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世界待望の都市育成シム「シムシティ」プレビュー&インタビュー

オンラインゲームとして生まれ変わる史上最強の都市育成シム


4月19日、20日開催

会場:Millbank London



 今年の「EA EU Showcase」の目玉のひとつがEAの子会社Maxisが開発している「SimCity(シムシティ)」である。先月、GDCに合わせて実施されたローンチイベントでも多くのメディアから喝采を持って迎えられ、往年のゲームファンもその突然の復活を喜んだ。都市育成シミュレーションゲームの元祖の復活を多くの人が待ち望んでいたことを世界に知らしめる結果となった。

 そして今回の「EA EU Showcase」では、試遊こそできなかったものの、お待ちかねの実機を使ったデモンストレーションが行なわれた。実は実機映像そのものは、GDC期間中に、「シムシティ」のシミュレーションエンジン「GlassBox」の技術セッションでも披露されていたのだが、わずか1カ月ながら、かなりブラッシュアップされたビルドを披露し、メディアを驚かせると同時に、完成をより楽しみにさせてくれた。リリース時期は2013年とまだ少し先なのが非常に残念だが、今年のE3でも台風の目となるのは間違いなさそうだ。さっそく紹介していきたい。




■ 人々の暮らしや人生までシミュレーションするGlassBoxエンジンのパワーを見よ!

「SimCity」ブース
デモを担当したMaxis Studio VP & GMのBret Berry氏
市民ホールの前で抗議デモを行なう市民達。市民達は常に様々な不満や要望を持っている。これを上手くくみ取って市政に活かすことが重要となる
製鉄所のイメージボード。工場は物資を作り出す反面、公害を巻き起こす。このバランスをどう取っていくかも市長の役目となる
シミュレーションエンジンGlassBoxでは、車同士が事故を起こすこともあるという。コンセプトアートでは、火災が発生し、大渋滞が発生している

 「SimCity」のデモンストレーションは、Maxis StudioのVP & GMのBret Berry氏がプレゼンテーションを行ないながら、Maxis Studio ProducerのJason Haber氏が実演を行なうというスタイルで進められた。

 Berry氏は、「SimCity」の特徴について、マルチプレイ、美しい3Dグラフィックス、GlassBoxと呼ばれるシミュレーションエンジンによるシミュレーションの3点を挙げ、カジノや産業など、特定の目的に特化した自分好みの都市を作り上げることができることを強調。その上で、今回見せるバージョンは最終の仕様ではなく、UIは仮のもので、バグもあると断りを入れることも忘れなかった。

 ちなみに今回見たバージョンのUIは、画面下部にオンラインゲームのショートカットのようにツールアイコンが並べられただけの非常にシンプルなもの。Berry氏がわざわざ断りを入れるまでもなく、Maxisらしさの感じられない無骨なUIデザインで、今後もっとリッチでよりわかりやすくなっていくものと思われる。

 今回のデモの内容は、Haber氏が作成した「ジェイソンの都市」のディテールを眺めながら、Haber氏の新米市長ぶりと、都市育成の楽しさを実感できるものになっていた。デモがスタートしてすぐ気づいたのは、グラフィックスおよびサウンドエフェクトのブラッシュアップだ。

 今回提供された素材はすべてコンセプトアートばかりで、実機からキャプチャーされたものは1点もないため、その情景は言葉で説明するしか得ないが、GDCではまさにプロトタイプレベルの人も草木もないような非常に無骨なものだったが、今回見たものは、歩道には人々、車道には多種多様な車が行き交い、人々の喧噪、車のクラクション、パトカーのサイレンなどが聞こえてきて、一気に生活感が感じられるものになっていた。

 また、グラフィックスに関しては、遠方がLOD(Level of Detail)処理でボケるようになり、いわゆる“ティルトシフト”で撮ったミニチュア写真のような風景となった。実はここがGDCバージョンとの1番大きな違いで、これによりビジュアル的な楽しさを実現しながら、このゲームの最大のウィークポイントである莫大なメモリ使用量に一定のリミッターを掛けることにも成功している。これによりメモリ搭載量が限られるノートPCでもプレイできそうだという期待感を持った。

 デモをスタートさせたBerry氏は、まず人々の往来を眺めながら、「人々はそれぞれ目的を持っており、それぞれの人生を送っている」と説明し、住宅街の建設をHaber氏に指示した。Berry氏によれば、「SimCity」ユーザーの要望で多かったものは「カーブした道の作成」ということで、Haber氏はマウスドラッグを駆使して、途中でぐにゃりと曲がった道を作成し、その道路沿いに住宅地を設定した。住宅地の設定方法は、カーブした道沿いに扇子を広げるような感覚でマウスドラッグして範囲選択するだけ。道はすぐ引かれるが、住宅の建設はしっかりシミュレーションされ、まずは住宅建設業者が来て家を建設し、次いで住宅販売業者が来て、「for Sale(売ります)」の看板を立てる。そして最後にシムが引っ越しトラックと共に移住してくるという流れになる。ちなみにHaber氏はこのデモで片側一車線しかない細い道路を作成したため、引っ越しトラックが数珠つなぎの大渋滞が発生していた。こうした細かいところまでシミュレーションしているのがおもしろい。

 続いてBerry氏は視点をシティーホールに移し、デモが行なわれていることを報告。シティーホール前で数十名の人々がプラカードを持ち、不満の声を上げている。Berry氏によれば、これはHaber氏の悪政に不満がたまっている証拠だという。ここで「データレイヤー」に表示を切り替え、実際に市民がどの程度不満を持っているかを確認した。「データレイヤー」は視覚的に都市の情報を確認することができる「SimCity」の優れた新システムで、シミュレーションエンジン「GlassBox」の凄さが実感できる機能だ。

 さっそく人々の幸福度を確認してみたところ、実際に幸福度の低い住宅エリアが存在していた。原因は電気が来ていないため。電力状況を示すラインが赤くなっており、電力が届いていない。遠方に風力発電所があるものの、ここまで電力届いていないことを示している。そこで今回は近くに火力発電所(パワープラント)を建設することにした。

 パワープラントは石炭をエネルギーに電力を発電する施設で、建設後は、労働者が来ることで稼働を開始する。ここもリアルにシミュレーションされ、実際に石炭をベルトコンベアで上げて燃やすことで、徐々に電力が生み出されていく。電力を示すラインも赤から黄色になり、人々が徐々に幸せになっていく様子を確認することができた。その隣町にも電気が通ってなかったため、電力を通すために、パワープラントから直接送電塔を伸ばしていくことに。送電線をぶらぶらさせた状態で、ドンッ、ドンッと送電塔を配置させていく風景はコミカルで、子供が見ても楽しめそうだ。

 こうして無事電力が通り、人々の幸せに貢献したHaber市長だが、Berry氏はさらに次のステップとして「人が増え、電力が足らなくなったら、発電所をアップグレードする方法がある。これにより、より多くの石炭を使う代わりに、発電量を増やし、街に仕事を増やすこともできる。ただし、大気汚染も増大してしまう。だから短期的にはアップグレードする方法は効果的だが、中長期的には人々が病気になったり、住みたくないと思ってしまうリスクがある」と、「SimCity」で取れる各行動にはポジティブな面だけでなく、ネガティブな面もあることを説明した。

 Berry氏は、ネガティブな面のもうひとつの具体例として工場地帯にも視点を移し、物資を生み出すことで、市民や他のユーザーの街、そして世界市場で物資を売ることができる一方で、工場も多すぎると大気汚染が増えていくという。

 最後にBerry氏は、ユニークな例として放火魔を見せてくれた。ロックを大音量で流しているいかにも怪しげなバンの車で、火の粉が上がっているようなエフェクトに包まれている。この車を追っていったところ、あるマンションで止まり、建物の中に侵入したかと思ったら、ガソリンを巻く音、火を付ける音などが聞こえ、放火魔は再び建物から出てきてそのまま逃走。しばらくすると建物から火の粉が上がり、次いで建物全体が炎に包まれてきた。入り口からは多数の住民が飛び出してきて、中には火が付いたまま出てくる住民もいた。出来事としては限りなくシリアスだが、表現はいたってユーモラスだ。

 ここでBerry氏はゲームをポーズして、「ジェイソンは悪い市長なので、消防署がない(笑)」と悪態をつきながらHaber氏に消防署の建設を指示。お金に余裕があるのか、建設直後にアップグレードも行ない、2台目のガレージ、警告ベル、消防署の立て看板などを次々と設置した。ポーズを解くと消防車と救急車が現場に急行し、複数の放水ホースで消火活動を行なっていった。幸いにも火事は他の建物には延焼せず、無事消し止めることができた。

 火事が発生してから消防署を建てても消火が間に合うというところはいかにもゲーム的だが、消防署を置かなかった場合、GlassBoxの延焼シミュレーションによって、一戸の火事が徐々に隣家へ飛び火し、街全体を燃え尽くす大火事になり、都市育成計画に致命的なダメージを与えるという恐ろしい仕様でもある。

 今回のデモはわずか20分ほどでゲームの仕様のごく一部しか見ることができなかったが、シミュレーションエンジン「GlassBox」によって生み出された「SimCity」の新たな魅力ははっきり実感することができた。マルチプレイの詳細や、具体的なゲームの進め方など、まだ不明な点も多いが、21世紀のシミュレーションゲームの新しいリファレンスとなりそうな優れたシミュレーションゲームだ。


■ 「Willは大好きだと言ってくれた」 Berry氏&Haber氏インタビュー

Maxis Studio VP & GMのBret Berry氏

 デモの終了後、Berry氏とHaber氏への合同インタビューが行なわれたのでその内容について紹介しておきたい。

――今回、「SimCity5」ではなく、「SimCity」にした理由は?

Berry氏: 10年前の前作から追加したものではないことを示すため。「SimCity」はシミュレーション、ゲームエンジン、マルチプレイなどすべてが大きく変わり、完全に新しいバージョンになっている。

――マルチプレイはどのような内容になるのか?

Berry氏: マルチプレイはE3で改めてプレゼンテーションをする予定なので今はまだ話せない。ひとつだけ教えると、グローバルマーケットが存在し、モノを売ったり買ったりすることができる。友人の街とは完全にリンクされ、その街の施設を利用することができる。たとえば、友人の消防署を利用したり、他の都市同士と協力してジョイントプロジェクトやグローバルチャレンジとしてスペースシャトルを作ったりすることができる。

――他のプラットフォームへの展開の可能性は?

Berry氏: ない。現在はPCのみにフォーカスしている。

――過去の「SimCity」シリーズとの関連性は?

Berry氏: 関連性はない。

――風力発電はどのような仕様なのか?

Berry氏: ウインドミル(風車)と同じで、風の強さや時間帯によって発電量が変わる。火力発電は、安定して電力を供給できる代わりに常時石炭が必要となる。近くに鉱山が必要で、取れなくなったら電力を生み出せなくなる。

――必要となるPCのスペックは?

Berry氏: まだ決まっていない。なるべく低くしようとしている。それはハードコアゲーマーだけでなく、できるだけ多くの人に遊んでもらいたいから。オンボードのPCでも遊べるかどうかは現在検討中。

――このゲームでは原子力発電所はどのような扱いになるのか?

Berry氏: 福島のケースでもわかったように何事もプラスの面とマイナスの面があるので、ゲームの中でも同じようにプラスの面とマイナスの面を設定していきたい。

――「SimCity」の開発経緯をききたい。

Berry氏: 「SimCity」を復活させること。

――「SimCity」のエッセンスとは何だと考えているか?

Berry氏: 子供が砂場の中で、いろんなものを作ったり、創造性を発揮したりするようなイメージ。

――この作品にWill Wright氏(編注「SimCity」シリーズの生みの親)は関与しているのか?

Berry氏: もちろん彼からインスピレーションは受けているが、直接には関わっていない。その代わり、前からMaxisにいるほかのスタッフが開発に携わっている。特にアドバイスなども受けていないが、このゲームを見て大好きだと言って貰えたよ(笑)。

――GDCの「GlassBox」のセッションではシミュレーション要素をアピールしていたが、このゲームは、ゲーム性よりシミュレーション性重視と考えて良いのか?

Berry氏: シミュレーションはゲームの1つのステップに過ぎず、ゲームを構成する1要素として紹介したいと考えただけ。作りたいのはあくまでゲーム。

――10年ぶりの新作ということで、「SimCity」そのものを知らない若いゲームファンに向けてどうアプローチしていくつもりか?

Berry氏: このゲームそのものが答えだと思っているし、十分アピールできる内容だと思っている。とても楽しくて親しみやすいグラフィックスだし、初心者でもわかりやすく、すぐゲームに習熟できるようになっている。シリーズのファンが満足するものにすることは当然だが、それ以外に新規ユーザーに対しても力は抜いていない。

――ティルトシフト(編注:ピントの合う範囲を狭めてミニチュア写真のように見せる技法)スタイルのグラフィックスを採用した理由は?

Berry氏: チームメンバーがティルトシフトにインスピレーションを受けていて、とてもユニークな見た目なので採用することにした。

――チュートリアルの内容は?

Berry氏: 新しいユーザー向けの素晴らしいものを用意している。まだ情報を開示できないが、とてもわかりやすい紹介で、簡単に操作がわかるようになっている。

――オフラインで遊ぶことはできないのか?

Berry氏: オフラインモードはない。常時オンラインに接続する必要がある。

――ジャングルやデザートなど、地形はどのようなものが用意されているか?

Berry氏: ジャングル、水域、デザートなどいろんな地形があるが、地域を構築する際に、地形を選ぶことはできない。ただ、地域の中で、どのエリアに街を作るかは選ぶことができる。これは遊び手にサプライズを提供したいからだ。

――ユーザーにとってモチベーションになるようなクエストやミッションはあるのか? また、その報酬は?

Berry氏: もちろん用意する。報酬は各種アンロックやビルが貰えたり、ゲーム内のお金が貰えたりなど

――「Cityville」に代表される都市育成型のソーシャルゲームに対する対抗意識やライバル意識はあるか?

Berry氏: ライバル意識はない。凄く良いゲームだと思うし、楽しい経験を提供できていると思うが、「SimCity」のほうが深くて楽しいと思う。

――「SimCity」シリーズはゲーム中に突発的なイベントが発生することがあるが、今回はどのようなイベントや天変地異が用意されているのか?

Berry氏: もちろん用意する。たとえば先ほどの放火魔もイベントのひとつ。詳しくはまだ言えない。ゴジラが出るかどうかもまだ何も言えない(笑)。


Maxis Studio ProducerのJason Haber氏

――このゲームをマルチプレイ専用にした理由は?

Jason Haber氏: マルチプレイの方が実際の世界を反映できると思ったから。実際の世界はバブルの中に存在しているわけではなく、すべて繋がっていて、相互作用を及ぼしている。

――1人きりでプレイするとあまり楽しくない?

Haber氏: 1人で遊んでも楽しいと思う。

――今回最大でどの程度の規模の街を管理することができるのか?

Haber氏: サイズで言うと2,000メートル×2,000メートルぐらいで、ちょうど「SimCity 4」のミディアムシティぐらい。しかし1つの地域には複数の都市を造れるので、それによってより大規模な都市を管理することができる。パワーユーザーはきっと大都市を作りたがるので、彼らがどういう街を作るのか楽しみ。

――人口は?

Haber氏: 何十万人ぐらいになると思う。

――その全員が、目的を持って生活している?

Haber氏: 屋外にいるキャラクターはすべてトラッキングしてシミュレーションしているが、屋内に入ったらその建物の一部として扱われる。

――今回は特色のある都市が構築できるということだが、都市の特色の影響を受けて、人々はその属性を持つことはある?

Haber氏: 答えづらいが、プレーヤーの選択によって都市の見た目や建物、人々の関係性が変わってくる。イヤだと感じれば引っ越してしまう。

――「SimCity」のゲームモードはいくつ、どのようなものが用意されるか?

Haber氏: 基本はサンドボックスゲームなので、現時点で開発しているのは「サンドボックス」だけ。ただし、リミットレスで遊べるルールなども用意しようと考えている。

――UIで気を遣ったところ、過去のシリーズとの差別点は?

Haber氏: 大きな違いは「データレイヤー」。視覚的に街の情報を確認することができる。

――マルチプレイゲームということで、仲間を誘うシステムは何か用意しているか?

Haber氏: 地域を作るときは、自分1人にするか、友達を呼ぶか、誰でも入れる完全にオープンなものにするか選ぶことができる。逆に人に呼ばれて、その地域の街作りに加わることもできる。

――都市間の繋がりで、大都市の人が、小都市の人と繋がるメリットは?

Haber氏: 都市の規模に関係なく、常にメリットはある。労働者が来たり、電力を提供してくれたり、何らかの利点が用意されている。

――他のユーザーと競争する要素はどういったものか?

Haber氏: 細かいところは検討中だが、1つの地域の中でどの都市が金持ちか、幸せか、人口が多いかといったことを競争することができる。

――建物の中でお気に入りものものは?

Haber氏: 全部だよ(笑)。それぞれのビルや建物に個性があってどれもおもしろい。

――他のユーザーとのコラボレーションはどういったことが可能か?

Haber氏: そういったマルチプレイ要素についてはE3で発表する。基本的には1つの地域の中で共同で何かをこなすものになる。

――ゲームの完成度はどのぐらいか?

Haber氏: 非常に答えづらいが、良いパーセンテージだとおもう(笑)。スケジュール通りに推移している。


【地域と都市】
「SimCity」には都市の上の単位として地域があり、地域単位で行なう行動もあるという。このあたりはマルチプレイ要素となって来るため今回は語って貰えなかった。マルチプレイに関する情報はE3で公開される予定だ




(2012年 4月 20日)

[Reported by 中村聖司]