えていくという遊びの一部にしてあります。いまのところ上限の設定はなしで、ジョブやクラスの増加に合わせて増やしていける設計にはなっています。

Q: ギアセットに入れた装備品は手持ちアイテムとしてカウントされるのか?

吉田氏: カウントされません。手持ちアイテムからは消えます。リワードで手に入れたギアはいったんインベントリに入りますが、ギアセットに登録すると、ギアセット側に入るのでインベントリを圧迫することはないです。装備専用のインベントリという言い方も出来ますし、マネキンと呼んでいたものがこれです。マネキンを持ち歩いているイメージです。

Q: 小規模の拠点でもNPCもかなり作り込まれていたが、そこでクエストやストーリー展開があったり、ゲームの導線的な役割も果たすのか?

吉田氏: もちろんそうです。最初の「!」を追っていくと次の「!」があるような流れを作っていて、かなり序盤から多くのクエストがあるようになっています。レベル7〜8ぐらいまではそれで一気に上がる感じですし、それでゲームの操作も覚えられます。今のプレイスタイルとは違いますね。今のユーザーがプレイされると、型にはめられていてやれることが制限されているなと感じられるかも知れませんが、新規のお客様の場合、何でもできるとパニックになってしまうと考えています。


「FFXIV: 新生エオルゼア」でも大きな存在感を示しているエーテライト。この使い方もチュートリアルでしっかり学べるようだ

Q: 序盤の流れが変わるということだが、吉田さんが改良を加えた現行の「FFXIV」のチュートリアルからさらに内容が替わるということか?

吉田氏: そのとおり。いまのチュートリアルよりもっと丁寧になります。たとえば、カメラコントロールが、専用UIでクエストの形になっていて、それをこなすだけでゲームの遊び方が覚えられるようになっています。ほかにはテレポや、エーテライトなどもそうです。初心者がやるべき項目も用意されていて、それらをクリアすると、序盤のひとつ大きな装備リワードがあるとか。僕がホントにやりたかったチュートリアルクエストになっています。新クエストの形になっているので、現行プレーヤーの方も今のキャラクターのままプレイできると思います。

Q: 初心者が何時間ぐらいでひととおりのゲームシステムを覚えられるのか?

吉田氏: 「ひととおり」の定義にもよりますが、パーティーを組んでダンジョンに行って見ることを15時間ぐらいに設定していて、そこまではソロプレイでよくて、その後に初めてライトパーティーを組んで、クエストに従ってダンジョンを冒険してくるとなると30時間ぐらいですかね。序盤が早すぎても後半が辛くなるし、最初に詰め込みすぎても覚えられない。最初に数学の公式を覚えたときって、その公式を使ってある程度問題を解かないと身につかない、それと同じです。1日2時間プレイして2週間という感覚です。もちろん効率を重視すれば、もっともっと早まるとは思いますが。

Q: 現行の各種リーヴは新生ではどうなるのか?

吉田氏: 基本はクエストを追っていっていけばいいという作りになっていて、リーヴはレベル10からになります。そこが冒険者の脱初心者の1つの目安になります。そこからは多少実入りは悪くなりますが、リーヴを繰り返すこともできますが、いろんなことに満遍なく取り組んだ方がEXP的には美味しい設計にしています。効率を求めるならリーヴだけではダメということです。

Q: 「新生」でのパーティーの必要度、パーティーを組む機会はどの程度確保されるか?

吉田氏: 僕の中ではパーティー用とソロ用のコンテンツはわけていて、さらにその中間にパブリックコンテンツと呼ばれるものがあるのですが、コンテンツファインダーに乗るコンテンツはパーティー向けと思って貰えればいいですし、そこに乗らないコンテンツはソロでチャレンジできます。

 あとはログイン時やエリアチェンジ時に、「これがオススメですよ」という情報が出るようになっていて、近くにあるコンテンツの混雑具合を見て「今ベヒストすいてます」とか、あなたのレベルではこういうクエストがありまうがどうですかとかリストが出るようになっています。本人がパーティー志向であれば、常時パーティー向けのコンテンツが表示されますし、そこはタイミングが来たらぜひお見せしたいところです。もう迷うことはなくなります。ウザいと思う人は消しておけばいいです。でも、MMORPGは数が多すぎて何をしていいかわからないということが必ず発生するので、初心者にとっては安心してプレイできる要因になると思います。

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(2012年 8月 17日)

[Reported by 中村聖司]