Microsoftブースレポート 次の10年に向けて助走を開始した「Halo 4」プレビュー
Cliff Bから「Gears of War Judgment」の魅力も聞いてきた!
今年のE3でも大豊作だったMicrosoft。とりわけXbox 360を代表するフランチャイズである「Halo」と「Gears of War」の2タイトルの新作が出そろい、共にMSブース内に設置されたクローズドシアターの前には長い行列ができるなど、ここ数年続いていた“Kinect全面展開”とは異なる風景が繰り広げられていたのが印象的だった。本稿では、Xbox 360エクスクルーシブタイトルとなる2本のFPSの最新情報をお届けしたい。
【E3 2012: Xbox 2012 】 |
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■ これからの10年を形作る新しい世代の始まりとなる「Halo 4」
MSブースの横断する規模で設置された「Halo 4」コーナー。連日優に100人を超える行列ができた |
インタビューに応じていただいた343 IndustriesのFrank O'Connor氏(左)とKiki Wolfkill氏(右) |
「Halo 4」についてはすでに「Xbox 360 E312 Media Briefing」レポートや「Halo 4 Showcase Event」で最新情報をお届けしているが、本稿ではインタビューを通じて得られた情報を中心にまとめておきたい。
これまでのBungie Studiosに変わってMicrosoft社内に新しく設立された開発スタジオ343 Industriesは3年半前から活動を開始し、当時は30人、現在は230人ほどの規模になっているという。スタッフ全員が「Halo」に対するパッションを共有し、ユーザーに対してエピックスケールのSF体験をしてもらいたいと考えているという。O'Connor氏は、「初代『Halo』をプレイしたときのような“ミステリー”を体験して貰いたい」と謎めいた表現で、「Halo 4」への期待を煽った。
シングルプレイキャンペーンで重視しているのは、ストーリーテリングの要素ということで、マスターチーフが異なるタイプの新たな脅威に立ち向かうことになるという。デモでも、瞬間移動を繰り返す新種の敵や、それらに対抗するために一撃で消滅させるパワーを持つ兵器などが登場し、これまでの「Halo」とは異なるという印象を与えてくれた。
その一方で、革新的なマルチプレイを提供していくことも重視しているという。今回公開された「Spartan Ops」がそのひとつで、インスピレーションを受けたのは意外にもTVショウだという。毎週新しいエピソードが無料配信され、全ユーザーはそのエピソードに含まれた5つのプレイアブルミッションを楽しむことができる。第1回目の配信は「Halo 4」発売当日の11月6日(日本では11月8日)が予定されている。
この「Spartan Ops」は、シングルプレイキャンペーンのストーリー性と、CO-OPの楽しさをミックスさせたオリジナルコンテンツになっていて、プロローグとエピローグにそれぞれカットシーンが入るのが大きな特徴となっている。今回は、レンダリングされたキャラクターではなく、CGイラストが割り当てられた仮のカットシーンを見せられた。MSはあまりこうした仮のバージョンは見せない傾向があるが、あえて見せたというのはそれだけこのモードを重視している証拠と考えて良いだろう。
O'Connor氏は、今回公開したSpartan Opsに登場する新モンスターについて解説した。地面を這うように進む芋虫のようなモンスターが「クロウラー」で、クロウラーを生み出す大型のモンスターがウォッチャー、さらにそのウォッチャーを生み出すのがテレポート能力を持つナイツとなる。これらに深く関わっているのが、神秘的な古代種族「フォアランナー」となるようだ。今回、シングルキャンペーンはプレイすることができなかったため詳細は不明だが、従来のシリーズと同様に、巨大なモンスターや乗り物も登場してくるという。
Spartan Opsの1回当たりのボリュームは、15分程度。実際のプレイでもそれぐらいでクリアすることができた。キャンペーンのオートセーブポイント数個分というところだろうか。このSpartan Opsの配信は発売から数カ月にわたって実施されるという。ここまで来ると、もはやオンラインゲーム状態だが、O'Connor氏は、「キャンペーンをプレイしても、Spartan Opsを通じて『Halo 4』のストーリーを楽しみ続けることができると自信を除かせてくれた。期待以上の仕上がりとなりそうな「Halo 4」。発売が非常に楽しみだ。
【Halo 4 Official Trailer: E3 2012】 |
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【「Halo 4」スクリーンショット】 | |
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■ 「GoW」3部作以前の物語を描く「Gears of War: Judgment」。 新システム「スマートスポーンシステム」に注目
行列ができた「Gears of War: Judgment」コーナー |
Epic Games Cliff Bleszinski氏 |
Peaple Can FlyのAdrian氏 |
3部作が集結を迎えたことで今後の行方がどうなるのか心配された「Gears of War」シリーズだが、今年のE3で外部デベロッパーによる外伝的タイトル「Gears of War: Judgment」が発表され、シリーズのファンはほっと一安心というところだろう。開発を担当するPeaple Can Flyはポーランドでデベロッパーで、過去にPC版「Gears of War」を手がけたのが縁で、今回再び組むことになったという。発売は2013年初頭を予定。日本での発売も予定されている。
なお、「Gears of War: Judgment」のウリのひとつとなる新マルチプレイモード「OverRun」については「Best of Xbox Showcase」でも取り上げているので、ここではシングルプレイに関する情報をお届けしたい。
「Gears of War: Judgment」は、シリーズでもお馴染みの人気キャラクター“デーモン・ベアード”と“コール・トレイン”の2人が率いる「キロ部隊」が、未知の敵に包囲されたHalvo Bay救済のため史上最大規模の敵の大群に戦いを挑む。時代設定は3部作“以前”となっており、「Gears of War」誕生の謎に迫ることができる。シリーズ初登場となるSofia Hendrick、Garron Padokを仲間に加え、様々な新システムを搭載している。
Bleszinski氏は、「『GoW3』を仕上げたときに次はどうするかを色々考えたが、このままローカストモンスターを相手に、ガンとチェンソーで戦っていくのは難しいと思って、今回は使わないことにした。ガンやチェーンソーが生み出された時代にゲームの時代を設定したんです」とゲームコンセプトを説明。キャンペーンのアイデアについてはAdrian氏が「背景にある大きなアイデアは、ローカストに対する恐怖。それを表現するために戦闘の強度を高くしている。具体的には見たこともないような数の敵が登場し、それと対峙する興奮が味わえるようになっている」と説明。
注目の新システムについては、「S3(Smart Spawn System)」と、「Declassification」の2つが紹介された。S3は、バトルシーンに新たな緊張感をもたらすために導入されるインテリジェントなシステムで、プレーヤーのパフォーマンスにより、敵の種類、出現タイミング、ポイントを変化させるというもの。発想としてはValveの「Left 4 Dead」に搭載されていたAI Directorに近く、プレーヤーの力量に合わせて常にギリギリの恐怖が味わえるというシステムとなる。今回は実際に「Gears of War」にAI Directorが搭載されたらと思うとワクワクしてしまうのは私だけではないだろう。
2つ目「Declassification」は、文字通り機密指定の解除をゲーム内で挑んでいくというもの。何のことだか意味が分からないと思うが、特定のチャレンジをクリアすることで、難度の高いシナリオや実績がアンロックされるという実績の発展系のようなシステムだ。Adrian氏は具体例として、4分以内にすべての敵を倒す、弾丸がなくなった状態から敵を倒すという条件を挙げてくれた。これがゲーム内でどのようなタイミングで投げかけられるのかは不明だが、やり込み要素として大いに楽しめそうだ。
最後にBleszinski氏にゲームエンジンについて、今年発表された「Unreal Engine 4.0」の搭載の可否について聞いたところ。「Unreal Engine 4.0は、まだ現在開発中なので、『Gears of War: Judgment』では3.0を使っている。4.0は使うとしても次回以降になる」と明言。「Gears of War: Judgment」はグラフィックスではなく、あくまでシステムとストーリーで押していく方針を明確にしてくれた。いち早くキャンペーンをプレイしてみたいところだ。
【E3 2012: Gears Of War: Judgment】 |
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【「Gears Of War: Judgment」スクリーンショット】 | |
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(C) 2012 Microsoft
(2012年 6月 10日)