【HANGAME EX 2011】日韓ハンゲーム代表者合同インタビュー

森川氏「面白いゲームのほとんどを我々が契約してしまったのでは」


5月13日~14日 開催

会場:韓国・済州島 新羅ホテル



韓国NHN HANGAME代表のジョン・ウク氏(左)と、NHN Japan社長の森川亮氏(右)

 韓国NHNとNHN Japan株式会社の共催による発表会「HANGAME EX 2011」の2日目、最後のプログラムとして、日韓の「ハンゲーム」に関してのQ&Aセッションが用意された。スケジュールの都合で短時間のセッションとなったが、韓国NHN HANGAME代表のジョン・ウク氏と、NHN Japan社長の森川亮氏が日本メディアの質問に答えた。

 まず今回のイベントについてジョン氏は、「このイベントの開催は今回で3年目。今年は日韓共同開催となり、いい成果があったと思う。森川さんとも話をしたが、来年は日本で開催し、韓国メディアを日本に招くなどして、韓国と日本の共同行事として育てていきたい。日韓のメディアを通じて、我々のラインナップと戦略を公開する場としてより成長させていきたい」と感想を述べた。

 今回のイベントは、ただ日韓合同で開催されたというだけではなく、内容的にも日韓が強く結びつこうという意図が随所で明確にされている。「日韓以外の国へのグローバル展開をどう考えているか」という質問にジョン氏は、「日韓以外では、中国と米国に展開していたが、中国市場はポータルサイト『Ourgame』を売却したため撤退した状態。米国ではポータルサイトを運営しているが、これといった実績があるわけではない。今年からは成果を出している日韓に集中して事業を展開し、それ以外の地域は日韓で事業が確固たる物になってから検討したい」と答えている。

 その基本的な方向性として、日韓の連携を強めていこうという考えがあるようだ。「HANGAME EX 2011」の中で、韓国向けに6タイトル、日本向けに3タイトルの発表やプレゼンテーションが行なわれているが、韓国向けの新作として発表されたもののうち、「クリティカ」以外のタイトルは日本でもサービスする予定だということも明かされた。ジョン氏は「スマートフォンまで含め、韓国と日本で提供する全てのゲームに対して日本でサービスしていく予定で、そのように努力したい」とし、カジュアルゲームまで含めて日韓での展開を強化していく方針を改めて示した。

 日韓それぞれの市場における課題と、その対策についてどうするかという質問も挙がった。ジョン氏は「パブリッシャーとしてすべき役割は、顧客のフィードバックを受けてゲームをよりよく完成させていくこと。韓国ではユーザーのフィードバックを得て開発会社に伝え、ゲームに反映しているが、日韓のユーザーには違いがある。日本では日本のユーザーの反応をゲームに反映するプロセスをうまく構築していく必要がある」と述べた。

 森川氏も質問に答え、「日本のゲームは大きな転換期を迎えていると思っている。携帯やスマートフォンもそうだが、毎日何かゲームが出ている。今までは数を出せばそれなりに成果が出たが、今は明確に何が違うか、何が楽しいかというクオリティが求められる。昨日まであったのと同じようなゲームが出ても遊ぶ方と響かない。我々は今までにない、ここが面白いと言えるものに集中すべきだと思っている」と語った。もちろんそれを踏まえた上で、今回の充実したラインナップがあったということだ。

「プロ野球ザ・ファン」
「Kingdom under Fire 2」

 発表されたタイトルについての質問も挙がった。韓国プロ野球とリアルタイムに連動する「プロ野球ザ・ファン」を日本でサービスすることについて森川氏は、「リアルとの連動が1番の強み。開発会社はグループ会社で、社長とも何度か話をしている。やるのであればリアルなデータと連動していくことになると思うが、我々には『ファミスタ オンライン』もあるので、具体的にどうしていくかはまだ考えていない」とした。

 また「Kingdom under Fire 2」では、NHN Japanが初めてコンシューマーゲームに展開することになる。この点について森川氏は、「オンラインゲームとコンシューマーゲームの世界が1つになっていくと考えている。コンシューマーゲームに新たに参加するというより、同じような環境で遊んでいただいて、よりオンラインで遊ぶ楽しさを知っていただきたい」と述べた。

 ただ今回発表したタイトルについては、「プロ野球ザ・ファン」を除いて他社開発のパブリッシングタイトルとなっている。この点についてジョン氏は、「長期的な観点からすると、スポーツとRPGのジャンルでは自社開発能力も引き続き育てていくつもりだ」とし、今後はジャンルを絞った形で自社開発の強化を進めることを明らかにした。

 セッションの最後に森川氏が挨拶。「面白いオンラインゲームのほとんどを我々が契約してしまったのではないかと思うほど、魅力的なタイトルを準備している。リリース時期は様々だが、オンラインゲーム市場そのものが変わるようなインパクトがあるタイトルをきちんとサービスしていきたい」と述べた。

 今回の発表会では、日本で提供される予定のゲームが都合8タイトル発表されたことになる。うち5タイトルはまだ韓国でもサービス前で、日本でのサービス時期はかなり先になりそうだが、「TERA」の後にも次々と大型タイトルを控えていることを強く印象付ける内容となった。日韓の連携強化を図る上で、今後はより早い日本展開と、より質の高いローカライズを期待したい。


(2011年 5月 15日)

[Reported by 石田賀津男]