Game Developers Conference(GDC) 2010現地レポート

ミドルウェア戦国時代! 「Unity」は新興ゲーム業界を制すか?
GDC2010出展の各種ミドルウェア企業を幅広くレポート


3月9~13日 開催(現地時間)

会場:サンフランシスコ Moscone Center


多数のミドルウェア企業がブースを出展したGDC Expo

 GDC Expoでは、毎年多数のメーカーが個性的なブースを出し賑わいを見せる。そんな中、今年のGDCで特徴的だったのは、多数の新興ミドルウェア企業が存在感をアピールしていたことだ。本稿ではGDC Expoで大いに目立っていた、今最も勢いのある中小デベロッパーに向けたミドルウェアについての情報をお伝えしたい。

 中小デベロッパーに向けたミドルウェアが勢いを持っている背景には、iPhoneなどのスマートフォン分野のゲームが活性化していることや、Facebook等のソーシャルプラットフォームをベースとするソーシャルゲームの市場が開拓されつつあるという流れがある。ゲーム市場のめまぐるしい変化に合わせ、小回りの効く個人や少人数のデベロッパーが無数の新しいゲームを生み出し、新たな金鉱を掘りあてようとしているのだ。

 そういった背景の中で頭角を現わしてきたのが、「Unity」や「Torque Game Engine」といった低価格のゲームエンジンおよびゲーム開発フレームワークである。高くても数千ドル、低くは無料で提供され、しかも最新のフレームワークで効率的にゲーム開発を行なえるというソリューション。そのようなミドルウェアの登場は、従来の高価格ミドルウェアとはケタ違いの勢いで、多数のゲームデベロッパーを引きつけている。

 一方、ライセンス費が億円単位となるヘビー級ミドルウェアとして有名なEPIC Gamesの「Unreal Engine 3」、Crytekの「CryEngine 3」あたりは大規模デベロッパーを主要な顧客としているため、それら低価格ミドルウェアとは市場を異にしている。だが、急速に勢力を拡大し機能を充実させつつある「Unity」のようなゲームエンジンに、いずれはその牙城を切り崩されるかもしれない。少なくとも、ミドルウェア業界はそのような未来を予感させる「戦国時代」に突入したようだ。




■ 台風の目、10万ユーザーを達成した新興ゲームエンジン「Unity」

「Unity」のブース。メインゲートに近い好位置に出展していた

 GDC Expoに出展していた多数のミドルウェア関連ブースの中で、最も目立っていたのがUnity Technologiesのブースだ。ソニー、インテルといった大企業が並ぶメイン入場口のすぐ前に一大ブースを構えていたと言えば、その気負いぶりがいかなるものだったかおわかりいただけるだろう。

 Unity Technologiesはスウェーデンにルーツを持ち、現在はサンフランシスコに本社を置くミドルウェアデベロッパーで、本格的にゲームエンジンビジネスを開始したのは2007年と、非常に若い企業だ。その製品は「Unity」。今、独立系デベロッパーの1番人気となっているゲームエンジンだ。



・高機動ゲーム開発を可能にする最高のソリューション

会場では最新の開発環境がデモンストレーションされていた
ゲームエディター。ワールド、エンティティ、スクリプト、各種アセットの編集機能が統合化されている

 「Unity」はクロスプラットフォーム開発に対応したゲームエンジンおよびゲーム開発フレームワークで、高機能なゲームエディタを核として、高速・高品質なグラフィックスレンダリング、地形、物理処理、小規模マルチプレイゲーム向けのネットワーク機能などが揃う。

 技術的に優れている点は、ゲームエディターで編集した結果を即座に確認しながら開発を進められる、ラピッドイテレーションのための機構が充実していることだ。例えば、別アプリで3Dモデルやテクスチャを編集してセーブすれば即座にゲーム内に反映され、面倒なインポート作業やゲームの再実行は一切必要ない。

 また、ゲームを駆動するスクリプトも同様に、コードを書き換えて即座にゲーム内で動きを確かめることができる。このデータとゲームの同期性という点では、高価格ミドルウェアを含め、最も高いレベルにあるソリューションだ。

 このゲームエディターを基本として、「Unity」におけるゲーム開発はエンジン統合されたスクリプトシステムをベースに行なうスタイル。スクリプト言語はJavaScriptベースのオリジナル実装で、JITコンパイラにより実行時にネイティブコードに変換され、高速に動作する。コアゲームダイナミクスはスクリプトで全て記述できるため、ありとあらゆるゲームのプロトタイピング、あるいは製品の開発が可能だ。

 グラフィックス面では、コンシューマーゲーム機向けの最新タイトルで使われているDeffered Shadingの技術を実装し、複雑なシェーダーやライティングを用いた3Dグラフィックスを効率的に描画することができる。また、物理エンジンとしてNvidiaのPhysXをビルトイン。地形エンジンには独自の植生再現機能が搭載され、自然なゲームワールドを素早くエディットすることができる。

 ただ、AIのためのソリューションや、「Unreal Engine 3」や「CryEngine」にあるような高度なアニメーションシステム、カットシーンエディタ等は搭載しておらず、もし「Unity」を使って重厚な演出たっぷりの「Gears of War」のようなゲームを作るとすれば、追加のソリューションを自前で作るか、サテライトミドルウェアを購入する必要がある。とはいえ、独立系デベロッパーがそこまでのソリューションを必要とすることは現時点ではまずない。「ゲーム開発に必要なものは全て揃っている」と言って差し支えないだろう。


近距離ではダイナミックライティング、遠距離ではスタティックライティングに置き換えるといった表現が非常にスムーズで、クオリティの高い描写がなされている。ライトマップの焼き込みもエディター内で即座に行なえる

テクスチャの編集、地形のエディット、オブジェクトの配置、サウンド効果の編集など、あらゆる編集結果が即座にランタイムに反映される



・幅広いゲームプラットフォームをカバー。しかも安い!

「Unity」で作られ、iPhoneで動作するゲームの例
幅広いプラットフォームにゲームを出力できる。性能に応じて、テクスチャ等のアセットは適切に調整されるようだ

 対応プラットフォームの幅広さはさらに凄い。現行のバージョン2.6では、ゲームをWindows、Mac、Wii、iPhone向けにビルドすることができる。さらに、今回のGDCで紹介が行なわれた新バージョン3.0では、さらにXbox 360、PS3、iPad、そしてAndroidをサポートする。ちなみに、Win、Macとも独立したアプリケーションだけでなく、Webブラウザへの出力も可能だ。この点で「Unity」を上回るミドルウェアは存在しない。

 これに輪をかけて凄いのがその価格体系である。最新版のバージョン3.0で用意されている日本円の価格表では、まず基本的な機能を備える「Unity」が無料。無料版とはいえ主要な機能は全て揃っており、これを使ったゲームを販売してもいい。その際にライセンス費用は発生しない。ただし昨期収益が10万ドルを超える企業や集団は、有料版を使わなければならなかったり、新機能のアップデートが受けられないという制限はある。

 より本格的な開発に使える有料版の「Unity Pro」は11万円。こちらは各種特殊エフェクトの実装や、C++によるプラグイン作成、ローレベルAPIの直接制御といったタイトル・バイ・タイトルの自前最適化が可能になっているほか、バージョンコントロール機能を内蔵するなど大規模開発に必要なソリューションが追加されている。それでも個人レベルで買える金額なのが驚きである。

 またオプションとして、「Unity」で大規模開発を支援する「Asset Server client」のライセンスがプラス44,500円。iPhone出力機能がプラス27,500円、様々な最適化機能を追加した高機能版iPhone出力機能が11万円となっている。Wii出力については要相談で、企業規模や収益などに応じて柔軟なプログラムが用意されているようだ。

 全て足したところで30万円にもならないという安さであり、しかもライセンスはタイトル・バイ・タイトルではなくデベロッパー毎。数千、数万のユーザーを獲得することを前提とする価格付けであり、このような「広く浅く」というビジネスモデルは、従来のミドルウェア企業には見られなかったものだ。


Webブラウザで動作するゲームを製作することも可能。これはEA Sportsの「PGA Tour Online 」のベータバージョン。ゲームは「Unity」のWebブラウザ向けエンジンコンポーネントにより駆動され、DirectXもしくはOpenGLを使って描画される



・ミドルウェア業界前人未到の10万ユーザーを突破! 日本のゲーム市場にも関心が?

Unity Technologyの主要メンバー。CEOのDavid Helgason氏(中央)と、開発チーフのNicholas Francis氏(写真左)、Joahim Arte氏(写真右)
Helgason氏。「Unity」の成功と、新バージョンの特徴などについて熱っぽく語る
会場では大勢の来場者が「Unity 3.0」の機能を確かめていた

 Unity Technologyのブースでは、近くリリースされる予定の最新版「Unity 3.0」のデモンストレーションが行なわれており、Unity Technologiesの創立者CEOであるDavid Helgason氏、開発チーフのNicholas Francis氏、Joahim Arte氏といった主要メンバーから話を聞くことができた。

 Unity Technologiesでは現在70名以上のスタッフを抱える企業に成長しているが、そのはじまりは2000年頃、Francis氏がまだ高校生だった頃にスウェーデンの家でプログラミングをしていたところに遡るそうだ。その時代からの蓄積があって、本格的にエンジンビジネスを開始したのが2007年。その直後にiPhoneの登場といった時代の波が重なり、急激にビッグビジネスへと変貌した。現在のユーザー数は10万を超えるという。

 Helgason氏はこの急成長とユーザー数の拡大について、「我々が見たこともないゲームが無数に誕生してくるというのは本当にエキサイティングです」と興奮を隠さない。現在では50%の独立系開発者が「Unity」を利用していると見積もっているそうだ。

 最新版の3.0ではサテライト的なミドルウェアの活用が進み、さらに機能向上やパフォーマンスのアップ、そしてなにより対応プラットフォームの拡大がポイントとなっている。特にPCやXbox 360、PS3といった高性能機向けには、3D描画の最適化ソリューション「Umbra」をビルトインするといった形で、第一線のゲーム開発をサポートする。

 そしてHelgason氏に日本市場への関心を聞いてみたところ、強い興味を示していた。特に「日本のゲーム企業がミドルウェアを活用するようになってきた」という近年の流れに好感触を抱いているようだ。ただ、日本語ドキュメントの整備といったローカライズ面については、急速に拡大するユーザー数に対応するため、現時点では対応する余力がないという。

 ゲーム開発におけるプラットフォーム間の垣根を無くす存在になっていきたいという「Unity」。既に独立系デベロッパーの大半を引きつけている状態だが、これから大手ゲーム企業からも注目される存在となるか、ミドルウェア戦国時代のキーを握る存在である。




■ 同じく安価なゲームエンジン「Torque」
 目的別に特化した内容とフルソースコードアクセスでシェア拡大を目指す

「Toque」のブース風景
プラットフォームや目的の別に応じて複数のバージョンが提供されている
iPhoneで動作するゲームも多数展示されていた。現在では2万近いユーザーがいるという

 「Unity」と同じく、独立系デベロッパーを主要な顧客として安価なミドルウェアとなっているのが米Torque(旧名GarageGames)の「Torque(トルク)」エンジンだ。

 価格が安く、ラピッドイテレーションを支援するゲームエディターがあり、ゲームメカニクスを効率的に記述するスクリトシステムを内蔵するなどの点で、「Torque」は「Unity」に競合する製品といえる。GDC Expoでは「Unity」と同等規模のブースを出展し、多数の採用タイトルをデモンストレーションしていた。

 独立系デベロッパーを主要な顧客とする点で「Unity」に似た「Torque」だが、その設計思想はかなり異なる。まず、「Toque」ではスクリプトシステムで全てをまかなう考えはなく、必要な部分はネイティブコード(C++)で記述でき、フルチューンされたゲームを製作できるほか、対象プラットフォームに応じて異なるエディションが用意され、最適なバイナリーを生成することができる。また、PCとMac向けのバージョンではWebブラウザー版を出力することも可能だ。

 エンジンのファミリーは大きく分けて「Torque 3D」、「Torque 2D」に分けられており、3Dゲームと2Dゲームで異なるエンジンを用いることができる。さらに、プラットフォーム別にエディションが別れており、3Dと2Dの両方にiPhone用、Wii用、XNA用が存在する。またXbox 360用のバージョンもあるが、こちらは3Dのみ。

 「Torque」は高い拡張性を持っており、サードパーティー製の各種ミドルウェアを自由に組み合わせてチューンできることが強み。特筆すべきは「Genre Kit」というプラグインの存在だ。プラットフォームアクション、3DRPG、RTS、レースゲームといったゲームジャンルに応じて、最適なひな形が50ドル以下のプラグインとして提供される。

 また、決定的な意味で「Torque」にあって「Unity」にないものを挙げるとすれば、XNA向けバージョンである「Torque X」だろう。独自のJITコンパイラを搭載する「Unity」とは異なり、基本的にネイティブコードでゲームを記述する「Torque」では、C#ベースのXNAにもエンジンを提供することができるのだ。こうして「Toque X」は、「XNAにおける唯一で最高の3Dエンジンミドルウェア」(Torque関係者)となっている。

 価格体系は「Unity」以上に安価なものとなっている。まず、ソースコード無しバージョンで「Torque 2D」と「Torque 3D」がそれぞれ100ドル、フルソースコード込みで「Torque 2D」が250ドル、「Torque 3D」が1,000ドル。「Torque 2D」のiPhone対応版は750ドルだ。XNA版を除く各コンシューマーゲーム機版については非公開で、「要相談」となっている。

 年間25,000ドル以上の収益を挙げているデベロッパーについては「コマーシャル版」として通常版の3倍ほどのライセンス費用がかかるが、それでも十分に安価だ。

 基礎機能の面では「Unity」に比べて劣る点もある「Torque」だが、プラットフォームやゲームジャンル、タイトル・バイ・タイトルの必要に応じてフルチューンできるという柔軟性は大きなアドバンテージである。既に15,000ユーザーを超える独立系デベロッパーの支持を集めており、このカテゴリーでは「Unity」と人気を2分する存在だと言える。


「Torque 3D」で製作されたゲームのスクリーンショット。レンダリング技術はDirectX 9世代に相当するが、C++のネイティブコードでエンジンを拡張できるため、必要に応じて各種の機能をチューンできる

「Torque 2D」で製作されたゲームのスクリーンショット。プラットフォームアクション、アドベンチャー、シューティングといった各ジャンルに向けた「Genre Kit」を導入することで、ゲームタイプに応じて最適な開発ベースを得ることができるのが強み



■ 大規模オンラインゲームのテクノロジーに特化する「Big World」

BigWorldのミーティングルーム
ワールドエディター。マップ製作のほか、NPCのルートやイベント情報の設定などゲーム編集が行なえる
サーバー管理画面。青い線で3つのサーバーマシンによるロードバランシングの様子がわかる
サーバー境界を可視化したクライアント画面。境界を挟んだインタラクションは問題なく可能

 ゲームエンジンは特定の機能に特化していることも強力な武器になる。その方向性で強力に独自性を高めているのが、オーストラリアに本拠を置くBigWorld TechnologyによるMMOG向けゲームエンジン&ソリューション「BigWorld Technology Suite」だ。GDC Expoではミーティングルームを設置していたのみだったが、弊誌の取材に快く応じてエンジンの特徴を紹介してくれた。

 「BigWorld」のキーとなっているのは強力なネットワーク機能だ。サーバー・クライアント型のシステムがエンジンの基本となっており、同時に数千人、数万人がプレイするMMOGを製作することができる。特に凄いのがサーバー側のソリューションが極めてスケーラブルであることだ。

 「BigWorld」のサーバーシステムはダイナミックなロードバランシングをウリとしており、MMOGで必要となる広大な空間を、任意数のサーバーマシンで処理することができる。例えばある地域にプレーヤーが集中して負荷が変動した場合など、自動的に各サーバーマシンの担当範囲を変更させ、最適な負荷分散が行なわれる仕組みだ。さらに、サーバーマシンのどれかがダウンしてまった場合、他のサーバーマシンが自動的にその処理を肩代わりするというフェイルトレランス機能も有している。

 サーバー側のロードバランシングは、世界をシームレスに結合するよう設計されているため、ゲームをプレイしているユーザーが「サーバー境界」に気づくことは絶対にないという。サーバー境界を跨いで銃を撃ち合うことも問題なく可能だ。サーバーダウンなどでフェイルトレランス機能が発生した際は一瞬のガクつきが発生するが、その後すぐ問題なくゲームを継続することができる。

 「BigWorld」は世界で40以上のオンラインゲームで採用されており(開発中のものを含む)、その中には「北斗の拳オンライン」、「グランディアオンライン」といった国産タイトルも含まれている。中国でサービスされている「天下2」というMMORPGでは最大同時接続数28万人を記録。なお、「BigWorld」のサーバーエンジンでは、1つのゲームワールドで最大10万人のプレーヤーを処理できるという。

 「BigWorld」はMMOG製作のための総合ソリューションであるため、クライアント側のゲームエンジンも含まれているし、ワールドエディターや、クエスト等のイベント作成を支援する仕組みもある。対応するクライアントプラットフォームはこれまでPCのみだったが、新バージョンではPS3やXbox 360もサポートするようだ。ライセンス費については非公開となっているが、ゲームプロジェクトの規模に応じた柔軟なプログラムも用意されているようだ。

 最近では「Unity」のように安価で優れたゲームエンジンが台頭しつつあるためか、BigWorld Technologyでは3月5日に独立系デベロッパー向けのバージョン「BigWorld Indie」を発表した。機能的な制限はあるが、ライセンス費用は年間299ドルと非常に安く、すぐにでもMMOGの開発をスタートできる。「BigWorld」はその強みであるネットワーク機能にさらに特化していく形で生き残りを図ることなるだろう。


「BigWorld」のアドバンテージは柔軟で強力なサーバーシステムと、MMOGのために設計された開発支援環境の存在にある。スタッフによると、現在はオンラインゲームが急成長する中国での採用例が増えているとのことだ



■ その他の各社出展ミドルウェア

【Gamebryo 3.1.1】
プライベートブースを構える米Emergentは「Gamebryo 3.1.1」を紹介してくれた。「Gamebryo」は、15~50人規模のゲーム開発に向いたゲーム開発フレームワーク。最新版の3.1.1では「White Boxing」というプロトタイピング支援機能をフィーチャーしている。この機能はプロトタイピングをより効率化することを目的としている。
  ワールドエディター上でテクスチャの張られていない単純な形状のブロック「White Box」を組み合わせプレハブ的な構造を作ることができる。作成した構造はすぐにプレイテストができ、Maya等のアーティスト用ツールにエクスポートして詳細を製作することが可能だ。「Unity」の台頭に対して、開発効率の面で差をつけようという努力が垣間見られる

Adoe Flash 9で作られたユーザーインターフェイスを3Dゲームに取り込めるミドルウェア「ScaleForm GFx」。ゲーム向けUIソリューションとしては業界1の存在で、既に600以上のタイトルで採用されているという。GDC Expoは中規模のブースで出展されており、最新版4.0の機能が紹介されていた。4.0ではActionScript 3に対応し、レンダラーの改良により2倍のパフォーマンスを実現するという

北米の老舗ミドルウェア企業RAD Game Tools。大きなブースで多数のミドルウェア製品をプロモーションしていた。その中で今回の新製品となっていたのが「IGGY」というUIミドルウェア。Adobe Flash 9、Action Script 3で製作したUIをゲーム中に取り込めるというもので、完全に「ScaleForm GFx」の対抗となる製品だ。「ScaleForm」に比べ、そのまま使用できるFlash標準のコンポーネントが多くなっていることなど、使い易さの面で差別化が図られている

日本のミドルウェア企業であるシリコンスタジオはGDC Expoへの初のブース出展を行なっていた。同社で開発したグラフィックスエンジン「DAIKOKU」、ポストエフェクトエンジン「YEBIS」、そして「BlendMagic」の後継となる3DVFX作成ツール「BISHAMON」をデモ。同時に出展していた「モーションポートレート」は海外の人々に珍しく映るようで、多くの来場者が自分の顔を取り込んでは大はしゃぎしていた



(2010年 3月 15日)

[Reported by 佐藤カフジ]