EA/Crytek、新世代FPS「Crysis 3」プレビュー&インタビュー
ジャングルと化したNYで新武器を駆使してエイリアンと戦うデモが初披露
「Crysis 3」のロゴ |
「Crysis 3(クライシス3)」はドイツの開発会社Crytekが開発しているプレイステーション 3/Xbox 360/Windows用の人気FPSシリーズの最新作。今作も、前作から採用された自社開発の高性能ゲームエンジン「CryEngine 3」が使われる。発売は2013年春の予定で、価格は7,665円。
ロンドンで開催された「EA Showcase」では、Crytekのクリエイティブ・デベロップメント・ディレクターのRasmus Hoejengaard氏がプレゼンテーションを行ない、プレイデモを披露した。このレポートでは、イベントで発表された「Crysis 3」の最新情報と、Hoejengaard氏のミニインタビューをお届けしたい。
■ 前作から20年、熱帯雨林に埋もれたNYでプロフェットが復讐の狼煙を上げる
「EA Showcase」の直前に発表された「Crysis 3」は、今回の目玉タイトルの1つ |
プレイデモは約10分ほどの内容。Hoejengaard氏が解説しながら進めていった |
「Crysis」シリーズは、“ナノスーツ”呼ばれるハイテクスーツを着た主人公が「セフ」と呼ばれる宇宙人や謎の組織「C.E.L.L」と戦うSF色の強いFPS。シリーズ4作目となる今作は、前作「Crysis 2」から20年後の未来、主人公は前作の冒頭で死んだはずのプロフェットだ。ストーリーはプロフェットの復讐譚になるらしい。
舞台となるのは、前作から20数年後、かつてNYだった場所に建てられているドームの中にある人工のジャングル。世界の主要都市跡に建てられているこのドームは「ナノドーム」という。前作にも登場した悪の組織「C.E.L.L.」が宇宙人のために作った場所だということだ。
NYにあるナノドームは通称「リバティドーム」と呼ばれている。内部は草原や湿地帯など7つの異なるエリアに別れている。完全な自然環境が再現されており、カエルや蝶、トンボなどの生物も生息している。
今回のプレイデモでは、かつてチャイナタウンがあった場所に広がる湿地のジャングルで、前作よりもさらに強化された改良型ナノスーツを着た主人公プロフェットがエイリアンと戦う様子を見ることができた。プロフィットは「セフ」という宇宙人の遺伝子を組み込んだバトルスーツ「ナノスーツ」を身につけ、今作を象徴する武器である「コンポジット・ボウ」を持っている。
周囲は木々や草がうっそうと茂る湿地帯で、その合間を縫って背後の廃墟が見え隠れする。ここはかつてNYのチャイナタウンだったことを示すように、廃墟には中国語の看板がかかっている。プロフェットは光学迷彩で姿を隠す「クローク」機能を使ってエイリアンに見つかることなく進んでいく。
コンポジット・ボウには、ステルスのまま使用できる矢があり、姿を隠したまま敵を射貫くことができる。正確には武器を発射する瞬間だけステルスが解除されるが、すぐにまたクロークを使って姿を隠す。また、ナイフを使って背後からエイリアンを始末することもできる。前作では素早い動きでプレーヤーを翻弄してくれたエイリアンだが、今作では割合と落ち着いた動作で接近戦でも十分倒していける。また、遠距離の敵を狙い討つシーンでは、カメラが矢に追随していく映画のような視覚表現も使われていた。
【ナノドームの風景】 | ||
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デモでは、ステージの途中でクロークを見破る小型のロボットに位置を発見され、その結果、周囲にいた敵が一斉に襲われてしまった。中には遠距離から火炎放射をしてくる新しいタイプの敵もいた。未知の敵と遭遇した際は、新システムである「スキャニングモード」が便利だ。これを起動することで敵のデータを収集することができる。収集されるデータには敵の弱点も含まれており、攻略の手助けになる。ちなみに今作はUIもいっそう見やすく改良されており、見えない場所にいる敵もマーキングして追いやすくなっている。
多くの敵を一掃するために、矢をグレネードタイプのものにかえて敵に撃ち込んでいく。さらに1秒間に500以上の弾を発射する新武器「タイフーン」を使って、一気に薙ぎ払う。タイフーンは一見アサルトライフル風の武器だが、一度に発射する弾が多いので弾倉がすぐに空になる。そのため、どちらかというと威力の大きさと広範さが特徴のショットガン的な武器のようだ。
倒したエイリアンから奪い取った武器を使うこともできる。デモで登場したのはアサルトライフル的な使い方とグレネードガン的な使い方を使い分けることができるレーザーガン。エイリアンの武器だけに威力は高そうで、エフェクトも派手なため使った時の爽快感もかなり大きい楽しそうな武器だ。
これらの武器を駆使しつつ進んでいった先には、セフが設置した機械があり、これをハッキングする。デモではハッキングの結果がどのような影響を与えているのか、今ひとつ分かりづらかったがHoejengaard氏によればハッキングは今作のかなり重要なキーとなるらしい。
最後は四方をエイリアンに囲まれた絶体絶命の状態に追い込まれる。プロフェットは恐れることなく、弾の尽きた武器を放り出すと素手で襲いかかるエイリアンに立ち向かっていく。その結末はゲームをプレイしてのお楽しみと言った所だ。
「CryEngine 3」を使ったグラフィックスの圧倒的な美しさはもちろん、都市とジャングルを融合させ、「Crysis Warhead」の主人公だった「サイコ」も登場するなど「1」のファンも「2」のファンも楽しめそうな内容になっている。マルチプレイやその他の詳しい要素についてはE3での発表を待つことになりそうだ。
【スクリーンショット】 |
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「コンポジット・ボウ」で、プレーヤーはジャングルの狩人となる |
■ 「1Crysis 3」開発者ミニインタビュー
クリエイティブ・デベロップメント・ディレクターのRasmus Hoejengaard氏 |
CryENGINEが作り出す“生きたギャングル”が本作の見どころの1つ |
プレゼンテーションの後にはHoejengaard氏への質疑応答の時間があった。前作までのファンが気になる部分をいろいろと聞いてきたので、箇条書きでお届けしたい。
Q: 物語の舞台はいつになるのですか?
Hoejengaard氏: 前作から20年後です。その間にクライネットが世界のいくつかの首都にナノドームを構築しています。ナノドームは人口的に作ったレインフォレストなので、できてから20年程度ですが、樹齢100年を超えるようなジャングルになっています。クライネットはこれを人類の為に作ったわけではなく、なにかの陰謀のために作っているようです。
Q: どうしてプロフェットを主人公にしたのですか?
Hoejengaard氏: 彼はクライネット社にだまされて利用されていたので、人生に一番深みがあるのです。とても面白い主人公になると思います。
Q: 前作の主人公アルカトラズと、初代主人公ノーマッドは登場しないのですか?
Hoejengaard氏: ゲーム内で彼らに何らかの役割は与えられますが、キャラクターとしては登場しません。
Q: なぜ舞台をNYにしたのですか?
Hoejengaard氏: 企画段階ではNY以外の選択肢もありました。それでもNYにしたのは、前作でも使っているので簡単だったという理由からではないのです。前作までをプレイしてくれた方は、どこが違うのか、どう変わったのかを見るのが面白いですし、今回初めてプレイする人にとってもなじみのある風景が変化しているのを見るのは面白いのではないかと思います。例えば大きな穴があって、よく見るとそこはナスダックビルがあった場所だったとか。
Q: FPSで弓という武器は珍しいですが、コンポジット・ボウを入れようと思った理由は何ですか?
Hoejengaard氏: いくつか理由があります。1つは都市で狩人になるというコンセプトから、狩人の武器としては弓がふさわしいだろうと。ステルス状態で攻撃できるというところも、このゲームのプレイに合っていると思います。コンポジット・ボウの持つ、ハイテクなのにローテクという矛盾が面白いと思います。
Q: デモプレイの中で2種類の矢を使っていましたが、どのくらいの種類があるのですか?
Hoejengaard氏: コンポジット・ボウの矢にはたくさんの種類があります。デモではステルスとグレネードを使っていましたが、それ以外にもたくさんの種類があります。武器だけではなく、いろいろな機能を持つ矢を考えています。
Q: マルチプレイもナノドームの中で戦うことになるのですか?
Hoejengaard氏: マルチプレイについては、まだお話できません。
Q: 武器のカスタマイズは今作ではどうなるのですか?
Hoejengaard氏: まだ考えている最中なので、今はお話できません。
Q: デモムービーの中にカメラが矢の背後に追随する視点がありましたが、ゲーム中でもああいった演出は使われるのですか?
Hoejengaard氏: それも考えているところです。ゲームプレイの邪魔にならないように取り入れたいと思います。
Q: 「スキャニングモード」はゲーム内でどんな役割を果たすのですか?
Hoejengaard氏: 敵をスキャンすることで、その敵の弱点がわかります。スキャンすることで、どの敵をどの武器でどんな風に攻撃すればいいのかが分かるようになります。
Q: ハッキングでどんなことができるのですか?
Hoejengaard氏: ハッキングは今作の特徴の1つでもあります。ハッキングを使うか使わないかは選択肢としていれようと思っています。
Q: 「Crysis」は常に挑戦的なグラフィックスが話題になりますが、今作ではどういった挑戦がありますか?
Hoejengaard氏: 今作でもグラフィックスは大きな挑戦です。「1」と「2」の良い部分を融合していますので、そういう設定がゲームプレイを楽しくしてくれます。例えば沼の環境は細かい所まで作り込んで、本当に生きているような環境を作り上げています。都市の中に人工的に作られたジャングルと言う風景は、現実世界にはないものです。
Q: ジャングルの中にいるカエルは掴めるのですか?
Hoejengaard氏: カエルを捕まえることはできませんが、今後の開発の中で撃てるようになるかもしれません。
Q: 改めて「Crysis 3」の見所を教えてください。
Hoejengaard氏: 今までのFPSの中で最も美しいビジュアルのインパクトと、ナノドームの目的やプロフェットが戦う動機などが融合して今までにないゲームになると思います。「CryEngine 3」の性能の強みをユーザーに知ってもらえると思います。
Q: 「Crysis」のストーリーは今回で完結するのでしょうか?
Hoejengaard氏: プロフェットの物語は完結しますが、「Crysis」は終わりません。
(c) 2012 Crytek GmbH. All rights reserved. Crysis, Crytek, and CryENGINE are trademarked of Crytek GmbH. EA and the EA logo are trademarked Electronic Arts Inc. All other Trademarks are propety of their respective owners.
(2012年 4月 24日)