ガンホー、「ラグナロクオンライン ユーザーシンポジウム2009WINTER」開催
職業バランス、不正対策、これからの「RO」は!? ユーザーとメーカーが直接討論
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は12月13日、秋葉原UDXシアターにてMMORPG「ラグナロクオンライン(以下、『RO』)」のユーザーシンポジウムを開催した。
このイベントは、事前に選ばれたユーザーが直接「RO」の運営スタッフに質問をぶつけられるもので、今回が3度目の開催となる。参加者は抽選で選ばれ、今回は抽選で選ばれた80名の内、42名が会場を訪れた。イベントは12時から途中休憩30分を含んで15時まで行なわれ、多くの人が質問をぶつけることができた。会場では1人1回の質問をすることができた。会場での質問は1つだけだが、その他の質問はアンケート用紙に書くことができ、来場者は休憩時間にも熱心にペンを走らせていた。
今回登壇したのは、ゲーム事業部オンライン本部ゲームサービス部一課課長の廣瀬高志氏、ゲームサービス部一課主任の大岸秀典氏、ゲームサービス部一課主任の千葉亮一氏、第一マーケティング部第一企画課の中村聡伸氏、カスタマーサポート部部長の広田知哉氏、カスタマーサポート部ゲームサポート課課長代理の新津幹朗氏、カスタマーサポート部ゲームサポート課主任の太田剛氏の7名。司会進行は執行役員ゲーム事業部オンライン本部本部長の飯野平氏が務めた。
カンファレンス冒頭に進捗状況が発表された携帯向けコンテンツ「ラグナロクオンラインMobile Story」。毎日挑戦できるクエストが入ったり、視点変更ができるといった特徴が紹介された。2010年春サービス開始予定 | ||
携帯にメールを打つことで使い切りのパスワードを入手できるサービス。ワンタイムパスワード。NTTドコモ利用者を対象にしたβテストが行なわれる。正式なサービスは今後発表予定 |
■ システムとユーザー利用の是非、職業の特性とバランスの問題は
ゲーム事業部オンライン本部ゲームサービス部一課課長の廣瀬高志氏 |
ゲームサービス部一課主任の大岸秀典氏 |
ゲームサービス部一課主任の千葉亮一氏 |
第一マーケティング部第一企画課の中村聡伸氏 |
質問: ゼロスティール(モンスターからアイテムを盗む際、ステータスを調整することでレアドロップの確率を通常より上げられるという計算式を利用した方法)が、「やったもの勝ち」という感じで、野放しにされています。これは不正だと思うのですが、仕様なのでしょうか? 処罰の対象にはならないのでしょうか。
廣瀬氏: 運営の方でも認識しています。条件を達成することで普段手に入らないレアアイテムが手にはいることは、私達も望ましくないと考えています。ゼロスティールの問題に関してはGravityと相談しています。仕様変更など体制ができた段階で案内できると思うのですが、現在は特定のモンスターをボス属性にしてスティール不可にするなどの対策をしていますが、今後も対策していきたいと思います。
新津氏: 現状、我々が想定しない使われ方をしていると認識していますが、仕様の変更が第一と考えていますので、そちらの調整を最優先としています。使ったユーザーが処罰の対象になるといったことは考えていません。
質問: 人気のマップが出る一方で、過疎化するマップも多くなっています。モンスターの配置や経験値バランスの変更などは今後も予定がありますか。
大岸氏: これまでは大型アップデートのタイミングと同時に行なうという形で調整を行なってきました。マップ以外にも青箱の中身や砦の宝箱の中身など日本の市場、ユーザー様のの要望を活かした形で調整していきたいと思っています。今後は大型アップデートだけでなく通常のメンテナンスのタイミングでもやれるようにしていきたいと思っています。
質問: 商人系の職業はやはり戦闘がきつく、成長しにくい。ブラックスミスのスキルは武器が壊れるなどリスクが高いものもあり、パーティーに誘われにくい現状を何とかして欲しい。
廣瀬氏: 商人系はアルケミストにはホムンクルスでのレベル上げが可能になりましたが、商人自体はレベル上げは苦労すると思います。それは前提として商人系は戦闘があまり得意ではないという特性があります。そこで経験値をパーティーで公平に分配する「公平パーティー」等でレベルを上げていくのですが、それができる環境が全ての人に用意できているわけではないと思います。
アイデアレベルではありますが、パーティーに参加したときに職業によって特典が得られるというシステムがあれば、アルケミストやブラックスミスも必要なんだという環境ができてくれば、これは私個人の考えなんですが、パーティーに参加しやすくなるのではないかと思っています。こういったアイデアも寄せていただければと思います。職業それぞれの楽しみ方ができるようにはしていきたいと思います。
質問: アルケミストのホムンクルスの固定狩り、キャラクターを放置したままホムンクルスを動かして狩り続けるという状態がユーザー間でトラブルになっています。この問題に関してどう考えているのでしょうか。
新津氏: 基本的には固定狩り、ユーザーさんがキャラクターを放置して場所を占有すると言うことは認めていません。皆さんと場を共有して欲しいと思っていますが、現状マップを占有しているプレーヤーがいるのは事実です。我々としてはこの状態を迷惑行為ではなく、バランス面の問題として捉えています。現場としてはモンスターの配置や、パーティープレイを前提とした配置など改善を考えています。ただ固定狩りそのものは悪とは考えていません。どのような状態で迷惑行為になっているのかを詳細に調べる必要があるとは思っています。
廣瀬氏: 戦闘が得意ではないアルケミストの“補填策”としてホムンクルスがデザインされていて、固定狩りはあまり良くないとは思っているのですが、それを解決するプランに関してはまだ検討中です。ユーザーさんの中で確執が深くなり、運営が対処しなくてはならない自体にまでなった場合は問題としなくてはいけないと思います。
大岸氏: 住み分けができていれば問題がないのかなとも思うのですが、現在はどのマップでも固定狩りができるという現状だと思います。パーティーに適したマップ、ソロ向けマップと、特徴を与えてバランスを取っていきたいと思います。ホムンクルスのAIの調整などは現在は考えていません。
質問: ホムンクルスの問題に関しては、2年前のシンポジウムでもいちばん最初の質問で出ましたが、全く進展がないまま今回も質問に出ているという状況はやはり問題だと思います。AIを変えるのは大変だとは思いますが、手を打たなければずっと問題になると思います。
廣瀬氏: では逆にこちらから質問させていただきたいのですが、ホムンクルスの放置狩りに関して、容認したくないという方はどのくらいいらっしゃいますか。(会場のほとんどの人が手を上げる)。逆に今の仕様を残すべきだと思う方はいますか。(会場からは2人ほど手が上がった)。
発言者: アルケミストは製薬などを重視したステータスにすると、どうしても狩りができなくなるので、固定狩りという救済措置があっても良いと思っています。それにホムンクルスはペットと同じで操作をしなくては親密度が下がってしまうので、放置していないのではないかと思います。
発言者: しかし、今の仕様では6時間に1度くらい操作すれば親密度は維持でき、ずっと放置している人がいます。結果として場所取りに対して他のユーザーは不満を持っていて、規約で禁止されるMPK等も起きています。固定沸きをなくすことが1番簡単な対処なのじゃないかなと思います。
廣瀬氏: この問題に関しては、現在の仕様がトラブルの温床になっている部分を解決しなくてはいけないと思っています。2年越しの問題で、今すぐに答えは出せないのですが、持ち帰り早急に対処したいと思います。
質問: MVPボスモンスターに関して、アタックが高くてダメージを反射させるスキルを使うことで楽に狩れる「反射狩り」ができるという現状があります。このままこれからのボスモンスターも同じような攻略方法で狩れてしまうのでしょうか。もう1つ、リングオブフレームロードとリングオブレゾナンスを装備したロードナイトの放置狩りに関しての問題はどう対処するのでしょうか。
大岸氏: MVPの反射狩りは対処に向けて施策を練っています。容易に狩りができる職業があるということに対しては対処したいと思います。
廣瀬氏: アイテムを装備してしまえば勝手に反撃できるという仕様になっていますが、放置しているというのはMMORPGの基本である「人と人とを繋げる」という事に対して、おそらく見栄えの問題だと思いますが、良くないと考えているユーザーさんが多いということを認識しています。
この問題に対する運営チームの見解がなかなか出せていない現状もあります。仕様を変更すればいいのか、とだけ考えてはいないのですが、今後こういった問題に関してどう見解を出していけばいいのかそのアプローチが出していけばいいかなと感じました。ご意見として受け止めますので、ありがとうございました。
質問: アルケミストに関しては、パーティープレイの時にも経験値を吸い取っているような申し訳ない気持ちがあります。生産系の職業に関してどう思われていますか。
廣瀬氏: 生産系のスキルを重視したステータスにすると、戦闘においてやはり不利になっています。生産スキルが高いと効果を発する武器や防具も登場していますが、生産系が円滑に戦闘できるというのも中々想像しにくい状況ではあります。万能なキャラクターというのも難しいですし、横の広がりとして、考えていきたいと思います。
■ これからの「RO」、今後の開発の方向性、新規コンテンツはあるのか?
カスタマーサポート部部長の広田知哉氏 |
カスタマーサポート部ゲームサポート課課長代理の新津幹朗氏 |
カスタマーサポート部ゲームサポート課主任の太田剛氏 |
執行役員ゲーム事業部オンライン本部本部長の飯野平氏 |
質問: 最近の新コンテンツ、異世界のモンスターが強すぎて触ることすらできません。こちらの強さの変更などの調整は考えているのでしょうか。また、今後の追加コンテンツでもこのようにどんどんモンスターが強くなっていくのでしょうか。
千葉氏: Episode8.0以降から、モンスターの攻撃力が5桁を超えるなど、敵がどんどん強くなっていくバランスになっているということは認識しています。それでも特定の職業ならばソロプレイでも攻略可能と言うところもあり、パーティー前提の強さにしている、モンスターの強さに対応できる装備などを提供しているというところもあります。
できれば大人数で楽しんで欲しいという要素ですが現状、そこまでユーザーさんの想いと開発の意図が合致しているかというと、検討の余地があります。異世界のモンスターに限らず、既存のモンスターのステータス調整も最近になってようやくできるようになりました。今後もユーザー様の声をいただき、調整は継続してやっていきたいと思います。
質問: 課金アイテムをどこでも買えるようなシステムが追加され、画面右上にショップアイコンが追加されました。ショップを開くとキャラクターが一時的に操作できなくなり、戦闘中などに間違って押してしまいそうで心配です。
千葉氏: 通常は見えない状態で、Altプラスキーボードもしくはチャット欄でのスラッシュコマンドで見えるようにする予定です。いつできるかはお答えできませんが、Gravityに要望を出しています。
質問: 課金アイテムの「属性付与のコンバーター」は使ってもアイコンが出ないためわかりにくいのですが、こちらの改善予定はありますか。
千葉氏: 他にも一部の状態異常のアイコンがないといった問題もあり、こちらに関しても引き続き提案しています。こういった不便な点は改善していきたいと思っています。
質問: 「エボリューションプロジェクト」のSNS及び全体のこれからのスケジュールに関して教えてください。
中村氏: 「エボリューションプロジェクト」ではテスターのみが参加できるSNS「エボプロSNS」というものがあり、ここでご意見の集約を行なっています。現在テストが終わった後も意見を募集している形ですが、コンテンツの改修要望などは500以上ももらっており、「エボリューションプロジェクト」関係するものは検討していますし、絡まない現在の仕様の部分の意見は検討し、随時実装していければと思っています。
SNS自体に関しては、将来的にガンホーIDでログインができる大きなSNSの構想があり、そちらのプロトタイプという意味合いもあります。ユーザーさんがどんなトピックを立て、意見が集まるのかといったところで見ている状況で、2010年には大きなSNSを実装できればと思っています。皆さんに楽しくご利用いただく形にしたいと考えています。
廣瀬氏: 「エボリューションプロジェクト」によって意見をまとめた、3次職を含めたリニューアルプランに関しては、2010年の第1四半期を目標にしています。リニューアルに関しては、韓国での3次職リニューアルの仕様とは違う状況もあります。基本的には現状の日本の仕様をベースとして、3次職の実装、そして今後の発展性を踏まえたポイントを絞った上での改修を行なう方針でGravityに提案しています。
現在特に改修が必要なところとしてはDEF(物理防御力)やMDEF(魔法防御力)の計算式は、防具のDEFが100になるとダメージが全て1になってしまうなど上限がありますので、上限突破の問題に関しては対策していかなくてはいけません。SPD(速度)に関しても今は190までですが、3次職が入りステータスが120までとなるとSPDの上限値に達しやすいキャラクターが増えてしまいます。
こうなると高速で弓を連打するような、速さを求めるキャラクターとその他の違いをどう作っていくか、という問題があります。詠唱時間に関してもスピードの速い“無詠唱”を達成した後のDEXを上昇させる意味など検討しなくてはなりません。
状態異常に関しても、VITを100にすればスタンしなくなるというのが現状ですが、ステータスの上限が上がることにより容易になってしまいます。こういった課題を考えながら、日本の仕様をベースとしながら開発を進めていきたいと考え、具体的なプランをGravityに提示しているところです。
大岸氏: 「サクライJ」をプレイした方ならわかると思いますが、「今まで持っていた資産が無駄になってしまう」と心配になっている方もいると思います。チームとしては皆さんの資産を保証しつつ、新しい拡張性を持たせたいと思っています。この点については安心していただきたいと思います。
質問: 3次職が実装されるされないにかかわらず、「Brasilis(ブラジリス)」(ブラジルをイメージした新マップとクエスト2010年第1四半期実装予定)以降の実装プランは考えているのでしょうか。
廣瀬氏: 3次職はできるだけ実装できるようにがんばっていきます。ご指摘の通り、万が一アップデートの間隔が空いてしまうとSNS等で挙がっている声を元に既存のコンテンツの改修などを2010年はやっていきたいと思っています。私達も既存コンテンツのリニューアルを積極的にやっていきたいと、SNSなどでご意見を募集したいと考えています。
リニューアルをパッケージ化してやっていくという方法もありますし、あるいは積み残してしまっている「戦場システム」などを実装するなど、来年第1四半期に「Brasilis」を予定していますけど、それ以外にも何らかのアップデートでみなさんを楽しませ続けるようにコンテンツを用意していきたいと考えています。
飯野氏: 韓国でももちろん次のアップデートを準備していますし、日本でもコンテンツのリニューアルを考えています。新しいコンテンツを企画しようという考えもあります。長い間続けていける企画はありますので、ご安心下さい。
質問: 現在期間限定でプレイ無料の「スクルド」サーバーを解放することで新規プレーヤーを呼び込むという方法は有効に感じていますが、それ以外にも新規ユーザーを呼び込む方法を考えていますか。
中村氏: スクルドに関しては都合10回、期間限定での稼働を行なっていて、回を追うごとに様々なアプローチも行なっています。宣伝、広告を行ない少しでも多くのプレーヤーに集まっていただき、他のサーバーへ移住してもらうということをやっています。2010年もスクルドをやっていき、初心者向けのイベントやコンテンツも充実していこうと考えています。
もう1つスクルド以外の新規ユーザー獲得への施策として10月くらいからスクルドではない新規サーバーの話も少しずつ進めています。具体的に告知できるのはもうすこし先ですが、今後お見せできると思います。プロモーションとしては様々な企画も考えています。
質問: 「RO」は月額課金モデルですが、基本プレイ無料、もしくは月額を下げるといった予定はあるのでしょうか。新しい人にプレイしてもらうためには必要かと思います。
飯野氏: 韓国では無料サーバーもありますし、私達ガンホーも様々なプランでMMORPGを運営しています。ただ、“長く遊んでいただく”という視点から分析すると「アイテム課金が月額課金に比べて優れているわけではない」というのが現在の分析です。課金プランを変えることで劇的に「RO」が発展する、ということがわかるのであれば検討していきたいですが、現状変える段階にはなっていません。
質問: 新規コンテンツのアイデアなど、ユーザーの意見をもっと取り入れる場所が必要だと思います。
中村氏: 「エボプロ」SNSで「こういったトピックを作って欲しい」、「実装してもらいたいアイデア」、「こういう意見を聞いて欲しい」という意見を寄せていただければ参考になりますのでよろしくお願いします。
もちろんSNS意外にもヘルプデスクのご意見募集という形でお寄せいただけます。ヘルプデスクは運営チームで全体で共有していますし、これをSNSにフィードバックする、という形で使っていきたいと思っています。
廣瀬氏: 先ほどお話しましたが、今後はSNSは全ユーザーに向けて公開する予定です。こちらで意見をいただいたり、公式のコミュニティを使っていただくことなども可能です。
質問: アルデバランのターボトラックのコースが増えたり、イズルードのアリーナ、コンロンの闘技場などに登場するモンスターの変更は考えていますか。
廣瀬氏: 是非やっていきたいと思っています。まず大規模アップデートを完成させなくては、というミッションがあったのでこういったかゆいところまで手が届かなかったというのが正直なところです。こういった細かいコンテンツのアップデートも大岸、千葉の方でどんどんやっていきたいと思っています。今は具体的なプランを提示できませんが、やっていくぞという意志は持っています。
千葉氏: コンロンの闘技場ではモンスターをほのめかす言葉がわかりにくいなどの意見もいただいています。コンロンに登場するモンスターは特別なモンスターなので増やそうとすると新規に開発しなくてはいけません。アリーナのマップも開発しなくてはならないので、コストの面なども総合的に考えてできるだけ早くやっていきたいと思いますし、ピンポイントの意見を頂ければこちらも対応しやすいのでできるだけたくさんの意見をお寄せいただければと思います。
質問: 最近の武器や装備に関しては転生したキャラクター中心で、新しい世界に関しても転生していないキャラクターが近づけない場所になってしまっています。未転生向けの要素はないのでしょうか。
千葉氏: 現在のアップデートは転生キャラクター中心のものになってしまっています。新コンテンツはデザインとして転生キャラクター向けの高レベルのものが多く、ドロップされるアイテムも高レベル向けになっている現状です。現在は低レベルから高レベルまで縦のベクトルの要素が中心になっているのですが、もっと横の拡張性を持たせていきたいと思っています。
いちばんミニマムでは運営でイベントを主催し、他にも低~中レベルのキャラクターへの要素も企画として充実させたいと思っています。冒険者アカデミーでのレベル上げの援助もしていますが、結果として低レベル向けのマップに人がいないなどの状況もありますので、ノービスでの攻城戦イベントを開催したり、企画を練っていきたいと思います。SNS等で是非ご意見を頂ければと思います。
中村氏: 近日「蜃気楼の塔」を開催しますので、レベルの近いユーザーさんと是非遊んでいただければと思います。幅広い皆さんで楽しんで頂ければと思います。
■ サーバーやプログラムの改修は行なわれるのか? RMT業者に対する抜本的な対応は?
会場の大きさに比べ来場者はすくなかったが、ゲームに対する強い想いが伝わってきた |
質問: 「RO」運営チームで、各部署の連携などはできているのでしょうか。横の繋がりはできているのでしょうか。
中村氏: 1つのユニットとして動けるように連携していますし、お昼ご飯を一緒に食べたり細かい話を合わせています。週に1度は社内で調整を行なっています。インタビューなども全体を調整し、意見を合わせた上で話しています。
大岸氏: 私はプランナーとして「RO」に関わっていますが、お互いの仕事を尊重した上で全体で話し合って進めているので、いままで問題になったことはほとんどありません。今後も会議や連絡、食事も含めてコミュニケーションを密に取っていきたいと思っています。
広田氏: 運営スタッフは、一般スタッフを含め、課長クラス、部長クラスとありまして一般スタッフが解決できない問題は、課長クラス、部長クラスと上がっていき、ホームの責任者が判断するということもあります。そのとき最も重視する基準が「どうすればユーザーさんに満足いただけるか」です。「RO」スタッフに限らず社内全体でも充分なコミュニケーションは取れていると思います。その点ではご安心いただければと思います。
質問: RMT(リアルマネートレード、「RO」では禁止されている)に関して質問があります。BOTについては目に見えない形になってきましたが、Googleでの広告などでRMT業者の広告が掲載されています。これらの対策に関してはどうなっているのでしょうか?
太田氏: 広告に関しての施策は今のところありません。法的な観点なども含めた形で検討していきたいと思っています。一方、RMTに関する調査と対応は定期的に行なっています。ある業者はZenyを表示していますが、これがいきなり0になる事がありますが、対応の結果ということが多いです。どう対応したかは告知しませんし、どのような対応を行なっているかも業者側に対策されてしまいますので控えさせてください。
千葉氏: 広告に関しては私達も問題視していますが、根本的にRMT業者が利益を得る構造になっているというところを注視しています。まずRMT業者の在庫を減らしていく、RMTをしにくい構造にするという2点を考えています。おとり捜査も含めた形で業者のアカウントを特定指定し処分する。彼らが所有している在庫を差し押さえる。こういった方法で業者がRMTによって利益を得る構造を抑制していっています。
現在は、アカウントの転売や、オークション形式でユーザーとユーザーが取引している形式など、調査が難航しているところもありますが、BOT対策など、まず業者が稼ぎにくい状況を作っています。RMT業者にのみフォーカスを当てるのではなく、不正対策全般に対して対応していくといくことですすめています。
飯野氏: RMT業者の広告に関しては、掲載しているところに「RO」の名前を不正に使っている、「RO」のコンテンツではないのでおかしいのではないか、といったところでのクレームは出しています。ただ現在法的にRMTは取り締まれないので、広告掲載側も対応できない、という回答もいただいています。これらの問題は業界として重要だと考えていますので、法整備も含めて時間をかけて取り組んでいこうという方針です。広告の対応はその次になってしまいますので、時間がかかる問題となっています。
質問: システム的な質問をさせていただきます。ずっとプレイさせていただいていますが相変わらず各所でサーバーが重かったり、GvG中に魔法が出なくなってしまったり、「サクライJ」のエンドレスタワーでスキルを連打すると落とされて再挑戦できなくなってしまったり、サーバーのシステムに不満があります。クライアントもサービス開始時期から根本的なところは変わっていません。今後、サーバーシステムやクライアントを、改修する予定はあるのでしょうか。
廣瀬氏: ラグの問題や接続が切れてしまう問題に関しては確かに多々あります。これらの問題に関してはプログラムレベルの改修は今まで何度か行なっています。サーバーのスペックの問題も改善していきたいとは思っています。システムの運用を行なっている部署に対して要望も上っており随時更新は行なっている状態です。
しかしその上で発生してしまう負荷の問題に関しては、エンジンの改修というところまで取り組めるかは私達としてはわからないですけども、Gravityに要望として出していきたいと思っています。ソフトウェア、ハードウェア両面で今後も改修を図っていきたいと思います。
質問: それはこれからGravityに要望を出すということでしょうか。もしやっているというならば、具体的には、いつ頃どんな要望を出したのでしょうか。
廣瀬氏: 攻城戦に関しては割り当てるサーバーを増やすことで負荷を分散しています。現在は1つの砦に1サーバーを割り振っていまして、プログラムの改修は今後もやっていきたいと思います。サーバーを増やしたのは新攻城戦が入った2008年の11月頃です。
質問: OSの対応に関して、Windows7が現在は64bit版でしか動かないのですが、これに関してはいつ32bit版に対応するのでしょうか。
廣瀬氏: こちらの問題に関してもお待たせして申し訳ありません。32bit版に関しては日付までは申し上げられませんが、まもなく対応していけるということで改修していきたいと思います。セキュリティの問題も絡んでいまして、ゲーム本体ではないところでの問題だったということです。
質問: 今回の「アニバーサリーイベント」の際、Odinワールドでは参加しようとするとサーバーが落ちてしまいました。イベントは0時でしたが、イベント中止の告知が2時だったことが納得いきません。2時間も告知が遅れたのはどうしてでしょうか。
広田氏: 私どもの不手際ですので、この場を借りてお詫びします。サーバー復旧に手間取ったなどで告知が遅れてしまったのだと思います。今後はこういったことはないように徹底していきたいと思います。
質問: コカコーラとのコラボレーションイベントが面白かったのですが、これからもこういったイベントの予定はありますか。
中村氏: 世界観に合わないという意見もありましたが、おおむね好評でした。多くの企業に提案しています。現在2社ほど話を進めていますが、まだ公開できません。
質問: 開発に関しては全部Gravity任せで、頼んで作ってもらうという状況ですが、今後もこの体制は変わらないのでしょうか。
廣瀬氏: 根幹のプログラミングやリソースを作っている部分では開発会社がいる関係ですのでひっくり返せないと思います。しかし企画に関しては基本はGravityのコンテンツにカルチャライズを行なっていくという姿勢ですが、企画面でも今後ガンホーとして一緒に開発していこう、というマインドが現場の方で盛り上がっています。ビジネスといった意味合いもありますが、現場の気持ちはGravityと一緒に作っていこう、という気持ちです。
質問: 韓国仕様の「RO」はこのまま続いていくと思うんですが、それとは別に日本と一緒に開発していくというのは可能なんでしょうか。
廣瀬氏: Gravityの立場での発言はできないのですが、私達としてはやっていただきたいという姿勢で臨んでいます。Gravityは韓国での開発、他の国からの要望やアップデート要求なども同時並行でやっていかなくてはいけないことは重々承知の上です。
しかしそこで作られていくものが、必ずしも全て日本のユーザーさんに楽しんでいただけるものになるかを考えていくと、やはりある程度我々の方で企画を上げさせていただいて、Gravityとの関係も強固なものにしていっていただきたいと現場では考えています。
質問: サーバーの統合は今後行なわれるのでしょうか。
中村氏: 現在統廃合の話はなく、何度かキャラクターを移動させる「ワールドエクスチェンジサービス」を3回行ない、3,500アカウントのキャラクターが移動したということです。こちらの要望は高く、今後もやっていきたいと思っています。
質問: 武器や防具のグラフィックスで未実装なものがあります。せっかく綺麗なイラストがあるのに、実装できないでしょうか。
グラフィックスの変化がユーザーの大きなモチベーションになりますが、開発との温度差があります。僕ら的にも甘いのではないかと思う部分もありますので、この点に関しては強く改良する要望を出したいと思います。
この他、SPゲージの表示、魔法のエフェクトのフィルタースキルごとの細かいフィルターの実装、より細かい倉庫のソート機能、GvGでの人数差を補うためのバリケードの改良の要望などがあった。また、カラーチェンジでの表示の不具合や、キャラクターの位置ずれが生じる問題の指摘も上がった。これらの要望報告は運営側も認知している問題が多く、対処をしている、とのことだ。
最後にユーザーに対して挨拶を行なったのは廣瀬氏。「本日は寒い中ありがとうございました。2年前の問題に対して改善できていないという指摘もいただき、直せていない問題に対して、我々は運営であるために、すぐに答えが出せず開発元に提案をしなくてはいけないところに歯がゆさを感じています。こちらでいただいた意見、SNSなどでも日々の投稿でいただいている意見を重く受け止めていきたいと思います。それと共に、こういったシンポジウムの機会を作っていきたいと思いますので、叱咤激励をいただきたいと思います。いつも『RO』を楽しんでいただいてありがとうございます。本日はありがとうございました」と廣瀬氏は語った。
ユーザーの意見をシンポジウムという形で行ない、生の声を受け取る機会を設ける運営会社は非常に少ない。開催してもオフラインイベントの1コーナーであったり、用意された質問に対する回答だったりという会社が多い中、3時間というたっぷりした時間をとり濃密なやりとりが行なわれたことは高く評価したい。
しかし一方で、「1人一問」と限られたことでユーザーの質問内容が固まりきらなかったり、前の質問に引っ張られてしまったりする場面も見られた。また、抽選で80名が当選したにもかかわらず42名という半数しか会場に来なかったところも残念だ。3時間で27名の質問ということで、結果として来場者の多くが直接質問をぶつけられたというところもある。来場者からゲームの熱意を強く感じた分、参加者の少なさは気になったところだ。多くの人が気軽に発言できるSNSの実装、そしてもっと多くの人が参加できるような機会も期待したい。
また、質問の内容は別だったために回答されなかったが、「ユーザーシンポジウムにGravityのスタッフが来ていない」という点は残念な部分だ。結論として「韓国に要望を出す」というものが多く、やはりもどかしさはぬぐえない。開発者に声を届けたい、思いを聞きたい、というユーザーの声が届かない状況が続いているところは物足りなさがある。
特に、2009年9月からはガンホーの開発を牽引していた堀誠一氏がGravityのCTO(理事)に就任している。堀氏の就任により開発体制は変化したのか、今回の日本側の強い要望を、Gravityはどう捉え、日本のユーザーに対して、日本が提示している仕様に対してどう思っているのか、具体的にどのくらいのスタッフで対応するのか、日本側の「日本独自の仕様で進んでいきたい」という思いが強調されるほどに気になるところである。
今までのゲームの価値観、システムを大事にしたい、という運営、ユーザーの意見は共感でき、ユーザーの楽しさを守りたいと活動している運営の思いは応援したい。だからこそ、もっと情報を開示し、開発側の声も届く双方がスムースに交流できる環境が望ましいのではないかと感じた。
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(2009年 12月 14日)