「日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門」受賞作決定

「モンスターハンターポータブル 3rd」、「アイドルマスター2」など10タイトル


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料



司会を務めたよゐこの有野晋哉さん

 社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)は、「日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門」の受賞作を発表し、「東京ゲームショウ 2010」の会場で授賞式を開催した。

 「フューチャー部門」は、東京ゲームショウの会場に出展・発表された未発売作品の中から、開催期間中の16日から18日までの3日間、会場において来場者による投票を行ない、その中から日本ゲーム大賞選考委員会の審査によって決定される。

 今回は、来場者投票により183タイトルが選出され、その中から10タイトルが選考委員により選出された。タイトルを順に挙げるとバンダイナムコゲームスの「アイドルマスター2」、セガの「VANQUISH」、イグニッション・エンターテインメントの「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「グランツーリスモ5」、KONAMIの「DanceEvolution」、スクウェア・エニックスの「ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー」、レベルファイブの「二ノ国」、スクエニの「ファイナルファンタジーXIV」、カプコンの「モンスターハンターポータブル 3rd」、セガの「龍が如く OF THE END」となっている。

 順番に主だったコメントを拾っていくと、バンダイナムコの「アイドルマスター2」は「手作り感の高い作品で、スタッフ全体で作り上げている。地道にやってきたみんなに感謝している」とコメント。今回は基本は3名でスタートし、5人編成ユニットでやれる。団結がテーマでフォーメーションなど考えてやってるところを表現したい。『アイドルマスター』は、愛でる“萌え”とアイドル界を勝ち上がっていく“燃え”という2つの“もえ”を入れて作っていきたい」と受賞に際してのコメントを残している。

 「VANQUISH」に関してはデベロッパーのプラチナゲームズから稲葉氏と三上氏が登壇。稲葉氏はこのゲームについて「ハイテンションで気持ちよさが続くゲームに仕上がっている。心待ちにして欲しい」とアピール。三上氏は「スーツを着て戦いに出ることで、人にはないパワーを体感できる。シューティングもアクションも楽しめる。シューティングの中でかっこいいアクションを見せるにはキャラクターを見ることがえきるサードパーソンシューティング(TPS)は必然的だった」とゲームの魅力を説明。他のTPSとの違いについては「スピード感、やり込んだときの満足感。ストイックな満足感はコアなユーザーには受け入れられると思う」と続けたが、「簡単なモードも用意されているので、幅広い人に楽しんでいただきたい」とアピールも忘れなかった。

 全く新しいタイトルとして注目を集めているイグニッション・エンターテインメントの「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」も受賞。制作を担当している竹安佐和記氏は「プロジェクト初めて4年経つ。2人でフラグシップタイトルにしたいと踏み出した」と開発経緯を振り返りながら「シンプルなグラフィックスでシンプルな操作感。誰でもヒーローになれる」とゲームの魅力をシンプルに説明。「ボクは『作ろうよ』と言うところしかない。実現してくれたのはスタッフ」とチームへの感謝の意を表わした。竹安氏は「まずコントローラーを触って欲しい。ガチャガチャやっているだけで面白い」とグラフィックスだけでなくゲームとして触って楽しんで欲しいと語り締めくくった。


【日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門】
セガ「VANQUISH」(PS3/Xbox 360)バンダイナムコゲームス「アイドルマスター2」(Xbox 360)イグニッション・エンターテインメント「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」(PS3/Xbox 360)

 11月についに発売となる「グランツーリスモ5」も受賞作として選ばれた。「4作目が出て6年経ち長らくお待たせして謝りたい」と切り出し、「リアルな挙動とグラフィックスを追求することはもちろん、車を通した総合的なエンターテイメント、新しいスタンダードを作りたい」と抱負を語った。1,000台を超える車種が収録されるが、全く新しい車種だけでも200車種程度は新たに収録されるという。「歴史上重要な車、旬な車、これから作られる車などなかなか触れることのできないものを届けたい」と収録車種の選定には苦労した模様。WEBブラウザでB-SPECのほぼ全てのことを見ることができるなど、ネットワーク関連の新たなシステムの構築もかなり力の入った物となっているようだ。

 KONAMIの「DanceEvolution」はKinect専用タイトルだが、昨年のE3でKinectのハードウェアを見たときに直感的にこれだと思ったという。ただ踊るだけでなく、自分の踊った映像を記録でき、さらに取り込み自分の記録映像をバックダンサーとして表示させることも可能だという。「体感してもらってなんぼ」と語り、是非プレイして欲しいとアピール。

 スクウェア・エニックスの「ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー」はまだ発表してから1週間ということで、ある意味スピード受賞となった。まさに正統的な続編と言うことで夢のような作品だが、「キャラクターを集めただけでなく、バトルシステムを一新し生まれ変わった。ストーリーモードや、ネットを使った非常に大きな仕掛けも用意している」と期待させるコメントを残している。収録キャラクターの選定については「キャラクター1体1体が別々の動きを見せるので、それぞれ個性を出せるのかと言うことと、どれくらい皆さんに愛されているかを基準に選択している」という。とにかく通信まわりで大きな仕掛けを用意しているという本作。女性ユーザーが多いことから、ストーリーモードに関してもパワーアップしていると言うことで、大作として着々と制作が進められているようだ。


【日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門】
ソニー・コンピュータエンタテインメント「グランツーリスモ5」(PS3)KONAMI「DanceEvolution」(Xbox 360)スクウェア・エニックス「ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジー」(PSP)

 レベルファイブの「二ノ国」は2年連続の受賞と言うことで、日野氏は開口一番「2年連続と言うことは開発が遅れていると言うことで、その分、しっかりtpつくりこんで発表したい」と切り出した。ジブリのアニメーションにより世界観を表現しているだけでなく、様々なチャレンジを行なっているとアピールする日野氏。魔法の本を使いなりきってゲームを進めていくという点に注目して欲しいとのことだった。この点については「ブースでプレイしている親子がいて、お母さんが『何ページ?』と聞いて子供が調べて一緒にプレイしていた。そういった光景をもっと見たい」と例を挙げて説明した。

 発売が直後に迫っているスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV」も受賞。日本ゲーム大賞ではクリエイターが登壇する決まりとなっているというが、さすがにサービスイン直前と言うことで、営業の橋本氏が登場した。橋本氏は「壮大な世界を構築し、友情、勇気、恋愛など人生のシチュエーションを彩る世界を作り込んで用意している」とアピールした。

 「東京ゲームショウ 2010」で最大の人気を誇ったのがカプコンの「モンスターハンターポータブル 3rd」だろう。「フューチャー部門」でも当然人気を集めた。ディレクションを担当している一瀬氏は「制作は佳境だが、ユーザーの生の姿を見られて良かった」とコメント。プロデューサーの辻本氏はムービーを見ながら新要素をアピール。さらに「ジンオウガ」についても言及し、「今作のメインモンスターにふさわしい攻撃をしてくる。帯電という状態が出てくるが、いかにその状態にさせないか……といったそのモンスターならではのゲーム性、アクションがある」と語った。10月13日に体験版の配信が行なわれると言うことで、1人でもマルチプレイも可能となっているということで、「発売まで練習しておいて欲しい」と締めくくった。

 ラストはセガの「龍が如く OF THE END」。今年もキャバ嬢を従え名越氏が登壇「世界観がぶっ飛んでいて、間違っていると言う声もあるが、今回こういった賞を受賞できて励みになる。知らせを受けて、久しぶりに涙が出た」と明かした。ゲームにおける「ゾンビもの」と言えばかなりのタイトルが発売されているが、名越氏は「予定調和の部分をしっかりして、さらにぶち壊すところもまだまだある」とコメント。キャラクターなどしっかりとした素材でできあがっている作品なだけに「今回はこういった表現で行く。でも絶対に面白い物にする。わくわくできるスゲェものをちゃんと作っている。自身あります」ときっぱりと言い放った。


【日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門】
レベルファイブ「二ノ国」(DS)スクウェア・エニックス「ファイナルファンタジーXIV」(PS3/PC)
カプコン「モンスターハンターポータブル 3rd」(PSP)セガ「龍が如く OF THE END」





「フューチャー部門」の発表に先駆けて行なわれたのがこの企画
イベントの最後にはよゐこの有野さんとアメリカザリガニの2人がサインを書き、チャリティーオークションに出品することとなった

 前段で「フューチャー部門」の結果をお届けしたわけだが、ここではそれに先だってイベント「『日本ゲーム大賞』フューチャー部門 過去8回・受賞95作品を徹底調査 ついに発見!フューチャー部門 授賞の法則・新事実」が行なわれた。出演はよゐこの有野晋哉さんとアメリカザリガニの2名。

 ここでアメリカザリガニのお2人が示した法則は以下の3つ。1つは女性が主人公の作品。例えば「アイドルマスター」や「BAYONETTA(ベヨネッタ)」 といった作品が受賞している。この時点では平井善之さんがボソッと「『キャサリン』とか入るんちゃいますか」と予想していた。

 2つめはファミコン時代からのシリーズ作品が絶対に入るという。「ファイナルファンタジー」シリーズを筆頭に、「メタルギア」シリーズや「スーパーロボット大戦」シリーズ、「ロックマン」や「桃太郎電鉄」まで、確かに受賞作は多い。

 3つめは携帯型ゲーム機用のタイトルが過半数を占めるようになるというもの。これもプラットフォームとしては携帯型ゲーム機の方がハードの人気が高い面もあるので確かに一理ある。ちなみに3年前は12タイトル中3タイトルのプラットフォームが携帯用ゲーム機タイトルだったが、1年前は12タイトル中6タイトルが携帯用ゲーム機用に作られていた。
 ここで平井さんから出された予想タイトルが、「PSP用なつかしのお姉チャンバラ無双TM」。有野さんは「立花里佐のフェアリーテイル」と「つりバカ日誌」、そして「二ノ国(すもう編)」。得意の古い(ファミコン系の)ネタなども仕込みながら楽しいステージが作り上げられた。

 結果はともあれ、その傾向の一端が明かされたとも言え、そういった意味では面白いイベントだったのでは無かろうか?


【日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門】
よゐこの有野晋哉さんアメリカザリガニの柳原哲也さん同じくアメリカザリガニの平井善之さん
アメリカザリガニのプレゼンテーションで3つの法則が公開された新事実の1つが女性が主役のタイトルが受賞するという事実2つめとしてあげられたのが、ファミコン時代から続くフランチャイズが受賞するという点
携帯型ゲーム機の販売台数が伸びる中で、昨年度は12タイトル中6タイトルが携帯型ゲーム機をプラットフォームとして制作されたタイトルだったというで、思ったより真面目に分析した結果アメリカザリガニの予想したタイトルは「PSP用なつかしのお姉チャンバラ無双TM一方有野さんが予想したのもちょっと不思議なラインナップに

(2010年 9月 19日)

[Reported by 船津稔]