Electronic Entertainment Expo 2010現地レポート
セガ、戦国時代RTS「SHOGUN 2: Total War」をお披露目
織田、島津など9勢力がプレイアブル。精緻な戦国の再現に注目!
織田、島津など9勢力がプレイアブル。精緻な戦国の再現に注目!
隊列を組んでの集団戦闘、いわゆる会戦をリアルに再現することを第1に掲げて進化してきたRTS「Total War」シリーズ。その最新作は日本の戦国時代をテーマとする「SHOGUN 2: Total War」だ。プラットフォームはPCで、発売時期は未定となっている。
Creative Assemblyが制作する本作の完成度は、現時点ではプリアルファとのこと。とはいえ、E3エキスポ、セガブース内のデモンストレーションで公開された映像では、しっかり会戦シーンも見ることができ、すでにプレイアブルに近い状態にあることが確認できた。また、日本の戦国風景を情感豊かに、しかも正確に表現しようとする本作の意気込みも感じられた。
海外のデベロッパーが日本を舞台とするゲームを制作する際には「文化的正確性」が問題になりがちだし、シリーズ最新作としてのゲーム的な特徴なども気になるところだろう。今回、E3エキスポ会場のセガブースで本作のプレゼンテーションを受けることができたので、早速インプレッションをお伝えしよう。
■ 海外発、精緻に再現された戦国時代の風景
ゲーム内容を紹介してくれたSEGA EuropeのWouter van Vugt氏とCreative AssemblyのJaime Ferguson氏 |
プライベートブース前にはGEISHAスタイルのお姉さんが |
河越夜戦のプレイシーン |
セガブースで行なわれたデモンストレーションでは、Creative Assemblyで本作の開発を担当するプロデューサー、Jaime Ferguson氏から解説を受けつつゲームのプレイ映像を見ることができた。
本作は2001年に発売された初代作「SHOGUN: Total War」から連なる作品だ。その後中世ヨーロッパ、ローマ、近世ヨーロッパを扱ってきた「Total War」シリーズ。その流れの中でグラフィックスやAIなどの技術的な蓄積があり、新たな「戦国時代」を表現できる段階に達したことで、本作の企画が推進されたのだという。
本作の時代背景となるのは、1545年から1603年まで、戦国時代中期~末期の日本。メインモードとなるキャンペーンゲームでは勢力のひとつを操り、天下を統一して征夷大将軍となることが最終目標となる。
勢力は氏族単位で分けられており、Ferguson氏の解説でわかった範囲では武田氏、伊達氏、島津氏、毛利氏、織田氏を含む9の氏族がプレイアブルな勢力として登場する。また、NPCとして全国各地の各氏族が登場。伊賀、甲賀といった特殊な勢力もゲーム中に組み込まれるようだ。
早速見せてもらったプレイ映像では、「河越城の戦い(河越夜戦)」をテーマとするヒストリカルバトルのシーンを確認することができた。歴史上有名な夜戦ということで、ゲーム内でも夜間の設定。空は悪天候で雨が降り注ぎ、濃い霧があたりを覆って雰囲気は抜群だ。
登場する兵士たちは「槍足軽」、「弓足軽」、「騎馬武者」といった単位で兵種が分けられており少々ゲーム的に抽象化が行なわれているが、その具足は戦国時代当時の黒備、赤備を忠実に再現しており、映像の説得力は抜群。戦を始める直前には武将が兵士の前で大演説をぶち始め、「敵の数など恐るるに足らん!」と渋いセリフを日本語で聞くことができた。
戦闘シーンのゲーム内容としては、従来の「Total War」の延長線上にある。数十名~100名強で構成される部隊単位でユニットを操作し、陣形を組んで敵部隊にぶつかっていく。部隊同士が衝突すれば、兵士の1人1人が抜刀し、各個に戦闘を展開。ちなみに各兵士の戦闘モーションは、英国の剣道協会に依頼してモーションキャプチャーを行なったのだそうだ。
兵の運用の仕方で戦闘の趨勢が容易く変わるという点で、本作のゲームプレイには非常にメリハリがある。例えば騎馬武者は、敵の背後から突撃すると一瞬で部隊全員を蹴散らすが、正面からでは相手が弓足軽でも容易く撃退されてしまう。また友軍の部隊が背後を突かれてしまったときなどは、その近辺にいる部隊もまとめて非常に早いタイミングで士気が崩壊し、敗走を始めるといった格好だ。
Ferguson氏は、本作では日本の風景をきちんと表現することに多くの力が注がれているともいう。まずは四季の表現。春には桜の花が咲き、秋には山の木々が紅葉するといった映像的な表現をキャンペーンマップ、バトルマップの両方に実現。また歴史考証については、日本史に詳しい学者の協力を得た上で、大量の文献にあたって正確な再現を試みている。
そういった開発の経緯もあって、Ferguson氏は「座頭市」、「乱」、「七人の侍」といった日本の時代映画を黒澤作品を中心に見漁ったそうだ。その努力が実ってか、今回見ることができた範囲では「間違った日本像」的なものはひとつも見当たらなかった。本当に完成度の高い、皆が求める「SHOGUN」が実現しそうだ。本作の発売は北米・欧州で2011年を予定している。日本版の発売も大いに期待したい。
【SHOGUN 2: Total War】 | ||
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http://www.e3expo.com/
(2010年 6月 17日)