EA、「Medal of Honor Warfighter」プレビュー&インタビュー

元米軍特殊部隊兵の実体験が作り上げる、迫真のリアリティ


4月19日、20日開催

会場:Millbank London



 米Electronic Artsはロンドンで開催した「EA Showcase」では、プレイステーション 3/Xbox 360/Windows用ミリタリーFPS「Medal of Honor Warfighter」のPC実機デモと、シニア・クリエイティブ・ディレクターのRich Farrelly氏のインタビューが行なわれた。

 「Medal of Honor Warfighter」はDanger Close Gamesが開発している現代戦を舞台にしたFPS。3月にアメリカで開催された「GDC 2012」に合わせて発表された。日本では2012年秋に発売される予定。価格は7,665円。




■ Tier 1 オペレーターのアドバイスが、ゲームのリアルさを生む

プレゼンテーションは約30分。その中でデモと質疑応答が行なわれた

 今作では前作に登場した、アメリカの特殊部隊「U.S. Tier 1 Operator」の1人“Preacher”の活躍を描く。前作で同じ部隊に所属していたMotherとVoodooも登場する。彼らはタスクフォース・メコという新しい特殊部隊に所属している。敵は1つの勢力だけではなく、ソマリアの海賊やフィリピンの洪水など実在する多様な組織や事件をモチーフにした多数のミッションを、世界中でこなしていくことになる。

 今回は登場する部隊ごとにデザインの異なる“バッヂ”が用意されており、今公開されている以外にも複数のバッヂが存在するようだ。

 今作から「バトルフィールド3」でも採用されたグラフィックエンジン「Frostbite 2」を使用して、グラフィックスのクオリティを大幅に向上させている。さらに、“オーシャンウォーター”という水の動きを作り出すテクノロジーも追加して、プレイデモに登場する台風で荒れ狂う海や、洪水に浸かった街の光景をリアルに作り出している。

【スクリーンショット】
「Frostbite 2」エンジンが生み出す美しいグラフィックス。特に水の表現に力が入っている

 Showcaseで公開された実機デモは、GDCで紹介されたものと同様のもの。ルソン島で実際に起こった大洪水をモチーフにしたミッションで、特殊部隊はフィリピンのバシラン島にあるイザベラシティで、テロリストに捕まった人質を救出する。プレイデモの様子はこちらの記事に詳しく紹介しているので、合わせて読んでみて欲しい。

 「MoH」のリアルな世界観を構築するために、開発には本物のTier 1 オペレーターがアドバイザーとして助言を行っている。会場には元Tier 1 オペレーターで、現在は開発のアドバイスで中心的な役割を果たしているTaylor Gray氏もゲストとして登場した。顔出しは不可という厳重さが、背負っているものの重さを感じさせた。

 Gray氏は約10年間USタスクフォースで働き、アフガンやイラクで戦闘を経験した。今は怪我のために除隊して、フルタイムでゲーム開発のアドバイザーを務めている。Tier 1 オペレーターは、武器や装備の正確さやキャラクターの動きなどをできるだけ本物に忠実に再現するよう確認する。今作では、ドアを開けるときに蹴破ったり、グレネードを投げ込んだあと突入するなどいくつかの選択肢から選ぶことができるブリーチ・テクノロジーという新要素があるが、そんな動きもGray氏らの助言によるものだ。

 「ゲームなので、プレーヤーにとって楽しいものを作るのが目的です」とGray氏。「毎日色々な部署から人が来て、この帽子の色は? とかドアはどうやって開けるの? と色々な質問をしています」とFarrelly氏も語った。「MoH」の特徴であるリアルさは、グラフィックスだけではなくこんな努力から生まれている。

【スクリーンショット】
本当のTier 1 オペレーターの実体験をもとに、リアルな戦場を作りだし、それをゲームとしての楽しさへとつなげている

■ 「MoH」は戦士への敬意をもって作っているところが最大の差別化

シニア・クリエイティブ・ディレクターのRich Farrelly氏

 そのほかにも、Farrelly氏へのミニインタビューの中で、ゲームの見どころなどいくつかのポイントを聞くことができたので、箇条書きでお伝えしたい。

Q: トレーラーに登場する各国の特殊部隊は、シングルキャンペーンにも登場するのですか?

Farrelly氏: 今回のマルチプレイは世界各国の特殊部隊を使う事になるが、シングルキャンペーンの中でも、例えばフィリピンではフィリピンの特殊部隊と米軍の特殊部隊が協力して活動します。


ゲームプレイの多様性を生み出す様々なギミックが挿入されている

Q: 前作との最も大きな違いはどんな部分ですか?

Farrelly氏: 「Frostbite 2」です。ストーリー的には、今までは1つの歴史的な出来事を中心に据えてきましたが、今回は色々な出来事がテロというくくりの中で発生します。フィリピンやソマリア以外にもいくつか違う場所が舞台になります。

Q: 前作では日本のユーザーから単調だという声がありましたが、今作では改善されているのでしょうか?

Farrelly氏: 沢山のユーザーの声を取り入れて、多様性のあるものにしたいと思っています。デモの中で見ていただいたドアの開け方や、ボートに乗って脱出するシーンなどは、そういう多様性を実現できていると思います。

Q: 非常に多くのFPSタイトルがありますが、その中で「MoH」ならではの要素はなんでしょうか?

Farrelly氏: 1つはリアルさです。超能力や超兵器が登場せず、今の戦場にあるものだけで戦います。Tier 1 オペレーターとも相談して気を使っています。2つめは、すべての戦士に対するリスペクトです。3つめはストーリーを戦士の視点で語ることです。戦場から家に戻った時に結婚生活の問題や、お金の問題などもリアルに描写しています。


ゲームプレイの多様性を生み出す様々なギミックが挿入されている

Q: Tier 1 オペレーターは実際に動きを演じたりもするのですか?

Farrelly氏: もちろんです。Taylorさんはモーションキャプチャーの役者もやっていますし、監督もやっていただいています。

Q: Tier 1 オペレーターに「No」と言われた要素はありますか?

Farrelly氏: あるシーンが、あるオペレーターの実体験に近すぎて「これは自分の話だからやめてください」と言われたことはあります。今は必ずTaylorさんが開発現場にいるので、いつも彼と話をしながら考えているので、あまり「No」と言われるようなことはありません。


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(2012年 4月 20日)

[Reported by 石井聡]