BFG 2011レポート

米Bethesda/Human Head Studios、SFアクション「Prey 2」を初披露
「ブレードランナー」風の異星を舞台としたSFパルクールアクション


4月11日~4月13日開催(現地時間)

会場:ユタ州パークシティ



 BFG 2011レポート3本目は、Human Head Studiosのアクションシューティング「Prey 2」のプレゼンテーションの模様をお伝えしたい。「Prey 2」は3月15日に北米で正式発表されたばかりのSFアクションシューティング。もともとTake-Two Interactiveの子会社2K Gamesのフランチャイズだったが、同社から「Prey」のライセンスを獲得し、Bethesdaにパブリッシャーを変えての展開となる。

 「Prey 2」の発売時期は北米で2012年を予定し、発売プラットフォームはプレイステーション 3/Xbox 360/Windows PC。日本では発売時期未定ながらゼニマックス・アジアによる日本語版での取り扱いも決定している。



■ 知る人ぞ知るSFアクションシューティング「Prey」に続編が登場!

プレゼンを行なうHuman Head StudiosのChris Rhinehart氏
映画「ブレードランナー」を彷彿とさせる惑星「Exodus」が「Prey 2」の舞台となる

 「Prey 2」はその名の通り、「Prey」の続編となるアクションシューティング。ただ、残念ながら日本では「Prey」を知らない、あるいは未プレイのユーザーも多いのではないかと思われるので、まずはざっと「Prey」についてご紹介しておきたい。

 「Prey」は、地球より遙かに高度な技術を持つ異星人に拉致されたひとりのネイティブアメリカンの奮闘を描いたSFアクションゲーム。もともと3D Realmsが「Duke Nukem」に並ぶもうひとつの柱として1995年に開発を開始したタイトルだが、「Duke Nukem Forever」共々、開発は難航を極め、開発元をHuman Head Studiosに変えて再開発を行ない、発表から11年後の2006年にようやく日の目を見た難産タイトルだ。

 id Softwareの「Quake」シリーズの対抗馬として開発された「Prey」だったが、11年後に改めてWindows PCとXbox 360向けに発売された際は、「Quake」キラーの面影はすっかり消え失せ、その代わりに、濃厚なシングルプレイキャンペーンを備えたオリジナリティの高いアクションゲームに仕上がっていた。残念ながらマス受けはしなかったものの、体験者には強い印象を残した作品である。

 というのも、自らの出自を忌み嫌うネイティブアメリカンの青年「トミー」が、仲間共々、エイリアンにアブダクトされ、エイリアンの住む小惑星“スフィア”に連行された上で、そこで生き残りを賭けて戦うという、いささか荒唐無稽な物語だったからだ。しかし、実はスフィアは単一のエイリアンによる一枚岩の小惑星ではなく、トミー以外にも多くの異星人が様々な思惑で暮らしており、レジスタンス活動も展開されていた。“様々な惑星を食い物にしているエイリアン”という深みのある設定が、多くのファンを生み出した。

 今回、「Prey」の世界観に目を付け、ライセンスを獲得してまでリリースするのは、「Fallout 3」で「Fallout」シリーズを復活させ、「Rage」や「id tech 5」への全面的な協力によりid Softwareそのものを復活させるなど、すっかり復活屋として名を馳せているBethesdaらしいチョイスだと言える。


【バウンティハンター】
「Prey 2」では、主人公は追われる立場から追う立場に変わり、悪事を働く犯罪者に銃を突きつけ、捉えることが仕事となる。右のスクリーンショットは、捕捉したシーン



■ 「Prey 2」の世界観と時代は前作と共通。不思議なパラレルワールドを展開

メリハリの効いた美しいグラフィックス。ゲームエンジンはid Softwareのひとつ前の世代id tech 4を採用している

 さて、「Prey 2」は、発表そのものは3月15日が最初だが、実はずいぶん前から開発は進められていたようで、発表直後ながら実機によるデモンストレーションがたっぷり行なわれた。さすがに試遊はできなかったものの、2012年発売にしては完成度はかなり高く、ゲームコンセプト部分はすでにしっかり完成していた。

 「Prey 2」のストーリーや世界設定についてはまだ多くは語れないということだったが、「Prey」と世界観を共有し、時代も一部共通しているという。つまり、1と2は同じ時代のパラレルストーリーということになる。ただし、「Prey」をクリアした人ならご存じのようにスフィアはゲームの最後で消滅してしまう。「Prey 2」にもスフィアは登場するが、メインとなるのは別の小惑星「Exodus」だ。

 「Prey 2」の主人公はUS MarshalのKillian Samuels。細かい設定は不明だが、前作のトミーと同じように、飛行機ごとアブダクトされてスフィアに連れてこられる。異星で意識を取り戻したSamuelsは、ピストルひとつでエイリアンに抵抗するが、最終的にはエイリアンに拘束され、エイリアンの強烈な足蹴で再び意識を失ってしまう。これが「Prey 2」のプロローグシーンのようだ。

 デモはこのプロローグシーンからゲームを“25%ほど進行させた後のシーン”を見せてくれた。Samuelsは、幸か不幸かスフィアと運命を共にしておらず、新たな惑星Exodusでバウンティハンターとして暮らしていた。映画「ブレードランナー」のようなコンクリートジャングルが屹立し、空を様々なビークルが行き交う未来的世界だ。至る所にけばけばしいネオンが妖しく光り、大勢の人々が行き交う猥雑な雰囲気だが、技術レベルは地球より遙かに高そうだ。Samuelsはそのコンクリートジャングルの上層部、あるビルの屋上にいた。

 驚いたのは彼が繰り出したアクションだ。突然駆けだして次々にビルを飛び渡り、わずかな取っ手やフチ、突き出したパイプを利用してアクロバティックな移動を繰り返していく。これは改造人間ではなく、彼が装着しているスーツの性能ということだが、眼前に広がる映像はまるでサルかムササビのようで、よほど重力が軽い設定になっているのか、手の力だけで移動しているとは信じられないような運動性能を見せる。

 この超弩級のパルクールアクションは類例がないので表現が難しいが、強いて表現すれば「Assassin's Creed 2」からさらに上下方向への移動アクションの自由度を高め、そしてパルクールアクションゲームの元祖「ミラーズエッジ」のアクション性を300%ほど強化した感じだろうか。世界観は「Mass Effect」シリーズ風であり、「Gears of War」や「Killzone」風の鮮やかなカバーアクションを駆使する。部分的には若干既視感を感じさせる要素が多いが、全体として見るともの凄いインパクトとスピード感で迫ってくる。アクション性だけで見れば、前作とはまったく別のゲームだ。

 ゲーム性も前作とは正反対だ。前作では、異星人の本拠地に潜伏する異分子ということで、見つかり次第エイリアンに襲われていたが、今回は逆に、主人公の具体的な身分は不明ながら、バウンティハンターとして立体的な構造の広大な街を自由に行き来でき、不穏分子を捜しては拘束したり、その場で殺害したりできる。額に装着したバイザーは、ナイトビジョンの機能や、壁を隔てた状態で、他のキャラクターの居場所をスキャンする機能が付いており、建物内部の人の様子が外から分かるだけでなく、ターゲットは赤く縁取られて表示される。

 ターゲットは、拘束して当局に引き渡したり、殺害して身ぐるみ剥いだり、あるいはこっそり見逃して逃亡料を貰うこともできる(本当に見逃せるのかは不明)。こうしてバウンティハンターとしてのミッションをクリアすることでクレジットが貯まり、クレジットを消費して武器や装備品を購入、強化していく。これが「Prey 2」の基本的なゲームの流れとなる。

 デモの後半では、テレポート能力を駆使して高速で逃げまくるターゲットと、めくるめく追跡劇が展開され、本作のポテンシャルの高さを余すことなく見せつけてくれた。最後はビル2~3階分はあろうかという巨大なボスモンスターに襲われ、ホーミングミサイルで対抗するも、爆煙から再び姿を現わし、絶体絶命! というところでデモは終了した。発売は2012年とまだ先だが、ゲーム性、アクション性という点において、id Softwareの「Rage」に勝るとも劣らないシューティングゲームの誕生を喜びたい。E3でのアップデート情報の公開が非常に楽しみだ。

【コスモポリタン】
エイリアンの拠点である惑星「Exodus」には、主人公も含め、実に多くの異星人が暮らしている。「Mass Effect」シリーズを彷彿とさせる多様性が魅力的だ

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(2011年 4月 18日)

[Reported by 中村聖司]