日本マイクロソフト、「Xbox LIVE アーケード」メディア向け内覧会を開催
「HALF-MINUTE HERO -Super Mega Neo Climax- (勇者30)」、「レイディアントシルバーガン」、「Fire Pro Wrestling」


6月14日 開催

会場:日本マイクロソフト本社


マイクロソフトスタジオの新ロゴ

 日本マイクロソフト株式会社は、今夏以降に配信予定のXbox LIVE アーケード新作タイトル「HALF-MINUTE HERO -Super Mega Neo Climax- (勇者30)」、「レイディアントシルバーガン」、「Fire Pro Wrestling」のメディア向け内覧会をマイクロソフト本社にて開催した。

 開催に先立ち、ホーム&エンターテインメント事業本部 Xboxマーケティング本部 業務執行役員の坂口城治氏より、マイクロソフトゲームスタジオの名称とロゴ変更について説明が行なわれた。坂口氏は「ゲーム以外にも、Xbox 360、PC、Windows Phoneなど、ゲームを超えたさらに外側のコンテンツなども、マイクロソフトスタジオから提供していく」とコメント。新名称およびロゴは、米国ロサンゼルスで開催されたE3 2011より使用されている。

 今回発表が行なわれたXbox LIVE アーケード3タイトルは、いずれもマイクロソフトスタジオからリリースされる。発表会には、マイクロソフトディベロップメント株式会社 ゲーム制作本部プロデューサーの丹家敏晴氏(「HALF-MINUTE HERO -Super Mega Neo Climax- (勇者30)」を担当)と樋渡太郎氏(「レイディアントシルバーガン」、「Fire Pro Wrestling」を担当)、さらに各タイトルの開発会社より担当者らが出席し、新作のプレゼンテーションを行なった。ここからは、直近の発売タイトルから発表内容について順次ご紹介していく。


Xboxマーケティング本部 業務執行役員の坂口城治氏「HALF-MINUTE HERO -Super Mega Neo Climax- (勇者30)」担当プロデューサーの丹家敏晴氏「レイディアントシルバーガン」、「Fire Pro Wrestling」担当プロデューサーの樋渡太郎氏
新生マイクロソフトスタジオより順次リリースされる3タイトル。いずれも国内製で非常に高いクオリティを誇る。価格はカジュアル設定だが、ソフト本編の充実度はパッケージタイトルに匹敵。いずれも超お買い得といわざるをえない



■ HALF-MINUTE HERO -Super Mega Neo Climax- (勇者30)

株式会社マーベラスエンターテイメントの高木謙一郎氏

 PSPで売され好評を博した超速RPG 「勇者30」をXbox LIVE アーケード向けにパワーアップ移植。開発元は株式会社マーベラスエンターテイメントと株式会社オーパス。6月29日配信予定で、価格は800マイクロソフト ポイント。CEROレーティングはA(全年齢対象)。シングルプレイのほか、2~4人のオンライマルチプレイに対応している。

 本日より公式サイトで配信される超大作風PV(トレーラー)が上映された後、株式会社マーベラスエンターテイメントの高木謙一郎氏が本作の特徴を説明。すでにご存知の方も多いだろうが、「勇者30」は各ステージに存在する魔王を30秒以内に倒すという斬新なRPG。ランダムエンカウントのモンスターバトル、お金稼ぎ、レベル上げ、町でのやりとり、謎解き、すべてを30秒という制限時間の枠内で一気にこなすという脅威の疾走感が最大の特徴。サブタイトルは「開発スタッフから『地味じゃない?』という意見があった(高木氏)」といい、さらにはちょっとした遊び心も込められているという。

 Xbox LIVE アーケード版はグラフィックをHD対応の「ネオ・カートゥーンモード」に刷新。タッチも温かみのあるものに変更されてる。「今までのシリーズ風がいい!」というファンのために、オリジナルのドット絵を再現した「レトロモード」も用意される。新グラフィックタッチについて質問したところ、高木氏は「『勇者30』に対するいくつかの意見のなかで、オールドファンに好評だったドット絵が、若い中高生以下のカジュアル層から『グラフィックが汚くないですか?』、『なんでこのゲームはキャラクターの造作がガタガタなんですか?』とか、新鮮な意見がたくさんあった(一同笑) もっと幅広い層に楽しんでもらう機会を作りたいと思い、このグラフィックが生まれた」と説明。アメコミ調などいくつかテストした結果、現状のタッチに落ち着いたという。

 メインのRPGモードは全62ステージ構成で、バランスの再調整などシナリオ分岐を新たに追加。全ステージで30秒以内クリアが可能になっている。装備アイテムは100種類以上、仲間は20人以上と、やりこみ要素がさらにパワーアップしている。最大4人まで対戦可能なオンラインマルチプレイモードは、10種類のマップを用意(PSP版は3つ)。たったひとりの魔王を、誰が先に倒すかを競い合う。武器を買ってレベルを上げ、他のプレーヤーを倒してでも(!)魔王を倒すという野性味あふれる内容は、いつでもオンラインで対戦相手が見つかるXbox LIVE アーケードに最適といえる。

 一風変わったフィーチャーとしては、本作はレースゲームさながらに“ゴースト”が出現する。フレンドのなかで1番速い人のゴーストが自動ダウンロードされるといい、これがいい塩梅に競争心を刺激してくれる。最初はおっかなびっくりでギリギリのクリアがせいぜいだった筆者も、慣れてくると「あぁ、これはこういう仕組みで、こうやってルートを構築すればさらにタイムが縮むのか」など、自然とそっちに発想がシフトしていくから不思議。アクションRPGでありながら、レースゲーム、さらにはパズルゲーム風の要素が適度にブレンドされ、唯一無二のテイストを確立している。シリーズのファンは当然として、少しでも興味を持たれた方はぜひ6月29日に本作をチェックしていただきたい。


【スクリーンショット】
ネオ・カートゥーンモード
レトロ・モード

(C)2009 2011 Marvelous Entertainment Inc.



■ レイディアントシルバーガン

株式会社トレジャーの前川正人氏(上画像・右)と三條勝博氏(同・左)

 アーケードとセガサターンでリリースされた横画面縦スクロールシューティングゲームの名作が、Xbox LIVE アーケードで復活。2011年夏配信予定で、価格は1,200マイクロソフト ポイント。CEROレーティングはB(12歳以上対象)。シングルプレイのほか、最大2人でオンラインマルチプレイが楽しめる。

 射撃、近接用ソードなど7+1種類の武器に、独自のチェーンボーナスシステムなど、意欲的なフィーチャーで数多のシューターを虜にした作品。Xbox LIVE アーケード版は、アーケードモード、セガサターンモード、さらには隠し要素の“斑鳩シューティング スタイルモード”を搭載。チェーンボーナスシステムが「斑鳩」準拠になるというもので、ボスごとの武器ボーナス全カットなど、攻略パターンが激変。従来の赤狙いが各色3つセットでもつながるなど「うまくつなげれば、かなりの敵を倒せる。これが今回、1番やりたかったことのひとつ(前川氏)」、「斑鳩チェーンモード、という表現が1番しっくりくる(三條氏)」という。出現条件は、Xbox LIVE アーケード「斑鳩」の実績をひとつでも解除していればいい、というシンプルなもの。

 オンラインランキングは各モード別になっており、リプレイデータのアップロードやダウンロードにも対応する。リプレイデータの再生スピードは最大64倍速まで対応。グラフィックはHD対応と飛躍的なクオリティアップが施されており、ハイレゾとローレゾ(計5段階)をリアルタイムで切り替え可能。半透明エフェクトもHDとセガサターン準拠から、さらには爆発エフェクトのクオリティまで計2段階で選択可能。セガサターン版のOPムービーも、素材から新たにエンコードしたHDクオリティで再現するという徹底したこだわり。字幕まで消せる芸の細かさには、もはや脱帽するほかない。細かいところでは、セガサターン版のステージセレクトがパワーアップ。正式にトレーニングモードという名称が与えられ、難易度、ステージ、武器レベル(A~C)、ゲームスピードが自由に設定できる「デバッグモードかよ! っていうくらい(前川氏)」やり放題のフリーダムな仕様に進化している。

 質疑応答では、開口一番いちユーザーとしての本音をぶつけてみた。セガサターン版以来、いく年月。やっと実現した最新プラットフォームへの移植。なぜ、これだけの歳月を要したのか。前川氏によれば、本作についてはXbox LIVE アーケード「斑鳩」リリースの時点で日本マイクロソフトからオファーがあったという。ユーザーからも「『斑鳩』を出して『レイディアントシルバーガン』を出さないって、どういうこと!?」という意見があったが、グラフィックスをほとんどいじらずに出せる「斑鳩」』に対し「レイディアントシルバーガン」はそうはいかない。ゆえに、グラフィックスに関しては後回しで「まず移植して」と三條氏にムチャ振りをしたという。

 2年前のスタート直後、開発メンバーは三條氏ひとりだけ。当然後から増えていったわけだが、その心細さは察するに余りある。ゼロから作るのは不可能と判断し「エミュレーターっぽく作ろうか(三條氏)」とサターンの素材をもとに着手するも、グラフィックス的な物足りなさは否めずHD化を決意。セガサターンの特殊な仕様に泣かされつつも、バックグラウンド処理などを忠実に再現。高速化、処理見直しをひたすら繰り返し、グラフィックモードの切り替えを実装。結果、高解像度化により、ハイデフモードは非常にすっきりとした美しい背景グラフィックスを実現できたという。同じハイデフ化でも、再出力で済む「斑鳩」に対し、マンパワーでひたすら描き直すしかなかった「レイディアントシルバーガン」。このあたり「(熱心なファンの手前)下手なことはできない」という前川氏らの言葉が重く響く。

 前述のとおり、配信は今夏を予定。「すでに開発は終了。残暑まではいかない」という前川氏ら開発メンバーは、ユーザーのリプレイデータ、特に「斑鳩シューティング スタイルモード」を楽しみにしているという。腕自慢のシューター諸氏は、樋渡氏、前川氏、三條氏らを驚かせるべく、ぜひスコアアタックにチャレンジしていただきたい。


【スクリーンショット】

(C)1998,2011 TREASURE



■ Fire Pro Wrestling

株式会社スパイクの飯塚康弘氏

 2005年以来の久々となるプロレスゲーム“ファイプロ”こと「Fire Pro Wrestling」シリーズ最新作が登場。ジャンル名に「アバタープロレス」とあるとおり、Xbox LIVE上でユーザーの分身となるアバターがゲーム中に登場する。2011年配信予定で、価格は未定。CEROレーティングはA(全年齢対象)オフラインは1~4人、オンラインは2~4人までのマルチプレイに対応している。

 本作開発の発端は「アバターを使って一緒に遊べるゲームって少ないよね。着替えるゲームもないよね。じゃぁなんのゲームかなと思うと、プロレスだろうと。じゃぁプロレスをアバターで作っちゃおうよと(飯塚氏)」といい、目標として自由度の高いカスタマイズとカジュアルさを掲げる。「現行のファイプロを作ってしまうと、難しさ、とっつきにくさがある。アバターを楽しむユーザー=プロレスを知らないユーザーもいるんじゃないか。誰でも楽しめるゲームバランスを追及した」と説明。試合を重ねるごとにキャラクターが成長するRPG要素、マルチプレイの楽しさを大切にしつつ、新たな“ファイプロ”を作ることにしたと説明する。

 ゲーム中に登場するコスチュームアイテムは400以上だが、本作はそれにとどまらず、一般のアバターアイテムをゲーム中に持ち込むことが可能。一例としては「Halo」シリーズのマスターチーフの格好で戦うこともでき、そのバリエーションは無限大に等しい。技数は300以上を収録。プロレスをあまり知らない人向けに、ケレン味あふれる要素として“必殺技”を導入。現実のプロレスではありえない動きや演出でユーザーを楽しませるといった趣向。VS画面のグラフィックスも自分で撮影してカスタマイズ可能。入場シーンもラウンドガールなどの専用アイテムが用意されるが、こちらも一般のアバターアイテムが使える。発想次第で個性あふれる入場シーンが演出できそうだ。

 登場リングも王道の体育館だけでなく、野外、アンダーグラウンドといった計3カテゴリを用意。裏庭、遊園地、ビーチ、アリーナ、ストリートなどがあり、シングルプレイではその環境をイメージしたレスラーが登場。アンダーグラウンドのチャイニーズエリアの例では、カンフー使いと怪しいトレーナーが登場。裏庭ではおじいちゃんとおばあちゃんタッグなど、これまた従来のシリーズ作品とは一線を画した自由な要素がちりばめられている。試合形式は、シングル、タッグ、4-WAY、バトルロイヤル、1対3のハンディマッチなどが選択可能。

 ゲームシステムも従来シリーズとは大きく異なる。従来は腰をストンと落とす瞬間にタイミングよくボタンを押してグラップを仕掛けていったが、今作はBボタンで相手にグラップ。直後、一定秒数内にA、B、X、Yいずれかを互いに押し、受ける側が仕掛ける側と同じボタンを押していればリバーサル成功。違うボタンであれば攻撃側のグラップ成功。仕掛ける側は、常に75パーセントの確率で攻撃が成功するというわけだ。試合中、画面下にはライフゲージ、アピールゲージ、スタミナゲージが表示される。アピールゲージは十字ボタンに設定されたアピールを行なうと大きく上昇し、MAXになると必殺技が使えるようになる。スタミナゲージはダッシュや技を出すと減り、何もしないと少しずつ回復していく。

 キャラクターの成長は、試合を重ねて経験値を獲得し、パワー、スピード、テクニックなど6項目の能力パラメータのいずれかを少しずつ伸ばしていく。ここで重要なのは、特定の技は装備に「一定以上のパラメータ数値が必要」といった制限があること。強力な技ほど高い能力パラメータが必要。最大レベルは100だが、当然すべての能力を最大まで上げることはできない。見た目も含め、育て方次第でさまざまなレスラーが作成可能。アバターの素体と性別はアカウント依存(アバターは1アカウントにつき1種類というダッシュボードの仕様に基づく)だが、レスラーのデータは最大6つまでセーブ可能。どんなときでもXボタンでカスタマイズ画面「ロッカールーム」に移動できるので、フレンドと遊ぶときは「次はこのレスラーデータでいこうかな」とか「ちょっとコスチュームを変えてみようかな」など、カスタマイズが気軽に楽しめるよう配慮されている。

 筆者はPCエンジンの頃から本シリーズのファンで、歴代シリーズはすべて購入しプレイさせていただいている。まだ開発途中のバージョンでチュートリアルをプレイした程度ではあるが「プロレスゲームって、なんだか難しそう」と尻ごみしていた人たちでも十分遊べる間口の広さ、とっつきやすさは確実に感じられる。一方、ロープワーク、ポストや場外へのダイブなど、プロレスゲームに不可欠な要素もきちんと抑えられている。まんま従来の“ファイプロ”を期待されると「それはちょっと違うかな」というのが本音だが、これはこれで明確なコンセプトのもとに細かく作りこまれていることがコントローラーから如実に伝わってくる。

 配信予定の体験版はチュートリアルとエキシビジョンがプレイ可能になるという。アバターはもちろん自身のものが使用可能。飯塚氏は「ファイプロフランチャイズの新たなチャレンジ。TGSで発表したとき、コアなファンから『これはファイプロじゃない!』と言われたけど、我々の考え方は、既存の続編ではなく、新たなファイプロフランチャイズを世界中のみなさんに覚えていただきたいと、今回のプロジェクトを進めてきた。ファイプロブランドを、もう1段階あげていきたい。リアル路線のナンバリングタイトルと比較されると違うかもしれないけど、僕たちはファイプロ的な要素を含めて、いいところを活かしていきたい。ファイプロとして必要なものはちゃんと入っています。ぜひ楽しんでいただきたいな、と思います」とコメント。配信直後はシリーズのコアなファンほど戸惑うかもしれないが、アバターを活かした新たなファイプロとして、まずは気軽に遊んでみてはいかがだろうか。プロレスは好きだがゲームは苦手という人も、本作であれば十二分に楽しめるはずだ。


【スクリーンショット】

(C)Spike All Rights Reserved.

(2011年 6月 15日)

[Reported by 豊臣和孝]