東京ゲームショウ2010レポート

スクウェア・エニックスブースレポート その1
PSP「DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY」
PSP「タクティクスオウガ 運命の輪」&Xbox 360「ガン★ロコ」


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 多数の話題作が出展されていた株式会社スクウェア・エニックスブース。そのブースレポートその1では、PSP「DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY」、PSP「タクティクスオウガ 運命の輪」、Xbox 360「ガン★ロコ」の3タイトルのレポートをお届けしよう。


■ PSP「DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY」
まだまだ謎が残されつつも、期待の高まるプレイアブルが展示。クローズドシアターの最後には気になるシーンも……

発売日:2011年発売予定
価格:未定
対応機種:PSP
ジャンル:ドラマチック プログレッシブ アクション



試遊の様子はこちら。ポータブルズームに対応した液晶モニタ「REGZA」によるテレビ出力のある台も用意され、フルスクリーンで迫力のゲームシーンも楽しめるようになっていた

 「DISSIDIA 012[duodecim] FINAL FANTASY」は、2008年に発売されて人気を博した 「ディシディア ファイナルファンタジー」の続編にあたる。既に公式サイトこそ用意されているものの、詳細情報などはまだ開示されておらず、今回が初のプレイアブルの出展となる。ブースはクローズドシアターを抜けた先に用意され、「KINGDOM HEARTS Re:coded」、「The 3rd Birthday」と共にクローズドシアター15分、試遊を15分の入れ替え制となっている。

 クローズドシアターではイベントシーンと戦闘シーンのどちらのシーンも含まれたプロモーションビデオの上映が行なわれ、今回が初参戦となる「FFIV」のカインや「FFXIII」のライトニングの勇姿が見所となっている。今回のストーリーと関係しそうなセリフなども語られており、前回カオス側だったクジャが今回はコスモス側として振る舞っていたり、新規参戦となるカインが味方なのか敵なのかはっきりしない形で描かれている点など興味深い展開となっている。さらにプロモーションムービーのラストにはイベントシーンという形でセフィロスと対峙するティファの姿が映し出されており、ファンの多いキャラクターだけに操作可能になるのかも気になるところだ。

 クローズドシアター上映後は実際に試遊することになるのだが、こちらではクローズドシアターから一転しストーリー的な情報はなく、淡々と対戦していく形で楽しめるようになっている。このときカイン、ライトニングのどちらも使用可能となっているので興味がある人は使ってみるのもいいかもしれない。なお自分の腕にあわせてイントロ、ノーマル、ハードの3種類の難易度から選んで楽しめるため、前作を遊んだことがない人でも気軽に挑戦できるのも嬉しいところだ。

 カインは竜騎士というイメージ通りの槍を主体としたキャラクターとなっていて、特に癖もなく使いやすい印象を受けた。一方ライトニングは「FFXIII」の特徴的なシステムであるオプティマチェンジを行なうことで、キャラクターの操作性をがらりと変化させることができる玄人向けなキャラクターとなっていて、かなりトリッキーな使用感を覚えた。

 システム面では「アシストシステム」という、ボタン入力によって特定のキャラクターが攻撃してくれるシステムが追加され、一時的に敵の動きを止めたり、相手のコンボを中断させるなどうまく使えば攻撃だけでなく防御的にも扱うことができる可能性を感じさせるものとなっており、NPCとの対戦ではもちろんのこと、プレーヤー同士の対戦においても一方的なゲーム展開からの脱出手段などとしても使えるのではないかと個人的にも期待している。なお、製品版ではアシストキャラクターも変更できるようになることで、アシストキャラクター自体の性能差がどうなるのかなども気になるところだ。基本的な操作性に関しては、前作とそれほどそれほど大きな違いを感じることもなかったので違和感なく楽しむことができた。



(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN : TETSUYA NOMURA



■ PSP「タクティクスオウガ 運命の輪」
丁寧に熟成された、15年モノの極上ビンテージ戦略シミュレーション

発売日:11月11日 発売予定
価格:5,980円(UMD版)
   4,980円(ダウンロード版)
対応機種:PSP
ジャンル:シミュレーションRPG



 「タクティクスオウガ 運命の輪」は、重厚感のある世界観と高い戦略性を兼ね備え、発売から15年経た今もなお高い評価を受けている戦略シミュレーションの名作「タクティクスオウガ」のリメイク作品。ブースでは製品版に近い形のプレイアブルが試遊できるようになっており、ニューゲームから始めるほかに、チュートリアル終了後の最初のマップとなる「タインマウスの丘」から始めることができるセーブデータと、さらにその次にマップに当たる「クリザローの町」から始めることができるセーブデータの2つが用意されている。

 リメイク作品というと大幅にシステムが変わっていたり、ゲームバランスが全く違ったものとなっているなどオリジナルから遠く離れた作品になっていることも多い。それはそれで面白い作品になっているものの、ファン心理としてはちょっと寂しさを感じてしまう……こういった経験は誰にでもあるのではないだろうか。しかし、当作品ではオリジナルスタッフによるリメイクとなっているためか、かなり忠実なリメイクとなっており、原作を遊んだファンも納得の内容という印象を受けた。特にチュートリアルで使われるマップ「港町ゴリアテ」を見た時には、あまりの懐かしさに、思わずウルっときてしまった。

 一方で変更点としては、原作の倍以上といわれるほどにテキスト量が増大していたり、新クラス、新キャラクターなどボリュームアップという方向での修正となっていてゲームバランスへの影響が抑えられている点は嬉しいところ。システム面の変更面に関しては、待ち時間を消化したユニットから順番に、敵味方関係なく動いていくウェイトターンシステムはそのままに、行動順を視覚的に確認できるアタックターンがバトル画面下部に表示されるようになるなど遊びやすさを高める方向での調整となっている。そしてリメイクにあたって新たに作られた「任意のアタックターンにさかのぼり、そこからプレイをやり直す」ことができる「C.H.A.R.I.O.T」も今回の試遊でも体験することが可能になっている。こちらもアタックターンの修正同様に難易度を変えずに遊びやすさを高める方向付けが印象に残った。特に使用に関して制限もなかったので、最善手を求めて試行錯誤するという遊び方も面白いかもしれない。

 試遊を通しての印象としては、見やすく遊びやすく進化させた上でボリュームアップを行ないつつも、根底は変えないという、ファンの望んでいる形でのリメイクになっていると感じた。実際ここまで忠実にリメイクするというのは逆に勇気のいる行動であるようにも思えるのだが、クリエイターのこのゲームに対する愛情と、自分の生み出した作品に対する自信が感じ取れるようだった。

 なお、ブースには製品版の予約特典にもなっている吉田昭彦氏の描き下ろしたタロットカードなども展示されているので、実物を見て確認することができる。予約しようか迷っているという人は、ぜひ立ち寄ってみてほしい。



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■ Xbox 360「ガン★ロコ」
キーワードは「走る」!? ひと味違う純日本産TPS登場!

発売日:2011年発売予定
価格:未定
対応機種:Xbox 360
ジャンル:スプリントアクションシューター



 ここ最近、海外産FPS、TPSのローカライズを多く担当しているスクウェア・エニックスから登場したのが本作「ガン★ロコ」だ。人類に見捨てられ、無法地帯と化した惑星を舞台に、一癖も二癖もあるキャラクター達が、女を抱くため脱獄を目指し、過激な銃撃戦を繰り広げるTPSアクションゲームとなっている。

 今回のゲームショウでは複数の試遊台が設置され、シングルモード、マルチモード共に体験することができるようになっていた。ここでは本作のプロデューサーを務める横山氏にお話をうかがいながらプレイしたマルチモードのレポートをお届けする。

主人公、マドックスとその仲間たち。仲間の目的は「女を抱きたい、女を抱きたい、女を抱きたい!」ただそれだけ。登場人物はどいつもこいつもクソッタレばかり。イカレたキャラクター達も本作の特徴の1つだ

 まず本作の基本的な操作だが、左右のトリガーでメインウェポンとサブウェポンを使い分け、左スティックで移動、右スティックで照準を合わせるための視点操作と、非常にシンプルなつくりになっていた。FPS、TPSの経験者はすぐにカンをつかめるだろう。さらに本作では左バンパーを押している間「走る」ことができ、これが本作を“スプリントアクションシューター”たらしめる要因となっている。

 この「走る」ことがゲームに与える影響は非常に大きい。走っている間は障害物を飛び越えることができるほか、走りながら敵に近づけばタックルを繰り出し、さらに走っている間の銃撃がヒットすれば一発で倒すことができるなど、大きな恩恵を受けることができる。しかし、本作のロックオンは全て手動で行なうので、走ればそれだけ狙いをつけることが難しくなる。「走る」ことと「狙うこと」、この相反する2つの要素による綱引きが「ガン★ロコ」の醍醐味であると言えるだろう。無理せず、着実にキル/デスの差を広げていこうとすることの多いFPS、TPSが多い中でハイリスクハイリターンのスプリントが推奨される、異色のアクション性を本作は持っている。

 また、横山氏が言うには、今回の試遊でシングルモードを選ぶと、非常に強力な戦車と戦うことになる。そこでは通常の銃撃ではろくにダメージを与えられないが、走りながらの射撃によって大ダメージを与えられようになっているとのこと。どうやらこのアクションは、シングル、マルチ問わず活躍するようだ。なお、今回試遊したマルチモードでは確認できなかったが、マップ上にはさまざまな搭乗できるオブジェクトも設置されるようだ。

「走る」からのアクションが本作最大の特徴。高速で移動するため、マップの構造に大きな影響を受ける。マップの把握はこれまでのFPS、TPS以上に重要なポイントになりそうだ

 マルチモードでは、勝敗の決定にも一工夫がなされている。マルチモードでは、懸賞金の額で表される一定数のポイントを溜めることが勝利条件となり、これは相手チームのプレーヤーを倒すごとに溜まっていくようになっている。ここでおもしろいのが、敵を多く倒しているプレーヤーには高額の懸賞金がかけられるようになり、そこでそのプレーヤーが倒されてしまうと、逆に相手チームに大量のポイントが流れ込む、という逆転要素の強いシステムになっていることだ。多くのFPS、TPSにおいてマルチモードの勝敗は単純に倒した数を競うことになるものだが、同じ1つのキルでも価値に大きな差が出るこのシステムは興味深く感じた。

 さらに、本作を彩る個性的なキャラクター達も、伊達にインパクトのある格好をしているわけではない。マルチモードを遊ぶ際には複数のキャラクターから自分の試用するキャラクターを選択することができるが、それぞれ所持している武器や能力に異なった特徴づけがなされている。横山氏いわく、ここは格闘ゲームを意識したとのこと。つまり、武器だけでなくキャラクターそのものにも個性を与えることで、マルチモードにより奥深い戦略性を与えているのだ。このようにシステム、キャラクターともに従来の対戦型TPSアクションとは一線を画した戦いが楽しめる「ガン★ロコ」。FPS、TPS好きのプレーヤーにはぜひ一度触ってみてほしい。

基本は押さえながら、日本独自のテイストを加えたノリのよい本作。ブースのコンパニオンもプロデューサーも実にノリのよい人たちだった


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(2010年 9月 17日)

[Reported by 小倉響記(ねこひげ合同会社)]