Taipei Game Show 2011レポート

台湾ゲームファンの熱気渦巻くSCETブースレポート その3
山内一典氏が見守る中、「GT5」アジアNo1ドライバーが決定!
カプコン小野氏は、「ストリートファイター クロス 鉄拳」の映像を公開


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


 Taipei Game Show 2011で最も活気のあったSCETブース。その大きな魅力が著名なゲームクリエーターが多数登場したイベントである。本稿では「グランツーリスモ5」のプロデューサーを務めるポリフォニー・デジタル代表取締役の山内一典氏と、「スーパーストリートファイターIV」のプロデューサーを務めるカプコンの小野義徳氏のイベントを紹介したい。



■ 山内一典氏が「グランツーリスモ5」の新機能をアピール、アジア大会の決勝戦を観戦

「グランツーリスモ5」のプロデューサーを務めるポリフォニー・デジタルの山内一典氏
2月18日に実装された新機能「リモートレース」。エントリーすることで自動的にレースが進行する

 「グランツーリスモ5」のイベントには、プロデューサーを務めるポリフォニー・デジタル代表取締役社長の山内一典氏が登場した。山内氏は「世界中のゲームのショウをまわっていますが、こんなにたくさんのファンの方がステージの前にいらっしゃるショウは他の国ではないと思います。皆さんのパワーが次の作品を作るエネルギーになります。ここに集まってくれて、本当にありがとうございます」と挨拶した。

 イベントでは山内氏は「グランツーリスモ5」の開発について触れ、開発に1番時間がかかったのはオンラインの部分だと語った。お気に入りの車はメルセデス・ベンツ SLS と日産GT-Rだという。

 続いて山内氏は、2月18日のアップデートで実装されたばかりの新機能「リモートレース」をアピールした。リモートレースでは、「Bスペックモード」で育成したマイドライバーをオンラインに公開し、フレンドがオンラインに公開しているマイドライバーと全自動で行なうことができる。このレースは、オフィシャルWebサイト「グランツーリスモ・ドットコム」にログインすることで、WEBブラウザから自宅のPS3を遠隔操作し、ブラウザ上でレースのスタート、レースのモニタリング、結果などが確認できるのだ。

 山内氏は台湾のオフィシャルサイトから自分のアカウントを起動し、実際にデモプレイを行なって見せた。レースでは、最初は4位でスタートしたが、徐々に順位を上げ、ついに1位を獲得した。山内氏はこのリモートレースをアップグレードさせ、レースの時間を増やすつもりだと語った。4時間や8時間、さらには24時間の耐久レースまで視野に入れているという。

 その後、アジア代表選手が戦う「グランツーリスモ5」のアジア大会の決勝戦が行なわれた。出場した国は、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、香港、マレーシア、韓国、台湾の8カ国。それぞれの国でSCEAが開催したゲーム大会を勝ち残ってきたプレーヤー達である。台湾のプレーヤーは前日会場で行なわれた台湾大会での優勝者だ。準決勝戦では台湾、韓国、シンガポール、タイの選手が勝ち進み、山内氏に見守られながらの対決となった。

 準決勝戦は台湾と韓国の対決が熱かった。両者の実力は伯仲しており、常にトップを争っていた。韓国の選手は冷静にコーナーを処理していくのに対し、台湾の選手は強引に攻める傾向があり、台湾の選手が何度か前に出ることもあったが、韓国に前を押さえられる場面が多く、2位で準決勝を通過した。会場全体が台湾選手を応援しており、地元のTV局も台湾選手の後ろにカメラが集中している。会場の期待をどう力に変えていくか、注目を集めていた。

 山内氏の前で行なわれた決勝では、トップに立ったのはシンガポールの選手だった。シンガポールの選手はコーナーをうまく処理し、冷静に走る。それを猛追するのが台湾、少しだけ遅れて韓国がぴったりとついて行く。各選手の実力はかなり高かったがシンガポールの選手が一枚上手のようだった。

 本作ではスリップストリームの概念があり、前の車に張り付けば空気抵抗が減り加速できる。コースには2本のストレートがあり、ここでスリップストリームを活用できれば台湾の選手にも逆転のチャンスはある。しかしここでもシンガポールの選手は巧みだった。スリップストリームをされないようなライン選び、後続車の焦りを計算しているような冷静なコーナーワークで、結局、終始トップを保ったまま優勝した。山内氏もシンガポールの選手の走りを「彼は最後まで冷静で、本当にうまかった」と評価した。


アジア大会の決勝戦。台湾の選手の乗る青い車は、シンガポールの選手の乗る赤い車をひたすら追いかけるが、冷静なシンガポールの選手はトップを守りきり、優勝した


■ 「ストリートファイター クロス 鉄拳」を初披露 「スーパーストリートファイターIV」の称号を巡った戦いも

「スーパーストリートファイターIV」、「ストリートファイター クロス 鉄拳」のプロデューサーを務めるカプコンの小野義徳氏
「ストリートファイター クロス 鉄拳」の最新情報は、小野氏のTwitterでも紹介されるという

 「スーパーストリートファイターIV」のプロデューサーを務めるカプコンの小野義徳氏が登場するイベントでは、ゲーム大会に加え、小野氏がプロデュースする「ストリートファイター クロス 鉄拳」の映像も公開された。

 会場には小野氏を一目見ようとたくさんのファンが集まった。小野氏は昨年に引き続いての登場となる。会場に向かって元気よく手を振って挨拶し「去年もここに来てくれた人はいますか」と尋ねると会場から幾つもの手が上がった。小野氏が「ストリートファイター クロス 鉄拳」のタイトルを紹介すると、会場から大きな歓声が上がった。

 「ストリートファイター クロス 鉄拳」はその名の通り、カプコンの「ストリートファイター」シリーズと、バンダイナムコゲームスの「鉄拳」のキャラクターがぶつかる格闘ゲームだ。ゲームエンジンは「スーパーストリートファイターIV」のものとなるが、それぞれの持ち味を活かし、原作のゲームの感触を損なわないように開発が進められているという。

 本作ではタッグ形式での戦いとなる。技の演出などは「スーパーストリートファイターIV」を踏襲しているが、オンラインの要素など様々な機能をプラスしていく。最新情報は小野氏のTwitterでもつぶやいていくという。発売日に関しては、「来年のTaipei Game Show ではこのゲームの試遊台だらけになる」と小野氏は語った。小野氏の言葉に会場から歓声が上がった。

 この後、「ストリートファイター クロス 鉄拳」のデモ映像が流された。内容そのものは、北米のCOMIC-CON 2010といったイベントでも公開されているものだった。「ストリートファイター」のリュウと「鉄拳」の三島一八がにらみ合い、ぶつかる。両者は拳や蹴りを繰り出し激しく戦う。小野氏は「カプコンのスタッフが描く『鉄拳』のキャラクターを楽しんでください。一八の動きは、『鉄拳』にかなり似たものになっているのがわかると思います」と映像を解説した。

 本作のタッグマッチを象徴するように映像では一八がニーナと、リュウが春麗と交代する。交代する際、一八が暗殺者であるニーナに「料金分は働いてもらうぞ」と語りかけるなど、キャラクター性を活かした演出がカットインされた。この演出は組むキャラクターで変わってくるという。両者が協力する技もあり、春麗の必殺技のコンボでふらふらになった一八に真空波動拳を当てるといった技を見ることができた。小野氏は「『鉄拳』と『ストリートファイター』のキャラクターが戦う、お祭りのようなソフトになっていますので、期待してください」と語った。

 さらに小野氏は「スーパーストリートファイターIV」の会場でのゲーム大会の決勝戦を観戦、さらにアメリカのゲーム大会「Season Beatings」の優秀者であり、プロゲーマーのGamerBee氏が登場し、大会優勝者とエキシビションマッチを行なった。プロゲーマーの実力は高く、大会優勝者を寄せ付けない強さを見せた。

 その後、GamerBee氏は「スーパーストリートファイターIV」で持っている称号「Party Animal」をかけて会場で挑戦者を募った。3人目の挑戦者にGamerBee氏はまさかの敗退してしまい、称号は移動することになった。この後、小野氏が日本から持ってきたフィギュアをプレゼントしたり、小野氏の近況を題材にしたクイズ大会が行なわれるなど様々な形でファンとの交流が行なわれた。


「ストリートファイター クロス 鉄拳」のデモ映像。一八の技、キャラクターの交代や、協力して大ダメージを与える技など、様々な要素が紹介された
「スーパーストリートファイターIV」のゲーム大会。左の写真は、昨年の大会の優勝者であり、プロゲーマーのGamerBee氏と、今年の大会優勝者。中央はGamerBee氏が持っていた称号が動いた瞬間だ。右は最後に行なわれたクイズ大会

(2011年 2月 21日)

[Reported by 勝田哲也]