日本ゲーム大賞、Wii「New スーパーマリオブラザーズ Wii」
ゲームデザイナーズ大賞は「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」
9月16日 発表
【東京ゲームショウ2010】
9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)
会場:幕張メッセ
入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料
今年も司会は伊集院光さんと前田美咲さん |
社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、「日本ゲーム大賞 2010」の受賞作品を発表した。開催14回目を迎える今年、大賞を受賞したのは任天堂の「New スーパーマリオブラザーズ Wii」。
授賞式は、「東京ゲームショウ 2010」のメインステージで関係者を集めて華やかに開催された。今年の司会も伊集院光さんと前田美咲さん。ゲーム好きの伊集院さんは、ほとんどのゲームをプレイしているようで、ゲームのプレイ感など的確にコメントを差し挟みながら授賞式を進行していった。
冒頭、挨拶を行なった和田洋一CESA会長は「今年度の総決算。しかし、受賞作が発表されると同時に皆がこの作品を目指すスタートでもある。皆さんもこの1年で何を遊んだのか思い出の総括であると共に、クリエイターの努力を称える場でもある」と挨拶。また、参加できなかった経済産業省大臣の代わりに挨拶した商務情報政策局長の石黒憲彦氏は「新成長戦略の産業に位置づけられているゲーム産業。海外への輸出はもうやっていただいているが、リーダーとして頑張っていただきたい」と期待感を表わした。
まず最初に表彰されたのは、ゲーム業界に貢献した人物に授与される経済産業大臣賞。今年は堀井雄二氏が受賞となった。堀井氏は「20数年前に少人数で作り初めここまできた。ファンの方がついてきてくれてありがたい」と感想を述べ、現在の最新作となる「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」については「DSの容量などで苦労した。途中で、制作に関して悩んでしまったが、何とか完成にこぎ着けた」と語り、“面白くて当たり前”というユーザーの期待感がすごいプレッシャーとしてのしかかっていることを明かした。伊集院さんに次回作について聞かれた堀井氏は「言えません。アイディアが無ければ適当なことを言えるけど、いっぱいあるので言えません」ときっぱり。具体的なアイディアが用意されており、制作がすでに走り始めていることを伺わせた。
冒頭、挨拶した和田洋一CESA会長。「今年度の総決算。しかし発表されると同時に皆がこの作品を目指す、スタートの場でもある」とコメント | 最後にビデオレターで講評の挨拶を寄せた養老孟司氏。「若い人が多い業界だと思った。発展するだろう事が予測できる」と語った |
ベストセールス賞を受賞した「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」。壇上に立った堀井雄二氏はユーザーを代表したプレゼンターからトロフィーを受け取った。 |
続いて発表されたのが「グローバル賞 日本作品部門」。海外でも評価された日本作品として表彰されたのが任天堂の「Wii Sports Resort」。逆に海外のすばらしいタイトルとして表彰されたのがActivision/Infinity Wardの「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」。
任天堂の手塚氏は「Wii Sports Resort」について「リゾート気分を味わえたと評してくれている人がいて嬉しかった。『Wii Sports』のテニスも実際にテニスをしている気分になったりすることを目標としている。同じく家にいるのにリゾートにいるような気分になる。これからも家で色々と体験できるゲームを作っていきたい」と挨拶した。
「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」で受賞したActivision/Infinity Wardは、残念ながら授賞式に出席できなかったため、日本での発売元となったスクウェア・エニックスの小林氏が登壇。「44歳の主婦からの評で『子供が遊びすぎてどうにかして欲しい』と書かれていた(笑)。私も中毒になるくらい遊んだ。次回作もまもなく出るので遊んで欲しい」とアピールした。
次に発表されたのがもっとも売れたタイトルに贈られる「ベストセールス大賞」。これは6月末時点で430万本を記録した「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」に贈られた。プレゼンターは同作を遊んだユーザーを代表した方が行ない、これには堀井雄二氏も「ユーザーから直接いただけると手応えを感じられて嬉しい」と嬉しそうだった。
【グローバル賞 日本作品部門】 | |
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任天堂「Wii Sports Resort」 | Activision/Infinity Ward「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」 |
今回の日本ゲーム大賞の目玉の1つがこの「ゲームデザイナーズ大賞」だろう。作り手側が選ぶゲーム大賞と言うことで、ここだけは伊集院さんに代わって、選考を担当した桜井政博氏が登場。選考理由を語った。桜井氏は「大賞の審査をするにあたってやるせなさを感じていた。ユーザー投票と言うことなのでユーザーが支持しているわけだからそれはいいが、大切なものが欠けている。それは革新性が欠けている」と言い、この意見に賛同した飯田和敏氏、イシイジロウ氏、上田文人氏、神谷英樹氏ら14人(桜井氏含む)で審査を行なった。審査方式としては1人持ち点10点で自由に割り振って良いという方法。
結果選ばれた作品は「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」だった。全ての審査員がこの作品に何らかの形で投票しており、2位の作品から4倍の得票数を記録したという。面白いのはこれからで、ユーザー票では70位なのだという。桜井氏は同作をプレイしながら、わざわざ細かく操作させる点を挙げ、例えば重要なシーンだけをプレーヤーに細かく操作させていては演出がうまくいかないのだという。
この点については伊集院さんが上手く説明している。「ある追いかけられるシーンでやはり細かく操作しなければならない。それまではすんなり操作していたのに、(あせって)もどかしいくらいに操作できなくなる。そのとき、登場人物と一体化していると感じた。こんなにゲームをしているのに、まだこんなに震えるような感覚を感じることができるんだと思った」と伊集院さんは感想を述べた。
監督・脚本を担当したDavid Cage氏は、「光栄です。それもゲーム産業において重要な日本においてこういった賞を受賞できて。今回は暴力やシューティングの方法論ではなく、感情からくる物語を伝えたかった。すごいアイディアだが実行するのは難しかった。それをサポートしてくれたチームに感謝を伝えたい」と挨拶。
桜井氏は「ゲームはマスに向かって発表する物ばかりではない。“好き”と言ってくれる人のために作っている。独創性が大切だ」と締めくくり、「好評だったら来年もやりたい」と語り降壇した。
【ゲームデザイナーズ大賞】 | ||
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ゲームデザイナーズ大賞を受賞したのは「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」。トロフィーを受け取ったのは監督/脚本を担当したDavid Cage氏 | ソラの桜井政博氏がゲームをプレイしながら受賞理由を分析してみせた | 桜井氏は「日本ゲーム大賞」にやるせなさを感じたという。大切なものがかけていると感じた桜井氏は、それを革新性と挙げた。 |
日本ゲーム大賞、今年の受賞タイトルは任天堂の「New スーパーマリオブラザーズ Wii」。久しぶりの単独受賞となった |
一通り各賞の発表が終了したところで、優秀賞の発表となった。受賞作については以下の写真にあるとおりだが、いくつか印象的なコメントを拾っていくと、レベルファイブの日野氏は「イマズマイレブン2 脅威の侵略者 ファイア/ブリザード」について「1作目は苦労した。今回の2作目で大きくブレイクできて嬉しい。2作目のシナリオ会議でスタッフに『宇宙の敵と戦う』とコンセプトを話したときの微妙な空気が忘れられない。でもマジでやると話し、数日間話し合ってプロットを理解してもらった。今後、このゲームがきっかけでサッカーを始めて日本代表になる人が現われるようなゲームを作りたい」とコメント。
また、「トモダチコレクション」を開発した坂本プロデューサーは「スタッフが楽しいと思ったものを作った。完成が近づくなかでゲームではないのではと考えたり不安に点もあった。そんな中、みんなに遊んでもらって幸せです」と語った。
「BAYONETTA(ベヨネッタ)」を開発した神谷英樹氏は挨拶の中で「9年前に開発した『Devil May Cry』に対して、今の自分達になにができるのか。過去に挑戦だったが、賞を受賞できて励みになった。(自分は)現場主義でゲームを作り続けていく」と宣言した。
「ラブプラス」を手がけたKONAMIの内田氏は「これはゲームなんだろうかと考えながら作った。このわかりづらい商品からユーザーは新しい楽しみを発見していった。ゲームの中で完結せず、ゲームの外にも遊びが広がった。(ユーザー発ではなく)それをなぜ我々が仕掛けられなかったのか?」と反省点がありながらも「伸びしろのあるタイトル」と語り、今後も様々な展開を匂わせるコメントを残した。
優秀賞を受賞した11タイトルの中から日本ゲーム大賞が決定するわけだが、発表されたのは「New スーパーマリオブラザーズ Wii」。受賞した任天堂の手塚氏は「ちょっと驚きました。投票のコメントを見ると1歳から80歳まであった。1歳はムリにしても我々の5歳から95歳までというコンセプトに近く、幅広く楽しんでもらえたと改めて感じた」と喜びを表現した。
(2010年 9月 16日)