広東動漫城 董事長 郭接宇氏ミニインタビュー

“職住学”が一体となったエコシステムを持った都市を築きたい


6月21日収録

会場:広東動漫城(広東省従化市)



 SCE Asiaプレジデント安田哲彦氏インタビューに続いては、広東動漫城の董事長郭接宇氏にも短時間ながら話を聞くことができたので、ミニインタビューとしてご紹介したい。

 広東省と従化市が共同で進めている大型都市計画事業「広東動漫城」は、日本にはまったく無縁の存在と思われがちだが、平たく言えば中国各地方政府が行なっている企業誘致であり、中国の拠点のひとつとして、ここを選ぶことで、広東省/従化市独自の優遇措置が受けられる。興味のあるメーカー担当者はコンタクトを取ってみてはいかがだろうか。

 ゲームファンの視点で見ると、数年後、この広東動漫城からプレイステーションプラットフォームの人材が育ち、中国産のPSタイトルが生まれるかもしれないという期待がある。中国の新世代のクリエイターが作るPSタイトルとはどのようなものなのか、想像してみると楽しいかも知れない。


■ 広東動漫城との提携経緯、そしてSCE Guangdong(広東)の設立について

広東動漫城オープニングセレモニーで挨拶を行なう郭氏
盛大に行なわれた広東動漫城オープニングセレモニー
セレモニーの後は大昼食会
広東動漫城の完成模型
SCE Asiaの安田氏とは、兄弟という言葉で親密さを表現していた

――日本を含む、海外メーカーが広東動漫城に入居するメリットは何か?

郭氏: 今後、広東動漫城に入居した企業がコンテンツ制作を行なった場合、法人登記から人材確保、オフィスの確保まで一気通貫のサポートサービスを提供する。また、政府がコンテンツ産業企業に提供する様々な優遇政策を受けられるよう、政府との交渉窓口として、海外企業の支援を行なう。

――入居対象となる企業の業種はどういうものか?

郭氏: 幅広いコンテンツを対象としており、アニメーション、CG、漫画、ゲームに関連する企業が既に入居している。国内企業と海外企業の入居の割合は、35%が国際企業、65%が中国企業。

――動漫城内でゲームやアニメの販売を行なう予定はあるか?

郭氏: 検討中。広東動漫城が開設するインキュベーション施設に入居している人材が制作した優秀なコンテンツのビジネス化を支援するという目的で、コンテンツのパブリッシャーとなり、広東動漫城が販売サービスを行なって欲しいというリクエストは受けている。

――提携する中国の大学は? 日本の大学との提携は?

郭氏: 中山大学(広州)、華南理工大学(広州)や清華大学(北京)など、20以上の大学と提携としている。日本の大学との提携は検討しているが、ゲームという分野では、SCE Asiaの皆さんの協力の下、海外の大学との提携を検討している。

――「プレイステーション体験センター」の運営方針は?

郭氏: SCE Asiaの協力の下、プレイステーションの最新商品を展示して行きたい。体験コーナーは、政府関係者や、広東動漫城でコンテンツ作りを学ぶ学生の方々に、ゲームの楽しさや健全さをアピールするのに最適な場だと考える。

――広東動漫城は今後、どういった形で発展していく予定なのか?

郭氏: コンテンツを核とした、“職住学”が一体となったエコシステムを持った都市を築きたいと考えている。国内外から、多くのコンテンツ関連企業が進出していただくために、環境を整備し、そこで働く人を増やすための住環境の整備も重要。また、広東動漫城で開発されたコンテンツを中国国内に販売するためのお手伝いをさせていただくと共に、広東動漫城に入居するクリエイターが開発したゲームを、SCE Asiaの力を借りて世界で販売して行きたいと考えている。

――日本のメーカーに対する広東動漫城のアピールを

郭氏: 広東省は中国で最も早い段階から改革開放を行なってきた都市であり、日本企業を含む多くの外国企業の進出を歓迎している。今後の中国のコンテンツ産業発展のためには、日本と中国が力を合わせる事が必要であり、広東動漫城は、その架橋となり、プラットホーム型サービスを提供したいと考えている。

 広東動漫城が設置されている従化という土地は、環境の良い土地で、大学も多く、コンテンツ制作に専念できる環境だと信じている。進出を検討いただける日本企業の皆様のと交流できる機会を、設けたいと考えている。また、私どものパートナーであるSCE Asiaにお問い合わせいただければ、安田プレジデントが親切に相談に乗っていただけるのではないだろうか(笑)。

(2012年 6月 28日)

[Reported by 中村聖司]