東京ゲームショウ2010レポート

ガマニア、MMOSRPG「Langrisser Schwarz」のプレスカンファレンスを開催
クラスは全70種類、音楽は「ラングリッサー」シリーズの岩垂徳行氏を起用


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントは、東京ゲームショウ2日目の9月17日に「Langrisser Schwarz(ラングリッサー シュバルツ)」のプレスカンファレンスを開催した。

 最初にガマニアデジタルエンターテインメントの代表取締役社長 浅井清氏と、「ラングリッサー」の権利を管理している株式会社エクストリームの代表取締役 佐藤昌平氏、「Langrisser Schwarz」の海外戦略を担当するガマニアグループ最高戦略責任者のWilliam Chen氏が開発のコンセプトなどを説明し、中国語版のタイトルとロゴを発表した。

 その後、作曲家の岩垂徳行氏と商品開発部部長の市崎裕康氏がゲームの詳細をトークショー形式で紹介した。「Langrisser Schwarz」は日本からサービスをスタートして、その後サービス地域を広げていく予定だ。


ガマニアデジタルエンターテインメントの代表取締役社長 浅井清氏株式会社エクストリームの代表取締役 佐藤昌平氏ガマニアグループ最高戦略責任者のWilliam Chen氏




■ 名作SRPG「ラングリッサー」がグローバルなオンラインゲームに

「Langrisser Schwarz」のキービジュアル。キャラクターイラストはすべて一新されている

 「ラングリッサー」は1991年にメガドライブ用のシミュレーションRPGとしてメサイアから発売された。その後、セガサターンやスーパーファミコン、プレイステーションなどにも移植された名作だ。

 「当時はシミュレーションRPGがまだ珍しくて、属性を変えるとキャラクターの性能が変わるという特徴があって人気があり、どんどん続編がでました。でもここ10年くらいはまったく新作が出ていなかったのです」(浅井氏)。

 2Dのオフラインゲームだった「ラングリッサー」の世界観や設定を活かしつつ、3Dのオンラインゲーム化したのが「Langrisser Schwarz」だ。コンセプトは「従来のシミュレーションRPGは1人で遊ぶゲームでしたが、それをオンライン化してみんなで遊んだら面白いのではないか」(浅井氏)だ。

 数あるシミュレーションRPGの中で「ラングリッサー」を選んだ理由は2つ。「世界観やストーリーが非常にしっかりしている」ことと「ライセンスを持っている会社が協力的で、いい関係の中で開発ができそうというのが一番大きな理由です」と浅井氏。

 ライセンス管理をしているエクストリームの佐藤氏は「浅井さんとは2年くらい前から、『いつか一緒に仕事をしたいね』とずっと話をしていた」そうだ。開発が決まってからは、誰かにそれを言いたくて言いたくて仕方がなかったのをずっと我慢していたので「ようやくこういう形で発表できたのをありがたく思っています」と感慨深く語った。

 今回の共同開発では、ゲームの開発はガマニアが行ない、エクストリームは監修という形になる。開発を任せることについては「ガマニアさんには『ラングリッサー』に思い入れのあるスタッフがたくさんいまして、私たちよりもこのタイトルのことをよく知っていただいていると考えています。また、今回グローバルに展開していただけるということで、家庭用ゲームの時にはできなかったことをやっていただけると期待しています」(佐藤氏)と語った。

プレスカンファレンスの最後に中国語版のタイトルが発表された

 佐藤氏の言葉通り「Langrisser Schwarz」は2011年に日本でサービスを開始するのを皮切りに、将来的には世界でサービスされる予定だ。ガマニアのグローバル戦略について、ガマニア最高戦略責任者のChen氏は「東京ゲームショーに8タイトルを出展したのは、ガマニアがグローバルに打って出るという、強い気持ちの現れだ」と説明。

 「世界各地のエリアのマーケットに合った商品やエンターテインメントコンテンツを選んで、そのエリアのユーザーの好みにあった商品で市場を開拓していく」というガマニアのグローバル戦略を説明した。「ラングリッサー」というコアなファンを持つタイトルをオンラインゲーム化することで、タイトルのファンを取り込むとともに、新たはファンをも獲得したいという思惑だ。「Langrisser Schwarz」の中国語タイトルロゴも発表されて、会場に訪れていたアジアのメディアだけでなく、ステージを観ていた日本人にもグローバル展開を強く感じさせた。

【「Langrisser Schwarz」プロモーションムービー】




■ 「ラングリッサー」の音楽をすべて手掛けた岩垂氏がオンライン版も担当

第1作目の「ラングリッサー」から音楽を手掛けている作曲家の岩垂徳行氏
ガマニアデジタルエンターテインメント商品開発部部長 市崎裕康氏

 その後に行なわれたトークセッションでは、作曲家の岩垂徳行氏と商品開発部部長の市崎裕康氏が初公開のムービーを交えつつ、ゲームコンテンツの説明を行なった。岩垂氏はゲーム音楽を多く手掛ける作曲家で、コンシューマの「ラングリッサー」シリーズもすべて氏が音楽を手掛けている。

 「僕がゲームの音楽を始めて3作目か4作目が『ラングリッサー』だったのです」と岩垂氏。苦労話はありますかと聞かれ、「もう20年前になりますが、『ラングリッサー 1』の音楽は2週間で全部作ってコンバートして組み込んでという突貫作業だったのです。それがここまで盛り上がってくれて感無量です」と昔を振り返った。「『ラングリッサー』は出た当時から一生遊べるゲームと言われていたのです。続編が出て、オンラインゲームにまで発展するとはびっくりです」(岩垂氏)。

 岩垂氏は「Langrisser Schwarz」の曲もすべて手掛けている。中には、昔のシリーズで使った曲をアレンジしたものもあるとかで、オールドファンは感涙間違いなしだ。

 市崎氏は「僕も含め、日本の本社のスタッフが『ラングリッサー』大好き人間が集まってしまい、これはやるしかないという流れから始まったのです」とファン心を暴露した。「良くできたゲームで、世界観もしっかりしているので、オンラインでそこをどう再現するのか、どこを残すのかといった部分が苦労したところです」(市崎氏)。

所属国として選べるのは「帝国」、「光の勢力」、「闇の勢力」の3つ

 「Langrisser Schwarz」では「帝国」、「光の勢力」「闇の勢力」の3つから勢力を選ぶことができる。プレーヤーは3つのいずれかに属して、他の2つと「聖剣」と「魔剣」の争奪戦を繰り広げる。ここはオンラインゲームならではの要素で「いままで見たことがない闇の国や光の国を見ることができるます」(市崎氏)。

 2Dから3Dになったことで自由度は格段に高くなっている。特に特徴的なのは、キャラ育成のバリエーションが非常に豊富なことだろう。女神の質問に答えることで自動的に自分に合ったキャラクターができるという「ラングリッサー」シリーズの独特なキャラクターメイキングは「Langrisser Schwarz」でも健在だ。質問による分岐で、18種類ある初期クラスのいずれかになる。もちろんキャラクターの顔はバリエーションの中から好みに合わせて選択できる。

 クラスチェンジ選べるクラスはサービス開始で70種類、今後さらに追加されていくという。装備箇所は全部で15カ所、装備品のバリエーションは1,800以上あり、合成や生産も楽しめる。これらのバリエーションを組み合わせることで、自分だけのオリジナルキャラクターを育てることができるのだ。


3つの勢力それぞれの雰囲気が初めて公開された
「女神」の質問に答えることで、自動的にキャラクターのクラスが決まる
初期クラスは18種類。クラスチェンジを含めると70種類ものクラスがある
キャラクターのカスタマイズ性が高く、個性的なキャラクターを育てることができる


 戦闘は「弓兵」、「騎兵」、「兵士」という3つのユニットの3すくみをいかに使いこなすかが重要になる。「指揮範囲」というオフライン版にあった要素も健在だ。戦闘フィールドは平地や溶岩の洞窟など約70種類あり、それぞれにクエストが用意されている。同じマップでもクエストによって戦い方が変わっていく。

 まだ開発中だが、戦闘の結果によって所属している陣営の都市が変化していくという要素もある。また「騎士団」というギルドの拠点となる場所も、戦闘の結果で変化していくらしい。「これは楽しいですよ」と市崎氏。そこで使われる曲はすでに岩垂氏によって完成済みだそうだ。

 「ラングリッサーがここまで進化してきました。僕も大好きですし、これからも大勢の方がこの作品を好きになってくれると信じています。これからの情報を楽しみにしてください」(岩垂氏)。

 「僕を含め本社の開発スタッフもみんな『ラングリッサー』が大好きで、そんなスタッフが作っているのですから、面白くない訳がない。ガマニアでしか作れない『Langrisser Schwarz』を是非楽しみにしてください」(市崎氏)。


溶岩が流れる洞窟マップでの戦闘。3Dゲームになっても、ユニットを連れて戦うという基本は変わらない


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(2010年 9月 18日)

[Reported by 石井聡]