ゲームポット、WIN「ファンタジーアース ゼロ」オフラインイベント開催
「バンクェット2009」決勝大会、新企画「国家対抗戦」を実施
物販やイベントは事前に時間分けされていたにも関わらず、開場前には行列ができていた |
株式会社ゲームポットは、Windows用オンラインアクションRPG「ファンタジーアース ゼロ」のオフラインイベントを、12月12日に東京・竹芝にあるNew Pier Hallにて開催した。
このイベントは、同社が開催しているオンライン・オフライン複合イベント「ゲームポットフェスタ2009」の1つとして実施されたもの。11月からオンライン予選が行なわれた「バンクェット2009」ワールドマッチ(決勝大会)と、来場者が参加できる対戦企画「国家対抗戦」の2つのイベントが実施された。
同社は昨年・一昨年と、同社の全てのゲームを集めた大型のオフラインイベントとして「ゲームポットフェスタ」を開催してきたが、今年はオフラインイベントを3タイトルに絞り、かつ日程を分けて個別に開催した。「ファンタジーアース ゼロ」のイベントでは、チケットを510名限定の抽選販売とし、人気の物販も入場者限定で事前予約を行なうという、規模を絞っての開催となった。
年に1度のオフ会として楽しみにしているユーザーも多く、チケットを入手できず参加できないという声も多かった点は、今回の反省点となるだろう。ただ、例年は多数のゲームでの開催で、お目当てのゲームのイベントがない時間が長く、中には特典アイテムを受け取ったり、物販で目当ての商品を買ったら帰るという客もいた。今回は来場者参加企画も設けて、しっかり楽しんでもらうという狙いは成功していたと感じた。
■ 新たなトレンドも見えた「バンクェット2009」ワールドマッチ
今井麻美さんが来場。「戦闘開始!」の掛け声でイベントを盛り上げただけでなく、身を乗り出すようにして画面を見ながら、GM顔負けの解説をしていた |
「バンクェット2009」は、円形の闘技場マップを使った7対7のチーム戦で競う大会。先に10キルを奪ったチーム、または10分の制限時間後にキル数の多いほうが勝利となる。通常の戦争と比較して、エンチャント不可、一部アイテムの使用不可など、若干の制限がある。
オンライン予選は11月から各ワールドごとに行なわれ、トーナメント形式で1チームを選出(出場者が多かったDaathワールドとFelixワールドは2チームを選出)。さらにその9チームでリーグ戦を行ない、オフライン決勝大会に進出する4チームが決定した。決勝大会は全て3本勝負で、2戦先取したほうが勝利となる。
出場チームは、Briah代表の「Victory_Roar(カオスイリュージョンと読む)」、Daathワールドの「Rounds」、同じくDaathワールドの「NEETS」、Etherワールドの「@1」の4チーム。ちなみに事前にオンラインで実施されたユーザー参加の優勝チーム予想企画「FE-TOTO」では、「Victory_Roar」が他に2倍以上の差をつけて1位だったという。
大会の解説は、GMウェッティー氏とGMダディ氏が担当。さらにゲストとして、オンラインライブ番組「ファンタジーアースゼロ メルファリア ANNEX」でパーソナリティを務めた声優の今井麻美さんが登場。今井さんは個人的に本作をプレイしたことがあるそうで、「ウォリアーだったけれどすぐやられるので、真っ先にクリスタルを掘っていた」、「デッドコメントでいかに可愛く死ぬか頑張って考えていた」と笑い話を交えつつ、GM2人とともに試合を解説していた。
● 第1試合 : 青「NEETS」 vs. 赤「@1」
「NEETS」はウォリアー4、スカウト2、ソーサラー1と、ウォリアーに重点を置いた構成。「@1」はウォリアー3、スカウト3、ソーサラー1。ソーサラーはいずれも氷系メイン。「@1」が短剣スカウトによるかく乱で主導権を握る戦略に対し、「NEETS」はウォリアーの数でスカウトを封じるという構図だ。ちなみにウォリアーは片手と大剣のハイブリッド、ないしは純大剣といった様子で、両手は見当たらなかった。
1戦目は途中でPCトラブルが発生し、仕切りなおしてのスタート。序盤から「@1」が優勢に進め、じわじわとキルを奪いながら終始優勢をキープして1本先取。続く2戦目は「@1」が広く展開して「NEETS」を取り囲むように押し込み、早々に水場まで追い込んで一気に押し切って勝利を決めた。「@1」にもピンチの場面はあったが、ウォリアーの「クランブルストーム」を中心としたフォローで鉄壁の守りを見せ、危なげなく勝ち進んだ。
ウォリアー主体の「NEETS」だったが、「@1」の短剣スカウトに翻弄されてしまった格好。「@1」の堅い守りを切り崩せなかった |
● 第2試合 : 青「Victory_Roar」 vs. 赤「Rounds」
「Victory_Roar」はウォリアー3、スカウト3、ソーサラー1の構成。「@1」と同じく、昨年大会でも猛威を振るった構成(昨年は大剣が未実装だったので両手だったが)だ。対する「Rounds」は、ウォリアー6、スカウト1という極端な構成を選んだ。しかもこのスカウトは短剣ではなく、弓も使うハイブリッド型だった。
この「Rounds」の構成を分析しておきたい。まずウォリアーを6人入れたことは、試合の鍵となる短剣スカウトの対処と、大剣の高い攻撃力の2点を重視したと考えられる。敵の短剣スカウトを寄せ付けさせず、多数の大剣のプレッシャーで敵を押し込んで一気に潰そうという戦略が見える。課題となる敵のソーサラーには、スカウトが短剣で侵入するほかにも、「ブレイズショット」を入れてHPを削り、「ハイパワーポット」を飲みづらくすることで大幅に戦力を削いでいた。なお、同じDaathワールド代表の「NEETS」もウォリアーを重視する傾向が見られたので、Daathワールドで磨かれた独自の戦略といえるかもしれない。
試合の方は、1戦目は「Victory_Roar」が序盤から一気に押し込んだ。「Rounds」もキルを取り返すことはあったが、「Victory_Roar」はその瞬間にさっと下がり、速やかに合流して再度攻撃を仕掛けた。攻めと守りの状況判断と、全員の統一された動きは見事だった。特に水場に追い込んでからの息の合った「ソードランページ」は凄まじく、「Victory_Roar」のほうが大剣の数が多いように感じるほどだった。
2戦目も同じ展開で、「Victory_Roar」が序盤から押し込んで優勢に立った。しかし今度は「Rounds」も崩れず、散開気味の布陣で押し込まれない形を作った。試合はやや膠着したが、終盤に「Rounds」がキルを奪って逆転に成功した。多数のウォリアーを相手に疲弊した「Victory_Roar」が、最後はコスト的に息切れしたのかもしれない。
最後の3戦目も、序盤は同じような展開で「Victory_Roar」が押し込んだ。しかし「Rounds」も6人のウォリアーが縦横無尽に動きながら「クランブルストーム」でフォローし、「Victory_Roar」も攻めきれない構図に。2戦目のように粘ろうとする「Rounds」だったが、「Victory_Roar」の短剣スカウトが一瞬離れた敵ウォリアーを妨害し、ウォリアーの追撃で少しずつキルを奪い、そのまま勝利した。
2戦目での逆転など、大剣のパワーで見せ場を作った「Rounds」だったが、「Victory_Roar」の猛攻をしのぎきれなかった。ちなみに「Victory_Roar」は部隊名を「chaos_illusion」にしていた |
● 3位決定戦 : 青「NEETS」 vs. 赤「Rounds」
Daathワールド代表同士となった3位決定戦では、「Rounds」は前戦と同じウォリアー6、スカウト1の構成で臨んだのに対し、「NEETS」はウォリアー5、スカウト1、ソーサラー1と、ウォリアーを1人増やした構成にした。
1戦目は、序盤から細かい競り合いはあるものの、互いにキルを奪えないまま時間が進んだ。防御力が高く、「クランブルストーム」で互いにフォローできるウォリアーの数が多い上、攻撃の基点となる氷系ソーサラーと短剣スカウトが少ないため、相手のミスを待つという状況になったようだ。結果、後半になってカウンター気味にラッシュを決めた「Rounds」が一気にキルを奪い、時間切れで勝利した。
2戦目も同様にスローな立ち上がりだったが、終盤は互いに全力でぶつかり合い、キルの奪い合いとなった。最後は双方あと1キルまで詰め寄ったが、「NEETS」が最後のキルを奪って勝利した。
3戦目は打って変わって、序盤から「NEETS」が攻め込み一気にキルを奪うと、その後も攻めあがってくる「Rounds」を的確に対処してキルを重ね、そのまま優勢で勝利を決めた。「Rounds」の構成は今までにないものだったが、さすがに相手も実力者揃いとなるワールドマッチでは完全に押し込む状況を作り出せず、持ち味を発揮できなかったという印象だ。
2戦目の終盤、水場で互いにキルを奪い合う展開になったところが最大の見所。互いに「クランブルストーム」を持つ選手が多く、決めづらい状況が続いた |
● 決勝戦 : 青「Victory_Roar」 vs. 赤「@1」
同じクラス構成ながら、1回戦では非常に高い突破力を見せた「Victory_Roar」と、堅い守りから1つ1つキルを積み重ねていく「@1」という、対照的なチームでの決勝戦となった。
1戦目は、スタートダッシュが肝だった「Victory_Roar」が、逆に「@1」に対して序盤に4キルを先行されるという意外な展開に。その後も「@1」は敵ソーサラーに対して短剣スカウトが間断なく妨害を仕掛けて終盤まで封殺した。このまま終わるかと思われたが、「Victory_Roar」の最後の突破が成功してキル数で追いついたかと思うと、そのまま水場まで押し込んで得意の攻撃力を発揮。逆転勝利を決めた。
氷系ソーサラーは、「バンクェット」においては攻撃の基点となる「ブリザードカレス」をいかに的確に当てるかが重視されており、無駄なPwを消費しないためにそれ以外のスキルは極力使わないのが基本だ。しかし「Victory_Roar」のソーサラーは、「ライトニングスピア」でのとどめや「サンダーボルト」による味方の救出など、状況に応じたスキル選択を完璧なPw管理の上に成立させていた。プレイ画面がスクリーンに写されていたということもあるだろうが、戦闘後のスコアランキングでも常に上位で、会場を大いに沸かせていた。
続く2戦目も、序盤は「@1」チームが優勢に進めたが、「Victory_Roar」も焦らず、局地戦でキルを奪って逆転に成功した。ここで「Victory_Roar」は数的優位から得意の押し込みを見せるかと思いきや、「@1」の堅い守りもあったか、はたまた確実に守ることを選んだのか、早々に体制の立て直しを選んだ。そのまま勝利を決めるかと思われた終盤、「Victory_Roar」は中央付近の競り合いから、「@1」の「ソードランページ」を受けて2人が同時に倒されるという痛恨のミスを犯し、逆転を許して2戦目を落としてしまった。
最後の3戦目も、「@1」が優勢なスタート。前戦で勝てる勝負を落としてしまったショックからか、「Victory_Roar」の動きにまとまりがなく、ズルズルとキルを奪われ続けてしまった。「@1」は1戦目から、「Victory_Roar」に押し込ませる状況を作らせないよう、敵ソーサラーへの妨害よりも、味方ソーサラーをがっちりと守る布陣を取っていたが、相手が崩れたところは見逃さずにしっかり攻め込み、この日初めての10対0というパーフェクトゲームを決めて、優勝を手にした。
序盤は「@1」を壁際へ、水際へと追い込んで攻め立てた「Victory_Roar」だったが、徐々にそのプレッシャーが跳ね返され、中央付近の競り合いからキルを奪われる状況が増えてきた。最後は逆に「@1」が水場まで攻め立て、乱戦においても落ち着いて立ち回り、見事に完封した |
昨年の準優勝から、さらに奮起して優勝を勝ち取った「@1」 |
「@1」は、昨年の準優勝チーム「あびびぶう」のメンバーを中核としたチーム。この1年の間には、新クラスや新スキルの実装、多数のバランス調整など、大きな動きがあったにも関わらず、見事に雪辱を果たしたことは大いに評価されるべきだろう。
今回の決勝大会では、大剣の強さが光った。「バンクェット」はとにかくキルを奪わなければならず、より高い攻撃力が求めることから、両手よりも大剣が好まれている。瞬間的な火力ならばフェンサーという選択肢もあるが、こちらは「ソードランページ」のような範囲スキルや、「クランブルストーム」のような味方を救出できるスキルに乏しいことから、大剣のほうが汎用性が高い。
短剣スカウトは昨年の開催時よりもさらに強化されている。もっと数が増える可能性もあったが、こちらは天敵であるウォリアーに、大剣という厄介なカテゴリが増えたことで、強化のメリットが相殺されている。ただ依然として強力なクラスであることは、優勝チームがスカウトを3人擁していることや、「Rounds」のような極端なアンチスカウト構成が勝ち上がってきていることからもわかる。
ソーサラーは、火系が絶滅種となってしまった。短剣スカウトの増加で動きづらくなっていた上、主力である「ヘルファイア」のダメージが大幅に低下したことが決定打となった。氷系も、凍結系スキルの効果時間が減少したことと、凍結からの「シールドバッシュ」の時間も下がったことから、より純粋な火力を入れる、という選択肢がありえる。ただ6秒の足止めや鈍足効果は依然として強力で、入れれば戦いが安定するというのも確かだろう。
本作におけるバランス調整は、メインコンテンツである戦争をベースにされているため、バンクェットでの構成はやや偏った形になりがちだ。上のクラス分析についても、50人という大人数や、建築・召喚といった他の要素が混じる戦争では、そのまま適応できない。バンクェットには戦争とは違う考え方が必要で、またそこが面白さでもある。未経験の方も、これを機会に1度参加してみてはいかがだろうか。
(2009年 12月 14日)